年末恒例のメインテナンスの患者さんが沢山お越し下されてます。
先日もこの方が来られました。
振り返ると2008年の時にしている仕事でした。
今でも覚えていますが、全顎的な歯周病の状態で残っている歯が揺れていました。
特に下の前歯は風が吹けばパタパタするような状態で、私総入れ歯になってしまうんでしょうか、と涙を流されていました。
本当にお気の毒な状態で、できるだけの歯を残しましょう、頑張りましょう、とお約束して治療しました。
やらせていただいた治療、手術は今でも尚世界最先端、殆ど例を見ないモノです。
深刻な歯周病の歯を抜いて、インプラントを植立し、それを大黒柱にして骨造成GBRと歯茎の再生を図る、と言うのから始めました。
これらを同時にやることは、今でもですがそんなことできるのか?と言われてしまう内容です。
一般的には、ここまで歯周病が進行していると、歯周病の治療を徹底して、残らない歯は抜いて、お口の中を歯周病のない綺麗な状態にしてから骨造成GBRをして、それが落ち着いてから歯茎の再生をしてインプラントを埋めるのが常道です。
しかし、それでは患者さんは、歯がない辛い状態を長く我慢しなくてはならなくなり、噛めることが遅くなってしまいます。
それでは可哀想なので、固定されたしっかりとした歯をまず一番気にされている前歯から作って差し上げよう、と考えたのです。
更に言えば、通常このような大きな手術をすると、腫れたり痛んだして患者さんが大変です。
なので、そのようなことがないように腫れない痛くない、身体に優しい低侵襲な手術のやり方を駆使して骨造成GBRと歯茎の再生をしています。
そして、即時荷重インプラントで始めから仮歯が付けられ、固定式の綺麗な歯が入り、そのインプラントが固定源になり揺れてる歯を接着固定させて助ける、と言うことをしました。
多分、2021年現在でも、世界的に私くらいしかしていないだろう、インプラントと歯周病を組み合わせて治すやり方です。
この方の歯周病治療では、このようにしてインプラントを固定源にして歯の骨を再生させる手術を駆使しまくってます。
インプラントの最大の利点は動かないこと。
なら、そのインプラントと接着固定することで歯の周囲組織は再生してくれる筈だ、と考えました。
その根本に、自分のして来た即時荷重インプラント治療への信頼感がありました。
右下奥歯、グラグラで残せない小臼歯を抜歯即時荷重インプラントして、同時に後ろの大臼歯の歯周組織再生手術をして、インプラントを固定源にして大臼歯を支えて治しました。
他の部位のインプラント、右上顎のインプラントは即時荷重までできず、それでもそこが骨とくっ付いてくれたのを支えに大臼歯の歯周再生手術の固定源に使いました。
幸いなことに、左はそこまで途轍もなく大変な手術になりませんでしたが、それでも要所要所にあるインプラントが支えになり、歯周病を治すのにとても役立ちました。
この方の治療を通して、私はインプラント治療の指し示す新しい可能性に目覚めました。
即時荷重インプラントを適所に適時に用いることで歯を助けられる。
確かに歯周病治療がベースで、お口の中が歯周病の問題が解決してからインプラント、はエビデンスに基づいた正しい治療法でしょう。
しかし、それでは患者さんは不自由なお口の状態を長く耐えなければならない、と言う大きな問題が生じます。
これは2021年現在でも、世界的にまだ未解決の問題です。
私は歯周病治療、インプラント治療に真摯に取り組んで、この問題に昔から気が付いていました。
それを何とか解決できないか?道はないのか?と考え尽くして辿り着いたのがこの患者さんでさせていただいた治療法です。
それを私は2008年に取り組んで解決して、今現在2021年末時点でも見事に安定しているのです。
このような仕事をした47歳だった自分を褒めてあげたい、と思います。
今では61歳のベテランになり、ロートル化して来ていますが、このような先進的な治療をこの世に残し、次代の有志に託したいと思います。