日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 信國 Nobukuni Wakizashi

2016-04-22 | 脇差
脇差 信國


脇差 信國

応永頃まで降っているとみられる信國の、沸が強く意識された作。磨り上げ無銘で元来は長い太刀であったもの。現在は一尺八寸弱の片手打ち刀。板目肌に地沸が付いて地景も顕著。躍動的な地相は相州伝そのもの。山城刀工の信國には、比較的穏やかな直刃と、このような激しい出来とがある。刃中の沸の広がりと濃度は鍛え肌に同調したもので、和紙を引き裂いたようにほつれ掛かり、刃先にまで沸が漂っている。刃文は互の目が強くなり、所々に尖刃が角状に交じっているのが確認できる。こうしたところからも、美濃伝の特徴とされる尖刃は相州伝にはじまるものと考えられるところである。帽子も乱れ込んで掃き掛けて返る。