すばるに恋して∞に堕ちて

新たに。また1から始めてみようかと。

聖なる夜の8の魔法 2つめ

2008-12-16 19:49:29 | 妄想のカケラ・ショートストーリー 
ベストアーティスト2008、

「やっぱりーッ!!」

娘らの予想どおり、一曲目だった、∞くんたち。
会場を一気に盛り上げるには、やっぱり、彼らだってことですか。

登場から、元気そうで、楽しそうなすばるくん。

エド・はるみに、むちゃぶりされて、
若干というより、思いっきり引いてしまって、
思わず素に戻ったすばるくん。

「可愛いッッ!!

「あのヒゲづらの、どこが?」

三女が、疑問符たっぷりで、訊き返してきましたが、
母はめげません。

可愛いモンは、可愛い。

相手がすばる君なら、
どんな格好をしても、
どんな面構えになったとしても、
可愛いんです。

飛行機の中、帽子にマスクで、
半分、死んだ顔のすばるくんでも。

愛しいんです。

それでも、ね。

やっぱり、歌ってる彼が好き。
動き回って、はしゃぎまわって、
亮ちゃんと見詰め合って、寄り添って、

最後の最後、
今日は何て言うのかな、って見てたら、
あれだもの。

もっと、もっと、
彼に歌う場を、あげて。

声を聞かせて。

ガイド誌のどこかで、彼が言ってたみたいに、

早く、アルバムを出してちょうだい!!

待つだけの身は、辛いわね。






着替えを終えて、外に出た私。
手持ち無沙汰に、待ってた彼が、イヤフォンをはずす。

「ミニスカサンタもええけど、その格好も似合ってるやん」

白いふわふわセーターに、
赤いチェックの2段フリルのスカート。
黒いボレロに、ファー仕立てのブーツ。

べつに、どうってことのない、スタイルだけど。

「おしゃれなんて、人それぞれやで。
 自分が好きやと思うもんは、大抵、似合うもんやし」


言いながら、彼が私の手を取って、
自分のポケットに一緒に、入れる。

「さあ、腹減ったな。何か、食いたいもんでもある?」

「ん~っとね、麻婆豆腐。うんっと辛いやつ」

「へ? なんて?」

「麻婆豆腐」

「いや、ちゃうやん。今日、何の日か、判ってるか?
 イブやぞ? フレンチでもイタリアンでもなしに、中華?」


「あかん?」

「あかんことは、ないねんけど。
 ほんでも、俺やって、おしゃれな店の一軒くらいは、押さえてあんで?」


「え~? だって、だって

「うわ、またかい。泣かんでもええやん。今度は、なんや」

「ブラックさんに言われたんやもん。
 『おしゃれなとこ、ねだったらあかんからな。あえての中華か、ファミレスにしとき』って」


「また、あいつも、いらん入れ知恵しやがって。いくら自分の好物やから言うて」

「くすん、くすん

「んもう、泣かんでもええから。ほれ、涙拭いて」

彼が、指で涙を拭ってくれる。

「ほんまは、何、食べたかったん?」

「言っても、ええの?
 ・・・・・・ずっと前に、二人で、初めて行ったお店のディナー」


「な? 初めからそう言うたら、ええやん」

「でも、今からじゃ、席があるかどうか」

「ふふん! そのへんに、ぬかりはないねん。
 さっき、言うたやろ。店の一軒くらいは、押さえてあるって」


「うん・・・」

「おまえやったら、そこがええって、言うんとちゃうかなと思って。
 ちゃんと予約も入れてあるし」


彼が私の顔を覗き込むように、見つめてくる。

「素直が、一番やで」

「うん」

「よっしゃ、ええ返事や」



サンタさん、2つめの魔法も、
効かへんかったみたい・・・よ?