The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

BBCドラマ「高慢と偏見そして殺人」(2)

2018-05-25 | 海外ドラマ
“Death Comes to Pemberley” 全3話

BBC 2013年12月放送

・・・・その(2)

今回は内容をサラッと書いてみます。
ただし、原作の「高慢と偏見」とは異なり、この作品は”推理ドラマ”になっているので、なるべく
ネタバレをしないようにするつもりですが・・・。

ダーシー様とエリザベスが結婚してから6年。 2人の間には子供も授かり幸せに暮らしていた。
ダーシーの亡き母を偲んでの舞踏会の前夜、ウィッカムと駆け落ちしていた妹リディアが半狂乱
で屋敷に飛び込んでくるところからこの事件が始まります。
ダーシー達が森へ探しに行くと倒れていた友人の傍にウィッカムが居た事から ウィッカムによる
殺人事件と見做される。
しかし必死で無罪を主張するウィッカム。 エリザベスの末の妹であるリディアと結婚したのであ
るからダーシーにとっては義弟となった訳で、ダーシーはリディアの為、エリザベスの為に何とか
ウィッカムの無実を証明しなけれならない。


ウィッカムのダメ男振りは原作以上で ダーシーに資金援助を求める、女遊びは止むことなく挙句
の果ては隠し子まで。 又リディアのおバカ振りも際立ち、それぞれのキャラクターは原作のイメー
ジより色濃く描かれている様です。


ダーシーの妹ジョージアナと相思相愛であったアルベストンが弁護をする裁判が行われることにな
るが、証言台に立つダーシ-も嘘の証言は出来ず、無実を叫ぶウィッカムにとって益々不利な材料
ばかりで、遂に有罪を言い渡され絞首刑が執り行われることに。

途中で、ウィッカムが犯人ではない事は分かるのですが、周囲に怪しい人が多く 誰が真犯人なの
か途中まで分からず迷わされます。
又、当時の裁判の様子(巡回裁判、パブが法廷として使われる等)も時代色が色濃く描かれていて、
法廷ドラマとしても興味深く観る事が出来ます。
使用人や村人たちの様子、会話も楽しめますね。

途中まで、原作で感じたエリザベスの聡明さや機知は感じられないのですが、ある事をきっかけに
真犯人に気付いた推理力と、夜中に判事の元に駆けつける行動力。 ここでやっとエリザベスらし
さを感じさせられます。
死刑執行目前のウィッカムを救う事が出来るのか、間に合うのかはハラハラドキドキさせられますね。


どうしようもない出来損ないのリディアもウィッカムの絞首刑が決まった時の殊勝な姿、放心したよ
うに池の畔に座り込む後姿を見ると心の奥底や本心が垣間見える様な気もしますが、ウィッカムが無
罪が決まった後の打って変わったはしゃぎっぷりを見るとやっぱりこの子はダメだ(笑)しかし、新
天地で心機一転幸せに暮らすのでしょう。

又、ダーシーにアルベストンとの仲を裂かれ、一旦は泣く泣くフィッツウィリアム大佐のプロポーズ
を受けたジョージアナも、エリザベスの進言とダーシーの反省から再びアルベストンとの仲が復活。
幸せそうな姿がみられて、ウィッカムから受けた傷も癒えそう。

そして、何となく夫婦の中がギクシャクしていたダーシーとエリザベスも最後はお互いの気持ちが
しっくり落ち着き、又ずっと苦虫を嚙み潰したような表情だったダーシー様も エリザベスから新た
な命を授かったのを知らされた時 初めて輝く様な笑顔を見せます(多分このドラマで初めて)。
そして、ウィッカムの私生児も引き取ろうと提案します。



ウィッカムが隠し子の事はすっかり忘れた様に能天気なのがやっぱりダメ男だ。

と、最後は皆幸せでめでたし、めでたしとなるのです。
原作の描き出した登場人物の心の機微を踏まえながら ミステリー仕立てに作り変えた世界観は
P.D.ジェームズらしさを描き出した真骨頂だと感じさせられたドラマでした。

尚、晩年まで精力的に執筆活動をしていらしたジェイムズ女史ですが、2014年94歳で逝去なさい
ました。合掌


最後にbehind the scenesから




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