The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

SHERLOCK S4E1 ”The Six Thatchers” : ネタバレ感想と検証 (最後に)

2017-03-24 |  ∟S4E1 : The Six Thatchers
『シャーロック』シーズン4:「六つのサッチャー」

以下ネタバレになりますのでご注意下さい。
あれこれ内容に触れながら 正典との繋がり、感想を書いていきたいと思います。

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暫らく間が空いてしまったのですが、今回は追加と最後の纏めをひつこく書いてみます。

エンディングクレジットの後、最後にもう一度メアリーのメッセージがあります。

”Go to hell, Sherlock”
そのままの意味だと「地獄へ落ちろ」なのですが、”hell”は場所との見方もありました。
ただ、後のエピソードと合わせて考えると「地獄を見ていらっしゃい」か「地獄を見る様な
辛い思いをしていらっしゃい」とかの感じでしょうか。
いずれにしても 又もや嫌な展開を予感させる言葉ですね~。



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思えば、シャーロックはS1の出だしが余りにも素晴らしかったし、”シャーロック病”の重傷
患者となあって以来、その後のシーズンを毎回ワクワクしながら待ち焦がれていたものでした。
S3終了後S4が放送される迄の3年間は飢餓状態で首を長くして待っておりました。
(途中の「忌まわしき花嫁」はあくまでもスペシャルですので)
が、S3の最後が余りにもアレだったので一抹の不安があるなか 昨年徐々に情報が出て来るに
つれ 公式画像、trailer等が余りにもダークな雰囲気なのでより不安感が募りました。

S3のE3”His Last Vow”辺りからアレ?・・・になって来て、S4は是非是非元の路線に戻って
欲しいと繰り返しひつこく騒いでいたんですけどねえ。
S4は如何にメアリーを退場させるか?が主題になるとは予想していたのですが、そうであれば
当然愁嘆場は避ける事は出来ないだろうし 直ぐには元の”シャーロックとジョン”の関係に
は戻れないだろうとは予期していました。
ただ、S3でメアリーを元プロの殺し屋であるというとんでもないキャラクター設定にしてしまった
以上 平凡な退場では納得させられないだろうとのモファティスの考え方もある程度予想出来たの
ではありますがこんな形になろうとは・・・。

そもそも、正典「4人の署名」で依頼人として登場したメアリー・モースタンは不幸を背負いながら
気丈で凛とした女性として描かれていたし、一目惚れをしたワトソンと結婚してからも数少ない登
場ながらホームズの冒険を手伝うワトソンの背中を押す好ましい、控えめな存在でしか描かれて
おらず、又ライヘンバッハでのホームズの死期以降の空白期間中曖昧な「悲しい別れ」という描
かれ方で静かに退場していたからこそ ホームズ生還の「空き家の怪事件」で自然な流れで元の
ホームズとワトソンの関係に戻るという誠に上手い決着の仕方をさせていた様に感じます。
それに引換え、HLVで元殺し屋というとんでもないキャラクター設定にしてしまったのは 放映直
後からどうしても納得できない無理な設定だと何度も繰り返し叫んでいたのですが・・・

モファティスは何度か女性のキャラクターを重視したい意向があった様に感じますが、度を超した
方向転換は正典の趣きを全く無視した異なった方向に向かってしまったように感じました。

その点グラナダ版は「4人の署名」でワトソンとメアリーは結婚させない設定であったので この様
な矛盾は全くなく最後までホームズとワトソンの物語として無理なく長期に渡り安定し、熱狂的に
支持され続けた所以でもある様に感じたのです。

で、ここからは反対のご意見、反論もあるだろうけど敢えて書かせて頂きますが、はっきり言って
今回は”シャーロック・ホームズ”では無かった。
221B に帰還し、探偵としてのシャーロックは幾つかの事件を解決するものの、テロップ多用や細
かい事項の寄せ集めと言った趣でジックリ事件を解き明かす様子は見られません。
破壊されたサッチャー胸像、ボルジア家の黒真珠等は次第に脇に置かれ、その後はメアリーに
フォーカスが置き換わる。 それ以降シャーロックは特徴のある観察力や推理力を全く使わなく
なってひたすらメアリーを守るボディーガードの様な立場になっている感じを受けてしまう。 
”感情は理性を鈍らすものだ”と云う自説が影を潜めています。
メアリーの過去が冗長に描かれ、暗い過去から逃れようと平凡で幸せな生活を望んだが結局過去
から逃れられず悲劇的な最後を迎える・・・と云うお約束に満ちたメロドラマ的な描き方をされて
はいても 結局メアリーに感情移入出来ず何か胸につかえたまま最後を迎える。
プロの殺し屋であったという暗い過去、嘘で固めた新たな生活をシャーロックの身代わりで犠牲
的な死を迎える事で帳消しにしてメアリーを悲劇のヒロインとしようとする設定、ジョンがシャーロック
を逆恨みするという展開は納得出来ない澱の様な物が残ってしまう。
これまでの様な謎解きの面白さ、テンポの良さ、セリフに込められたウィットやユーモアも感じられ
なかったのです。

何故シャーロックがメアリーに対して特別な感情を持つのか。
親友である大切なジョンの妻であるからだけでは無い メアリーの中に自分と同じ”Psycopath”或は
”High-functioning sociopath”という同じ匂いを感じたある種のシンパシーの様な感情なのか。
初対面の時から「嘘つき」である事を見抜いていたし、自分の保身のためシャーロックを撃ち瀕死の
重傷を負わされたにも拘らず「命の恩人」であると言い出した時点からおかしな方向に向かっていた
様に思う。
モファティスは何度も、シャーロックを”more human”に・・・と繰り返していたけれど、確かに
人間として成長する必要もあり その過程も見たかったのは確かだけど、極論を言ってしまえば
シャーロックは(シャーロック・ホームズ)は普通の人間である必要は無いと思うのです。
天才、変人、傲慢で自分勝手、推理する機械であって、でもその心の奥底に深い優しさとか思い
やりがあり又弱さもありながら 時にその様な気持ちが垣間見えるからこそ そんな時により人間
味を感じるのであって、表立って人間味を押し出したキャラクターでは天才である推理人間として
のシャーロック(ホームズ)とは違ってしまう様な気もするのです。

確かに初期の作品が余りにも素晴らしかったからこそ熱狂的な支持を得 世界中の多くのファン
を楽しませた以上 常に前作を越えなければならないという製作者が持つ重圧もあろうと思う。
根底には正典を重視する一方目新しさを咥えなければならないというジレンマもあるだろうし 
視聴者は次回作への期待度のハードルが高くなって来る訳で 制作する側も色々目先を変えて表
現しなければならないだろう苦労も十分に理解出来るものの 常に思っていた 基本的なカラー、
路線が変えて欲しくなかった・・・というのがE1での感想、結論になってしまうかもしれない。
又自分自身の側も期待度が高すぎるが故の厳しい見方になってしまっているのか、自分の感性が
鈍ってきたのか・・・と云うジレンマも感じるのです。

