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『アンダーグラウンド』

2012年05月16日 | 映像

1995年 150分(フランス=ドイツ=ハンガリー合作)

監督:エミール・クストリッツァ
原案:ドゥシャン・コヴァチェヴィチ
脚本:ドゥシャン・コヴァチェヴィチ/エミール・クストリッツァ

《あらすじ》
1941年、ナチス・ドイツ占領下のベオグラードを逃れ、敵の目を欺く為、パルチザン(?)として活躍する男のいい加減なアイディアのもと広大な地下空間(アンダーグラウンド)へ避難し、戦後も人知れず半世紀の間生活していた人々のエキサイティングな一大群像劇。恋あり、笑いあり、踊りあり、アクションありと映画の面白さを凝縮した映像と音楽の一大スペクタクル。


《この一言》
“ぼくたちは、もう行きます。”



随分前に観たっきり、2度目を観ることができないでおりますが、あらためて観ないままで書く!!! 

というのも、先日、とうとうこの映画『アンダーグラウンド』、20世紀最大級の傑作映画、人類の至宝であるところの『アンダーグラウンド』が新たにDVD及びBD化されて発売になったんですよね!!

イヤッホ~~~~ッ!!!!

ウレシイ~~~~~~!!!!!


早速私はK氏と折半して、BDの方を買ってみました(^o^)v☆
いやぁ~、嬉しい!
『アンダーグラウンド』のDVDはクストリッツァ作品の中でもとりわけ重要な作品であるにもかかわらず、長いこと廃盤になったままだったのです。中古品が2万円近い値で売られているのを見ました。そんなわけで私はとても手が出せなかった。でも私は以前CSかどこかで放送されていたのを録画してあった勝ち組でしたけど。とは言え録画データはいつでも手もとにあったのに結局一度たりとも観直すことはできなかったのですが……

ともかく、めでたく再販となり、ようやくこれで安心できるというものです。あとはコスタ=ガブラス先生の映画も出し直してほしいわ。



さて、「おすすめの映画は?」と聞かれるたびに「『アンダーグラウンド』!!!」と答えてきた私ですので、また言っているのかとお思いになる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これは本当の傑作ですよ!

少なくとも私が観てきた映画の中で(←数が多いとは申せませんが)、これ以上に人生の喜びと悲しみを描き出した作品はわずかであり、その中でもこれ以上にぶちのめされた作品は他にありません。心が感激して震えることはいくらでもありましたが、『アンダーグラウンド』では心が張り裂けました。何にそんなに感激したのかを一言だって説明することができませんでした。映画の持つ力があまりに圧倒的であったために、その時の私に出来たことと言えば、わーわー声をあげて泣くくらいのものでしたね。当時、K氏と一緒にこの映画を鑑賞していましたが、劇が終わるなり私は一言もしゃべらずそのまま自室に閉じこもって長時間おいおい泣き続けました。立ち直るのにもだいぶかかりましたよ。懐かしい。


あの結末は、いまだに私の心をドンドン叩きます。絶対に忘れることはできないでしょう。あと最初の方で、クロが道行く黒猫を捕まえて、靴を拭き拭きする(そして放り投げる)場面も忘れられないなあ。迷子の国連バスも忘れられないし。あれもこれも忘れられない。けど、忘れてしまったことも沢山あるかな…

いま、Blu-rayディスクを手に入れて、いよいよいつでも観られるようになりましたが、「あらすじ」を書き写しているだけで涙が滲んできてしまう私はやっぱりまだまだ2度目を観ることができないような気がします。でもとりあえず手もとにあれば安心……(ヽ´ω`)



大変な衝撃作ではありますが、『アンダーグラウンド』はとても楽しく陽気で美しい作品でもありますので、まだご覧になっていないという方は、この機会にぜひ!









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「聖母の曲芸師」

2012年05月14日 | 読書日記ーフランス

アナトール・フランス 堀口大學訳
(『詩人のナプキン』ちくま文庫 所収)



《あらすじ》
ルイ王の治世のフランスに、コンピエンヌ生れのバルナベと呼ぶ貧しい一人の曲芸師があって、手品と軽業を人に見せながら町から町へと渡り歩いていた。聖母を深く信仰する正直者の曲芸師は、あるとき僧院の院長と知り合い、そのまま出家する。仲間の僧侶達が各々に備わった技能の限りを尽くして熱心に聖母に祈りを捧げている様子を見て、バルナベは自身の無学と素朴を嘆くのであった。


