海に一番近い駅?大三東駅に願い事やメッセージが描かれた「幸せの黄色いハンカチ」がはためく。
雲仙温泉で開かれた入社同期会で懐かしく愉快に飲んだ翌日、島原鉄道で諫早をめざす「呑み鉄」番外編。
島原半島を半周するように走った島原鉄道は、2008年、南半分の島原外港~加津佐間が廃止になった。
普賢岳の火砕流被害から復旧してから僅か10年後だ。未だに水無川方面へ赤錆びた鉄路が延びている。
乗車早々ひとつ目の南島原で下車する。駅から徒歩5分ほど、龍馬長崎初上陸の地・島原湊で若者達が
ルアーに講じている。この水辺に島原藩の倉をリノベーションした蔵カフェ「茶房 升金の蔵」がある。
松の一本樹の梁、窓から眺める湊の海、木の香りと潮風、年代物の箪笥や船具店時代の滑車やランプ。
郷愁を誘う雰囲気のある空間だ。
「地元でとれた野菜をたっぷり使ったヘルシーなランチセットは女性に人気」と、ガイドブックに書いてある。
アルコールを置いてないのが、呑み人には残念なのだ。
お城を模した島原駅前には「島原の子守唄」の銅像が立つ。まずは島原城へと歩いてみる。
「島原の乱」の舞台となった島原城は、安土・桃山様式、層塔風総塗込めの五層の天守閣が聳える。
石高4万の大名の城としては分不相応に壮麗な城ではある。
天守からは南に島原湾と浮かぶ天草の島々を望み、西は雲仙普賢岳と手前の眉山の存在感に圧迫される。
普賢岳の伏流水が湧出する島原は水の都、鯉が泳ぐ水路や湧水が点在する。
湧水庭園「四明荘」は明治後期に建てられた登録有形文化財、池には日に1,000トンの湧水が湧く。
ならば当然ながら旨い酒がある。江戸末期からの白壁の蔵を持つのは「山崎本店酒造場」だ。
昨年ANAのビジネスクラスに搭載された "普賢岳 特別本醸造" を車中酒に仕込む。
穏やかな陽光に誘われて大三東駅に途中下車、潮の香りに包まれてベンチで駅呑みと洒落込む。
急ぐ旅でもあるまいし。"普賢岳 特別本醸造" は爽やかでフルーティな香りの酒だ。
1時間後の諫早行きのディゼルカーが島原半島を東岸から北岸へと廻り込む。海の向こうに見えるのは国見岳か。
吾妻、愛野と少々くすぐったい名の駅を過ぎて風景は干拓地の田園風景に変わる。諫早まではあと少しだ。
島原鉄道 島原外港~諫早 43.2km 完乗
Tie a Yellow Ribbon Round the Ole Oak Tree / Dawn