確かに、私はオペが上手い、と言われることが多いです。
しかし、私自身は指先が器用でもなく、どちらかと言われたら不器用な部類に入り、自分自身ではオペがそんなに上手い、とは一つも思っていません。
さっさっさとやれることもなく、短時間で終われる技量もなく、直向きに向き合い、真摯に真剣にオペをしているだけです。
一般的イメージからすると、オペが上手いと言うのは、短時間で綺麗に仕上げて、速やかに終わるのが名手、と言う感じなのだろうと思います。
私のオペは、そのような方のオペとは真反対に位置してる、と自覚しています。
それでも、有り難いことに周りの先生からはオペが上手い、余人に変え難い成果結果を上げている、とお褒めいただくこともしばしざです。
そして、先日ご相談にお見えになられた患者さんは、ある著名な先生、パッパッパと終わらせると言う、誰もが上手いと信じてる先生の所から来られた方でした。
主訴は、インプラント手術した所の痛み、違和感を感じている、と言うことでした。
拝見して、特にインプラント自体には問題は生じておらず、ペリオテストの測定値も良い数値でした。
しかし、歯茎が…縦切開を入れて剥離をしてオペしたんだろうな、と分かる状態で、私の正直な感想を申し上げると、荒いオペだな、と感じました。
患者さんからお聞きしたら、やはりその先生のいつものようなやり方でパッパッパっと終わった、とのことで、裸眼でオペをしていた、とのことでした。
それをお聞きして、私はかなり残念だな、と思いました。
やはり、患者さんはオペ後の経過がほんの小さなことでも気になられるモノなんです。
そこに対して配慮のないオペをなされると言うのは、私には考えられない感覚で、パッパッパっと終わり、1日に3つとかのオペをこなすよりも、オペ後の治癒への配慮はもっともっと大事なことだ、と私は思うのです。
ましてや、今の時代で裸眼で今もなおオペをしていると言うのも、私には信じ難いことです。
一般的イメージからは、手術が早くてパッパッパっと終われば、治りも良くて嫌なこと辛いことも少ない、と信じられてるのでしょう。
確かにそれはある、と私も思います。
速く見事なオペをすれば、速やかに治り患者さんは救われる、と。
しかし、早いこと、数多くやることだけに意味を置き、荒いオペで済ませていたら、流れ作業のようなオペをしていたら、それは速やかに治り患者さんを苦痛から解放する、と言うことにはならない、と思うのです。
私自身が考えるオペが上手い、と言うのは、オペそのものの速さ、数の多さではなく、オペ後の治癒経過だ、と明言します。
オペ後が楽であること、辛いことがないこと、具体的には腫れ痛み、違和感などの辛いことが少ないことだ、と私は思います。
同じような内容のオペをして、その後の経過がどう違うのか?に腕の差が如実に出る、と私は確信しています。
腫れた痛んだりするのはオペしたら当たり前、そんなのは2週間もすれば治るんだ、と言うような感覚は最早古い、なくしていかなければならない考え方だ、と私は明言します。
この言葉は、20年程前かつて私自身が口腔外科の指導医、専門医と名乗られる方から、当時から下顎の親知らずの抜歯とかでも腫らさない痛くしないを主張していた私に対して、名指しで怒られた、叱られ詰られた本当に言われたモノです。
その当時私は40代そこそこ、詰問された先生は今の私位?少なくとも10歳は上の方でした。
もしかしたら、私のしていること、実際にやれてることの実績をネット上で公開してるのを目にされて、いかがわしいと思われ注意して下さったのかも知れません。
でも、私は天邪鬼な性格なので、はあ、そうですか、私は考え方違うのですみません、とやり過ごしました。
口腔外科の指導医、専門医ですから、まあ私みたいな市政の一開業医から見たらオペが上手いと言う先生方だと思われます。
しかし、見ている所、考えていることが全然違う、としか私には言いようがない、生意気ですが目指しているモノが違う、としか言いようがないのです。
言い換えると、私は速さや数こなすことを犠牲にしてでも、オペ後何ともないこと、患者さんに辛いことが殆どないことの方がとても大切だ、と考えているのです。
結論的に言うと、拡大視野で精密で丁寧な綺麗なオペをすること、が何よりも大事だと考えています。
この20年、そのことだけを考えて仕事をして来た、と言っても全く嘘がないです。
勿論、完全無欠で何ともないなんてできてません。
オペをしてるのですから、それはその部位は平常な感覚はではないです。
でも、全然耐えられる、ほんのかすり傷程度でしかない感じでいられる、日常生活、仕事に影響がないができていること、がとても大切だ、と私は信じています。
私の目指すオペは、そう言うモノなんです。
だから、私は拡大鏡ルーペを駆使して、その拡大視野の中で見ていて、これは綺麗にできたよね、を直向きにひたすら目指しています。
拡大視野でちゃんとできたな、と言うオペをすると、それを裸眼で見ると我ながら惚れ惚れする仕上がりだったりします。
そうすると、腫れ痛みなどの辛いことはとても少なく、患者さんは普通に過ごされることができています。
そうすることで、初めてのホッとできるのです。
これは一切嘘偽りのないことです。
それが、私がオペが上手い、とご評価いただけている理由なのだろう、と考えています。
でも、繰り返しになりますが、私自身はそんな上手いとは少しも思ってません。
拡大視野で見て、これは綺麗だなと思えるように真摯に直向きにオペに向かう、ただそれだけです。
私程度にできていることなので、私は歯科医なら誰でもできると信じています。
ただしないだけ、なんだと思ってます。
昔私を詰った年長者の先生方は、そこがお分かりいただけなかったのだろう、と今は思います。
私は以上のように考え、これからも自分でこれは上手い美しいと見えるオペ、を心掛けて実践して参ります。
それがより良い成果結果を上げてくれる、と信じて。
生意気ですが、この業界で低侵襲なオペ、身体に優しいオペを始めたパイオニアの自負を持ち、前を向いて進み続けます。