超人気ドラマの光と影を垣間見た気がした時、突然頭をよぎった「平家物語」の一文
『祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の断りをあらわす
おごれるもの久しからず ただ春の夢のごとし・・・・・』
(高校時代平家物語をはじめ、源氏物語、竹取物語、更級日記等古典の冒頭部分を暗記させられ
一体何の為と文句タラタラであったけど、未だに覚えているって凄い!と自分でも驚く。
若い時の脳って凄く機能していたんですね。それに引換え今は・・・涙、涙です。
閑話休題)



色々思いが噴出し 厳しすぎるへそ曲りな見方ばかりになってしまった様な気きもしますが、何か
釈然としないまま”The Six Thatchers”を見終わりました。

色々ネガティブな事ばかりになってしまいましたが、最初に書きました様に今回は正典、グラナダ版、
ビリーワイルダー版からの引用(名前、語録等)リンクが割と多く、これを探しながら色々思い出す
という点では楽しませてもらいました。

繰り返しになりますが、モファティスは特にビリー・ワイルダー版 「シャーロック・ホームズ」を
敬愛し、影響を多く受けている様で 何度となく色々な点で引用、踏襲していてオマージュを感じます。

ビリー・ワイルダー版は昨年拙記事に書きましたので宜しければご覧になって下さい。

http://blog.goo.ne.jp/ocicat0306/d/20160524


E2の”The Lying Detective”はS4の中では個人的には割と好きなエピソードでしたし、比較的(こういう
表現も辛いのですが)高評価でシャーロックらしい部分も戻って来ている様に感じます。
このエピソードは書けるかどうか分からないのですが、少し心を落ち着けて気持ちの切り替えができ気合が
入ったら書いて行こうと思います。

グラナダ版「6つのナポレオン」はこちらに書きました。

http://blog.goo.ne.jp/ocicat0306/d/20161124



長々お付き合い頂きましてありがとうございました。





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SHERLOCK S4E1 ”The Six Thatchers” : ネタバレ感想と検証 (6)

2017-03-13 |  ∟S4E1 : The Six Thatchers
『シャーロック』シーズン4:「六つのサッチャー」

以下ネタバレになりますのでご注意下さい。
あれこれ内容に触れながら 正典との繋がり、感想を書いていきたいと思います。

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・・・・・続きです。

ジョンが通っていたセラピスト、エラの診療室。
そこに居たのはジョンでは無くシャーロックでした。
心を開いて話して欲しいと色々話しかけるエラに対して、シャーロックはただジョンに対してどうし
たら良いのかを知りたいとだけ言います。


ジョンは絶望して誰からの電話にもでない(多分シャーロックからも)

帰宅したマイクロフトの自宅(多分自宅なんでしょう)。 殺風景な無機質なキッチンは如何にも
マイクロフトらしい。

冷蔵庫を開けると空っぽ。
冷蔵庫の扉に貼ってあるケータリングのチラシには”Reigate Square”と書かれている。
この”Reigate Square”は正典”Reigate Squire”「ライゲートの地主」のモジリでしょうね。
で、このチラシの下に”13th”と書かれたメモをみて電話を掛ける。「Sherrinfordにつないでくれ」
”13th”の意味は不明ですが、「13日」なのか?
ここで遂に”シェリンフォード”が出ました。S3の後ずっと話題になっていたし、S4のキーワードの
1つと言われていた”シェリンフォード”
ただ、この時「繋いでくれ」と言っているのは シェリンフォードが誰であれ、或は場所であれ、
直接電話が出来ないのだという事に気づかされます。

221B では、ハドソンさんとシャーロックが打ちひしがれた様子で向かい合っています。

シャーロックが ”Work is the best antidote to sorrow・・・” 「仕事こそが悲しみには一番の
特効薬ですよ」は正典 ”The Empty House”(空き家の冒険)でホームズがワトソンに語り掛ける言葉。
ライヘンバッハで死亡したと思われていたホームズの空白期間に”悲しい別れ”でメアリーを亡くした
と言われていたワトソンに対して語り掛けたホームズの言葉の引用ですね。

そして続けて、
”If you ever think I'm becoming a bit fulll of myself, cocky or overconfident・・・・ Will
you just say the word of "Norbury" to me? Would you? Just that. I’d be very grateful.”
「もし僕がちょっと思い上がり過ぎてるとか、生意気すぎるとか、自信過剰だとか思ったら、ただ
『ノーバリー』とだけ言ってくれますか? そうしてくれるととてもありがたいです」という言葉は
冒頭にも書きました様に 正典 ”The Adventure of the Yellow Face”(黄色い顔)でノーバリーと
いう街ですっかり推理を間違ってしまったホームズが自分への戒めとしてワトソンに頼む言葉の踏襲です。

シャーロックがデスクの上の封筒を開けると ”MISS ME ?” と書かれたディスクが。

モリアーティーからか?と驚く2人ですが、シャーロックは「モリアーティーが計画していた事は分かって
いたんだ」と言いながら再生した画面はメアリーからのメッセージビデオでした。
(何でこんな時にメアリーが ”MISS ME ?”を使うのか?)

「もし貴方がこのビデオを見ているって事は私は死んでいるって事ね」で始まるメッセージ。

(ここで再び強烈な既視感。 あれ?この設定って他のドラマで何度か見たな~)

「貴方に事件をあげるわ。これまでで最も難しい事件かもしれないけど」 そして、「もし私がいなく
なったら私の為にして欲しい事があるの。ジョン・ワトソンを守って(或は救って?)、シャーロック」と・・・

シャーロックはジョンの家を訪ねるとロージーを抱いたモリーが出てきます。




「僕に何か出来る事があれば・・・」と言うシャーロックに ジョンからの手紙を渡しジョンの言葉を
伝えます。「誰からの手助けも喜んで受けるが シャーロックの助けだけは借りない」と。

伝えるモリーも辛そうな表情だけど、この言葉を聞いたシャーロックは辛いわ。
茫然とした表情で中に戻るモリーを見送る。
(だからね、こんな事になりそうだったから嫌だったんですよ、もう)

最後にシャーロックが再び「サマーラでの約束、或はバグダッドの死神」の関連モノローグで終わります。


”When does the path we walk on lock around our feet ?”
”When does the road become a river with only one destination ?”
”Death waits for us all in Samarra”
”But can Samarra be avoided ?”
「何時歩く道が足元を固めるのか?
何時路が唯一つの目的地を伴う川になるのか?
死神がサマーラで待ち受けている
だが、サマーラを避けることが出来るのか?」
(なんかいい加減でオソマツな訳です)



以上で終わります。
シャーロックとジョンの関係が修復出来るのか? ジョンはメアリーの死から回復できるのか?等を引き
ずりながらE2 “The Lying Detective” へ続きます。