《この一文》
“ ――ああ! 私の心のやさしさのすべてを捧げている神様の聖なる御母の頌徳のために、私の同僚たちがつくすような芸能を、私の持たぬのは悲しいことだ。ああ! ああ! 私は粗野でありかつは芸能の無い男なんだ。聖母さま、私はあなたさまのご用に捧げるために、感化力のある説教も出来ず、規則的に区分された論文も書けず、精細な画も描けず、と云ってまた、形の正しい石像を刻み得るでもなく、字数を合せ調子をとって進んで行く詩も書けないのでございます。私には何も出来ないのでございます。ああ! ”





『詩人のナプキン』は私のお気に入りのアンソロジーであり、私はアナトール・フランスが大好きであり、さらにその「聖母の曲芸師」は他にも多くの作品集に収録されているので、私はこれまでに何度も読んだことがありました。もちろん物語の大筋も頭に入っていたのです。

しかし、物語の大筋を把握していることと、細部についても詳しく理解しているということとの間には天と地ほどの開きがあるのだということを、私はあまりに巨大なアナトール・フランスの足もとに平伏し涙をこぼしながらあらためて痛感することになったのです。

今回もう一度「聖母の曲芸師」を読んでみると、驚くほどに心を打たれました。美しい物語だと分かっていたつもりでしたが、これまではこれほどではありませんでした。ほんの短い物語ですが、今日は途中から、温かいものが溢れ出てくるのを止めることができません。


この物語がどういうお話かというと、こんなお話です。ほぼ全部の要約なので、これから原作を読もうという方はご注意ください。

******

ひとりの信心深く正直な曲芸師が出家すると、同僚の僧侶たちは彼らの持つ立派な技能でもってラテン語の詩を作ったり、素晴しい石像や絵を描くことで聖母を熱心に信仰しているのを目の当たりにする。それに比べて曲芸師には曲芸以外に何の芸もなく、どうにかして聖母のために尽したいと願いながらも手立てを見つけられず悲嘆に暮れる。

ところが曲芸師はある時から元気よく起き出てはしばらく御堂にひとりっきりで籠るようになる。不審に思った院長と長老たちはこっそり彼の様子を戸のすきまからのぞくと、曲芸師は聖母像の前で、彼が以前に世の中で好評を受けた曲芸の数を尽くしているのであった。院長は曲芸師の無垢なことを知ってはいたが、この時は精神錯乱を起こしたのだと思い、瀆神であると言って、彼を御堂から引きずり出そうとする。

すると、祭壇から聖母が降りてきて、その衣の裾で軽業師の汗を拭ってやるのであった。院長と長老達は地に接吻し和唱する。
「心、愚直なる者は幸いなるかな、彼等神を見るべければなり」
「アアメン!」


*******

という、とても美しい物語です。私の要約よりも、この堀口訳を読むのをおすすめしたいですね。


さて、「無学と素朴」ということについて考えると、時々私も嘆きと悲しみの中に陥ってしまいます。どうして私たちはあれらの人のように優れていないのか。どうしてこんなにも分からないことばかり、できないでいることばかりなのか。なぜこんなふうに、何も持たないままで生きていかねばならないのだろうか。

けれども立派な他人と比べて自分を嘆いたりしなくても、何か少しでも誰かを喜ばせたり誰かが認めてくれるような能力を持っていたら、それだけでもこのバルナベのように私たちもまたこの世の中で美しく生きていくことができるのではないだろうか。不足や不満、嫉妬や羨望が人間をより高く遠いところへ突き動かそうとするのかもしれないけれど、その前に、まずそれぞれが持っているものを優劣なしに評価してやることができればなあ。その価値と意味を正しく知ることができたらなあ。そしたら、もしもそれが自分の求めているものとまるで違っていたにしても、せめて「何もない」なんて思わなくてもいいだろうし、そしたら「何もできない」なんて嘆かずに済むんじゃないのだろうか。

私は人生というものが誰にとってもそんなふうなものであってほしい。誰にでもそれぞれにできることがあり、どんなにささやかなことであってもそれによってせめてその分くらいは満たされたっていいはずだと思う。これは、ただ与えられたものに満足しろというのではなくて、立派で素晴しい、自分は持たぬなにかに憧れるのもいいけれど、比較するあまり自らの能力を低く扱いすぎたり能力があること自体を見過ごしてしまうことがないといい。誰にでもなにかしら美しいところはあるはずだ。いつかそれを、誰もが聖母の裾に拭われるように、優劣なしに評価してやることができたら。誰もがただ存在するだけで美しくなり得たら。我々が、我々自身の価値と意味を知ることができたら、我々自身の価値と意味を本当に理解することができたなら、私たちは不足も不満も忘れて、そのために誰とぶつかることもなく透き通って硬く丸い珠のようになって、安心して生きていくことができるようになるだろうか。違うのはそれぞれの色くらいでさ。遠くを目指すのは、それからだっていいはずじゃないか。だからまずは知らなければ。私のそれを。彼等のそれらを。


