幾何学的なクロスポイントが鈍く光っている。昨晩の雨の湿気をたっぷりと抱えた朝の空気を衝いて、
折り返し555TとなるE233系が高架を駆け上ってきた。5:45AM、名古屋をめざして中央本線の旅は始まる。
中野から西へ向かう高架から朝の街並みを眺めていると、退廃的だった学生の頃を思い出す。
歌舞伎町で朝まで飲んだか踊ったか、高田馬場あたりで徹マンが明けたか、こんなふうに中央快速に揺られた。
高尾からの2番手は淡いブルーと淡いグリーンの帯、爽やかな信州カラーの211系6両編成がバトンを継ぐ。
この辺りの山間谷間は、2015〜2016年に甲州街道を踏破したので馴染みの景色、小仏峠も笹子峠も山を越えた。
通勤通学客もいっぱいに521Mが甲府に到着。駅前広場では戦国の英傑武田信玄が睨みを効かせている。
15分ほどの待ち合わせで、3番手の松本行き431Mはグッと短く3両編成で信州をめざす。
3両編成が韮崎を出たあたりから車窓は今日のハイライトを迎える。左手は夏の雲を従えて南アルプスの北端が
手が届くかのように迫り、列車が大きな左カーブを描くと振り返るように富士山のシルエットが存在感を示す。
右手には大きく裾野を広げた八ヶ岳が近づいてくる。431Mは甲信国境に向かってさらに高度を上げていく。
大きなリュックを背負って岳人たちが小淵沢で降りていくと、車内は一時がらんとしてしまう。
この瞬間を待っていた呑み人、バックから “レモンサワー” を取り出してプシュ。本日の一杯目を愉しむ。
狂ったように蝉が鳴いている青柳駅、“あずさ5号” がミュージックホーンを鳴らして本線を駆け降りていった。
特急の追い抜きを待つ停車時間は、乗務員氏にも暫し緊張の解ける瞬間でもある。
霧ヶ峰、八ヶ岳、南アルプス、山々から流れ込んだ水は、天竜川に流れ落ちるまでの一時を諏訪湖に湛える。
周囲約16kmの信州一大きな諏訪湖、上諏訪の湖畔には温泉や美術館が点在し、四季を通じて訪ねる人は多い。
湖畔公園から南へ歩くと、衣之渡郭、三之丸、二之丸、本丸が一直線に並ぶ「連郭式」の高島城が見えてくる。
湖水と湿地に囲まれて、あたかも諏訪湖に浮かぶかのような姿から「諏訪の浮城」と呼ばれていたそうだ。
舞姫、麗人、本金、横笛に真澄、諏訪五蔵の銘柄は、字面も響きも美しいと思う。
五蔵は城下の東を南北に貫く甲州街道に、風格のある白壁の土蔵造や、趣のある「雀踊り」を載せた蔵が並ぶ。
酒蔵を巡るなら、バック、利き酒グラス、スタンプカードの「ごくらくセット」を駅前の諏訪観光協会で求め、
街道風情を感じながら、ゆるりと蔵自慢の酒を味わい歩くと愉しいと思う。浴衣姿に下駄を鳴らしてね。
今頃は流行りの関係で試飲を一時休止しているからご注意を。(現在は試飲の代わりにカップ酒を提供中)
ならば店で飲もうかと、呑み人は「セラ真澄」を出て上諏訪駅方面へと戻る。
「れすとらん割烹いずみ屋」は甲州街道を歩いたときにも訪ねた。昼から飲んでも違和感ないのが嬉しい。
舞姫の “芳醇 静” を択んだ。やわらかな香りの淡麗は、冷でよし燗でなおよしの本醸造、厳しい諏訪の冬、
オヤジたちが燗をつけて飲むんだろうなぁ。っで今日は冷やで、“ごまどうふ” を突っつきながらいただく。
味噌ダレをたっぷりかけた “みそ天丼” は信州諏訪にご当地グルメを育てようと頑張っている。
地元の野菜に、諏訪湖の “わかさぎ” に “川エビ” がのって、酒の肴になるから嬉しいね。なかなか美味だ。
4番手の435Mはひと駅だけ乗車して下諏訪に途中下車、諏訪大社 下社 秋宮を訪ねておきたい。
信濃國一之宮・諏訪大社は国内にある最も古い神社の一つ、諏訪湖周辺に4つ境内があってその一つが下社秋宮。
諏訪大社には本殿がなく、秋宮の場合代りに一位の木を御神木として拝している。
今年は7年に一度の御柱祭(おんばしらさい)の年、その勇壮さと熱狂が有名な諏訪大社では最大の神事であり、
社殿の四隅には真新しい樅の巨木「御柱」が立っていた。この春は善光寺ご開帳と合わせて多くの人を集めた。
5番手の437M松本行きが6両編成で入ってきた。中央本線の211系(信州カラー)はロングシートの編成と
セミクロスシートの編成が混在していて当たり外れが大きい。ここまでの4本はすべて「外れ」ときている。
呑み鉄としては当然セミクロスシートを期待する訳だ。秋宮の往復で吹き出した汗が強い冷房で引いていく。
列車は長い塩嶺トンネルを抜け約15分で塩尻駅に到着する。塩尻駅での中央本線は、東京からの東線、