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所で余談ですが、あちこちで指摘されていた今回のエピソードのタイトルに関してですが、
”The Six Thatchers”というタイトルが大分前にジョンのブログで使用されていたという点。
私も随分前の事とて忘却の彼方になっていたのですが、今回確認してみた所確かにありました。

S2E1の”A Scandal in Belgravia”「ベルグレーヴィアの醜聞」中、ジョンのラップトップに
出ていたブログの画面が確かに同じタイトルになっていましたね。

良く見えないのでジョンのブログも再確認してみましたが、勿論内容は今回のエピソードとは
違います。


”A Scandal in Belgravia”は製作が2011年(UK放送は2012年1月1日)だったので、もう6年も
前の事ですが、この矛盾はどういうことなのでしょうか?
まさか制作陣がこれを忘れていた筈はないと思うのですが、何か納得できる釈明があったのかしら?
私が知らないだけなのかしら?
まぁ、色々ウルサイ事ですけどね(笑)


次回(え?まだ続く?)は最後の纏め感想をウダウダ書きます(ひつこい)。






・・・・・to be continued です。




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SHERLOCK S4E1 ”The Six Thatchers” : ネタバレ感想と検証 (5)

2017-03-09 |  ∟S4E1 : The Six Thatchers
『シャーロック』シーズン4:「六つのサッチャー」

以下ネタバレになりますのでご注意下さい。
あれこれ内容に触れながら 正典との繋がり、感想を書いていきたいと思います。

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・・・・・続きです。

シャーロックがロンドンへ戻ろうと言っていた所にエイジェイが銃を持って侵入してきます。
ここで又銃撃戦(又ボンド風?)

「どうやって見つけた?」と尋ねるシャーロックに 「シャーロック・ホームズの跡をつけた。 思った
より賢くないな」というエイジェイですが、確かにねぇ、メアリーを守っているとか保護下にあるとか
言っちゃった訳だからシャーロックを追えばその先にメアリーが居るって事は自明の事だと思うけど、
シャーロック メアリーの事となると理性では無く感情で動いている。 だからこんな当たり前の事も
疎かになってしまっているんだろうと・・・
 
エイジェイはトビリシの件の時捕えられ 以来6年間拷問を受け続けたし、アレックスも拷問で殺されて
しまった。 その間”Ammo”を聞かされ続け ”Ammo”に裏切られた、この”Ammo”がメアリーである
と思っていたと言います。
そんな時エイジェイは現地の警官に射殺されてしまいました。


シャーロックはマイクロフトと連絡し、”Ammo”は何かの頭文字でもなく、暗号でもなくラテン語の
”amo”つまり ”love”であろうと推測し、つまりコードネーム”Love”であるレディース・モール
ウッドであると結論付けます。


モロッコからの帰国便でジョンが”E”さんの事を思い返している場面(飛行機の窓に”E”さんの顔が
写る(こういう場面構成は何時も上手いと思うんだけど)
結局ジョンはバスの中から”E”さんに別れのテクストを送るのだが、バスを降りるとそこに”E”さんが。




(この時横にあるポスターにE2の”The Lying Detective”のヴィランであるカルバートン・スミスの顔
が・・・全部は見えないけど ”He's back....”, “It's murder...”等書いて有る。
さり気なく次回 ”The Lying Detective” 主要登場人物をご紹介。

で、ジョンの送ったテクストでチョット気になった表現、
”I am married”ではなく ”I'm not free”と書いているのが何となく微妙だなあ・・・(考え過ぎ)

(ところで、この”E”さんを演じているのがシャーン・ブルック。 ベネディクトの舞台「ハムレット」で
オフィーリアを演じた女優さんですが、「刑事フォイル」や「ルイス警部」の”The Lions of Nemea”にも
出ていたという事なのだけど、全く記憶にない。 あまり特徴のない女優さんだと感じていたんですが(暴言)、
逆にそう言う長所(?)を生かして S4ではヘアースタイルとメークを変える事でで全く別人のように見える。
初見では全く気付きませんでした。 これはE2とE3で明らかになるのですが)

レディー・スモールウッドはマイクロフトから尋問を受けます(シャーロックもマジックミラー越しに見て
います)

”Ammo”に関しては全く知らないし関知していないというレディー・スモールウッドの話を聞くマイクロフト
の困惑した表情は珍しい。


ヴォクソールブリッジで思い悩むシャーロックの脳裏に破壊されたサッチャー像が浮かび、同時に
ふと思い出したメアリーの言葉、「受付係ってどれだけ色んなことに気付いているか知ったらびっくり
するわよ。何でも知ってるんだから」と言っていた事、そして、MI-6での審問会に出席していた5人の中
のもう1人の女性に思い当たり走り出すシャーロック。

ジョンは”E”さんとの件を後ろめたく思いメアリーに打ち明けようと口を開きかけたところにシャーロック
からテクストが入ります。

ジョン宛には、”London Aquariam, come immediately”「ロンドン水族館にすぐ来い」
メアリー宛てには”The curtain rises. The last act. It's not over” 「幕は上がった。最終章だ。未だ
終わっていない」←このセリフは”The Abominable Bride”での”The stage is set, the curtain rises,
we are ready to begin”にリンクしていますね。
ロージーちゃんをミセス・ハドソンに預けようかとするも、コルフ島に行っていて留守。 モリーに預ける
ためにジョンが残りメアリーを先に行かせる。 この事が後に重要な意味を持っていたのですよ。


そして、冒頭から何度も映し出される水族館、サメのシーン再び。
閉館5分前の水族館にやって来たシャーロック。
MI-6に尋ねたらこの場所に入る筈だと教えられたヴィヴィアンがいました。

「最終章にはこれ以上考えられない良い場所だ」とシャーロック。
この時 ”But then I never could resist a touch of the dramatic”「でもどうしてもドラマティック
な演出をしたくなってしまうんだ」は 正典”The Naval Treaty”「海軍条約」の中のホームズの言葉 
”I never can resist a touch of the dramatic” の引用ですね。 又 ”His Last Vow”でも引用
されていました。

ここでヴィヴィアンが又 ”The Appointment in Samarra”を引き合いに出し、あの商人が好きだった
と話し出します。 (ここで又逃れられない死が引き合いに出されるのです)

そこにメアリーがやって来てヴィヴィアンが”Ammo”であった事を知らせます。
ヴィヴィアンが”Ammo”となった経緯と理由が語られます。

彼女が機密事項を売って得たお金でコーンウォールにコテージを買った・・・云々を聞いてフト思ったのは、
田舎にコテージを買うというのがある種のトレンドかステイタスシンボルなのだろうか?
そう言えばジャニーンがサセックスにコテージを買ったというのもありましたっけ。 或は、正典でホームズ
がサセックスにコテージを買って養蜂をしながら隠遁生活をしていた・・・という点にも関連するのか?(無理やり?)