と、今回はこんなことを思いました。
無垢なるものへの眼差しが、アナトール・フランスの魅力のひとつだと感じますが、とくに無垢なるものが汚されぬほどに強く、傷つかぬほどに美しく描かれている時、私はなにか圧倒的なものの前に立たされ、溢れ出るなにかに押し流されてゆくのでした。





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『輪るピングドラム』生放送決定

2012年05月13日 | 映像(アニメーション)






来週の5/19(土)20(日)の2日間、ニコニコ動画の生放送【ニコニコアニメスペシャル】で『輪るピングドラム』を一挙放送するそうです。

 5/19(土)11:00~ / 5/20(日)11:00~

とのこと。


私はあえてニコ生で観直すつもりはないのですが、まだ観ていないという人にとっては良い企画ですよね! ついでに、ニコ生は回線が混雑するので、あらかじめ「タイムシフト予約」しておくことをおすすめしておきます。私は『ピングドラム』はあえてニコ生で観直すつもりはないのですが、一応、念のため、「予約」はしておきました。ほら…世の中何が起こるか分かりませんからね…(´∀`;)フヘヘ…


それにしてもニコ生アニメスペシャルには私も時々とても助けられているので、今後の放送にも期待したいところです。『スタードライバー』もやってほしいのでヨロ!! あとは、えっと、『ギャラクシー・エンジェル』をこないだ忙しくて見損ねちゃったので、もう一度ヨロ! それから『ミルキィホームズ』の第1期もうっかりしてたので、そのうちもう一度ヨロヨロ!! それから、それから…



この週末もアニメを観まくって、いま、どれがどの作品で、それぞれどんなところまで進んだのか、あのネタはどの作品で出て来たものだったっけかが幾分混線気味です。とりあえず、『謎の彼女X』にはヨダレが止まりません。そして『モーレツ宇宙海賊』が残りわずかになってきたことを考えると憂鬱が止まりません。『這いよれ!ニャル子さん』では自分にラヴクラフト知識が不足し過ぎていることへの失望が止まりません。『キテレツ大百科』のコロ助のヌケ作っぷりには加虐心が止まりません。吊るしたい。

『ヨルムンガンド』も面白くなってきた。『氷菓』は3話目でやっと動き出した感じ? 『峰不二子』はやや失速かとも思いますが、今後に不二子ちゃんの過去回があることを激しく期待。『アクセルワールド』は黒雪姫さんが激カワ、主人公はブタですが、意外と面白いです。『めだかボックス』の人吉くんは何であんな髪型なのかな? 『Fate/zero』は切嗣の過去回が終わって、いよいよ聖杯戦争も後半戦突入ですかね?切嗣マジ不幸な生い立ち悲惨すぎる。『釣り球』は先がまるで見えないけど、ひとまずほのぼの?タピオカ(あひる)可愛い。 さらに単発で時々『ケロロ軍曹』も観ているのですが結構面白いですね。と、こんな状況なので『坂道のアポロン』は後ほどまとめ視聴することに決定。やっぱ同時に8作品以上を追いかけるのは難しいですからね、ってアレ…8つ(とっくに)超えてね?。。。あ『夏色キセキ』も途中だわ…



毎日休みなくアニメを視聴して、軽くパニック状態に陥ってますが、今年の夏アニメには今のところあまり期待できそうにないので、今のうちに楽しんでおくぜ!


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パズルゲームが苦手

2012年05月11日 | もやもや日記




私はパズルゲームが苦手なのですよ。本当に苦手。というのも、ひとたびそれを始めたら、なかなか止められなくなりますからね。作業系のパズルゲームは本当に苦手だわ! つか、危険だわ!! もうイヤッ、誰か止めて~~!!


