夫は車で連れ去られました。
パトカーではありませんでした。
一人になってから
私は過去の記憶をたどり、二つのことを思い出していました。
ひとつはずいぶん昔…新婚の頃の話です。
…町内のホステスさんが河口に浮かんだことがありました。
死因が溺死でなく他殺だったので
「特に」親しかったお客が数人、警察に呼ばれました。
その夜、駅前の商店街では
警察署から戻って来たご主人たちのシャッターを叩く音
チャイムを鳴らす音、謝る声があちこちで聞こえたそうです。
若かった私は、その話にバカ受けし、大笑いしたおぼえがあります。
まさか自分の身に降りかかるとは、思ってもいませんでした。ははは。
もうひとつは、十年余り前…。
近くの町で、男性教師が教え子を殺害した事件。
恋愛関係のもつれです。
その教師の奥さんは、夫から電話でそのことを聞いて
何をしたかというと
すぐさま家の預金を引き出し、保険を解約し
離婚届けを提出して子供と家を出ました。
ちまたの反応は冷たかったですが
私は「あっぱれ!」と感動したものです。
この頃には、夫の奇行?も進行していたので
自分がもし似通った身の上になったら
絶対そうしよう…と思いました。
しかし、もちろん、それを参考にするようなことが
我が身に降りかかろうとは、やはり夢にも思っていませんでした。
夫に人が殺せるとは、そして平静を装って生活できるとは思えません。
でも、私はいまだに夫がよくわからないのです。
「こういう人…」と思っていたら、まったく違う面を知る…の連続でした。
夫が多面性を持っているというより
どうも付き合う相手によってコロコロと人格が変わっていくようです。
影響を受けやすいのでしょう。
決して人は殺せないと思っていても
いつコロリと変化しているかわかりません。
「ゆ○子色」に染められた夫が、殺人をしないという保証は無いのです。
万一を考えて部屋を片付け、通帳や印鑑をひとまとめにしていると
夫が帰宅しました。
拘留されなかったところを見ると、犯人ではないようです。
「カツ丼、出た?」
興味津々でたずねると、夫は怒り出しました。
「出るわけないだろっ!」
「そういう言い方はないだろ」
長男が厳しく言いました。
「ここへ座って、ちゃんと説明しなさい!
殺人事件にまで関係して、よく平気でいられるな!」
おとなしくなった夫の言うことにゃ…
車のことは、時期が一致していたので、あくまでも参考のために聞かれ
その場で廃車手続きを行った業者に確認された。
ゆ○子の携帯の履歴からだいたいのことはわかっていた。
息子を女手ひとつで育てていると苦労話をし
やれ病気だ進学だと偽って
金を巻き上げられた者もいるから怨恨であろう。
ゆ○子の息子はとっくに成人しており、すでに家庭がある。
自分を若く思わせるために、子供の年齢を中学生に下げていたようだ。
親しかった相手から一人ずつ事情や被害金額を聞いているが
家ではしゃべりにくいこともあるだろうから、ということで
連れて行かれた。
自分はまだ金を無心されてないと答えた…。
さすが、ゆ○子は夫より嘘つきです。
上には上がいるもんです。
合格祈願には、夫とゆ○子、二人で行ったそうです。
確かに、大人の息子は会わせられません。
夫には今回の合格から請求が来る予定だったのでしょう。
何回目のお受験でしょうか。
だから誰の名字で祈ろうと、関係ないわな…
「彼氏が何人もいたってこと?」
「そうらしい…」
「あっらぁ~!残念だったわねぇ」
「…」
殺人犯の妻になるのは嫌でしたが
頭の中ではずっと、あのメロディが流れていました。
♪チャ、チャ、チャ~ン♪
ラストはいつも崖の上…。
「そうよ!私が殺したんだわっ!」
吹きすさぶ風、打ち寄せる波…
そんな聞き取りにくい場所で
なぜかえんえんと犯行の一部始終を告白…。
話し終わると、聞いたヤツを殺そうとする…。
自分でしゃべっておきながら…。
そしていつもギリギリのところで刑事到着…。
「来ないでっ!」
「死んではだめっ!あなたは罪をつぐなうのよっ!」
岩崎宏美の歌が流れる中をパトカーは走り去るのぢゃ…。
ジャ~ン♪
ちょっと、期待してました。
長男は「死刑になればよかったのに」と言い
次男は「母さん、父さんを人間と思ったらだめだよ。違うと思えばいいんだよ」