マイクロフトが”Mrs. Norbury”と呼びかけ、彼女のフルネームが”ヴィヴィアン・ノーバリー”である事
が分かる。


そんなヴィヴィアンに対し、又もや推論の嵐をまくし立てるシャーロック。
曰く、あくせくと働きながら目立たない影の存在、少ない収入で倹しい生活、満たされない孤独な日々・・・
など暴き立てる。 メアリーでさえ途中で遮ろうとするほど。
結論として、結局「嫉妬や羨み」が全ての動機であった・・とヴィヴィアンを煽り立ててしまった結果、
シャーロックに銃を向けるヴィヴィアン。

その瞬間シャーロックの前に身を投げ出し撃たれるメアリー。


そんな時ジョンが到着。

このシーンを見た時、あ~あ、こう来ちゃったかぁ。 どっと疲れが出た私でございました。
既視感と言うか、お約束と言うか 何というベタな展開(暴言)でありながら、瀕死のメアリーのセリフ、
どんなにメアリー・ワトソンであって幸せだったか、私の人生の全てだったか・・・等、シャーロックに
対しても「貴方の事をとても好きだったって言った事があったっけ? あの時撃ってしまってごめんなさい」
とか・・・お約束のセリフを聞かされ、少しうんざりしながら、アレ?何となく涙ぐんでしまったダメな私
でもありました。 モファティスにはやられます。


茫然と立ちすくむシャーロック、マイクロフト、レストレードも言葉もなく立ちすくんでいる。
(ここで些細なことが気になるのですが、マイクロフトを呼んだのはシャーロックだと思うのでジョンが
タクシーの中から連絡したのはレストレードという事になるのでしょうか?
そもそも”Ammo” に係る問題は政府機密に属する事だと思うのでスコットランドヤードが介入する事項
ではない様な気もするのですが・・・余計なことが気になりました)




ジョンの嘆き方は半端なく、慟哭しながら「守ると言ったじゃないか、誓ったじゃないか」なんて
シャーロックに怒りをぶつけ責めます。 この先のシャーロックとジョンの関係が思いやられる 何とも
胸が痛くなる後味の悪いシーンです。






・・・・・ to be continued です。
(次回で終わらせます)




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→ SHERLOCK S4E1 ”The Six Thatchers” : ネタバレ感想と検証 (6)






SHERLOCK S4E1 ”The Six Thatchers” : ネタバレ感想と検証 (4)

2017-03-01 |  ∟S4E1 : The Six Thatchers
『シャーロック』シーズン4:「六つのサッチャー」

以下ネタバレになりますのでご注意下さい。
あれこれ内容に触れながら 正典との繋がり、感想を書いていきたいと思います。

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・・・・・続きです。


6年前 トビリシのジョージアにある大使館クーデター事件があり、監禁されていた大使を救出に行った
のが ”A.G.R.A”の4人、つまり、
A=Alex (アレックス)
G=Gabriel (ゲイブリエル)
R=Rosamund(ロザムンド)→Mary
A=Ajay(エイジェイ)
大使は”Ammo”が助けてくれると・・・ 前のシーンでメアリーが”Ammo”にうなされていたけどここ
でも又”Ammo”が出てきます。
(この突入シーンも正にボンドっぽい)
救出作戦は不測の事態で失敗。 ”A.G.R.A”も自決することになったがメアリーは辛くも生き延びた。
実はエイジェイも脱出していたが、敵に捕らえられる直前にメモリースティックを製作途中のサッチャー像
に隠していたんです。(このシーン「グラナダ版」によく似ていました)ここでクレイグがハッキングして
探り出した「ゲルダー商会」に繋がります。
その後エイジェイは敵に捕らえられ拷問を繰り返されることになる。


シャーロックがメアリーを隠れ家に呼び出しますが、この洞窟の様な隠れ家が ”Dr. Who”のS6E13で使われた
場所と同じだと言われていますが、う~ん、覚えていない(汗)

ここで、シャーロックはメアリーから事の経緯を聞き出し、エイジェイも生き残りメアリーを探していると告げ
ますが、メアリーは自分だけが生き残ったと思い込んでいた為 この事を聞くと喜ぶのですが、シャーロックは
彼がメアリーを裏切り者とし殺しに来ると知らせます。


この時メアリーは、「信じられない。私たちは家族だったのに」と言うと、シャーロックが”Families fall out”
「家族は仲たがいするものだ」なんて言葉を聞くとね、又何だかな~。

シャーロックがS3E2”The Sign of Three”で誓った様に、ジョン、メアリー、赤ちゃんを守るから自分から離れない
様にしろと言うと、メアリーが”Sherlock, the dragon slayer”と言いますが、この”Dragon slayer”は”His Last Vow”
でも使われていた表現です。
そんなシャーロックをメアリーは麻酔薬で眠らせ メモリースティックを持って姿を消します。





眠らされたシャーロックの記憶(マインドパレス内?) : 海賊帽をかぶった男の子と少し大きい男の子、そして
犬(レッドビアードか?と思われる)そして女の子の歌声・・・ シャーロックとマイクロフトの子供時代か?
しかし誰の視点なのだろう・・・

マイクロフトの元を訪れ”A.G.R.A”に関して確認するシャーロックに、話をはぐらかしAgra(地名)に関しての蘊蓄を
傾けるマイクロフト。

シャーロックの「歩くウィキペディアか?」にまんざらでもなさそうなマイクロフト(笑)
マイクロフトは勿論”A.G.R.A.”の存在も 大使館事件も把握していたんですね。
”A.G.R.A”は信頼できるフリーランサーであったが、この事件の失敗以来フリーランサーを遣うのを止めた。と
言います。


ただ、シャーロックから”AMMO”について聞かれると、これは知らないと・・・
確かエイジェイが捕えられて拷問されていた時も 繰り返し”AMMO”について問いただされていたし、英国人の女性
である事は分かっていたんだけど。
マイクロフトから「メアリーを一生守るつもりか?”Is that sentiment talking”「感傷的な話なのか?」と聞かれ
”I made a promise. A vow”「約束したんだ。誓いだ」と云うシャーロック。
(それにしても、S3の時、マイクロフトがメアリーの素性に気付いていない筈はないとは思っていたけど、案の定知って
いたどころではなく雇っていたんじゃないですか。それに目を瞑ってジョンと結婚するのを放任していたって事?)

メアリーはジョンとロージーからエイジェイの目をそらす為 ジョンに置手紙をして海外に逃避行。

サイコロを振りランダムに行先を決める。

飛行機の中でアメリカ人に変装してワザと騒ぎを起こすメアリーのアメリカンアクセントが凄まじい(笑)
そしてCAに変装して入国する・・ってイマイチ意味不明。 目をそらす為なんだろうけど。


ノルウェイに居る時に停泊していた船の名前が英語に翻訳すると(ノルウェイ語で分からないけど)”The Specked
Band”(正典『まだらの紐』)、と”The Lion's Mane"(正典『獅子のたてがみ』)となっているらしい。
こんな細かい所まで凝ってます。というか、ここに気付く人の方が凄いわ!

