昨日は、こちらの患者さんのインプラント手術でした。
第一大臼歯部は、抜歯即時荷重インプラントまでできました。
第二大臼歯部は、何とか抜歯即時インプラントで初期固定25N以上まではできましたので、無事に成功できたと言えるでしょう。
術前のレントゲン写真を見ると、相当に骨がなくなっていますので、かなり難しい手術でした。
上顎の奥歯ですので、とても手術が難しい部位で、患者さんは大きくお口を開けなくてはいけなくて大変でした。
なので、術後が心配だったのですが、写真のように全く腫れ上がることもなく、そのお陰でお痛みもない成果を出せました。
痛くしない手術をすること、できること。
そのことにこだわり続けて15年以上になります。
そして、私自身の経験から分かったことは、腫れないようにできることが痛ませないことなんだ、と言うことでした。
腫らさないように手術すること、は私にとってとても難解な問題でした。
特にインプラント手術、歯周病再生手術、下顎の骨に埋まってる親知らずの抜歯手術は、腫れないように痛くないように手術したい、と言っていたら、周りの大先輩方からお前何言ってんだ?と言われたりもしました。
外傷が起きたら、傷が付いたら腫れるのは当たり前、ある程度痛むのは仕方がない、と叱られました。
当時の私は40少しの年齢でしたから、少し腕に覚えの出て来た若造が何を言う、と言う感じだったのです。
正直に言えば、腫れない痛くない手術にこだわり出したのは、開業したからです。
名もない若造が歯医者で開業したばかりで、しかも歯医者のくせに手術をやたらして、それで腫らしたら痛がらせたら、周りからは悪口を言われたりしたからです。
でも、私はこの患者さんは手術しないと救えない、だから何とかするには患者さんに嫌な思いをさせない結果を出すしかない、と強く願ったのです。
その成果が見え出したのが、腫れない痛くない手術をしたい、と言う発言をし始めた頃だったのです。
恩師ラム先生との出会いもとても大きかったです。
2003年に直接薫陶を授かり、私は周りに何と言われようとも腫らさない痛がらせない低侵襲な手術は必ずできるようになる、と信じて頑張って来ました。
そして、今2020年私は自分がする手術はまず腫れない腫らさない、だから痛くない怖くない、と信じられるようになれました。
有り難いことに、私が孤軍奮闘していた腫れない痛くない低侵襲手術は、皆んなが望んで取り組むものとなりました。
不思議なもので、あの頃には誰も信じなかったのに、今は皆んながやればできるかも知らない、と信じてくれるようになってくれたんです。
たった一人やり始め、やり続けただけの私が、その道のパイオニアになっていました。
昨日の手術も腫れないように痛くないように頑張って、順当に結果が出てホッとしました。
これから医科の方も巻き込んで、腫れない痛くない低侵襲な手術が標準治療となるように、その概念、考え方、やり方、具体的手技を有志の先生方にお伝えして行きたい、と思います。