私の昔のブログに、自己紹介のコーナーがある。その中の「好きな作曲家」のところを読み、まさにそうだ!と思いつつも、片足を穴に突っ込みたくなってきた。「幻想、ポリフォニック、土臭いものに弱い傾向がある」10年前からこの傾向はあったことにびっくり、しかしこのようなことを書くことがどういうことか分からずに書いていたし、かなり背伸びもしていたのではと思い始めているのだった。好きな作曲家も沢山書いているけれど、作曲家たちの本質もあまり理解できていなかった。
ところで本ブログでも先月紹介したが、渡邊智道氏による池之端ライヴの7月号のCDがやってきた。
スクリャービンの詩曲、ショパンの前奏曲作品45、有名曲とはいえないかもしれないけれど魅力的な2曲がCDを聴いたとたん愛おしき2曲へと変身。スクリャービンの詩曲は動画もアップされているのでリンクを紹介する。
それとともに今回は特別に世界的チェリストの伊藤悠貴氏も出演。昨年の12月おふたりによるオールブラームスの演奏会に行ったときにデュオのCDを出していただけたらと思っていたがこのような形で実現するとは!
デュオ演奏の曲目は、歌曲三曲、すなわち歌とピアノの為の作品三曲だ。その三曲とは
雁部一浩氏が八木重吉の詩
伊藤悠貴氏が石川啄木の詩、
渡邊智道氏が井上井月の詩に
曲をつけた作品。彼ら、演奏家だけではなく作曲家でもあった。しかも、名作曲家。過去の偉人たちとは一緒にしたくないので大作曲家とは呼ばないことにする。(ちなみに雁部一浩氏は本ブログで3年前に紹介していた『ピアノの知識と演奏』の著者であるとともに歌曲作品も出している。)
その歌曲がたまらないのだった。確か音だけの世界で出来ているはずなのに、それに伴い切なさとかはかなさとか包み込みたい思いとかそういうものが湧き出てきた。どうしたらよいのだろうという気持ちになってしまった。濃縮した表情のうつろひ。
そうだ、香りだ。冊子、六等星に書かれていた。香りも伝わってきた。光、音はインターネットを通じても伝わってしまうようになったけれど、香りはどうあがいても伝えることはできない、そんな香りが、音楽からふんだんに伝わってきた。
さらに六等星、さらに前の方にはあのことば「幻想」が!今のようなコロナ禍の状態にあっても幻想世界に心の底から価値を見出し。。。というくだりには心が震えた。
私も幻想が好きだとかつてから言ってはいた。しかし幻想世界へのアクセスについては遥かに歳下でありながらそのような世界にアクセス、自分のものとし体現している若き彼らの足元にも及んでいないと感じた。しかし幻想が好きであること自体には自信を持ちたいと思うようになった。作曲家の魂にしっかりとアクセスし世界を深めることができたらどんなに素晴らしいだろう。
今月の六等星、他にも面白いところがあったのだけど割愛する。
音楽家たちご本人作曲の歌曲が入ったCDは一聴に値すると思う。特定の月だけのご希望にも対応するともある。こちらからぜひ♪
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