日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 長舩家助 Iesuke Wakizashi

2017-03-21 | 脇差
脇差 長舩家助

 
脇差 長舩家助應永二十六年

 応永備前の一。特に地鉄が詰んで綺麗だが、単に綺麗と言うのではなく、映りが霞のように立ち込めるその中に杢肌がうっすらと浮かび上がり、流れるような景色を生み出している。これが鉄を鍛えた結果なのか、単純な作業の結果なのかと疑いたくなる、何か、生き物のような、生命の存在をも疑いたくなる出来である。備前物の中でも最も美しい地鉄の時代が応永頃と良く言われる所以である。刃文は腰開き互の目に小丁子交じり。匂主調の柔らか味のある焼刃は足が柔らかく射し、これにほつれかかり、淡い砂流しがかかる。帽子は乱れ込んで先小丸に返る。
    

刀 一貫斎繁政 Shigemasa Katana

2017-03-21 | 
刀 一貫斎繁政


刀 一貫斎繁政

 彫物上手でも知られる近代の名工一貫斎繁政。また備前伝を得意としたことでも有名。この刀も、バランスの良い打刀に小互の目丁子を焼き、覇気横溢の這龍を肉彫した作。地鉄は良く詰んだ小板目鍛えで、流れ肌が窺え、細かな地景がこれに絡んで力が感じられる。刃文は小沸匂が複合した小互の目丁子だが、足が盛んに入るといった風ではなく、刃境が小互の目に砂流やほつれなどで変化があり、ここに小丁子が交じるといったところ。帽子は浅く乱れ込んで先掃き掛けて返る。面白い、楽しめる作である。