というわけで、連休中も新しく見つけたパズルゲームにハマっておりました。【Galactic Gems】という無料のフラッシュゲームで、壁面に並べられた隣り合う色とりどりのピースを回転させ、縦横斜めに同色ピースを3連以上並べれば消失し、上から更にピースが補充されるのでレベルクリアまで得点を稼ぎ続けるというものです。ややテトリスに近い感触のゲームでしょうか いや似てないか

とにかく、テトリスに丸2年以上(【二角取り】にも同程度)ハマりまくった私には、このゲームもまた危険すぎました。そりゃもう際限なくピースを回しては消し続けましたよ。しかし用意されたレベルが40までだったのが幸いしましたね。全レベル制覇したところで、どうにか一区切りつけることができましたヨ(ヽ´ω`)ウフフ…




ちなみに2日間ほどでコンプ。はあ、スッキリした…!


全部で40のレベルがありますが、途中、「レベル26」のステージが鬼のように難しくてなかなかクリアできませんでした。


 魔のレベル26


このステージは壁の形が真ん中だけポッカリと穴あきであるために、すぐに詰まる。なんだよ、変な形の壁め!! このステージに手こずらされて私は自尊心をいたく傷つけられたので、オールクリアした後も、この「レベル26」だけは今でも執拗に挑戦し続けています(自尊心の無駄遣い;)。もっとサクサク解けるようになりたいぜ! でもピースの配置には運の要素も強い気がしますがね。

それから、ピースが消えるときのチャリンチャリンという音もいい感じですね。お宝ザクザクなイメージが湧いて、こういう金属音は好きです。スーパーマリオブラザーズの金貨の波をGETしていく時にも、言い知れぬ快感がありますものね。…って、なんか私はもうダメだと思う……



ともあれ、私はパズルゲームが苦手ですが大好きなので、今後も時々は馬鹿みたいにハマっていこうと思います!





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『空の色ににている』

2012年05月10日 | 読書日記ー漫画

内田善美(集英社)



《あらすじ》
高校一年生で陸上部員の蒼生人(たみと)が図書館へ本を返しに行くと、図書係のひとつ上級の女生徒が貸出カードを見て意味ありげな笑みを浮かべたのに気がつく。その女生徒・浅葱(あさぎ)と親しくなった蒼生人は彼女に魅かれるが、浅葱には冬城(ふゆき)という3年生の恋人がいるらしい。人を寄せ付けない雰囲気を持つ冬城の借りているアトリエに、蒼生人は浅葱とともに出入りするようになり…




《この一文》

“そうさ そうさ
 とどのつまりは そうなんだ

 それでも僕はからまわりと知りながら
 何なのだろう 何なのだろうって
 考えてしまうんだ

 僕をとりまくすべてのものが
 僕などにおもいをとどめることなく
 ゆき過ぎてゆくけれど

 それでも僕は
 むくわれないと知りながら
 いろんなものを想い
 愛さずにはいられないんだ ”






先日【京都国際マンガミュージアム】で内田善美作品を4つ読んできました。そのなかでも私はこの『空の色ににている』に、言いようのない衝撃を受けました。何度も読み返したいのに、現在入手がとても困難であるのが残念。残念…残念すぎる……



さて、『空の色ににている』という作品はどのような作品であるかを一言で説明するのは難しいです。先日やはり激しい衝撃を受けた『星の時計のLiddell』と同じように、非常に美しく精緻な画面が大きな魅力であることは言うまでもありません。しかし、もちろんそれが魅力のすべてではないのです。

上に引用した部分は、主人公の男子高校生・蒼生人(たみと)が飼っていた猫が自らの死期を悟ったのか家から出て行ってしまったことについて考えている場面です。

たとえば、私にはこの一文や他の場面でのたくさんの文章が、少しの抵抗感もなくするすると心の深くまで染み通ってくるように感じるのです。この人の考えていることや言おうとしていること、目指しているものが私にも分かるような気がする。それだけでなく、私もそんなことを考えたかったし言いたかったし、目指したいと思っているんだ。そう思えることに私は激しく打たれるのかもしれません。
感動的な作品というのはいくらでもありますし、私もやはりそういう作品に触れればそのたびに盛大に感激するわけですが、内田作品は単に感動的であるというわけではないのです。そこで描かれているドラマは必ずしもドラマチックではなく、むしろ淡々と何気ない描写に終始していますが、しかし絶えず強く私に問いかけてくる。始めから終わりまで問いかけ続ける。その問いかけに、私の心はどうしようもなく震えてしまうのでした。

そうだ。これは問い続ける人の物語でした。蒼生人はなんだろう、なんなのだろうと問い続けながら、彼のそばを過ぎて行くだけのものを想い、愛そうとします。これはひとつの理想です。あまりに美しく透明な理想です。なにかが溢れてくるような気持ちになりますね。

あー、でも、一度しか読んでいないので、到底読みこなすことはできませんでした。考察を試みてみたものの、これが限界である上に、あまりに不完全なものにしかならなかった。読み返したい。何度も読み返したいよう!



