日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

平造脇差 信國 Wakizashi Nobukuni=Saemonnojo

2016-04-23 | 脇差
平造脇差 信國


平造脇差 信國

 左衛門尉信國の在銘。これも太刀の添え差しとされたもので、南北朝スタイルを踏襲している。わずかに先反りがついて操作性に富んでいる。この頃の信國も彫物を得意としていたことから、彫り物は信國一門の御家芸とされていたのであろう。ここでは樋に梵字を組み合わせただけだが、引き締まって格好がいい。地鉄は地沸が良く付いた板目肌で、やはり地景が顕著。刃文は互の目が二つ連なって耳形になり、その頭がやや尖っているところに特徴がある。掃き掛けた帽子は火炎風の乱れ返り。小沸の焼刃は出霧が複雑で激しく、皆焼調ではないものの南北朝時代の相州伝御作風が思い浮かぶ。鍛え目は刃中にも現れ、殊に刃縁の沸ほつれが強く、こうしたところも相州伝の見どころ。