The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

The Abominable Bride : Behind the Scenes

2016-05-22 | The Abominable Bride
― 「忌まわしき花嫁」 Behind the Scenes : ライヘンバッハ編 ―



大分自粛して居りましたので 久~~し振りのBehind the Scenesの画像ベタ貼りです。

一年余りアーカイブに保存しっぱなしだった為 カビが生えるといけないので 虫干
しを兼ねて たまには良いかしら?と思うと共に「自分眼福」(勝手に造語)の為にと
思い立ちました。

あれ?なんかブチブチ言い訳がましく弁解してます?


 



モリアーティーと決闘リハ

このシーンはセットだとは分かっていたのですが、滝はどうしたんだろう?と思って
いましたが 流石にグリーンバックの合成だったんですね。

なので、水滴は霧吹きで


そしていよいよジャンプ、というよりワイヤー釣り






霧吹きその2


こんなに暗い中でもマーティン新聞読んでる


今回のワイヤー釣りはバーツの時に比べたら楽勝だったでしょう。


で、懐かしいバーツでのワイヤー釣りとフォールの画像を







久々の画像集でした。
チョットしたインタールードと捉えて頂ければ幸いです。











Sherlock : The Abominable Bride 感想と検証 : 最後です

2016-02-08 | The Abominable Bride
― The Abominable Bride : 『忌まわしき花嫁』感想と検証 (最後です) ―



いい加減に終わらせないと・・・(汗)
と言う訳で、今回が最終と致します。

引き続きネタばれしておりますのでお含みおき下さいませ。

やっと21世紀の現実に戻ったシャーロックは、(221Bに帰ろう)とジェット機を降ります。
が、6ヶ月以上お留守にする筈だったのに・・・



シャーロックは ”Moriarty is dead. No question. I know exactly what he is going to do next”
(モリアーティーは死んだ。間違いない。僕は彼が次に何を仕掛けて来るかちゃんと分っている)と
言うのですが、結局 ”Miss me ?” の謎は解けていない訳だし S4に引っ張るんですね?




すると再び画面は19世紀の221B に変わり、シャーロックとジョンがリコレッティ事件について話し合っています。
”From drop of water, a logician should be able to infer the possibility of an Atlantic or Niagara”
は正典 ”A Study in Scarlet" 『緋色の研究』からの引用で、(一滴の水から評論家は大西洋やナイアガラ
の可能性を推察できる。どちらも見る事も聞く事も無くてもね。)

今回の事件のタイトルをどう書こうと思っているんだ? と聞くシャーロックは、”The Adventure of ・・・the
Imvisible Army?
(姿なき軍隊の冒険 ?)← これは1945年のデンマーク映画のタイトルでもある様です。
”The League of Fueries ?”(復讐の女神連盟?)、”The Monstrous Regiment ?” ← は エリック・マコーミック
の著書 ”First Blast of the Trumpet Against the Monstrous Regiment of Women” (女たちのおぞましい支配
に異を唱えるラッパの最初の一吹き」と言う長ーい題名の小説から、という解釈と、ローリー・キング著 ホームズ
パスティーシュである「シャーロック・ホームズの愛弟子」”The Monstrous Regiment of Women” (女たちの闇)
からの引用か? 良く分かりません。
結局これらのシャーロック提案はジョンによって全て却下され、ジョンは ”The Abominable Bride” 『忌まわしき花嫁』
だと決めます。

↓ 余談ですが、こんなものありました。
 



最後にシャーロックが窓際に立つと、外は現代のベーカー街に戻っていました。





以前も触れましたが、今回のエピソードは兎に角モファティスの遊び心満載で これでもか!と言う程正典からの引用、
又グラナダ版、ビリー・ワイルダー版からの引用 オマージュが散りばめられていて 嬉しいやら思い出すのに苦労する
やで本当に大変です。
ただ、両御大に仕掛けられた布石を探し出し、気付くと楽しさ倍増である事も確かだと思います。

