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抜歯即時植立インプラントの本当の話、患者さんが思っているほど簡単なものではないのです!

2012年05月24日 | 患者さんの知らないンプラント業界の話

歯を抜歯したら直ぐにインプラントを植立するインプラント治療を、抜歯即時インプラントと呼び、今1回きりの手術で終われるから、簡単で楽なもの、と言うイメージで患者さん達に広まりつつあります。

患者さんが抱くイメージは、抜歯したら最初から骨に穴があって、そこにインプラントを嵌め込んで埋めるだけなので、簡単に済む、しかも嫌な手術が1回で済む、と言う理解の仕方をするのが一般的で、それで簡単で楽なんだろう、と思われるのです。

しかし、私は抜歯即時インプラントは非常に難しく、簡単ではない、注意すべきポイントが沢山ある難しい処置である、と主張しています。

どちらが正しいのか、私は極め付けられませんので、具体的に実際の処置の内容、手術のご紹介をして読まれた方に判断いただきたいと思います。

まず、患者さん達が知らないことですが、歯と言うのは元々骨のど真ん中に生えているものではない、と言う事実を知っていただきたいです。

特に、審美的な成果が求められる上の前歯の生え方は、ほぼ骨の表面に張り付いているもので、全く骨の中にはないものなのです。

信じていただけないのかも知れませんが事実です。

なので、抜歯した穴にそのままインプラントを入れても、骨の中に納まっていない、表側は薄い歯肉しかなくてインプラントが透けて歯茎が暗い色になってしまって審美的な治り方にはならないのです。

更に言えば、抜歯すれば歯茎も骨も痩せてしまいます。

そうなると尚更、歯茎からインプラントが飛び出てしまう、ネジが出て来てしまう、と言う審美とは程遠い結果になってしまいかねなくなるのです。

ですから抜歯即時植立インプラント治療は、抜歯した部位に綺麗に歯を再生させるには、骨と歯茎の安定する位置を考えて植立しなければいけませんし、審美的な成果を上げる為にGBR骨の造成、歯茎の再生をするような処置をしなければいけません。

これらの処置を繊細に精密に行うことが求められるから、抜歯即時植立インプラント治療は難しいのです。

他にも抜歯即時植立インプラントが難しい理由が幾つもあります。

抜歯される歯には何らかの原因があって抜歯になる訳です。

その抜歯の技術、繊細さを極めた抜き方、歯茎、骨を傷付けない抜歯術を駆使する必要があるのです。

抜歯即時植立を成功させるには、歯茎、骨をそのままの綺麗な状態に温存することが大切です。

しかし、抜歯は外科手術ですから、歯茎、骨にダメージを与えてしまう危険性がかなり大きいし、従来の抜歯術は殆どの場合少なからずダメージを与えてしまっていたのです。

それでも生体は治癒するし、治ってくれるから患者さんは気が付かないし、何事のなく治ったと信じているのです。

しかし、抜歯即時植立インプラントではそれが如実に結果として出てしまうので、実際にどう言う抜歯をされていたのか、患者さんだけでなく歯医者も再認識されているのが実態なのです。

丁寧に、傷付けないで抜歯することが凄く難しい、このことが難しい理由の一つです。

次に、抜歯される歯に病巣がある場合、その病巣の除去がこれ又難しいのです。

病巣は勿論、感染源ですから、取り残せば患者さんは痛かったり腫れたりして大変です。

事によると、インプラント自体が感染に巻き込まれ脱落し、それと同時に骨や歯茎も失い、リカバリーが非常に難しくなってしまったりするのです。

それを避けるには、病巣を徹底的に取り切るしかありません。

これが実に難しいのです。

何故なら、骨の中と言うのはザラザラ、凸凹しているし、そこに栄養管等の管も走っていて、そう言う所に病巣は入り込んで食い込んでいるからです。

細かな凸凹を追っ掛けて病巣を取り切るには実に細かい作業です。

極小さい器具を用いてこそぎ取って行くしかないのです。

これを面倒臭くなって全て削り取るような雑な仕事の仕方をすると、骨がかなり失われ、歯茎が痩せ易くなりますし、インプラント植立も難しくなります。

勿論、再生させる骨とか歯茎の量も増えますから、チャンとやれる、成果を出せるのは実にハイレベルな仕事になるのです。

抜歯、病巣除去まで完璧に出来たとします。

それでも、まだまだ難しい原因は残っています。

抜歯した部位の骨は必ず斜面になっています。

その斜面に対して、ここが理想の位置だと言う部位にキッチリをインプラントホールを形成するのが難易度の高い処置なのです。

骨が平らであれば、ホール形成は然程難しいものではありません。

しかし、斜面に形成するには、削る器具バーが弾かれてしまいかねない、どうしてもホール形成がずれてしまいがちになるのです。

まだまだ難しいことは残っています。

患者さんは骨は均一で均質なものだと信じています。

実はそれが全くそうではなく、骨の中は密度がバラバラ、硬い所と柔らかい所が混在しているのです。

その中に削り込んで行くのですから、削る器具バーは柔らかい部位へ流されてしまうのです。

流されたら、当然理想の位置から離れてしまいます。

これのコントロールが実に難しいのです。

抜歯即時植立インプラント治療は、更にその先インプラント植立でも最大の配慮をしないといけない点が多数あります。

そこまで言及していると、ブログが長く成り過ぎるので、今日はここまでにして置きますが、私自身が持っているチェックポイントはもっともっとあります。

それらを一つ一つ乗り越えて、大丈夫だとよくよく確かめて作業を進めるのです。

ですから、私は抜歯即時植立であっても、一般的な顎提に対して植立するのと遜色のない成功率、成果を挙げられているのです。

写真だけで見ていては分からない、奥に隠されている色々な沢山のことがあるのです。

そこを理解していただければ有り難いです。

上手に使いこなせれば、この写真のように患者さんがビックリされるような成果を、早く楽に綺麗に出せるのです。

実は、裏を言えば、早く楽にすることにこのような成果を出せる秘訣があるのです。

そのことの解説は、機会がありましたら書きたいと思います。

 



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