よしながふみ(モーニングKC 講談社)
《あらすじ》
恋人である美容師の矢吹賢二と同居している弁護士・筧史朗の、美味しくて節約にもこだわった晩ご飯をいかに料理し味わうか、という日常を描く。
《この一文》
“さっ! さー 夕メシでも作るかな!! ”
やっぱりご飯が美味しいというのは、おいしいご飯を自分で用意することができるというのは、そしてそれを誰かと一緒に味わったりできるというのは、満たされた生活のためにはかなり重要な要素なんだなぁとひしひしと感じます。読んでいると腹が減ってくる漫画でした。
史朗さんは弁護士で、とても43歳には見えないような美貌と若さを誇っています。そして、大変な倹約家であり、料理が趣味のようです。また、史朗さんは美容師のケンジさんと同居するゲイなのですが、ゲイであるということで、史朗さんはそのことを知る実家の両親とは微妙に心がすれ違っていたりします。家族や世間とのズレを感じるたびに少々がっくりしてしまう史朗さんは、しかし美味しいご飯を作って、それをケンジさんと一緒に食べることで、もやもやしたものが晴れていくのを感じるのでした。
とにかく、じわじわと和みますね、この漫画は。
登場人物も魅力的ですし、なにより史朗さんをはじめとして、誰もがそれなりに日常に問題を抱えていたりするようなのですが、そういうことをサラッと明るく軽やかに描いているところが、ものすごく良いのですね。深刻になりすぎない。
史朗さんのお母さんが、息子が同性愛者であることを受け入れようと自分なりに努力しようとするものの、性同一性障害の人のための講習会を受けたりとか、ちょっと努力の方向が明後日へ行ってしまっているとか、激安スイカを半分こしようとして知り合った佳代子さん(50代の主婦)の誤解を解くために、普段はゲイであることをひた隠しにしている史朗さんがいきなりカムアウトしてしまうところとか。
ユーモラスで、しかもなにかしみじみと迫るものがあります。で、色々あっても、とりあえずご飯を誰かと美味しく食べられたらいいよね、という美しい生活のありさまが描かれていて、私はよだれを垂らすと同時に、非常に感動いたしました。自分でできるかぎりのことをやって、この人生を豊かにしたいものですよね。旨い飯とか自分でちゃんと作りたいよ! ちなみに、最近の私の手料理はどういうわけか暗黒率をいや増しに増しています。これまではさほど旨くはないものの、不味くて食えないヨ! みたいなことはあまりなかったんだけどな~。どうしちゃったのかしら……? こないだの鶏肉のお酢煮みたいのは、ちょっと信じられないくらいの味覚でしたのです(/o\;)アレレ?
よしながふみさんは私は初めて読んだのですが、面白かった!
ところで、漫画に出てくる料理を再現してみよう! という素晴らしいブログを見つけました。写真もふんだんに掲載されていて、漫画メシの臨場感が凄いことになっています。この『きのう何食べた?』のエントリーもたくさんありました。うーむ、よだれが出てきてしようがない!
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