殿は今夜もご乱心

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手抜き料理・心機一転の秋

2021年09月07日 14時41分34秒 | 手抜き料理
昨日は例のごとく、同級生の友人ユリちゃんのお寺で料理を作った。

モンちゃんは仕事なので、マミちゃんと私の2人だ。


やることは同じだが、今回はいつもと違う雰囲気が漂っている。

きっかけは先日、ユリちゃんから我々に送信されたLINE。

「嬉しいニュースです!

梶田さんが近くに来られます!

なんと、◯◯町に別荘を買われました!

リフォームが済んだら、年末はこっちで過ごされる予定です!」


◯◯町というのは我々が生まれた地元で、ユリ寺もその町にある。

梶田さんというのは、時々ここにも登場する65才の素敵な女性。

料理上手な彼女はユリちゃんの嫁ぎ先のお寺でも時々料理を作っていて

我々がユリ寺で料理をする時も、何回か訪れていた。

しかし何かあったのか、ぷっつりと来なくなって半年以上が経つ。

その梶田さんが町内に別荘を買ったからには、お寺との交流も復活するらしい。


ユリちゃんの説明によると、梶田さんは海の見える場所に別荘が欲しくなり

彼女が今住んでいる市に近い別の町の物件を検討していたが

考えているうちに売れてしまった。

そこで再び探し始めたところ、格安の物件が見つかる。

それがたまたま、うちらの町だったという。


それ自体はけっこうなことである。

梶田さん夫婦は、元公務員。

唸るほどの退職金で、何か大きな買い物をしたくなるのは自然なことだろう。


けれども梶田さんが買ったのは、半世紀前に造成された町外れの団地。

高齢化社会になるとは予想だにしなかった時代に造られたので

団地全体が勾配のきつい坂道で構成されている。

周辺に店は一軒も無く、駅やバス停、病院も遠く

住民が高齢化すると生活が困難になった。

そのため次々と売りに出されたが、破格の安値でも買い手がつかず

今では空き家の方が多い。

つまり、誰も見向きもしない場所。


ユリちゃんのハイテンションとは裏腹に、我々5人会のLINEは不自然な沈黙が続いた。

過去、実家がこの団地に別宅を所有していた私は

どうにもコメントしにくい。

親が残した複数の邸宅の維持管理に追われるマミちゃん

親が残した旅館の建物を持て余すモンちゃんも返信しないところを見ると

おそらく同じ気持ちと思われる。

梶田さんのように海さえ見えればいいのなら、安い買い物であることは確かだが

先のこと…つまり加齢で車に乗れなくなったり、夫婦の片方が亡くなったり

子供の代になった時のことを考えると

ユリちゃんのように手放しでキャ〜キャ〜喜ぶ気になれないのだ。


長い沈黙を経て、東京へ引っ越したために何も知らないけいちゃんから

うらやましい、あやかりたい、私は老後の見通しなんて全然…

という内容の返信がやっとあった。

興奮が継続中のユリちゃんは、ここで本音を言ってしまう。

「近くなるので、お茶しに行ったり、ごはんをよばれたりできるかも?

良い御縁をいただいて、これから楽しくなりそうです!」


日頃は寛大!な私だが、これにはカチンときた。

楽しいのは、あんただけじゃ…

料理をせんけん、他人に作らしてタカることばっかり考えとるんじゃ…

うちらも感じ悪いが、梶田さんにも失礼じゃないか…。


腹が立ったので、あえてトゲトゲしい返信をした。

「近くへいらっしゃることになって良かったね!

ユリちゃんは便利になるんじゃない?」

これぐらい言うてやらんと、わからんのじゃ。


間髪入れず、マミちゃんからも返信があった。

「じゃあこれからは、梶田さんにお寺の料理をしてもらえるね!」

モンちゃんも続く。

「ユリちゃんも助かりますね。

どんな感じにリフォームされるんでしょ?」

ユリちゃんから返信は無く、LINEはそのまま途切れた。

少しは薬が効いたか。


マミちゃん、モンちゃん、私の3人は

お寺料理の打ち合わせ用に別のLINEをやっているが

このようなことについては一切連絡を取り合わない。

陰でいちいち不満を漏らしていたら、友情なんて続かない。

それが大人というものだ。


翌日の夜になって、ユリちゃんから

「昨日はパソコンの調子が悪くなって、ずっと掛かりきりでした!

