旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

北の大地をオホーツク海へ 石北本線を完乗!

2019-09-14 | 呑み鉄放浪記

 唸りを上げて単行気動車が行く。コーポレートカラーの萌黄色のラインが鮮やかだ。 
富良野線を呑み潰した勢いで、続いて石北本線を旭川から網走まで抜けようと思う。 

石北本線の起点は新旭川、旭川を発った列車は2駅4キロ宗谷本線を走りここで分岐する。 

国鉄時代の旧い気動車は、ボックスシートに幅広の窓枠、呑み鉄には嬉しい車両なのだ。
早速、"風のささやき" を開ける。旭川は高砂酒造の爽やかな香りの超淡麗辛口酒だね。 

 層雲峡へのゲートウェイ上川までは1時間ちょっと、300mlを愉しむには充分な時間だ。
ところで上川町は髙梨沙羅の地元ですね。静かな町のあちらこちらに幟がはためく。 

ここで小さなトラブル。実は「上川ラーメン」を食べる心算でこの列車に乗って来た。
ところが当たりを付けていた3店舗とも休業、または準備中の札がさがる??
んっっ客足がないと閉めてしまうのだろうか。昼食抜きが決定して絶望している。 

3番線に後続の快速列車がやって来た。多客期を過ぎてこの列車も単行で北見まで駆ける。
2番線には旭川行きが30分を越える長い停車中。そこに特急列車が1番線に滑り込む。
閑散とした北の小駅のホームが埋まり、日に一番の賑わいを見せる瞬間だろう。 

上川から隣りの白滝までなんと駅間37.3km。途中、標高634mの石狩北見国境を越える。
ピークまでエンジンを唸らせていた快速列車は一転、遠軽に向け軽快に滑り降りて行く。
車窓には当たり前のように鹿やらキツネやら、こちらを見つめている。
時折気動車が響かせる長い警笛は、線路上から彼らを退避させるために違いない。 

 石北本線は遠軽で不自然にスイッチバックする。
調べてみると、かつては真直ぐオホーツク海に達する名寄本線が走っていた様だ。
平成が始まった初夏、名寄本線はその支線の後を追って廃止になっている。 

進行方向を変えた快速列車は、常紋トンネルで再び峠を越えると北見盆地へと下る。
夕陽が照らす鉄路は、どこまでも真直ぐ延びている。 

 18:09、北見着。
鉄ちゃんが運転士に労いの敬礼?ここまで200キロ弱、交替なしのハードワークだからね。

まだ十分に終点の網走まで行ける時間だけど、今宵はこの町で呑むことにする。
大人のゲームだからね、急ぐ旅ではない。 

 

 銀座通りと山下通が交わる辺り、「たなか家」に伺う。運よくカウンターが空いた。 
先ずは "一番搾り" を呷る。お約束だからね。
"端野産オニオンサラダ" は、かつお節に隠れた玉子を箸で割って、マイルドに美味しい。 

 

"男爵芋天ぷら チーズ塩がけ" って洒落ているでしょう。これがなかななの絶品。
これには白ワインの様な酒が合うね。"上川大雪" は瑞々しくやわらかな純米吟醸だ。

 

とっても濃厚な出汁の "北見黒豆納豆の揚げ出し"、これで結構飲めちゃいそうだ。
これに大将が好きな "若蔵 純米吟醸生酒" を合わせる。凛とした辛口は高砂酒造渾身の酒。
道産の美味い肴と酒に巡り合って、愉しい宵なのだ。 

 翌朝07:57発の網走行きは、なんと堂々の4両編成。どの車両も高校生でいっぱいだ。
柏陽、愛し野で高校生が降り、代わりに保母さんに連れられた可愛い園児が乗って来た。
女満別の網走湖畔まで遠足だそうだ。吸い込まれそうな瞳に囲まれ幸せな気分になる。 

とっ云いながら、園児の目が届かないボックスに移動するのは朝ビールを愉しむため。
朝っぱらから良い大人がビールを飲む姿、情操教育に良くないからね。
"ABASHIRIゴールデンエール" は柑橘系の爽やかな苦味が特徴的なビールだ。
車窓には端野の玉ねぎ農場が過ぎ去って行く。北見は日本一の玉ねぎ産地なのだ。 

園児たちに手を振って、空になった車両から網走川の蛇行が見えると終点の網走。
新旭川から240キロ、石北本線の旅がここに終わる。
昨夏、帯広・釧路を経由でここに至ったから、2年がかりで大きな円を描いたことになる。 

旅の最後に博物館網走監獄を訪ねた。フライトまでは少し時間があるからね。
富良野線から石北本線を潰した今夏も、美味い酒肴と温泉に満足の旅となった。
今度はまた単車で巡りたいなどと思いつつ、空港行リムジンのシートに身を委ねている。
おっと、オホーツク海は見なかったな。 

石北本線 新旭川~網走 234.0km 完乗

夜明け / 松山千春 1979



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