外見を変えながらランダムにサイコロを振って決めた行先に偽のパスポートが隠してあったってのは・・・?
世界中にあるって事なんですか?

パス―ポートにある名前、
Gabrielleとはビリー・ワイルダー版”The Private Life of Sherlock Holmes”に出ているスパイ、イルゼの偽名
であり、Ashdownはそのガブリエルとホームズが夫婦を偽装した時の名前。
以前も何度か書きましたが、モファティスは本当にワイルダー版を敬愛していて 何気なくあちらこちらに名前等を
引用していますね。

各地を転々とした後たどり着いたモロッコのマラケシュ。

↑ マラケシュのジャマ・エル・フナ広場(人気の観光スポットです。個人的に懐かしかったので・・・)


たどり着いたホテルに入ろうとするメアリーは中で話し合う男の声を聞き銃を構えて中に入るとそこには現地の
子供とカードをするシャーロックが。


どうしてここが分かったのか尋ねるメアリーに、「何故なら僕はシャーロック・ホームズだから」と又しても超早口
で推理方をまくし立てるシャーロックですが、結局はメモリースティックに追跡装置を仕込んでおいた事を白状
(ジョンのアイデアであったと)
追跡装置で居所は分かるだろうけど、先回りして待つって事可能なんだろうか?まぁ、細かい事は良いか。
で、当然ジョンもその場にいました。

ジョンに自分が”A.G.R.A”の「R」であり ”Rosamund Mary”(ファーストネームとミドルネーム)である事を
告白するメアリー。

”I always liked Mary”「ずっとメアリーが好きだったから”メアリー”を名乗った」 というと、”Yeah, me too”
「僕もだよ」というジョンの言葉には二つの意味があるのでしょうね。 (メアリーという名前が好きだ)という事と
(メアリーという”君が”好きだ)と。
又、”Mary, I may not a be a very good man, but I think I'm a bit better than you give me credit「メアリー、
僕はとても良い男ではないかも知れないけど、君が思っているより少しはましなんだよ」のセリフは 正典”The
Adventure of Yellow Face” (黄色い顔)からの引用でしょう。

ここでジョンのセリフ ”You could have talked to me. That's what couples are supposed to do・・・work
things through” 「僕に話してくれるべきだった。 カップルってそうするもんだろ。 問題は話し合って解決
するんじゃないか」 このセリフもねぇ。 又私生活がオーバーラップさせられてしまって何とも言えない気持ちに
させられる。

2人の後ろで話を聞いていたシャーロックがロンドンに帰ろう。そうすれば全て上手くいく。と言った丁度その時銃
のレーザーポインターが・・・・・






・・・・・to be continued です




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→ SHERLOCK S4E1 ”The Six Thatchers” : ネタバレ感想と検証 (5)




SHERLOCK S4E1 ”The Six Thatchers” : ネタバレ感想と検証 (3)

2017-02-22 |  ∟S4E1 : The Six Thatchers
『シャーロック』シーズン4:「六つのサッチャー」

以下ネタバレになりますのでご注意下さい。
あれこれ内容に触れながら 正典との繋がり、感想を書いていきたいと思います。

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・・・・・続きです。


221B に依頼人が訪れています。 その依頼人の外見から推理するシャーロック。

右手が大きい、日本人のガールフレンドと別れた(手の薄れかけたタトゥーから推理)この時のタ
トゥーは”Akako”(あかこ?)等々 → この辺は 正典”The Red- Headed League”「赤髪連盟」
の踏襲ですね。 それにしても ”あかこ”って(笑) ”あい子”とか”あき子”とか現実にある名前に
すると騒ぎになる(?)ので敢えてありそうもない名前にしたのか?← 好意的に解釈。

又依頼人キングスレイ氏が「頭が良い人だと思ったけど 説明して貰ったら簡単な事だったんで
すね」と言うとむっとするシャーロック →これはグラナダ版と同じでした。

そして、イラついたシャーロックが超早口でまくし立てる陰謀説。「・・・第三次世界大戦を引き起こ
そうとするモリアーティーの陰謀。 キングスレイ氏の妻がスウェーデン人で本名がGreta Bengsdotter
と言う一流のスパイで ある意味モリアーティーより凄腕だ・・・」 → このGreta Bengsdotterは何処
からの引用なのか分かりません。 ただ、この描写 はビリー・ワイルダー版「シャーロック・ホームズの
冒険」のイルゼを彷彿とさせますね。
因みに、Mr.Kingsley (キングスレイ)はマイケル・ケイン版シャーロック・ホームズ ”Without a Clue”
でワトソンを演じたBen Kingsleyからでしょうか?← 深読みしすぎ?


依頼人と話中、ジョンは風船を身代わりにしてハドソンさんと数独中でした(Sudokuとそのまま英語に
なっているんですね) それに気づいていなかったシャーロック。
(このシーン、個人的には意味不明に思えてしまう。 何を言いたかったんだろう?)

レストレードが又破壊されたサッチャー像の破片を持ってやって来ます。
前回とは別の像で少し血痕がある。

シャーロックは ”The game is on!” と呟き、顕微鏡で血痕を調べます。

ウェインズボロー議員の物とは別に、Mr. Mohamed HassanとDr. Barnicot のサッチャー像が破壊されて
いる事を聞いたジョンが、” idée fixe” (固定観念、強迫観念と言った意味)だと言いますが、これ
も正典「6つのナポレオン」でワトソンの云うセリフを踏襲しています。

その後、シャーロックは”トビーに”会いに行くと言います。
世界一のハッカーであるというクレイグの家を尋ねると 出てきたのは犬の”トビー”
(”トビー”は正典「4人の署名」でも活躍した犬ですので、ここも正典踏襲)

そしてそこにはロージーを抱いたメアリーが居たのですが、221Bを出る前にシャーロックがテクストを
送って呼び出していた。
何故?と思うのですが、シャーロックはメアリーは元殺し屋で優秀なスナイパーであるのでジョンより
役に立つのだと言うのですが・・・・(この展開も説得力を欠く様な気がしますね)
ジョンは拗ねて、「僕はどうしたら良い?」なんて聞くし、結局一緒に行くことになるのですが、
この時”It is too early for a divorce ?” (離婚するには早すぎるかな)なんてセリフがあり、これ
を含めあれやこれやを聞かされると この時点で既に別れていたマーティンとアマンダの事が重ねあ
わされてしまい何やら気が重くなる)

トビーに引っ張りまわされる何てことは無い1シーンの中で一か所気になったのが、明るい住宅街に
ピンクの花が咲いている木が写りだされているシーン。
これを見た時にグラナダ版の「6つのナポレオン」のシーンを思い出しました。
普段は割とダークなトーンである画面が多い中 珍しく明るい住宅街に同じくピンクの花が咲く木が
あったので記憶に残っていたのですが このシーンによく似ています(考え過ぎ?)

