ヘッドマークも誇らしい旧国鉄の急行型電車、北陸本線で呑む旅のアンカー455系が直江津をめざす。
駅弁、缶ビール(子どもだったからバヤリースか?)、冷凍みかん、全開の窓、昭和な旅路がそこにあった。
まだ少し冬の匂いを残した凛とした朝の空気の中、兼六園と金沢城を巡って来た。
伝統芸能である能楽・加賀宝生の鼓をイメージした「鼓門」を潜って、北陸本線を呑む旅、第二幕が始まる。
07:57発、5区を走るのはスカイブルーの旧国鉄413系の3両編成、ある意味ラッキーな巡り合わせだ。
ガラガラの車内でボックスシートを一人占め、プシュッとプルトップを引くのに憚ることはない。
倶利伽羅峠越えのお供は “金沢百万石BEER”、黄金にかがやく缶はスッキリとした喉越しのコシヒカリエール。
高岡駅古城公園口には「ドラえもんの散歩道」って、オールスターキャストの銅像が戯れている。
ドラえもんを描いた藤子・F・不二雄氏は高岡の出身だそうだ。なるほど、知りませんでした。
その名も大佛寺にある青銅製阿弥陀如来坐像「高岡大仏」は、地元の銅器製造技術の粋を集めた高岡の象徴。
なにせ高岡銅器は、わが国における銅器の生産額の約95%を占めていると言うから凄い。
高岡から富山まで乗車した6番手ランナーはIRいしかわ鉄道の車両、コーポレートカラーの空色を纏う。
北陸新幹線の金沢延伸開業に際し、あいの風とやま鉄道とIRいしかわ鉄道はJR西日本から521系を譲り受けた。
3社は同系の車両を使用している訳だけど、ほか2社と比べてずいぶん厚化粧なIRいしかわの電車なのだ。
持続可能なコンパクトシティを推進する富山、駅前広場は歩行者と路面電車が主役の人に優しいレイアウトだ。
満開のサクラ越しに行き交う電車を眺めるのも楽しい、街灯にはオレンジやイエローの花が飾られているね。
天守閣と石垣を背景に、濠に満開のサクラが枝を投げ出している。ビルの谷間に立山連峰が覗く。
フレームに城とサクラと立山連峰と、なんとも豪勢、富山の街の風景に溶けこんだ立山連峰が美しい。
富山城址公園を抜けて富山最大の繁華街総曲輪に迷い込む。ここに地元で愛される「昼飲みの聖地」がある。
「丸一」の縄のれんを潜る。なんと開店は11:00、引戸を開けると奥まで伸びるカウンターはすでに満席。
2〜3分待って空けてもらった席に収まって、先ずは “サッポロ赤星”、アテは “ホタルイカの酢味噌和え” を。
隣のご同輩は若い女の子を連れて、いや羨ましい。氏が薦めてくれた地酒は五箇山の “三笑楽” だ。
サクサクの “白エビかき揚げ” にはレモンをたっぷり絞って、ほどよい酸味がある純米酒によく合う。
口の中に広がるのは、あっこれ “かっぱえびせん” の味だ。
ご同輩の連れは富山大学に就学中の娘さん、一人暮らしを訪ねたらしい。ちょっと安心、いや余計なお世話で。
厚揚げ、玉子、大根にあんばやしを択ぶ。“富山おでん” はとろろ昆布をかけて、旨味がたっぷりで美味しい。
あと “すすたけ” を2本、春を感じるね。すすたけとは根曲がり竹のこと、信州や越後では姫竹って言うかな。
ボクはサバの水煮缶と溶き卵といっしょに煮る “たけのこ汁” に目がない。これ余談でした。
酒は北前船で栄えた岩瀬浜の “満寿泉”、優しい口当たりの純米酒がおでんに合うなぁ、燗酒でもよかったか。
さて旅は後半戦、8番手の泊行き437Mはあいの風とやま鉄道の521系、シルバーの車両がスタイリッシュだ。
車窓には常に残雪きらめく立山連峰が流れて飽きることはない。ちょうど12時、列車は黒部川橋梁を渡る。
シルバーの2両編成が泊駅の2番ホームに終着すると、えちごトキめき鉄道のディーゼルカーが迎えに来た。
乗り換えの便を計って同じホームに向き合うように縦列停車。ローカル線の乗り換え駅ではよくある光景だ。
9番手の1637Dは車体に日本海の海の幸をあしらって、前面に描かれるのはベニズワイガニか。
気動車とはいえ最新のET122系、出足も滑らかに、あっと言う間にトップスピードに達して軽快に駆ける。
快適な乗り心地のET122系とは僅かにふた駅乗車してお別れ、市振からは懐かしの急行型電車に乗る。
えちごトキめき鉄道が演出する昭和の旅路、かつて関西・中京と北陸を結んだ455系に10区のアンカーを任せる。
直江津方につけた「さくら」のヘッドマークは、満開を迎えた沿線の「高田城址公園観桜会」をアピールか。
途中の糸魚川駅では10分の停車、駅前広場には伝説の女王・奴奈川姫の像が立つ。
ヒスイを用いて祭祀を行い、高志国の一部を治めたとされる女王は、古事記では出雲の大国主命と結ばれる。
能生駅には桜並木があって、列車は撮影のための臨時停車となる。なるほどカメラの砲列が並んでいるね。
ボクはと言えば、ワンカップをカポっと開けて花見の一杯。“雪鶴” はちょい辛旨口、糸魚川の酒だ。
延長11,353mの長大な頸城トンネルを、モーターが唸りを上げて、急行電車が110km / hで疾走する。
かつては日本中の幹線を走った急行電車、ボクの子どもの頃は確かにこんな旅があった。
谷浜の海岸線から直江津の火力発電所が見えると、昭和の旅路はまもなく終わる。っと最後の五智トンネルだ。
14:31、8003Mが直江津駅1番ホームにゴールを切って、10本を繋いだ文字通りの駅伝、北陸本線の旅は終わる。
敦賀、金沢、富山、満開の桜と北陸の酒肴を堪能した2日間、さて最後に夜桜の高田城址公園を歩きましょうか。
北陸本線 米原〜金沢 176.6km
IRいしかわ鉄道 金沢〜倶利伽羅 17.8km
あいの風とやま鉄道 倶利伽羅〜市振 100.1km
えちごトキめき鉄道 市振〜直江津 59.3km
赤道小町ドキッ / 山下久美子 1982
立山を眺めたい。
https://blog.goo.ne.jp/kikuchimasaji/e/e4d565c874a3ae50d28d63c935c381cd
こんにちは。富山がふるさとでいらっしゃいますか。
春の富山は初めてです。城址公園も松川公園も桜がキレイでした。
帰省を自制しておられる中、なんだか申し訳ないですね。
とても美味しい富山でもありました。
流行り病が落ち着いたら、再訪希望です。
コメントありがとうございます。
このときは 北陸新幹線の上越妙高から
えちごトキめき鉄道にのり高田駅に
https://blog.goo.ne.jp/tsakaegoo/d/20140421
高田城址公園の夜桜に訪問ありがとうございます。
新幹線の延伸開業直後ですね。
実はご訪問の2ヵ月ほど前まで高田に住んでいました。
単身赴任で、新幹線の恩恵はなく遠い高田でした。
まだ肌寒い中、会社の仲間と夜の花見もしたものです。
やはり桜の頃は訪ねたくなります。
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