とりあえずまだ読みが足りないという自覚はあるにせよ、私はここ1カ月ほどの間にいくつかの内田善美作品を読んでみて、特に『星の時計の~』『空の色ににている』の2作品は、私がこれまでに読んできたどんな漫画作品とも似ていないということに気がつきました。選ばれているテーマについてもそうですが、物語の展開の仕方と言うか、全編を覆い尽くしている空気そのものが、随分と特殊に感じます。

そう。これまで読んだどの漫画にも似ていません。むしろ近いと感じるのは、小説でしょうか。私が好んで読んできた小説の世界に近いです。漫画と小説で、そこで描かれていることにどのくらいの差があるのかを区別したり、その差を数値的に説明することはできそうにありませんし、まして優劣をつけるようなつもりもありませんが、単に感覚でものを言うならば、『空の色ににている』はまるで小説を読んでいるような感じがしました。しかし紛れもなく漫画であることもたしかです。なんだろうな、この感じは。時々やたらと長い台詞が挿入されたりしているからかしら。でもそれだけでもないような。

いずれにせよ、その文字と絵を追うと、一息にその深いところにまで連れて行かれるような、『空の色ににている』はそういう作品でした。そのわりに深く理解することを阻まれている己の能力不足が恨まれますが…。



それにしても、こんな作品も存在しうるという漫画の奥深さには感心します。素晴しいなあ! 漫画ってやっぱり面白いですね♪







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2012/05/06-07 京都小旅行

2012年05月09日 | 旅の記録



ゴールデンウィークの最終日、京都へ行ってきました。ちなみに、自宅から京都へは電車で1時間弱の距離なのに、なぜか1泊2日(^o^;) しかも旅行プランは【京都国際マンガミュージアム】で一日過ごすというもので、【マンガミュージアム】は午後6時で閉館になるので、それからでも余裕で帰宅できるというのに1泊2日! まあ、たまにはこういうおかしな旅行もいいものです。



5月6日(日)

というわけで、日曜日の朝から【京都国際マンガミュージアム】に入ってみました。阪急電鉄「烏丸駅」を出ると、小雨がパラついています。予報では悪くないはずの天気が、どうもスッキリしません。
傘をさして烏丸通をてくてくと北上しますが、前を外国人のカップルが歩いていて、私とK氏はずっとそのあとに続いたのですが、「どこへ行くのかな?」と思っていたら彼らもやはり【京都国際マンガミュージアム】を目指していたようでした。



朝10時の開館と同時に入りましたが、すでに沢山の人が漫画を読みあさっていました。あっちもこっちも人だらけ! さきほど我々の前を歩いていたカップル以外にも外国人多数。海外の人にも人気のスポットのようです!

ミュージアムの1階フロアでは「追悼メビウス」のコーナーや、外国語に翻訳された日本の漫画本、外国で出版されている外国人漫画家による世界各国の漫画本などが並べられていました。こういう珍しいものを見られるのはいいですよね~。


ここでは天気が良ければ棚から出した本を持って外の芝生の上で読むことも可能なようですが、この日はあいにくの雨模様。館内に設置された椅子に収まり切らない人々が、階段やら床の上やらに座り込んで、黙々と漫画を読んでいました。


もともとは小学校だった建物を利用しており、
かつての校庭には芝生が植わっています。


当初から美しい建築物であったことをうかがわせる階段部分。
2階の講堂もカッコ良かったですが、芋洗い状態で撮影できず;

【京都国際マンガミュージアム】はあらゆる漫画を取り揃えています。多くの漫画本は開架されていて自由に取り出すことができます。さらにミュージアムとしての催し、企画もあって、大人1日800円(出入り自由)のチケットで、漫画の世界を存分に楽しむことができるんですよね。近場に住んでいれば、私はきっと年間パスを購入したことでしょう。


さて、我々もこの日は1日中ここで漫画を読む計画だったので、さっそく「じゃあ、とりあえずお昼に待ち合せね」と言って別れ、互いの読書を開始しました。

私がこの日読んできたのはこれだけ。読むのが遅い私はあまりたくさんは読めませんでしたが、「こういうところでは、入手困難な古い作品を読むべし!」という鉄則を守って、こんなのを読んできましたよ(^_^)