↑ 左がグラナダ版、右がBBC版 (分かりにくいですね・・・)


ジョンは通勤のバスの中で見知らぬ女性から秋波を送られていたのですが、後にこの女性から連絡先を
渡される事に。 で、この時のジョンの様子が(笑)思わず髪の毛に手をやり撫でつけ意識している。
正典でも「三大陸で女性遍歴が」と語られ、又BBC版でもメアリーの前に何人ものガールフレンドが
居たジョンは流石です(意味不明) 女性にはめっぽう弱いジョンの血が騒いじゃった。
この時のマーティンの表情が何とも言えないんですね。
散々迷った末に女性から渡された連絡先を書いたメモを捨てずに 結局テクストを送ってしまったジョン。
相手の女性は ”E”さん。
(よく見るとこの”E”さん、ジョンに最初に会った時既にメモを手にしている。
この出会いには何やら裏がありそうだし、”E”さんは今後の重要なポイントの伏線になっていますね)。

ロージーちゃんが生まれた時に額に小さな”666”があったと言うメアリーに、オーメンだエクソシストだ、
デーモンだアンティクリストだと違いに拘るジョン(どういう意味なんだろう)
この時も”E”さんからのテクストが入り、何度かやり取りをするジョン。たわいもない内容だけど・・・

スーパーハッカーであるクレイグの元を訪れたシャーロック。

クレイグが言う”Ostalgie” (”Ostalgie”とは東ドイツの存在した時代、および当時の事物への郷愁
の事←Wikipediaより)
サッチャーやスターリン、レーガンを例に出し、「サッチャーは今じゃナポレオンみたいだ」とさり気なく
”ナポレオン”を出していますね。


クレイグ君がハッキングして調べだしたのは サッチャー像を作ったのはトビリシのジョージアにある
「ゲルダー商会」という工場で サッチャー像は全部で6体あったとの事。
そして、売り先を探り出したクレイグ君によれば、
ウェインズボロー議員、 ハッサン、バーニコット医師、オリー・ハーカー(2個)、レディングのジャック・
サンドフォードである事が判明します。
(”ゲルダー商会”も正典「6つのナポレオン」踏襲)
正典で「ナポレオン像」を買ったのはモース・ハドソン、バーニコット医師(2個)、ホレス・ハーカー、
チズウィックのジョサイア・ブラウン、レディングのサンドフォード でした。

そんな中、ハーカーの家で初めての殺人事件が起こります。(これも正典通り)


残る一つの像を持つサンドフォード邸のプールでシャーロックは1人犯人を待ち受けます。

(余談ですが、このプールの壁画(?)が北斎の「神奈川沖浪裏」と言う津波(と言われる)図柄が描かれています。
このエピソード何かとジャパンテーストを感じられます、例えば日本人元ガールフレンド”あかこ”とか、”数独”
とか・・・)

数時間待つ待つうち サッチャー像を狙った犯人が現れます。
ここでシャーロックと格闘シーンが続きます。 長いです。







プールの中水中格闘を含め 何と”9分間”だそうです。って、私は実際時間を計っていませんが ネット上でチョット
話題になっていて、あるメディアがゲイティス御大にこのシーンを含めボンド化が顕著である事を指摘したインタビュー
で、「ボンドの決闘が9分で終わる筈はない・・」ってな事を言い返していたのですが、いえいえ、そういう問題では
無い様な気がするんですよ。
これ程長い決闘シーンはシャーロック史上初めてだし、必然性があるのだろうか?と疑問に思ったのです。
(余談ですが、「ボンド化」しているとあちこちで触れられていたのですが、ガーディアン紙で批判を浴びた際
ゲイティス御大がドイルを真似て詩で切り返していた時は喝采を浴びていたんですけどね。)




長い格闘の末サッチャー像で犯人を殴ったシャーロックは 破壊された像の中に当然入っているのは「ボルジア家の黒
真珠」であり 首謀者はモリアーティーだと思い込んでいたのですが、出てきたのは”A.G.R.A”のメモリースティック
でした。

これを見て混乱したシャーロックが「彼女はあれを破棄した筈だ」というのを聞いた男は、今はメアリーと名乗っている
その女は裏切り者であり ”Dead Woman Walking”だと言います。
(”Dead Woman(Man) Walking” とは、映画のタイトルでもありますが、元々の意味は「死にゆく人」、「間もなく
絶体絶命のピンチに陥る人」の様な意味を持っています)

(S4が放送される前に色々妄想、推測していた時点で 今回はどの様な形でメアリーを退場させるかが
関心事であり、そうであれば”A.G.R.A.” が何らかの形で復活するのではないかと思っていた所 予想通りの展開に
なりました。 ”Agra” は言うまでもなくインドの地名であり、メアリーの登場と共に正典「4人の署名」に描かれ
ていました。 )






・・・・・to be continued です。



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SHERLOCK S4E1 ”The Six Thatchers” : ネタバレ感想と検証 (2)

2017-02-15 |  ∟S4E1 : The Six Thatchers
『シャーロック』シーズン4:「六つのサッチャー」

以下ネタバレになりますのでご注意下さい。
あれこれ内容に触れながら 正典との繋がり、感想を書いていきたいと思います。
    
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・・・・・続きです。


産気付いたメアリーを急遽病院に運ぶジョンとシャーロック。
こんな時シャーロック全く役に立たず、Oh my god!なんて言うばかり(笑)
 
なのですが、ここで一つ疑問。
これまでジョンは運転出来ないという事になっていました。(マーティン自身が免許を持っていな
かった為バスカヴィルの時でもシャーロックが運転していましたけど) それでありながら何故この
シーンでシャーロックではなくジョンが運転しているのか・・・・

無事に女の子誕生。

ジョンが”キャサリン”という名を提案するも、メアリーが却下。
(”キャサリン”は正典”The Blue Carbancle”に登場する伯爵夫人のメイドの名前だけど、まぁこの
際関係ないかも)
モリーとハドソンさんをgrandparentsに、シャーロックをgodfartherに依頼するジョン。
”grandparent”とは、単なる名づけ親ではなく 万一親に不測の事態が起こった場合に親の代理をする
人、又”godfarther”も同じく。 名前は両親が付けている訳ですからね。 (と言うよりワトソン家の
場合はメアリーが決めている。 ”His Last Vow”でも自分が名前を付けるんだといってましたね)。


「僕が何を考えているか分かる?」と言うシャーロックに 「女の子の名前じゃないんだから」と声を
揃えるジョンとメアリー。 未だ”シャーロック”命名を諦めていなかったみたい(笑)


洗礼式にはワトソン夫妻、シャーロック、ハドソンさん、モリー、それにレストレードが参列している。
神父に何と命名するか尋ねられ、メアリーが”Rosamund Mary” と・・・チョット驚いたような表情の
ジョン。(後に この名前も意味がある事が分かります)
この洗礼式中もスマホに掛かりきりのシャーロック。