ストーリーも19世紀と21世紀入り乱れ、又シャーロックのマインドパレス(今回は深層心理)の多重構造、入れ子状態は
複雑で混乱させられますので 一度観ただけではなかなか理解できないのではないかと感じます。
シャーロックの”深層心理” を扱っている為、今回彼の中でのそれぞれの人物感が如実に表されていると気づきます。

ジョンに関しては、何度も書きましたが、やはりメアリーと結婚して自分から離れてしまった寂しさ、本当はこれまでの
様に何時も一緒に行動して欲しいと言う願望。頼りに思っている心情等が感じられて、強がりを言っていても本当は寂し
いのね。(涙)
そして、あとになって気付けば ジョンの口を借りての自分の恋愛観、結婚観、アイリーン・アドラーに関しての突っ込み
はシャーロックが自分自身に突っ込みを入れている訳で可笑しかったのですが、何となく自分自身を納得させている、彼の
心の中の葛藤の様な物を感じるのですが、考え過ぎですかしら?

マイクロフトに対しては、ジョンやメアリーの口を借りて言っている様に 一抹の劣等感も感じられるけど、(”clever
one”
と言う表現)、頭脳では絶対的に自分より優れている事を認めている。そしてはシャーロックの事を心配して止まな
い事も理解している様です。
これまでは マイクロフトは面と向かってあからさまにシャーロックに対して優しい言葉を掛けたり、心配をしている様子を
現さなかったのに、次第に”マミー度”上がって来ている様で、「シャーロック心配」発言が多くなってきています。
ジェット機の中で ジョンに ”Dr. Watson. Look after him. Please”(ジョンでは無くドクター・ワトソンと改まった
呼び方をし、彼の事をよろしく頼む)とも言っています。 これから予想される危険を又感じさせられてしまうのです。

問題のメアリーは、S3直後から何度も繰り返し論争の的になっていましたが、今回のマインドパレス内でもシャーロックは
やはり彼女の正体に疑問を持っている様に感じます。19世紀パートではマイクロフトのスパイではないか? これは彼の
根底にある疑惑で 私達も考えた様に シャーロックを撃ち傷害致死になり得た状況であり、その後彼女の為にシャーロック
が殺人の罪迄犯した張本人でありながら 何故平気でこれまで同様の生活を送っている? どういう訳? 
個人的妄想、想像では、メアリーは元CIAであった時の秘密情報と引き換えに司法取引により政府又はMI-5の保護下に入って
居る・・・ってな事なんですけど。違うかな?
そして、今後メアリーの存在をどう扱うのかに関しては2年前からずっと引き続き喧々諤々の論争を繰り返してきましたが
何と言っても子供の存在がある為 このままメアリーを引き続き表立って登場させるとなれば 当然シャーロックとジョン
の関係が以前の様に戻る事は不可能だし、メアリーを退場させるとなれば これまた楽しい設定は望めないし、いずれに
しても難しいキャラクターにしてしまっています。
厄介なのは、シャーロックがメアリーを気に入っているという点ですね。
元々シャーロックは(or シャーロック・ホームズは)女性に関して、女性らしさとか 外見とかには興味が無く、何より知性
行動力等に感銘を受け魅力を感じる筈で、そんな点からいうとアイリーン・アドラー正に直球ど真ん中であった訳ですが、メアリー
もそんな点から惹かれているんでしょう。それにジョンの大切な人であるからという意味もあるのでしょうが、アイリーンの様に
毅然とした女性であれば それも又理解出来るのですがメアリーは何処か自分本位の様な感じも受けるのです。
いずれにしても、これだけ存在感を大きくしてしまった以上 何となく そっと退場とは行かなくなってしまっているんですね。
正典の様に、ワトソンと結婚しても余り表立って登場していなかったし、自然消滅の様にさり気なく退場させていたので不自然さ
も無く継続してきた訳だし、グラナダ版の様にワトソンを結婚させなかった事によって ずっとあれほどの長寿人気を保ってこら
れたのだと感じます。(独断と偏見?)
本当にどうするつもりなんでしょう?

