ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

雨の東京

2015-09-09 22:10:59 | 旅のこと
帝国ホテルに2泊する、とても格安のフリーツアーがあったので、母と東京へ行ってきました。
まず、空港まで車で行って、そこの駐車場にとめておいて、羽田まで。う~ん、飛行機だと東京まで、本当にちょっとで着くのね。


ロビーに置いてある花が、とてもゴージャスで、人目を惹く大きさ。帝国ホテルは、今もかつてのライトの建築の意匠をあちこちに感じさせ、ところどころにある椅子も彼のデザインによるものでした。 他のホテルのような華美さはないかわり、堂々たる雰囲気、広々とした空間や廊下、カーペットのデザインの美しさなど、さすが!という他はない格調の高さ。何より、あらゆるものが贅沢なまでに、大きく広いのです。

朝食を取ったレストランも、木の柱が、古代ギリシアを思わせるものだったり、インテリアも華やかでありながら重厚さを併せ持つなど、場の雰囲気に圧倒されそうなほど。そして、スタッフやウェイターといった方々のホスピタリティのレベルの高さは、ちょっと比べようがないですね。 わざとらしくなくにこやかに、とまどっているとすぐ近寄ってくれる、などプロ意識のかたまりのようであります。


ただ、この旅行で文句を言う事があるとすれば、ただ一つ、ず~っと雨が降っていたこと。それも半端なものではありませんでした。それで、最初の日(着いたのが、もう夕方でした)の夜は、東京駅に散歩に行っただけ。この写真は、東京駅のドーム形の天井を撮ったものですが、やっぱりこの赤レンガの建物は、素晴らしいもの。超近代的な高層ビルばかりがある、周辺の風景の中、赤い煉瓦の駅は、何だか愛らしくさえ見えます。ここだけ、明治の空気が流れているみたい。

三日目はもう昼前に羽田に行かなくてはならないので、遊びに出られたのは、二日目だけ。しつこいようですが、天気が悪かったので、新宿まで出て、伊勢丹でずっと過ごしていました。そして、伊勢丹は、スゴーク進化してたのでありました。かつてのカジュアルさが、あんまりなくなって、キラキラしたデパートに。 来ている人達も、お洒落な人が多く、それを見ているだけで楽しめること間違いなし。

インテリア売り場の「イヴ・ドローム」で、買ったポーチ。黄色いマフラーを巻いた犬のゴブラン織りが可愛くて、購入したのですが、グレーと薄い茶を混ぜたような生地の色調が印象的なのです。

この間、行ってきたばかりなのに、再びやってきた東京。このホテルに泊まったせいか、もう一度フランク・ロイド・ライトの建築の写真集が見てみたくなりました。




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地球が静止する日

2015-09-09 21:39:35 | 映画のレビュー
SF映画とか、パニック映画とかはほとんど見ないのだが、キアヌ・リーヴス主演というのだからほおっておくわけにはゆかない。
で、二時間衛星TVの前に座って見た、この映画……面白かった!

地球を思わせる巨大な球体が、突然ニューヨークの街のまんなかに現れ、そこから現れたのは、遠い宇宙から来たとおぼしきエイリアン。このエイリアンをキアヌが演じているのだが、白いぬるぬるとした細胞とも、膜ともつかぬものから出てきたのが、人間そっくりの生物だったという、衝撃的なエピソードから、物語の幕は開く。白い無表情な整った顔、年齢がわからぬ雰囲気など、キアヌ・リーヴスが人間離れしたオーラをまとっているのが、印象的。キアヌの無性格を感じさせる、俳優としての魅力が、この役にピッタリといえそう。

懐かしの美少女スタージェニファー・コネリーが、エイリアンの調査チームの一員である地球外生物学者ヘレンを演じているのだが、彼女はひょんなことからクラトゥ(かのエイリアンの名)の逃亡を助けるはめに。クラトゥは、なぜ、地球にやって来たか――?

その秘密は、徐々に明かされていくのだが、「人間は、地球を利用しすぎた」というクラトゥの言には、誰しもうなずくのでは?
人間は地球の癌だ、という言い方もされる通り、この美しい星は、自分の生み出した生命体の暴走に、瀕死のありさまなのかもしれない。

地球という惑星を、人間の手から救うために、派遣された、というクラトゥも、ヘレンとその息子とのふれあいを通して、人間という野蛮でいながら、奇妙な存在を見なおすことに。 このストーリーも良いけれど、クラトゥを守る兵士ロボットがすごい!

人間たちがあびせる攻撃など、なんのその。強大な破壊力をふりまき、最後には、地球をほろぼす無数の虫にまで変身してしまう。この虫たちが、高層ビルを破壊しつくさまは、あたかもイナゴの群れが、麦畑を荒らして回るさまそっくりなのだ。虫が文明を食いつくしてしまうなんて、ずっと昔の予言にあったような終末だけれど、この光景を見たクラトゥが、最後下した決断は、何なのか?

それは実際の映画にゆずることにして、私が素晴らしく惹きつけられたのは、最初のオープニングシーン。ハーケンを使って、雪山をのぼってゆく一人の男。これも、キアヌ・リーヴスが演じているのだが、彼の前に現れたのは、不思議な物体。深い雪のあいまに、輝く球体が回転してゆき、まるでもう一つの地球が出現したよう。 男が思わず、球体にふれると、彼の腕には、奇妙なあざが残る――もちろん、この男から採取したDNAを用いて、宇宙からの使者クラトゥが作られたわけなのだけど、雪山に現れた光り輝く星――何と幻想的な光景だろう。

小説が、幾つ言葉を連ねても、映像の持つ圧倒的なパワーに勝てない、と思うのはこんな時である。
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