ロージーちゃんを前に ”As ever, Watson, you see but you do not observe” (君は見ているが
観察していない)は正典”A Scandal in Bohemia”「ボヘミアの醜聞」でホームズがワトソンに言った
有名なシャーロック語録の1つです。 確か ”The Great Game”でも引用されていましたっけ。
で、このシーンはシャーロックの子守という美味しいシーンなのですが、ロージーではなく ”ワトソン”
と話しかけているのがミソ、ツボでして・・・(笑)
この後ロージーちゃんの投げ返したガラガラがシャーロックの顔面直撃(笑)

この間ジョンとメアリーは子守で疲れ果て撃沈、ソファーでお休み中。


221Bに訪れたレストレードはシャーロックが興味を引きそうな事件を持ち込む。
保守党下院議員チャールズ・ウェインズボローの息子チャーリーが自動車事故の炎上により焼死したが、
遺体は既に一週間前に死亡した事を示している。
シャーロックは車のシートに使われている2種類のビニールから既に概要を把握している模様。



この時の3人の会話は何時もの小気味よいテンポで楽しい。

そしてお約束の「レストレードのファーストネーム」ネタ(笑)

シャーロックが”Giles”(ジャイルズ)と呼びかけた時のレストレードの傷付いたような表情。(未だ
覚えないのかよッ!) そして声を出さず口の形で”グレッグ”だとシャーロックに教えるジョン。
この辺り、好きだわ。

そして、最後にシャーロックが ”グレッグ”と呼んだ時のレストレード、”You hear that ?”(聞いた
かい?)と嬉しそう。 (ちゃんとフォローしたシャーロックは素直でした)

ウェインズボロー議員の50歳の誕生日にgap yearでチベットに居るという息子チャーリーからスカイプ
コールがあるが、途中で電話が切れてしまった。

実はその時チャーリーはチベットではなく家の前の車の中に居り、サプライズで父を喜ばせようと計画
していたのです。 この時不測の事故で亡くなってしまった訳なんです。(この設定はチョット無理が
ある様で納得し難いんですが・・・)
(ここで、”gap year”、”Tibet”から連想したのは、ベネディクトがgap yearでダージリンのチベット
僧院で英語を教えて居たという事実があったのですが、この事からの引用かと・・・?)

◎ 所で、このウェインズボロー議員を演じているのがチャールズ・エドワード。おッッ!と思ったの
ですが、彼は「ドクター・ベルの推理教室/コナン・ドイルの事件簿」でコナン・ドイルを演じていたの
です。 これは粋なキャスティングですね。


シャーロック、ジョン、レストレードの3人でウェインズボロー議員邸を訪れる。

議員はサッチャー元首相のファンで写真等飾っているのだが、ここでシャーロックの注意を引いたのが
不自然な空間。 サッチャーの胸像が置かれていたが壊されてしまったというのを聞き不審を抱く。

(このシーンも水がオーバーラップします)

この時もサッチャーネタ。
「サッチャー?」、「首相?」、「女性?」 をワザとらしく知らない振りをして時間稼ぎをしている様な
シャーロック(バスカヴィルで”マギー”とファーストネーム迄知っていたんですもんね。 それとも
ディリートしてしまったのかしら?)

この時 ”By the pricking of my thums・・・” (親指がチクチクして・・・)→ある筈の物がない
収まりの悪さを感じているシャーロックのセリフは、「マクベス」での『(親指がうずくと邪悪なものが
やって来る』と言う魔女のセリフの引用だそうです。
又アガサ・クリスティー の”By the Pricking of My Thumbs” 「親指のうずき」にも関連するか。

チャーリーの事件はさっさと解決したシャーロックは、サッチャー像が壊された事件の方に興味を持ち 
サッチャーがモリアーティーと関連するのではないかと推測しマイクロフトの元に向かいます。

ここでモリアーティが興味を持っていたと言われる”ボルジア家の黒真珠” これは全くそのまま正典
「6つのナポレオン」からの引用ですね。
初めにあった様に「ボルジア家の黒真珠事件」はホプキンズの担当でした。


シャーロックは「これは何か重要な事だ。 モリアーティーかもしれないし、そうでないかも知れない。
ただ、何かがやって来る」と言うと、マイクロフトが”premonision?”「予感か?」と皮肉っぽく云う
のですが、「世界を覆っている張り巡らされた網の微かな揺れを察知する事だ」答えますが同様の云い
方は正典でも言われていた様な気がします(が、何処だか忘れました)
(ここで又水がオーバーラップ)

マイクロフトが”Appointment in Samarra”を思い出させますが、シャーロックが子供の頃にはこの話を
”Appointment in Sumatra” と言うタイトルに作り変え、この中では商人はスマトラへ逃げ元気で生き
残り、後に海賊になるとしていた。 と、ここで”海賊”が出てきます(キーワードの1つです)
Sumatra(スマトラ)は正典”The Dying Detective”(瀕死の探偵)に登場する悪党カルバートン・スミス
がいたとされる場所であり、或は正典”The Sussex Vanpire”「サセックスの吸血鬼」でホームズが語って
いた ”The Giant Rat in Smatra”(スマトラの大鼠)関連か?





・・・・・to be continued です



← SHERLOCK S4E1 ”The Six Thatchers” : ネタバレ感想と検証 (1)
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SHERLOCK S4E1 ”The Six Thatchers” : ネタバレ感想と検証 (1)

2017-02-07 |  ∟S4E1 : The Six Thatchers
『シャーロック』シーズン4:「六つのサッチャー」

以下ネタバレになりますのでご注意下さい。
あれこれ内容に触れながら 正典との繋がり、感想を書いていきたいと思います。

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Sherlock S4 はUK放送直後に一度見たのですが、なかなか把握出来ない部分が多くちゃんと
DVDを見直さなければ と思っていた所、何故か我が家へのDVD到着が遅れました(怒)。
事前の情報、初見での思い等色々あったのですが、DVDが届くまでの空白時間にこれまでの
思いを白紙状態に戻し、まっさらの視点で改めて見直す良い間合いだったのかも知れません。
と言う訳で、少し時間が経ってしまいました。


先ず、皆様既にご存知の事ですが、今回のタイトル”The Six Thatchers”は正典”The Six Napoleons”
「6つのナポレオン」を踏襲している訳ですが、予想以上に正典からの引用部分が多かったですね。
映像的にはグラナダ版もインスパイアされていました。 又追って書きますが”The Sign of Four”
「4人の署名」にも関連する事項も何点か描かれています。


冒頭はS3E3 ”His Last Vow”でのマグヌッセン射殺シーンから始まります。


モリアーティーの”Miss me?”で呼び戻されたシャーロックに対する マグヌッセン殺害の件を問
う諮問委員会でのシーン :