それと、「モリアーティーは死んだ」と明言されましたが、今後彼の仕掛けた罠がどの様な形で出て来るのか・・・シャーロック
待ち構えて戦う気十分だしね。
”Miss me ?”の謎も解明されていないし、モリアーティーの残党の影と言えば本来モラン大佐(モラン卿)を思うのですが、S3で
モラン卿はあっけなく逮捕されてしまったし、後は、やっぱりモリアーティーの兄弟? 或は 又しても ”the other one”
(3人目のホームズ)? 或は又してもメアリー介入説? あ、それともモラン卿脱獄して?
あらら、又色々妄想が・・・・
結局S3で残された謎がS4にそのまま引っ張られて行くんですね。

話は元に戻りますが、今回のエピソードでは ディオゲネスクラブでのシャーロックとマイクロフトの会話を始めとして「ギリシャ語通訳」
からの引用がかなり多いです。
そう言えば、”A Scandal in Belgravia” でシャーロックの元を訪れた若者達の事をジョンがブログに Geek interpreter”
(オタクの・・・)って書いてましたっけね。
これこそ、”Greek Interpreter”のモジリだ! モファティス遊んでるんだからぁ。
ワタクシももう一度読み直しの必要性を実感しましたし、グラナダ版の「ギリシャ語通訳」も観直したいし、ビリー・ワイルダー版も
機会があればもう一度観たくなりました。
あーもう忙しい(大汗)。←勝手にしろッ?
これから映画をご覧になる場合余裕があれば一度読んでから観る方がより楽しめるかも知れません。

約5年前に何気なく観て以来、シャーロック&ベネディクトの底なし沼にどっぷり引き込まれているのですが、その当時は周囲の友人達、
知人達は誰も「シャーロックの事は知らない」、「観た事ない」と言われ寂しい思いをしたものの ブログ上で同好の士と意見交換させて
頂くことで気持ちを発散して居りました中、今回映画館で見る事が出来る様になるとは灌漑無量です。
街の中でポスターを見かけたり、映画館で大きな看板を観ると何だか不思議な感じがするのですが、嬉しい限りです。
君たちビッグになったねぇ~!(偉そうに!)

映画公開迄2週間を切りました。
映画館で大きな画面で日本語字幕版を観直し、又気付かなかった点、新たに感じる点も出て来るかと思います。
その時は又改めて(ひつこく)書いてみようと思います。



ダラダラ長引いてしまいましたが、お立ち寄り頂き 拙文をお読みいただき有難うございました。





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Sherlock : The Abominable Bride 感想と検証 : (5)

2016-02-04 | The Abominable Bride
― The Abominable Bride : 『忌まわしき花嫁』感想と検証 (5) ―



こんなに長くなるとは予定していなかったのですが、ついつい思いが噴出してきまして
止まらなくなりました。
そろそろ駆け足で少し端折って行きます。

ので、又続きです。

引き続きネタばれしておりますのでお含みおき下さいませ。

再び19世紀に戻ったシャーロックは221Bで倒れていた所をジョンに見つけられ 問いただされます。
(モルヒネか? コカインか?)に対するシャーロックのセリフ ”Cocain・・・7% solution. Care to try it ?”
(7%溶液だ。試してみるかい?)は正典 ”The Sign of Four” 『4つの署名』の中のセリフですが、再び
”The Hounds of the Baskerville” でも引用され シャーロックが(紅茶より 7%刺激がある物を・・・)
と言っていました。

メアリーに電報で呼び出されて馬車でジョンと駆けつけた古い邸宅には怪しいフード付きマントを纏った
人々が集っているのですが、この姿が前に書きました様にKKKのフード付きマントと似ているのです。
集まっていたのはモリー、ジャニーン、ワトソン家のメイド等を含めリコレッティ―夫人と親しい女性
ばかりでした。