と言いました。
合掌
パトカーではありませんでした。
一人になってから
私は過去の記憶をたどり、二つのことを思い出していました。
ひとつはずいぶん昔…新婚の頃の話です。
…町内のホステスさんが河口に浮かんだことがありました。
死因が溺死でなく他殺だったので
「特に」親しかったお客が数人、警察に呼ばれました。
その夜、駅前の商店街では
警察署から戻って来たご主人たちのシャッターを叩く音
チャイムを鳴らす音、謝る声があちこちで聞こえたそうです。
若かった私は、その話にバカ受けし、大笑いしたおぼえがあります。
まさか自分の身に降りかかるとは、思ってもいませんでした。ははは。
もうひとつは、十年余り前…。
近くの町で、男性教師が教え子を殺害した事件。
恋愛関係のもつれです。
その教師の奥さんは、夫から電話でそのことを聞いて
何をしたかというと
すぐさま家の預金を引き出し、保険を解約し
離婚届けを提出して子供と家を出ました。
ちまたの反応は冷たかったですが
私は「あっぱれ!」と感動したものです。
この頃には、夫の奇行?も進行していたので
自分がもし似通った身の上になったら
絶対そうしよう…と思いました。
しかし、もちろん、それを参考にするようなことが
我が身に降りかかろうとは、やはり夢にも思っていませんでした。
夫に人が殺せるとは、そして平静を装って生活できるとは思えません。
でも、私はいまだに夫がよくわからないのです。
「こういう人…」と思っていたら、まったく違う面を知る…の連続でした。
夫が多面性を持っているというより
どうも付き合う相手によってコロコロと人格が変わっていくようです。
影響を受けやすいのでしょう。
決して人は殺せないと思っていても
いつコロリと変化しているかわかりません。
「ゆ○子色」に染められた夫が、殺人をしないという保証は無いのです。
万一を考えて部屋を片付け、通帳や印鑑をひとまとめにしていると
夫が帰宅しました。
拘留されなかったところを見ると、犯人ではないようです。
「カツ丼、出た?」
興味津々でたずねると、夫は怒り出しました。
「出るわけないだろっ!」
「そういう言い方はないだろ」
長男が厳しく言いました。
「ここへ座って、ちゃんと説明しなさい!
殺人事件にまで関係して、よく平気でいられるな!」
おとなしくなった夫の言うことにゃ…
車のことは、時期が一致していたので、あくまでも参考のために聞かれ
その場で廃車手続きを行った業者に確認された。
ゆ○子の携帯の履歴からだいたいのことはわかっていた。
息子を女手ひとつで育てていると苦労話をし
やれ病気だ進学だと偽って
金を巻き上げられた者もいるから怨恨であろう。
ゆ○子の息子はとっくに成人しており、すでに家庭がある。
自分を若く思わせるために、子供の年齢を中学生に下げていたようだ。
親しかった相手から一人ずつ事情や被害金額を聞いているが
家ではしゃべりにくいこともあるだろうから、ということで
連れて行かれた。
自分はまだ金を無心されてないと答えた…。
さすが、ゆ○子は夫より嘘つきです。
上には上がいるもんです。
合格祈願には、夫とゆ○子、二人で行ったそうです。
確かに、大人の息子は会わせられません。
夫には今回の合格から請求が来る予定だったのでしょう。
何回目のお受験でしょうか。
だから誰の名字で祈ろうと、関係ないわな…
「彼氏が何人もいたってこと?」
「そうらしい…」
「あっらぁ~!残念だったわねぇ」
「…」
殺人犯の妻になるのは嫌でしたが
頭の中ではずっと、あのメロディが流れていました。
♪チャ、チャ、チャ~ン♪
ラストはいつも崖の上…。
「そうよ!私が殺したんだわっ!」
吹きすさぶ風、打ち寄せる波…
そんな聞き取りにくい場所で
なぜかえんえんと犯行の一部始終を告白…。
話し終わると、聞いたヤツを殺そうとする…。
自分でしゃべっておきながら…。
そしていつもギリギリのところで刑事到着…。
「来ないでっ!」
「死んではだめっ!あなたは罪をつぐなうのよっ!」
岩崎宏美の歌が流れる中をパトカーは走り去るのぢゃ…。
ジャ~ン♪
ちょっと、期待してました。
長男は「死刑になればよかったのに」と言い
次男は「母さん、父さんを人間と思ったらだめだよ。違うと思えばいいんだよ」
と言いました。
合掌