日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 直江志津 Naoe-Shizu

2016-04-01 | 
刀 直江志津


刀 直江志津

 大和から美濃に移住した兼氏を中心とする一門は、志津において栄えたが、水害が多いことから近隣の直江に鍛冶場を移した。この頃の作風を直江志津と呼び分けている。時代は兼氏の弟子の頃。古伝である大和風は次第に収まり、後の美濃振りが強まるというところに特徴がある。ただ、その微妙な違いは、鑑定家によって異なり、時には時代観が前後することもある。大きな視野で捉えれば、志津一門に違いない。
さてこの刀は、総体的に穏やかな湾れ調子の刃文だが所々に互の目が顕著に現れており、時代観が窺える。互の目の頭が少し尖り調子である点に注意したい。だから地鉄だけを見ていると、板目が流れて柾調になっており、地沸が付いて地景も強く現れており、大和色が強いから兼氏かなとも思ってしまうのだが、刃文になんとなく尖ったところがみられ、納得する。同じ時代の直江志津極めであっても、地鉄はもう少し詰んだ作から前時代を踏襲している強い流れ肌を伴うものもある。この作では帽子が小丸に返っているがその先端部は掃き掛けを伴っている。