↑ KKKのマント&フード姿です。

ここが今回の大きなテーマの1つである この時代の『女性の立場、権利』に触れる事になるのですが、
これが制作発表の時モファティスが語っていた『今回は女性が重要な役割だ』と言っていた点なんでしょう。
ただ、シャーロックにとっては最も遠い所にある(多分関心も薄いであろうと思われる)女性問題に関して
ここで「これは戦争だ。イングランドが負けなけれがならない戦いだ」と誠に正論ではあるけど、大上段に
振りかぶってシャーロックにフェミニズムを語らせるのはどうなんだろう?と悩ましい点でもあります。
しかし、これまで都合の良い様に利用してきたモリーやジャニーンの姿をフラッシュバックさせる事で 
シャーロックの深層心理に潜んでいる若干の後ろめたさとか罪悪感を表しているのでしょう。
ここにも花嫁姿でのモリアーティ―が又もや現れ、混乱するシャーロック。



再び現在に戻ったシャーロックがリコレッティ―夫人の墓を暴くと勇んで出かけて行き墓を掘り返そうと
するも ジョンはこれ以上遊びに付き合っている暇はないとメアリーと帰ってします。 これだもん、
現実のジョンはツレナイんですねぇ。



結局付き合ってくれたのはマイクロフトとレストレード。
こんな風だから マインドパレス(潜在意識)の中でシャーロックは献身的で何処までもシャーロックに
着いて来てくれるジョンを思い描いているのかと思うと切ないです。



ここでマイクロフトが ”Cherchez la femme ”(フランス語で ”女を探せ、事件の陰に女あり”)と言って
います。 これはミステリー小説等でも良く使われるフレーズで、”The Hounds of the Baskerville”
では、シャーロックが ”Cherchez le chien” (犬を探せ)で引用していました。

次に再び19世紀に戻ると そこはライヘンバッハの滝だったんです。
BBC版でライヘンバッハのシーンが観られるとはかなりの感動モノです。
パジェット版そっくりでねぇ・・・。合わせ鏡の様に左右反転構図になっていますが。



ここでのモリアーティーは何故か少し卑屈で、シャーロックもモリアーティーを貶める様な言葉を吐いている。
”short-arse”(ちびすけ or 取るに足らないヤツ)とか。
シャーロックの中でのモリアーティーの存在が次第に弱くなってきている様に思われます。
そして、何より感動は、銃を持ったジョンがカッコ良く現れて 最後はモリアーティーを足蹴にして滝から落下
させる。



ここでの3人の会話が色々凄く面白いんです。
夢の中(潜在意識)の中の出来事である事に気付いているシャーロックがモリアーティーの口を借りて自分の弱みを
暴き出している。
”I am your weakness. When you are weak, I am there” (僕は君の弱さなんだよ。君が弱いと僕が出て来るんだ)
そして ここでジョンが初めてモリアーティーの事を正典通り ”プロフェッサー” と呼び、”The Napoleon of
crime”
(犯罪界のナポレオンだ)と言っています。
これは正典 ”The Final Problem” 『最後の事件』でホームズがモリアーティーの事を表していた言葉で、これを
引用してS3E3の ”His Last Vow”ではマグヌッセンの事を ”The Napoleon of blackmail" (恐喝界のナポレオン)
と呼んでいました。
又、ここでシャーロックは ”ジョン” と呼び、ジョンは(一体何時から僕の事をジョンと呼ぶ様になったんだ?)
← 19世紀のジョンですから・・・

これを見ると益々シャーロックの潜在意識化でのジョンの立場、役割がはっきり見えてきます。あの場にも居て
欲しかった、何時もそばにいて欲しいってね。 泣けてきますよ。
そして、”Time to wake up,Sherlock" (もう目を覚ますんだ、シャーロック)と現代のジョンの呼びかけと、
(どうやって目を覚ますつもりだ?)に、ここで又あの、”Elementary, my dear Watson “、(初歩的な事だよ)
 モリアーティーの居る悪夢を終わらせるためには・・・と滝から落下するシャーロックの表情が何処か嬉しそう
なのです。 これでマインドパレスの奥底に潜み続けるモリアーティーの存在が消せるんだろうか・・・



ここで又目を覚ましたシャーロックは未だジェット機の中。・・・って事はお墓の場面も又『マインドパレス』の中での
出来事だったんだろうか?と、あー、もうゴチャゴチャで訳わかんなくなって来た。