 *内田善美作品を4冊!
  『かすみ草にゆれる汽車』

  『空の色ににている』

  『ひぐらしの森』

  『星くず色の船』

やったぜ! 先日読んだばかりの『星の時計のLiddell』がメチャクチャに面白かった内田善美作品が4冊見つかりました(館内には検索システムあり)。どれも面白かったですが、とくに『空の色ににている』が素晴しかったです。

他には、とくに古くもありませんが、館内をぶらぶらしながら目に入ったそばから読んでみたもの。

 *『西洋骨董洋菓子店』全4巻(よしながふみ)

 *『満月をさがして』全7巻中 第2巻まで(種村有菜)

 *『悪魔の花嫁』(池田悦子原作/あしべゆうほ作画)


『西洋骨董洋菓子店』は、予想以上に面白かったです。よしながふみさんて、まだ『昨日なに食べた?』くらいしか読んだことがないのですが、なかなか侮れないですね! この『西洋骨董~』も独特の味わいがあって、私は結構好きでした。
『満月をさがして』は冒頭から既に泣ける展開が予想されて、途中でギブアップ! 別の機会に続きを読むことにします。
『悪魔(デイモス)の花嫁』は、久しぶりに読み直しましたが、あれ? デイモスと美奈子の関係ってもうちょっといい感じじゃなかったっけ? 記憶よりもずっとブラック展開が続くのでちょっぴり憂鬱になりました。しかし懐かしいな。



さらに、展示室では古い漫画雑誌を展示していたのでチラッと見に行きましたが、『少年ジャンプ』の過去号が並んでいた中に、うすた京介さんの『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』の連載初回表紙&巻頭カラーの号がありました。うおっ、これは超懐かしいっ! これは1995年のNo.52で、巻頭は『マサルさん』、まだ『スラムダンク』も連載中(山王戦の途中)、さらには、『ジョジョの奇妙な冒険』の第5部の開始回も収録されているんですよねー。超絶懐かしいわい。ちなみに『こち亀』は失業中の中年男性の再就職を両さんが手伝うお話でしたが、私はこの回の内容を激しく鮮明に記憶していました。この頃『こち亀』も大好きだったんだよなあ!

懐かしさのためか、なんだか泣きたくなった。





という感じで、途中お昼休憩を挟みつつ、閉館時間の午後6時までみっちり漫画を読んできました。K氏は新しい漫画ばかりを読んだらしく「歯抜けになっている巻も多いし、見つけるのも大変だし、漫画喫茶でもよかったかな…」などとつぶやいていましたが、馬鹿め! だから言ったじゃないか! 「こういうところでは、入手困難な古い作品を読むべし!」と……
私は内田善美作品を沢山読めたので大勝利でしたよ!!


以上、日曜日は、本当に、【京都国際マンガミュージアム】以外にはどこへも行かず、何もしなかったので、これで終わりです。食事もいい加減に済ませましたしね…。せっかく京都へ行って(しかも泊まりなのに)これでいいのかという感じですが、たまには馬鹿げた旅行もいいものです。

ホテルも近くに取ったので、ビュービューと冷たい風が吹き付ける夕方は早々に帰って、のんびりゴロゴロしてました。本当に一体なにしに京都へ来たのやら(ヽ´ω`)
私はK氏が持ってきていた「i-Pad3」でネットサーフィン(寝るまで)し、K氏は室内のテレビで「アニマックス」が映るので『ガンダム』の劇場版を泣きながら観ていました。わざわざ京都まで来て、なんら日常と変わらぬ風景が……(ヽ´ω`)ぐふっ…!





5月7日(月)

有給休暇中のK氏と京都小旅行2日目。

この日も特になんの計画もなかったので、とりあえず、前日の粗食を反省し、朝から京都でお食事ツアーに出ることにしました。

まずは【イノダコーヒー】の「朝食」です。ホテルを一旦出て、以前も行ったことのある烏丸支店のB1Fまで歩いて行きました。ここの支店の「朝食」は約600~700円とお手頃(←本店に比べ)。オムレツバーガーのセットを注文しましたが、美味しかったです! お腹いっぱいになりました♪

ホテルをチェックアウトしたあとは、街をぶらぶらして昼食に備えました。


【六角堂】で白鳥を発見。
「かみつきますので…」とあるけれど…



なるほど、でかい! めちゃでかい!
噛まれたら痛そう!!



