合同追悼式に参列、遺族の方が随分年をとられました。
無理もありません。終戦後66年になります。
献花に壇上に上がるのも、やっとの方もあります。
新婚で戦地にご主人を送り出し、待てど暮らせど音沙汰なし・・・20歳だったとしても86歳。
夫婦喧嘩も経験することなく、永久の別れになったかもしれませんね。
たまに夫婦喧嘩もできる私たちは恵まれているのかもしれません。
取り返しのつかないほどの夫婦喧嘩は、しないことですね。
菊谷先生の【今日の仏語】は『慈悲と愛』より。
【夫婦喧嘩は犬も食わない】
と言われるほど、凄惨を極めるのはどうしてでしょう?
お互い好きあって、「この人とだったら」と一緒になったはずなのに、
首を傾げたくなるような、ひどい状況になっている夫婦は珍しくありません。
どうしてそうなってしまったのか?
それはお互いがお互いのためにいろいろしてきたことがあったからでしょう。
相手のためにがんばってきたからです。
夫は妻から「能無しだ。」「ダメ夫だ。」と言われると激怒します。
「オレがどれだけお前たちのために働いてきたと思っているんだ!
そのオレに対して、なんだ、今の言い方は!!」と顔を真っ赤にします。
よくわかります。
奥さんのために相当心を砕いてきたから腹が立つのでしょう。
借金作ったり、愛人作ったりして奥さんを傷つけ、迷惑ばかりかけてきたのなら、
たとえひどくののしられたとしても、そこまで腹は立たないでしょうし。
家族のためだ、妻と子供を養わなければ、と、残業で疲れた身体にムチ打って
働き続けてきたのです。
奥さんと子供の笑顔を守らねば、と下げられない頭も下げて、
長年にわたって外で戦ってきたのです。
その自分に対して「なんだ、今の言い草は!」となるのもわかります。
奥さんは奥さんで夫から無視されたり、邪険にされたり、
「使えない女だ。。」と悪態をつかれた日には
「私は今まであなたのためにどれだけのことをしてきたと思っているんですか!!」
「お風呂も炊いて、ご飯も作って、仕事の邪魔しないように我慢してきた!
その私に対してその態度はなんですか!」
とヒステリックに怒ります。
これも夫のため、と思って掃除、洗濯、炊事、夫の健康管理にも気遣って
栄養のことも考えて料理してきたことでしょうし、10年も20年も相手のことを考えてきたのです。
「それなのに、なんでその私がこんなこと言われなかればならないの!!」
赤の他人から無視されたり、見下げられるよりずっと腹が立つのは当然でしょう。
『愛憎一如』という言葉が仏教にあります。
愛したが故に、相手のことを支えようと心をかけたが故に感謝の心がなくなると
当たり前のようになると憎しみや怒りが出てくる。
愛と憎しみは一つの如し・・・