辰野を回ってきた支線、名古屋からの西線が束になって、篠ノ井線となって松本長野方面に続く。
沿線の勝沼と同様、塩尻も日本ワインの主要な産地である。
駅舎の駅名表示はオーク樽に焼印のデザイン、駅前広場には塩尻ワインを扱う観光案内所やWineBarが見える。
反対側の西口から延びる県道を走れば、葡萄畑が広がり、いくつかのワイナリーを訪ねることができる。
さてここで呑み人は岡谷まで戻る。1983年の塩嶺トンネル開通でローカル線に転じた辰野支線を潰さないと。
岡谷から6番手の218M、窯口水門から流れ落ちる天竜川に沿って辰野へ。オレンジの2両編成はJR東海の車両、
飯田線に乗り入れて天竜峡まで走る。辰野駅では東日本から東海へと乗務員の引き継ぎをしている。
ホーム向かい側の163Mに乗り換えると、再びの塩尻までは20分と少々の乗車になる。
辰野〜塩尻間をシャトルしている7番手、E127系は一部にボックスシートを持っている。
それではっと、涼しげな青いボトルの “麗人” のスクリューキャップを切る。ちょっとだけ味見をしよう。
匂ってきそうな青々とした田圃を眺めながら、フルーティーな香りで爽やかな純米吟醸が冷たくて美味しい。
中央本線 東京〜塩尻 222.1km
中央本線(辰野支線) 岡谷〜塩尻 27.7km
<40年前に街で流れたJ-POP>
ダンスはうまく踊れない / 高樹澪 1982
この日は先を急いで木曽福島泊まりでした。
残念ながらサマーナイト花火は観ていません。
標高が高いとは言え、諏訪も暑かったです。
季節が変わったら、是非お出掛けください。
コメントありがとうございます。
麗人=高樹澪さん・・イメージぴったりですね。
また、諏訪にも行ってみたいものです。夜なら諏訪湖の花火も楽しめたのでしょうが・・。
秋宮は中山道と甲州街道の分去れですね。
かかあ天下さんにも、何度か訪れた
お馴染みの地ではないでしょうか。
霧ヶ峰や蓼科、ビーナスラインも近いですから
ドライブも楽しいと思います。
コメントありがとうございます。
今日もお元気ですね。
また伺います。ありがとうございます。
駅を降りると新宿からのツアーの方々を、乗せたバスと合流するので、
周辺を散策出来ません。
諏訪湖の周辺もいつか、
ゆっくりと散策したいです。
酒蔵巡りも楽しそうですね
旅の途中さんのブログをみて、
ますます、行ってみたくなりました。
💻コメントや応援👍ポッチを有難う御座いました。
(^_-)-☆今日は猛暑で外出は避け、部屋でブログ訪問し楽しい時を過ごしています✌で~す!
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🎥で憩いの一時をお楽しみ下さいネ。
🔷それではまたお伺いします👋・!
最近、信州にお出かけだったのですね。
暑い時期は特に、多少の渋滞にさえ我慢すれば、
車の旅行が最適ですね。特に奥様とご一緒ならなおさら。
私は時折、不自由なローカル線の旅を楽しんでます。
すっかり車のハンドルを握ることが少なくなりました。
たまには罪滅ぼしに、妻をドライブに誘おうかと思いました。
そういえば、ZUYAさんの信州行は中央線のイメージですね。
信越線方面はあまりでしょうか。信州とはいえ、今頃は暑い。
今度はどちらにお出かけでしょう。
鎌倉、江の島紀行はgood でした。
いつも楽しく拝見しております。
今日も暑かったですね。瀬戸内はいかがですか?
賑やかなページと動画にお邪魔しますね。
楽しみに拝見しております。
いつもコメントありがとうございます。
そうですか、葉月さんは既にお楽しみですね。
諏訪の五蔵は程よい距離にありますよね。
これから「ひやおろし」「秋上がり」季節に
上諏訪温泉に泊まって巡りたいものです。
コメントありがとうございます。
みそ天丼は知りませんでした。
我々は 酒蔵巡りも 諏訪大社
4社めぐりも 車でしたが
公共機関だと 大変だったと思います。
この件、好きです。私も良く経験いたしますので
続きの“西線”が楽しみです。何処で降りるのかなぁ~
💻今月も先月同様に宜しくお願いお願い致します!
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見て頂いた感想コメントも楽しみにお待ちしていますネ。
🔷今日も元気に頑張りましょ~!それではまた👋・👋!
諏訪の酒蔵巡り、懐かしいです!!
コロナ前だったから寄る先々で試飲して楽しかったなぁ。
蔵と青空、良いですね。
葉月