日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

短刀 則重 Norishige Tanto

2016-04-11 | 短刀
短刀 則重


短刀 則重

 鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて寸の長い太刀が製作され、後に自らの身体や剣術に合わせてもっとも扱い易い寸法に直した。そのためこの時代の太刀はほとんどが無銘となっている。だから小脇差や短刀に在銘が多いのは志津兼氏でも同じである。さて、相州伝鍛冶の代表の一人でもある則重は、前回にも紹介したように沸の強い作風で特異であり、武張った風合いが桃山時代の武士に好まれ、今でも人気が高い。この短刀は、もちろん研磨が繰り返されているため身幅は減ってはいるが、姿格好は頗るいい。わずかに内反りで、いかにも使い易そうだ。地鉄も板目が強く肌立ち、地景が渦巻き、これに地沸が同調して激しい景観。これが則重の魅力だ。刃中は沸が厚く深く付き、ところによっては刃先にまで及んでいる。この中に金筋を伴う沸筋が蠢き、沸が流れ、地中にも流れ、帽子も流れて掃き掛けている。