結局公式映像の改ざんにより無罪放免になるシャーロック。

以前「妄想」の時にも書きましたが、”D-Notice”とは政府が機密保持のため特定の報道を差し止
める旨報道機関に発する通告 であると言われます。(100年 !)
マグヌッセンの扱いに手を焼いていた政府にとっても渡りに船ともいえるシャーロックの行動では
あったものの殺人罪には違いないので 折り合いをつけた云う感じでですが、政府の記録がこう
して改ざんされるというのも複雑な思いもするのですが・・・

この時のシャーロックは一段とハイになっている。 薬物検査はクリーンだと言われてはいるがこ
の時はラリッてるとしか思えない。

MI6の公聴会の間もツイッター三昧でマイクロフトと揉めるわ、クッキーを食べまくるわ、歌うわ、
すっかりかっ跳んでいて笑わされる。 何なんだろう、このハイテンションは。


審議の内容はここに出席している5人のみが知る事となる。
シャーロックとコードネーム ”Love”、”Antarctica”、”Polock”、”Langdale”
”Love” → はレディー・スモールウッドですね
”Antarctica” (南極大陸)→ 恐らくマイクロフトでしょうね。 アイリーンも”Ice man”と言っていたし
”Porlock” → ”The Valley of Fear” 「恐怖の谷」に出て来るモリアーティーの部下”Fred Porlock”からか?
”Langdale” → ”The Three Galidebes” 「3人のガリデブ」のLangdale Pikeから?
サー・エドウィンと残る秘書と思われる女性がどちらに該当するのかしら。


で、シャーロックが この女性に ”What's your name ?”と問いかけ、”Vivian” と応える彼女に敢
えて注目させるのは後の布石ですね。
そして、この後に判明する彼女のファミリー・ネーム ”Norbury” (ノーバリー)とは”The Adventure
of the Yellow Face” 「黄色い顔の男」にある場所の名前で 珍しくホームズがミスを犯したケース。
ここで語られる良く知られた語録も後のシャーロックのセリフに取り入れられています。
故に、このヴィヴィアンが何かカギになるのではないかと予感させられます。



この後、水族館のサメのシーンが続き、シャーロックが朗読しています。
”The Appointment in Samarra ”というこの詩(?)は サマセット・モームの同名短編作品 (日本語タイトル
は「バグダッドの死神」)の引用だと思われます。 (John O'Haraによる同名小説もありますが)
又、この作品自体 アラブの昔話を引用していると言われています。

『There was once a merchant in the famous market in Baghdad. One day he saw a stranger looking at
him in surprise. And he knew that the stranger was Death. Pale and trembling, the merchant fled the
marketplace and made his way many、many miles to the city of Samarra. For there he was sure Death
could not find him. But when, at last, he came to Samarra, the merchant saw, waiting for him, the grim
figure of Death. Very well”, said the merchant, “I give in, I am yours. But tell me, why did you look
surprised when you saw me this morning in Baghdad?” “Because”, said Death, “ I had an appointment
with you tonight, in Samarra”』
(昔バグダッドの有名な市場にある商人がいました。 ある日彼は驚いた表情をして自分を見ている見知らぬ人
に気付きました。そして彼はその人が死神である事を知っていました。 商人は青ざめ震えながら市場から遠く
遠く離れたサマーラへ向かいました。そこなら死神に見つからないと考えたからです。 しかしサマーラ
にたどり着いた時商人が目にしたのは 彼を待ち受けていた怖ろしい死神の姿でした。「仕方ない。」と商人は
言いました。「私の負けです。私は貴方の物です。しかし、今朝バグダッドで私を見た時に何故あのように驚い
たのですか?」 「なぜなら」と死神が言いました。「貴方にはサマーラで今夜会う約束だったから」)

死と云う運命から逃れようと画策しても 既に決められた運命を変える事は出来ないのだという事を示唆している
のでしょうか。 この事がこのエピソードでのテーマになっている様に思えます。

サマセット・モームと言えば、「月と6ペンス」位しか思い出さないし、勿論「バグダッドの死神」も読んでいま
せんでした。
ただ、今回この詩の引用からモームのバイオグラフィーを確認した方によれば、
William Somerset Maugham(サマセット・モーム)は第一次大戦では軍医、諜報部員として従軍していた。又同性
愛者とも言われ不幸な結婚生活を過ごし 娘の名前がElizabeth Maryであった。
等、何かと符合する点があるのは偶然なのでしょうか? 考え過ぎでしょうか?

アガサ・クリスティーの「名探偵ポアロ」の作品 ”The Appointment with Death”「死との約束」にも引用されて
いる様です(良く覚えていない) で、この作品にはゲイティス御大も出演していたのですが、この作品から何か
ヒントを得たのかしら ?

又TVドラマ ”Supernatural” SE11のタイトルも ”Appointment in Samarra”が使われているんです。

この後も何度か繰り返される「サメ」、「水」のシーンなのですが、「サメ」はマグヌッセンの象徴としてシャーロック
が語っていました。 今回はマグヌッセンは出ていませんが 結局”冷酷な悪”、”死の象徴”として不吉な暗示に
なっている様に思えます。 後の問題のシーンの布石にもなっていますね。

この後221B でのシーン、シャーロックが扱う事件が飛び交います。


◎ ”The Dusty Death”
◎ ”違う親指”→ "The Adventure of the Engineer's Thumb" 「技師の親指」からの引用でしょう。
◎ ”The Duplicate Man” → ここで”It's never twins”と言っているのはTABとのリンクでしょうか?

そして、シャーロックはディモックとホプキンズ2人と同時に事件について話し合っている、(ディモックさんは
”The Blind Banker”以来久々ですね) ホプキンズは初お目見えだけど、ドノバンの代わりですか?
ここで語られている事件、
◎ ”The Circus Tarso”
◎ ”The Canary Trainer” ←これは正典”The Adventure of Black Peter”「ブラック・ピーター」の中で語られて
いる「悪名高いカナリア調教師ウィルソン」でしょうね。
そう言えばディモック警部は「ブラック・ピーター」にも登場していますね。
◎ ”The Cardiac Arrest” ← Cardiac arrestは”心停止”の意味で、arrest”逮捕”と掛け言葉?


ところで、 依頼人が相談に来ている時メアリーが同席しているのですが、
いつの間にかメアリーも助手に? これってどうなの?
正典でのワトソンでさえ 依頼人が来た時に席を外そうかと気遣うケースが多々あったというのに首をかしげたく
なる点の1つではあります。

捜査から221B に戻って来たシャーロックとジョン。
ジョンの ”You can't arrest jellyfish !” 「クラゲは逮捕出来ないよ!」は正典”The Adventure of the Lion's
Mane" 「獅子のたてがみ」からでしょう。 
捜査でサセックスに入っていた為電波の状況が悪く メアリーからの着信記録が59回になっている事に気付き慌てる2人。









・・・・ to be continued です。





→ SHERLOCK S4E1 ”The Six Thatchers” : ネタバレ感想と検証 (2)