すばるに恋して∞に堕ちて

新たに。また1から始めてみようかと。

やっとやっとの、飾りつけ

2008-11-21 20:26:17 | 日記
弟の喫茶店が、自宅近く(歩いても1分とかかりませんが)にあるのですが、
ようやく、その店のディスプレーを、クリスマスバージョンに変えました。


入り口を入ってすぐの、風除室みたいになってる
小さな狭いスペースです。

ツリーにかかっているのは、
ピンクの透明なドロップ型のオーナメントと、
白いボールです。
雪の代わりに、羽つきのモールをかけてみました。

横のプランタースタンドにかかっているのは、
コースターに描いた、クリスマスモチーフのトールペイントたちです。
細かくて、みえませんけど。
こんなカンジですね。
これはくまがいなおみさんのデザインです。


この画像には写ってませんが、



お気に入りのクリスマスリースは、です。

まだ娘が、とても小さい頃に、
フリーマーケットで見つけた小さなお人形を3体一緒に、
綿を巻いたリース台に座らせて、作ってみました。
これ、全部の材料をリサイクルで作ったので、制作費は、
お人形にかかった30円(1体10円だったんです)だけです。

コドモがまだ小さくて、
手作りする時間なんて、今よりなかった気がするのに、

なんだか、せっせと、細かい作業をちまちま、やってました。

保育園のクリスマス会に向けて、
同じ型で色違いのドレスを3着、作ったり・・・
手仕事の上手な友達に教えてもらいながら、
雛まつり会に着せる着物を、縫ってみたり。
はたまた、役員をやらせてもらったときには、
バザーにむけて、いろんな小物を作ったりもしました。
カントリードールや、ペイント小物、
クリスマスツリーのオーナメントから、
お正月の飾り物まで。
やらなかったのは、木工くらいでしょうか。
あれは、場所と道具がいりますから。
ああ、でも、最近使ってませんが、電動の糸のこを買ったのも、
あの頃ですね。

なんだか、懐かしいこと、思い出してしまいました。






STORY.10 Holly Night 後編 ①

2008-11-21 14:15:07 | 小説
長くてすみません。

後編も①と②に分かれております。

よろしければ、続きで、どうぞ。
あてもなく走り続けていた車は、
見覚えのある駅の、パーキングに停まった。

「少し、歩こうや」

車を降りた彼は、先に立って、さっさと歩き出した。

雑踏を縫うように進む彼の後姿を見失わないように、
私は、少し小走りになる。

泣き腫らした顔を隠すには、
都合がいいほどの冬の闇。

風は冷たく、枯葉を舞い上げる。

彼がどこに向かっているのか、は、
すぐに察しがついた。



「ここが、始まりの場所だよな」



     あの日、

捨てられていた子猫を、見捨てられずにいた彼を、
見つけてしまった場所。

あの時、連れて帰った猫は、
もうすっかり、オトナの猫になった。
狭い部屋の中で、大きな顔をして暮らしてる。

何かにおびえて、
必死に鳴声を上げ続けていた頃の面影は、
今は、ない。

だから。

彼も、あの日のままの彼じゃない。
少年だった彼を、少しオトナにするくらいには、
月日は流れてる。


「あいつ、元気にしてんの?」

「猫? そうね、元気よ。元気すぎるくらいね」

あとでわかったことだけど。

アレルギー体質の彼は、
本当なら猫に触るのもNGらしい。

だから拾うに拾えなかったんだと、
付き合い始めて、しばらくたってから聞かされた。


もう、
随分昔のことのような気がする。


「あの夜、おまえに会って、あの猫、助けてもらって、
 ほんまに感謝してるんやで」

彼は、自分の足元を見つめたまま、つぶやくように言った。

「あの猫、見つけたとき、
 なんでこんなん、みつけてもうたんやろって。

 自分じゃ、よう、拾われへんのに、助けてやれへんのに、
 必死に鳴声あげてるあいつ、無視することも出来んかって。

 あいつ見てるうち、なんや、自分と重なってきて。

 こんなとこで、精一杯、声、あげてたって、
 誰にも気づいてもらわれへん。

 雑種の、やせっぽっちの猫なんかに、手、差し伸べてくれるような、
 やさしい奴なんか、そうそう、いてるもんとちゃう     って」

不意に顔を上げた彼は、
少し離れて立っていた私の手を、引き寄せた。

「この手・・・
 この手が助けたんは、あの猫だけやと、思ってるんか」

彼は、そのまま、私の目をまっすぐに見つめた。

「オレが、どんだけこの手に救われてきたか、気づいてないんか」

とっさには、私は、言葉が見つからない。
彼に見つめられて、私は、下を向くしかなかった。

無言のまま俯いてしまった私を、
彼は、どう理解したのだろうか。

「おまえに出会ってから、オレ、少しずつやけど、変わったんやで」

矢継ぎ早に、
彼は、いろんなことを話し出した。

「あの頃、お前に出会った頃、オレ、この仕事に迷ってたんや。

 何しても、どんだけやっても、ひとっつもいいことなんか、あらへん。

 この仕事に向いてる向いてない、とかより、
 オレがここにいるってこと、
 この仕事してるってこと、
 どんだけの人間が判ってくれてるんやっていう・・・
 なんやろ、
 あせり・・・?みたいなんがあって。

 迷ってた・・・正直。
 だから、あの猫、他人事じゃないように思えて。

 なのに、オレ、あいつ、拾ってやれへんやんか。

 ああ、やっぱり、オレも、こんなふうなんやなあって。

 誰にも助けてもらわれへんと、自力で生きる力もないまま、
 その辺で、野たれ死ぬ運命なんやって。

 そんなとこへ、おまえの手・・・や。

 一筋の光ってやつやな。

 諦めたらアカン、諦めんかったら、誰かが、どっかで、なんかしら助けてくれる。

 もっと、声、あげて、自分に出来ること、したらええんちゃうか     って・・・

 そう、思い直したら、気ィがラクになって。

 オカンにも、言われたわ。なんでも続けてたら、見えてくるもんがあるって。

 見つかるまで続けたるって、思えたんは、やっぱり、
 あの時、おまえの手が、あの猫、救ってくれたことやった。

 おまえに救われたんは、猫だけとちゃうかったんや。

 ホントの捨て猫は・・・オレ・・・やってん」



彼は、つかんだ私の手を引いて、公園に向かって歩き出した。




後編②に続く