今日はアメリカの作曲家ジョン・ケージの誕生日です。現代音楽とは無縁だった私。しかしOttava armosoという番組で特集をやっており、いつのまにか惹きつけられていたのに気づきました。もちろん斬新で不協和音がたくさん含まれた曲もありますが、このようなゆったりとした美しいピアノ曲も作っているのです。ただずいぶんピアノの背が低いのですが。。。本当に演奏されたピアノの高さはこんなに低かったのでしょうか?そしてこのような無理な姿勢で弾いていたのでしょうか?
John Cage "In A Landscape"
かと思えば、まさに現代音楽まっしぐらの不協和音まっしぐらと思えそうなピアノ曲もあります。楽譜も面白いです。音符を囲んでいる○と数字の意味が気になります。この曲からメロディーや和声を探し当てようなどと考えたりしてはいけません。他の楽器の使われ方も斬新ですし、ピアノも普通のピアノではなくものすごく改造されたピアノのようです。このようなピアノのことを「プリペアド・ピアノ」というそうですね。
John Cage "Piano Concerto"
かと思えば、どことなく亜熱帯の南国を連想させる音楽もあります。ちょっと和風な雰囲気も感じられます。のどかな気分になってきます。先ほどのピアノコンチェルトはこりごりと思われた方も、この曲は聴けるのでないか、と思っています。
John Cage "Music for Marcel Duchamp"
彼の曲にはどのような楽器、いや物を使って演奏されたのか分からない曲もあるようです。
そしてJohn Cageといえばやっぱりこの曲でしょう!この曲を聴かないわけにはいきません!!!
現代音楽に詳しい方からお聞きした話なのですが、ケージは、「耳を傾ける、という行為の対象が音楽である」ととらえていたそうです。すなわち、街のざわめき、人の声、あらゆる物音でも、それらに意識が向いたとき、それは音楽になる、とケージはとらえていました。そう考えれば考えるほど、ケージは、耳を傾けることの大切さを伝えてくれたのではないか、という気がしてきます。
耳を傾けると音楽、ということは、便器に「リチャード・マット」とサインをしただけで泉と名付け作品として発表し、目を向けると美術だととらえることを提唱したマルセル・デュシャンとも似ているような気がしてますます面白く感じられました。
ちなみにケージは辞書でmusicの前にmushroomがあったという理由で、キノコの研究にも取り組み、ニューヨーク菌類学会の創立に関わったそうです。Wikipediaによるとキノコから創作や思想の着想を得ており、みずからの音楽論とキノコの関係について語り、キノコの生態が出す音について想像し、エリック・サティの音楽をキノコにたとえたそうです。
人間的にも魅力的なケージの虜に。。。なりかかっています。ただ、彼の曲を演奏する勇気や力量はさすがにありませんが。