いま考えると、朝食を【イノダコーヒー】でとったのだから、お昼は京都らしく豆腐や湯葉の店へ行けばよかったのに、なぜか私は「洋食…洋食のランチを…」という強迫観念に取り憑かれており、お昼もまたまた喫茶店でいただきました。

ランチは【スマート珈琲店】で。このお店も以前に行ったことのあるお店で(要するに私は「以前に行ったことのあるお店」しか行けないらしい。冒険心ゼロ)、ランチセットが美味しいんですよね。私はここのクリームコロッケが食べたかったのですよ! そこでクリームコロッケとハンバーグを注文しました。しかし満腹になりすぎましたわね。


お昼を食べたあとは、寺町商店街をぶらぶら歩いて、藤井大丸裏の電気街まで行きました(K氏の要望で)。秋葉原や大阪日本橋に比べると小規模ながら、電気のお店がいくつか並んでいました。ちらっと見て、疲れてきたのでそろそろ帰ることに。

【林万昌堂】で甘栗を購入し、帰路につきました。いやー、疲れた!(なんもしてないけど!)




なにごともない小旅行でしたが、とても楽しかったです。不思議だったのは、普段の旅行なら必ず小言を連発するK氏の物わかりが異常に良かったことでしょうか。「君はわがまま過ぎる」と言われることもなく私の要望がわりかし受け入れられ続けたので、たいそう不気味でしたが、おかげで楽しく過ごせましたよ。どうもありがとう!

次は淡路島とか有馬温泉とか行きたいです~~。






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やっと晴れて小旅行計画

2012年05月05日 | もやもや日記




ゴールデンウィークも残りわずかとなり、ようやく天気もよくなってきました。今日からは晴れそうです。

さて、連休中も閉じこもって過ごそうと思っていたら、急に旅行へ行くことになりました。昨日、宿をとった。明日日曜日から1泊2日で出掛けます。行く先は京都。先日も行ったばかりでまだ京都へ行くか、ええ、行きますとも!


さて、どうしてそんなことになったかと言うと、K氏が急に乗り気になったからです。こないだの神戸のアウトレットといい、超絶インドア派の彼はなんだか様子がおかしいような気もしますが、この機会を逃すと次はいつになるか分からないので、私はひとまず調子を合わせておきました。


しかしながら、京都へ行くとは言っても、私もK氏も寺社仏閣にはまるで興味のない人間であります。そこで何をして過ごすのかと申しますと、長年温めてきたあの計画をいよいよ実行に移すのですよ!


 丸一日「京都漫画ミュージアム」で過ごそう計画


ぐへへ! とうとうやるぜ! 明日は朝一で入館して閉館までどっぷり浸かってやるぜ!


ちなみに「漫画ミュージアム」は一日券を購入すると、あとは出入り自由なので、気が向いたら少しくらいは京都の街を散策するかもしれません(が、たぶんしないでしょう…)。月曜日はさすがに2日連続漫画ミュージアムというわけにも行かないので(当初はそういう案もあるにはあった)、ぶらぶらしながらお土産に和菓子でも買ってこようと思いますよ。


近場でもいいから旅行したい。と思っていたら実現しそうです。欲を言えば、淡路島とか有馬温泉とか城崎なんかへも行きたかったですが、それはまた別の機会ということで。

よーし、今日のうちに雑用は済ませておこう! と張り切ってジーンズの裾上げをしようとミシンをかけたら、20センチほど縫ったところでミシン針がポキッと折れました(ヽ´ω`)ヤダ、なにこのフラグ…!

そこはかとなく嫌な予感がしなくもないですが、せっかくなので楽しんでこようと思います♪






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女刑事

2012年05月04日 | 夢の記録





このあいだの夢。
SFサスペンス、ミステリ風味。
映画形式の夢でした。


*********************


主人公は背の高い女刑事(以下、登場人物は全員外国人)。女刑事はある事件を追っている。壁を白く塗られた木造の民家。六角形の玄関はすぐに居間へと通じている。居間までには壁はないが太い柱が通っていて、そこから金髪の痩せた女が刃物を持って襲いかかってくる。大勢の人間が違う時間に、その場所でひとりの女の犠牲になった。女刑事はその女を追っている。