携帯の電源も切って奮闘。

さっき、やっと復旧しました」

というLINEが入る。

傷つきやすい選民のユリちゃんは、一昼夜かけて立ち直ったらしい。


マミちゃんもモンちゃんも優しいので、ねぎらいの言葉を返信していたが

私はバカバカしくて返さなかった。

私の早寝は皆知っていて、返信しないことも多いから構わない。

パソコンが壊れたから携帯の電源を切るなんて聞いたことないが

仕切り直すにはこの手しかあるまいよ。


以後は何事も無かったかのように、6日のお寺料理について連絡を取り合うが

9月6日と月末の2回と聞いて、私は今回はっきり言った。

「台所が暑いけん、6日はせん。月末希望」

するとユリちゃんはすかさず、一択であれば6日にやって欲しいという。

マミちゃんが消極的になっているのを感じ取っているのだろうが

この素早い切り替え、やはりさすがである。


10月は宗派の教祖の命日で、“御会式(おえしき)”という大きな行事を行う。

9月6日はそのための飾り付けを作るので、檀家さんが来るそうだ。

その檀家さんも少ないため、我々にも会食の後で

飾り付けに使う紙製の花の製作を手伝ってもらいたいということだった。


人が少ないのは寺の問題であって、我々の知るところではない…

そう言ってやりたいが、会食の後片付けが終わって3時のおやつが始まるまで

ということなので、せいぜい30分ぐらいだ。

拒否するほどでもないため、承諾した。


「奉仕は、嫌になった時から始まる」

私はそう思っているのよ。

最初は感謝されて嬉しいばっかりだが、回数を重ねるにつれて様々な内情がわかってくる。

それでも笑顔でやれるか、ということなんだと思うよ。



さて、こうして迎えた当日のメンバーは12人。

今回から、兄貴の弟子がいない。

色々あって、弟子をやめたそうだ。

全然構わん。

各種のアレルギーがあるので禁忌食品が多い上、魚と野菜しか食べない大食漢に

どれほど気と体力を使ってきたことか。

むしろホッとした。


そしてこの日は、思わぬ涼しさ。

神…寺だから仏か…は、いると、いつになく思った。

こんなことがあったからこそ、背中を押してくれているとさえ思い

気持ちも新たに頑張ろうと誓う。


ユリちゃんも心なしか、気を使っている様子。

台所と座敷を何度も往復して、料理や皿を運んでくれた。

やればできるじゃんか。

最初からそうすればええんじゃ。


コメント欄で田舎爺SさんとH&Mさんが勧めてくださり

前回から用意していた扇風機付きベストは今回も出番無し。

よく考えたら、扇風機付きベストとエプロンの相性はおそらく良くない。

しかしこのベストがあるという安心感は、人様の考える何倍も大きい。

お寺の台所はそれほど暑いのだ。

良い御守りを教えていただいて、感謝している。



この日のメインディッシュは、マミちゃん作のオムレツ


合挽きミンチとジャガイモ、玉ねぎの入ったカレー味だ。

目玉は、上にかかっているケチャップ。

マミちゃんの手作りである。

トマトのフレッシュな味わいが残るニンニクの効いた甘いもので

カレー風味のオムレツによく合い、美味しかった。

手作りのケチャップは珍しいので、皆喜んでいた。


マミちゃん作・ピーマンの冷製スープ


もらい物のピーマンを玉ねぎと炒めてミキサーにかけ、コンソメと牛乳で伸ばしたもの。

冷蔵庫で保管していたピーマンが赤くなっており、スープが緑でなくオレンジ色になったそうだ。

いつもオシャレな料理を作るマミちゃんはこの日、ユリちゃんのご主人モクネン君から

「ビストロ・マミ」という称号を賜った。


マミちゃん作・ポテトサラダ



マミちゃん作・マーボー茄子




みりこん作・冷やし鯛そうめん


垢抜け部門はマミちゃんに任せ、私はいつものように老人対策。

老人は、喉越しの良いそうめんを好むのだ。


写真はダシを注ぐ前の状態。

バットかお盆にカラの汁椀を並べ、具を入れていく。

一通り入れ終わったら、具の入った汁椀の上に次のバットを乗せ

また汁椀を並べて具を入れていくと、少ないスペースでたくさんの数がこなせる。

バットに並ぶ汁椀の数は決まっているので、数を間違えることもない。

大人数の時に便利な、病院方式である。



みりこん作・海老チリ


マミちゃんがマーボー茄子を作るというので、中華つながりで作った。

材料は海老と白ネギだけ、味付けはインスタントのやつだから申し訳ないほど簡単。

が、インスタントは甘いので豆板醤を混ぜ、手作りを装う。

モクネン君が私に「中華の鉄人」と言ったが、マミちゃんだけを褒めたら悪いので

サービスで言っただけだと思う。


みりこん作・いつもの鮎の塩焼き


今回も甘露煮を作るつもりで3日前から準備していたが

圧力鍋で煮ていたら焦がしてしまい、急きょ別の鮎を塩焼きにした。



食後は後片付けと持ち帰りのお土産を用意して、その後

花飾りを作ったが、予測通り30分ほどで終了。

私は紙の花を作るのがヘタで、3個作るのがやっと。

うち、1個は破れた。


3時のおやつはユリちゃんの兄嫁さん作・牛乳かん


やはり兄嫁さん作のティラミスもあったが、撮影し忘れた。
コメント (14)
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