この辺りは谷底みたいになっていて、店の裏を走る都電は早稲田行きも三ノ輪橋行きもモーターを唸らせる。
旧くてちょっと寂しくなった商店街に真紅の暖簾を提げてそのそば処はある。
コンクリート打ちっぱなしのモダンな佇まいは、創業昭和24年の老舗だなんて聞かなきゃわからない。
少し多めに掴んだ二八を、旨みと甘みが凝縮した温かい鴨汁にサッと付けてズズッと啜る。なかなか美味い。
はじめましての店ではメニューに迷うけど、少しばかり冒険をして最初から “鴨せいろ” を択んだ。
打つ蕎麦はその日によって違うらしく、今日のは越前大野産と「本日の蕎麦」に案内があった。
白い花が咲き乱れる越前大野には最近訪れたばかり、こうした偶然はなんだか嬉しいね。
ランチメニューには小丼との合わせ技もあるから、遠からず再訪してみようと思う。
<40年前に街で流れたJ-POP>
艶姿ナミダ娘 / 小泉今日子 1983