現在に戻ったシャーロックが引き裂いたメモを大切にノートに挟むマイクロフトですが、
そのノートに書いて有るのが、又しても ”Redbeard 赤ひげ”、又ですか? 未だ何かあるんですか?
レッドビアードに関しても次作で明らかにされるんでしょうか?
レッドビアード出されると、もう勘弁して!又泣かせるんですか? と言いたいワタクシです。



そして、その下にある ”Vernet” (ヴェルネ)は正典 “The Greek Interpreter"  『ギリシャ語通訳』にある、
”But, none the less, my tern that way is my veins, and may have come with my grandmother,who was the
sister of Venet, the French artists”
(だがやはり、僕の血管を流れる才能は祖母から譲り受けたのかも
知れないな。祖母はフランスの芸術家ヴェルネの妹だ)。ホームズ家にはフランス人の血が混じっているんですね。
この ”Verne" は今度(S4? で?)何らかの形に引用されるのかな?



3回位で終わらせるつもりだったのが ズルズル長引いてしまいました。
次の回で最終回に致します。




・・・・・to be continued です。



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Sherlock : The Abominable Bride 感想と検証 : (4)

2016-02-01 | The Abominable Bride
― The Abominable Bride : 『忌まわしき花嫁』感想と検証 (4) ―



続きです。


今回一番のネタバレしておりますのでお含みおき下さいませ。


エメリアらしき姿を追った2人が屋敷に踏み込んだ時には既にユースタス卿が殺されてしまって
いたのですが、ジョンの後ろにはエメリアの幽霊(?)が・・・だんだんホラーになって来ました。
そしてレストレードも駆けつけ ユースタス卿の遺体を検分すると謎のメモが。
”Miss me ?” と書かれています。 ここで出ました! やっぱりモリアーティーの影が?
ここでのセリフ、”to eliminate the impossible ・…and observe what remains・・・(自分の
脳を使え、不可能なものを除外しろ。この場合は幽霊だ。 そしてし残った物が真実だ) は 
”The Sign of Four” 『四つの署名』の有名な語録である ”When you have eliminated the
impossible whatever remains, however impossible, must be the truth”
(不可能な物を除外し
残った物が何であれそれが真実だ)からの引用で、このフレーズは ”The Hounds of the
Baskervilles”
でも引用されていました。

この ”Miss me ?" は ”His Last Vow” の最後に出て来たメッセージなので、現代と19世紀が
混線しているのかと感じます。と言うか、シャーロックの頭の中が混乱して来ているのかしら?と
感じ始めます。

モリアーティーがリコレッティ事件とどの様に関連してくるのか、益々複雑になってくるのですが、
いずれにしてもこのメモを見てからシャーロックは自制心を失い混乱します。


そしてディオゲネスクラブを訪れると、何故かマイクロフトがこのメモを持っています。
「ライヘンバッハで死んだ筈だ」と混乱するシャーロックですが、マイクロフトの部屋にも
ライヘンバッハの滝の絵が飾られています。


↑ 左がディオゲネスクラブにあるライヘンバッハの滝の絵。 右が ”Reichenbach Fall"の時の絵。(同じです)


ライヘンバッハの滝ではモリアーティの死体は見つからなかったが、万一生きているのであれば
復讐の為シャーロックを訪れるだろう。待って居ると言うシャーロック。

221Bでは2日間飲まず食わずで瞑想にふけります。




↑ グラナダ版『犯人は二人』でホームズが瞑想している手の形が同じです(これも以前載せましたけど)。

この時マインドパレスの中では・・・目の前にリコレッティ―事件を報じる新聞記事の紙片が
飛び交っています。次々手に取り確認するシャーロック。



この場面の作りが何時もながら素晴らしいのですねぇ。
そして、遂にコカインを手に取るシャーロックです。



そこにいよいよモリアーティ登場なのですが、今回のモリアーティはこれまで以上に過剰なほど不気味で
薄気味悪さが際立ちます。







2人の対決になるのですが、滝に落下して死んだ筈なのが 現代版での銃を咥えて自殺した事に変化
しているのは シャーロックのマインドパレスが混乱してきているせいなのか、同じ様に銃を咥えて
自殺したエメリアからの連想という事なのかしら?
兎に角ここでのシーンはホラーに加え、スプラッター風にもなっています。

