日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 古宇多

2016-04-13 | 
刀 古宇多


刀 古宇多

 大和国から別の地域に移住した刀工はかなりの数になる。その中でも鎌倉時代末期に大和国宇陀郡から越中国に移住したのが宇多國光で、同派は戦国時代まで隆盛した。大和風の地鉄に相州伝の沸を意識した作風に特徴がある。というと、志津とどう違うのと言われるだろう。この刀は元来が長い太刀で、磨り上げて無銘とされたもの。と言う点は他の同時代の工と同様。宇多國光とは極められないが、時代の上がる宇多派の特質は理解できよう。確かに志津などに似たところがある。板目が強く地沸が付き、刃中には沸筋が流れて層を成している。この写真では分り難いが、さらに地にも沸がこぼれるように働いている。写真処理によっても違って見えるのだが、鉄が少し黒っぽく見えるところも宇多派の特質。ここにも凄みが感じられる。室町時代の宇多派の刀工群とは、地鉄鍛えに強みが感じられるところ、刃中の沸筋の強さなどが明らかに異なっている。