昨日の続きの内容になりますが、患者さんが高齢になった時のこと、100歳でも対応出来るように考えるべきだ、の関連の話です。
高齢になってしまうと、何が起こるのか?をもっともっと我々は考えるべきだと思います。
しかし、巷では果たしてどこまで考えているんだろう、と言うインプラント治療が罷り通っています。
患者さんが高齢になると、何が起こるのか?
機能低下が起こります。
実例ですが、口を大きく開けることが出来なくなります。
そのような状態になってしまったら?
当然、奥の歯を手入れが物凄く難しくなります。
なので、私の考えですが、余り奥歯まで修復して歯を入れて差し上げることは問題があると思います。
特に、後ろにブリッジのように歯を後ろに伸ばして入れるような治し方、は清掃が難しくなり、歯茎の問題は勿論、食物残渣等々でお口の中が汚れている状態になって、誤嚥性肺炎とか全身的影響、命も問題になってしまうのではないか、と案じています。
高齢になると、残念ですがお口の中は汚れが溜まるようになってしまいがちです。
その時に、患者さんがお口が開かないとしたら、清掃が出来ないとしたら、マズイことになる、と言うことです。
そして、清掃性の問題等で、インプラントの上部冠を外して欲しい、と言うことが起こることも充分予測されます。
その時に、ネジ留めでプラスチックで蓋をしている治し方をしていると、かなり大変な問題になるだろう、と危惧します。
高齢になると、お口を大きく開けるのも難しくなるのに加えて、当然ですが体力もなくなります。
いざ上部冠を外さないといけない、となった時に、硬い蓋になっているプラスチックを削ってネジをその穴から取らないといけません。
高齢者は口開けるのも大変、体力も大変と言う状況ですが、果たして、そこまでの大変な治療が出来るのでしょうか?
とんでもないくらい大変で、こんな大変なことになるインプラント治療をしていたなんて、と言う大きな問題が生じるのでは、と私はとても心配です。
更に言えば、ネジ留めのネジはとても小さい扱うのが気を使う部品です。
それをそう言う高齢者の口の中でちゃんと外して、又戻して締めて、と言う治療が満足に出来るのか?と言うことも凄く心配です。
小さな部品ですから、お口の開かない狭い状況で誤嚥とか起こしかねない、非常に恐いことになるだろう、と感じて仕方がないです。
で、ここでは特に申し訳ないのですが名指して指摘してしまいますが、All-on-4の流儀の治し方が恐い、と私は明言します。
何故なら、All-on-4の治し方は、奥歯を止めているネジが後ろに傾斜しているからです。
後ろにネジ穴が傾斜していると、全ての作業が奥の方から前に向かってしなければなりません。
そうなると、高齢者は口が開きませんし、狭いお口の環境の中でどうやって治療をするのか、出来るのか?が私には思い付きません。
失礼なことを重々承知で明言しますが、発案者のDR.マロは高齢者歯科治療と言うものを多分良くご存知ない、と予測しています。
欧米と日本との高齢者医療の差があるのかと思いますが、欧米には寝たきり老人はほぼいないんです。
どう言うことか、と言うと、寝たきりにさせないし、そこまでの延命医療はしない、介護で看取りをして行って寝たきりになるまで無理に引き延ばさない、と言うのがあるんです。
しかし、日本は違います。
日本では、高度に発達した高齢者医療がありますから、寝たきりとかでも生き続けるし、それを我々も考えて行かないといけない時代になって来ているんです。
それを昨日100歳まで考えなければ、と言う指摘をしたんです。
100歳でピンピンコロリ、と言う理想的な人生を送れる方は10%程度しかいない、と予測されています。
となると、残りの90%の方々は、必ず介護を受けることになるし、ベッドの上の人生になる方も出ることでしょう。
そこまでのことを考えたインプラント治療、歯科治療を、我々は考えるべき時代に来ている。
なのに現実は、刹那的な治療ばかりが大手を振って罷り通っている、としか私には見えません。
50歳以下の方は、100歳まで半数位の方が生きる時代になって来ている。
昔のように60,70では人生が終わらない、そこから先30年以上の人生がある。
それに対応出来る、しかも患者さんに苦痛なく、スムーズに機能回復させられQOL、ADLを保ち続けさせられる。
それにはどうしたら良いのか?が、大きな鍵です。
世界的にも、インプラント治療はネジ留め復活の機運ですが、果たしてそれで良いのかどうか?私には大いに疑問です。