そして モリアーティの ”Because it's not the fall that kills you. It's not the fall.
It's the landing”
 (君を殺すのは飛び降りじゃないんだよ。着地だ)
このセリフは シャーロックがビルから飛び降りた時の事を言っている様なのですが、ワタクシの
勝手な解釈は、やはり本来のライヘンバッハでの対決に鑑み ”the fall” は”滝を指し、(滝を
落ちて死ぬのではなく、地上で死ぬんだ)にもかけている様に思います。
”滝”を指す場合 本来は複数形 ”falls” にするべきなので 違うかもしれませんが・・・・・。

いずれにしても、この時点でも又シャーロックのマインドパレスが混乱している様に思えます。 
がたがた部屋が揺れ始め、そのままジェット機の着陸シーン ”landing”へと続く画面構成は何時も
ながら素晴らしい画面転換だと感じます。



結局この時点で、”His Last Vow” の最後のシーン、”Miss me?" を知って呼び戻され着陸する
までの数分間のシャーロックのマインドパレス内での出来事(夢)であった事が判明します。
機長の顔を見たシャーロックが驚きます。レディー・カーマイケルにそっくりでした。





何故 “Miss me ?” からエメリア・リコレッティ―事件に飛んでしまったのかと考えると、
モリアーティーが生きているかも知れないと言う恐怖にも似た疑惑 → この事からマインドパレスの
奥底に潜んでいた モリアーティと同じ様に銃を咥えて自殺した不可解なエメリア・リコレッティ―の
事件を呼び覚ましてしまった → その為には自分自身が事件現場に赴かなければならない → マインドパ
レスの中でのヴィクトリア朝のシャーロック・・・と言う流れになったのでしょう。

ここで考えるのですが、ヴィクトリア朝での描写がシャーロックのマインドパレス内の出来事である
とすれば、新聞の切り抜きを探したり、モリアーティーとの部屋での対決が又マインドパレスの出来事
ですから、二重のマインドパレスになっているのですね。
シャーロックのマインドパレスは”多層構造” になっている事が分かります。
”His Last Vow” でメアリーに銃撃されて昏睡状態に陥った時のマインドパレスでもモリアーティーは
階段を下った下層階(心の一番奥底)に居ましたし。
ただ、今回のマインドパレスは今までの『記憶術』としてよりも、シャーロックの深層心理の現れ、描写
なのだと思われます。
今回何故ヴィクトリア朝なのかについても「マインドパレス」を使う事によって 19世紀と21世紀を繋げた
と言う手法は成程なぁと感心させられますね。
夢、深層心理の現れなので 所々現代の出来事と19世紀の出来事が入り乱れたりするのも納得したりしました。
深層心理という観点で思い返してみると、冒頭の場面で ”An old one, very old. Have to go deep inside
myself”
 (古い、古い事件だ。自分の心の奥深くに入って行かなければ)。と言っているし、馬車の中では 
”Deep waters, I shall have to go deeper still" (深い、深い謎だ。僕ももっと深く潜らなくては。)と
言っていました。
最初にこの点をしっかり理解出来ていたらもっと早い段階で今回のテーマが把握出来たのだろうと思いました。
因みに ”deep waters” は正典 ”The Speckled Band” 『まだらの紐』にあるホームズの言葉
”These are very deep waters” 「かなり深い水域がありますね」の引用だと思います。


話が前後してしまいますが、突然思い出したのでここに書いて置きますが、今回も又”ジョンの椅子” 
に関しての話題が出てきます。
S3でも何度か”ジョンが座っていない椅子”に関するセリフがあり、ジョンの居ないシャーロックの寂しさ
が表されていますが、フト思い出してみたら このテーマは正典 ”The Empty House” 『空き家の冒険』
に書かれていた ”・・・I could have seen my old friend Watson in the other chair which he has
so often adorned.
 (我が旧友のワトソンが非常にしばしば美観を添えていたもう一つの椅子に座っている
のを見られたらいいのに・・・・)に由来していますね。
BBC版で何度か出て来た ”ジョンの椅子”は離れてしまったジョンに対するシャーロックの寂しさ、
心もとなさを表す象徴として描かれているので、椅子のシーンを観る度胸が痛みます。