ところで、女刑事は相棒であるか恋人であるか分からない男と電話で話している。女刑事の自室は、赤い絨毯、踏むと足が少し沈み込むほどの重く赤い絨毯が敷かれていて、女刑事は話しながら手で絨毯の表面を押している。
「お前は監視されているかもしれない」と男が言う。
女刑事は男と電話で話している。話しながら手で絨毯の表面を押してみる。男が「お前は監視されているかもしれない」と言う。
女刑事は男と電話で話しながら手で絨毯の表面を押し、指先が沈み込むのを眺めている。「お前は監視されているかもしれない」

女刑事は閉じた時間の中を行ったり戻ったりするようになっていた。犯行のあった民家の中は薄暗い。女刑事は、幾人もの人間がここでただひとりの女の手にかかった柱のそばに立ってみる。犠牲者たちが透き通った姿でひとりひとりあらわれ、そのたびに金髪の痩せた女が刃物を、時には鈍器を振りかざして柱の向こうから襲いかかってくる。女刑事は彼らと一体化しながら、最後の犠牲者から最初の犠牲者の場面へと時間を遡っていく。

ようやく、女刑事は女とふたりきりになる。柱の向こうから女が襲ってくる。女刑事は刃物をかわし、女に罪を犯させない。

女刑事は思い出す。そうだ、私はこの女を止めたかったのだ。なぜなら女がなぜあんなことを繰り返したのか、その理由を知っていたから。彼女は女刑事を愛していた。どうしてそれが刃物となってしまうのかは分からなかったが、彼女は女刑事を愛していたのだった。

女刑事が金髪女の手首を掴むと、女は痩せた面を上げて、はじめて女刑事と目を合わせた。大きな青い瞳が滲んで、女は美しく微笑んだ。


壁を白く塗られた民家の外はよく晴れていて、胸が裸で黒い翼を持った大きな鳥が、女刑事のそばをすっと横切って舞い降りた。玄関は開け放たれていて、犠牲にならなかった大勢の人々がぞろぞろと楽しげにそこから出て行った。その中には金髪の痩せたあの女もいたかもしれない。

背の高い女刑事は休暇中で、さらに背の高い男と並んでその腕に寄りかかるようにして、白い壁の民家のそばを歩いていく。その顔に美しい笑みを浮かべて。


映画を観終わった私は、公園の中を彼と並んでその腕に寄りかかるようにして帰るのだった。あの女刑事のように。


************************


というような夢でした。だいぶ忘れたので、細部については若干補強してありますが、おおむねこんな感じ。最後の「私」は私でした。これはどうやら特別な夢のようですね。
この夢を見ている間は、映画を観ているように鮮やかでものすごく面白かったのですが、起きてから振り返ると、やっぱり全然理屈が合わないものです。実際にこんな映画を見せられたらキレるな。







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かんきつ寒天

2012年05月02日 | 手作り日記




いただきものの柑橘類をたくさん食べ切れないまま置いていたので、ジャムにすることに。5個分の皮を剥いたりするのは疲れましたが、柑橘ジャムは好きなのでがんばってみました!





ちょうど2壜のジャムが出来上がりましたが、出来上がりはなんともキワドイものでした。見た感じは普通に仕上がっていますが、中身はジャムにしてはさらさらしすぎっていうか~。ほとんどシロップ漬けじゃない??っていうか~。うーむ、こりゃいかん。前回のジャムが煮詰め過ぎだったので、用心し過ぎてサラサラになっちゃいましたね。ハハハハ!


そんなわけで、サラサラ柑橘シロップ漬けは、ジャムとして食べるのは諦めて、ヨーグルトや何かに混ぜることにしました。

ついでに、ちょうど寒天も余っていたので、このサラサラ柑橘シロップ漬けを利用してフルーツ寒天を作ってみましたよ。





そろそろ寒天が美味い季節になってきました!

自作のフルーツ寒天は、大量に柑橘シロップ漬けを入れたつもりでしたが味が薄く、そのままだと淡泊すぎるので、食べる際にはさらに上から柑橘シロップ漬けをかけてあります。これでちょうどいいくらいですかね。味はまあ、私の作るものらしく、可もなく不可もなくといったところでしょうか。K氏にすすめたところ「ちょっと…冷たいものは…お腹いたくなっちゃうから……」と、やんわりと拒否られました。それで私は二人分をもぐもぐ食べたのですが、(ヽ´ω`)フッ 実はまだ冷蔵庫にもう1パック(←タッパーで作った)残ってるんだぜっ! なので、しつこくすすめ続けるつもりです★





さて!
あと4個分の柑橘類はどうしよう!
冷蔵庫の中にはまだ他にネーブルが8つくらい入ってるし……とりあえず一生懸命食べていこう。






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