写真は2014年の恩師ラム先生の来日講演終了後の記念のモノです。
本当に良い思い出です。
私がラム先生と初めて出会ったのは、2000年のAAPホノルル大会でした。
その大会のラストスピーカーがラム先生だったんです。
ラム先生のご講演が余りにも素晴らしく、即時荷重の症例を沢山見せていただけました。
そして、講演終了後、先生に質問する方が何十人も先生を取り囲みました。
ラム先生は、その一人一人に丁寧に答えて、段々と人数が減り、最期の最後まで残ったのは、確か8人程度でした。
そうしたら、先生はもう質問はないか、大丈夫か、と皆ににこやかに確認して、ビジネスカードを最後に残っていた8人に一人一人手渡しで下さって、何か質問があったら遠慮なく連絡しなさい、と言って下さったのです。
私にとってそのビジネスカードは、何物にも代えがたい宝物になりました。
そして、ラム先生の教えの元、即時荷重インプラント治療を始め、実際に始めてみて、更にもっと知りたい、もっと質問したい、と思うことが沢山出て来たのです。
ラム先生の元で学びたい、即時荷重インプラントの世界最高の治療を知りたい、と強く強く願うようになっていました。
すると、タイミング良く2003年のAAPがラム先生の地元サンフランシスコで開かれる、と言う情報を得て、ラム先生の所に行けないかな?と考えたのです。
そこで、先生に連絡を取って貰ったら、IDEAの記念すべき第1回のセミナーを終わったばかりだ、と言うことでした。
それでも何とかならないか?とお願いをしたら、じゃあAAPの前の1週間クリニックに来たらレクチャーしてあげるよ、と言って下さったのです。
凄い!個人レクチャーしてくれるなんて、これは凄いチャンスだ!と私は後先考えず、行きます、と返事をしたんです。
その時の自分の勇気、決断は、本当に我ながら偉かった、と褒めてやりたいです。
そして、ラム先生のクリニックに行きました。
クリニックは、勤務医に任せて。
サンフランシスコからタクシーで40分ほど、の所に先生のクリニックはありました。
そこで初めて生の先生の手術を拝見したのです。
その衝撃は、今でも忘れません。
これは何なんだ!?と困惑しました。
どこでも見たことのないインプラント手術でした。
全く切り開かない、ほんのわずかな切り込みだけを入れて、そこを広げてストローマンテッシュレベルインプラントを植立しているんです。
なんじゃこりゃ?!と正直思いました。
その当時は、インプラント手術と言うモノは、当たり前のように歯茎を切り付けて、かなり広範囲に剥離して、骨を露出させて直視して行うモノ、とされていたからです。
ラム先生は全く切り開かないんです。
ええっ!と見てて思いました。
でも、ラム先生はニコッと笑いながら、ステイブルな組織にステイブルなモノを差し込むだけ、それで生体の組織は綺麗に治ってくれる、と言われるのです。
ステイブル、と言うのは安定している、と言う意味です。
私は正直信じられませんでした。
これで良いのか?こんなんで大丈夫なのか?と。
抜歯即時植立でも全く同じで、歯を丁寧に抜いて、そこを綺麗に掻把して、そのままインプラントを植立してしまわれる。
更に、35N測定して、ソリッドヘッドを締結したらプロビジョナル仮歯の製作を、インプラントとソリッドアバットメント締結してある予備のモノが用意されていて、患者さんの口腔外でキチンとマージン合わせして綺麗に仕上げていたんです。
そうか、こうすれば良いのか!私はとても感激しました。
毎日毎日、ラム先生にへばり付いて、その手術をつぶさに見せていただきました。
どれも、考え抜かれた低侵襲手術で、さすがアメリカのトップDRは違う、と感動し捲りでした。
わずか1週間でしたが、ラム先生は毎日4~5症例手術されますので、20症例位見せていただいたと思います。
見ているうちに、単純細胞の私はこれは凄い、これで良いんだ、こんな凄い時代になったんだ、と感動していました。
即時荷重のことで行ったのに、ラム先生はその先、即時荷重の先にある低侵襲手術を徹底的に実践されていたんです。
それに心底感銘を受けました。
後から知ったことですが、実はラム先生ご自身も低侵襲を実践的に始められたばかりの頃だったのです。
それでIDEAを立ち上げて、卒後研修セミナーを開催していたのです。
因みにIDEAは凄い卒後研修施設で、講師陣にはD.ターナー、P.マニエ、P.コルテリーニ、O.ズッアー、G.ズッチェーリ、J.ウェスト、F.クーリー等々が名を連ねています。
錚々たる面々を呼べる、それがラム先生だったんです。(何も知らないで行ってました、私・・・)
そしてAAPが始まりました。
ところがです。
ラム先生に教わったことが一つも出て来ない。
えっ、どう言うこと?と私は思いました。
そして、素直に私は先生に質問してしまいました。
AAPのレクチャーに先生の教えが出て来ないですが?と。
そうしたら、ラム先生はニヤッと笑って、ノリお前は真実を見た、俺を信じるか?ノリ・ユー・シー・ザ・トゥルース。ドゥー・ユー・トラスト・ミー?と仰られたのです。
その瞬間に、私は凄い、この先生は私に本当の世界最先端中の最先端を惜しげもなく教えてくれて、見せて下さったんだ、天啓に打たれたように悟ったのです。
勿論です、あなたは私の終生の師匠です。イエス・オフコース!ユー・アー・マイ・エターナルメンター、と私は満面の笑顔で答えました。
ラム先生はそれはそれは嬉しそうに、ガシッと私の肩を強く抱いて来て、親指を立てて良いね!として下さいました。
あの笑顔、感動、生涯忘れません。
そこから、私の道が本格的に始まったのです。
続きは、又いつか・・・