又長くなりそうなので次に続けます。




・・・・・to be continued です。



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Sherlock : The Abominable Bride 感想と検証 : (3)

2016-01-29 | The Abominable Bride
― The Abominable Bride 『忌まわしき花嫁』 : 感想と検証 (3) ―



続きです。

再びネタバレしておりますのでお含みおき下さいませ。


衆人環視の元行われたエメリア・リコレッティの自殺事件後、リコレッティ氏が殺害され、
この犯人がエメリアであった(つまり幽霊に殺されたのだと)というあたりからホラー色が
出てきます。



そんな時、サー・ユースタス・カーマイケルの婦人 レディー・カーマイケルが夫の身を守って
くれる様依頼に訪れるのですが、そのユースタス卿は「5つのオレンジの種」が送られてきて
以来死の陰に怯えている様です。
「5つのオレンジの種」は”KKK”による復讐、暗殺予告と言う意味を持ち、正典 ”The Five
Orange Pips”
『オレンジの種5つ』で描かれていますし、S2E3の ”The Great Game” にも
引用されていました。
”KKK”(Ku Klux Klan :クー・クラックス・クラン)とは白人至上主義のアメリカの秘密結社で
特徴のあるフード付きマントを着ている様です。
このフード付きマントは後半に出て来るマントとよく似ています。(後で又触れます)


ディオゲネスクラブにいるマイクロフトが言っています。「勿論弟が依頼を受けた。君に
は監視を続けてもらいたいが、弟には気付かれたくない。分かって居るね、ワトソン?」
それに答えたのは、ジョンではなくメアリーでした。



「信用してくれて良いわ、ホームズさん」→ これって、どういう事?
やはりマイクロフトに呼び出されていたんだな・・・・メアリーはどういう立場にいるの
か又々悩まされます。 今回も正体不明のメアリー!

レディー・カーマイケルの依頼で ユースタス卿邸宅を訪れる事になった汽車の車中の
シーンは 正典パジェット版 ”The Adveenture of Silver Blaze" 『白銀号事件』のシーン
並びにグラナダ版と良く似ています。(以前も載せましたけど)。





ユースタス卿に面会し状況を確認したシャーロックの”あの”有名なセリフ、
”Come Watson, come ! The Game is afoot” (ワトソン来い、ゲームが始まった)
この正典の ”The Adventure of the Abbey Grange" 『アビー屋敷』にある良く知ら
れている語録、そして私の拘りのフレーズ(ブログタイトルにもしていますので)が
BBC版で聞かれると思っていませんでした。殆どトリハダもんでしたよ。
このセリフに関しては以前から何度も繰り返して書いていますが、”A Study in Pink"
”The game is on !" として引用されましたね。
(余談ですが、正典翻訳本では ”The game is ahoot” は「狩りが始まった」と訳さ
れていたと記憶しています)

エメリアの陰に怯えるユースタス卿邸宅で 夜中に潜入捜査で待機しながら寝室の灯りが
消えるのを待つシャーロックとジョンの状況は ”The Speckled Band” 『まだらの紐』
のシーンを思い起こさせます。

ここでの2人の会話がシャーロックの心の奥底に秘められた感情に触れるハイライト(?)ですね。



「男2人の会話だ」とシャーロックの恋愛経験、結婚感に迫るジョンと 狼狽えながら何時もの
セオリーを述べ立てるシャーロック。
レディー・カーマイケルが素晴らしい女性だと話し始めるジョンに、(彼女は見事な”甲高だ。
部屋に入って来た瞬間に分かった)と言うシャーロック。 何見てんだい!と言いたくなるのですが、
シャーロックはさり気なくアイリーンのスリーサイズも見分けていたし、見るべきものはちゃんと
見ている。 興味がある無は別にして・・・なんですねぇ。

おいおい、潜入張り込み中だろッ!と突っ込みを入れたくなりますが、ジョンの、
”Why are you so determined to be alone ? (何故1人で居たがるのか?) ”What
made you like this ?”
(何が君をこんな風にしてしまったんだ?)との問いに、
”Oh, Watson. Nothing made me. I made me” (あー、ワトソン。誰のせいでもない。
自分自身だ)
→ これが例のtrailerにあったシーンなのですが、あれを見た時点ではもっとシリアスな内容
なのかと不安になっていました。が・・・こんな流れだったんですね。まぁ、これも一貫した
シャーロックの女性観、恋愛に関する問題で 正典以来一貫して興味と論争の的であったテーマ
なので、ある意味シリアス?
で、この時ジョンに指摘された(バラされた)時計の中に入れているアイリーン・アドラーの写真。


↑ せっかくならヴィクトリア朝風のアイリーンの写真にして貰いたかったなぁ、と思うのですが。

このアイリーンの写真は正典 ”A Scandal of Bohemia” 『ボヘミアの醜聞』で事件解決の
報酬としてホームズが国王から拝受した物で、グラナダ版では引き出しに大事に仕舞ってありました。
そして、その前に 変装したホームズがアイリーンの急遽結婚式立会人にさせられたお礼
にもらった1ポンド銀貨を記念として時計の鎖に付けて置こうか・・という事で、今回時計
の中にと云う設定になったのではないかと思ったのですが、ワイルダー版でも時計の中
に入れてありました。


↑ 左がグラナダ版、右がワイルダー版のアイリーン写真です。
* 訂正です。 後で良く見直したらワイルダー版の写真はアイリーンではないかも知れません。
とは言え設定は同じという事でお許し下さいませ。

そんな時、物音と犬の鳴き声がすると、シャーロックは ”レッドビアード” と呟くのですが、
何故ここで ”レッドビアード”の名が出るのか・・・・
”レッドビアード”の名は 今更ですが、S3E2 ”The Sign of Three” でマイクロフトがいきなり
”Do you remember Redbeard ?”(レッドビアードを覚えているか?)
と口に出すのですが、それに対するシャーロックの答えが ”I'm not a child anymore"(僕はもう
子供じゃない)→ この時はシャーロックの子供時代の何かだな? と予想できたのですが、
S3E3 ”His Last Vow” でメアリーに撃たれたシャーロックが昏睡状態の中マインドパレスに
再び現れるレッドビアードにシャーロックは、”They are pulling me down too, now" (僕の事も
殺そうとしているんだよ…)→ つまり、可愛がっていた犬が何らかの理由で安楽死させられた
のではないかと推測され、その事がシャーロックのマインドパレスの中に何時までも傷と悲しみ
になって残っているのではないかと思われるのです。 
そんな経緯から、ここでの ”レッドビアード?” の呟きは嫌な予感がするのです。





~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~


計画性が無いモノで、あと何回で終わるのか予定が未定です。
宜しければ又お付き合い頂ければ幸いです。


取りあえず、



・・・・to be continued です。



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Sherlock : The Abominable Bride 感想と検証 : (2)

2016-01-25 | The Abominable Bride
― The Abominable Bride『忌まわしき花嫁』 : 感想と検証 (2) ―



いきなりですが、突然気付いたのですが 最近拙ブログをお尋ね頂く元検索サイトをみると
凄くワールドワイドになって来て、英国、中国、韓国、ブラジル、ロシアその他・・・
電脳世界の凄さに改めて驚きましたし、必ずしも日本人ではないと思うので内容が日本語
で申し訳ないと思ったり、恐縮したり、チョットした恐ろしさを感じたりしております。


閑話休題


感想と検証を続けます。


以下ネタバレしておりますのでご注意下さい。

又本編の順序とは若干順序が違っているかと思います点をお含みおき下さいませ。
(シャーロック&ジョンと書くか ホームズ&ワトソンと書くか迷いましたが、一応”シャーロック”、
”ジョン”で統一します。BBC版以外の場合は”ホームズ”、”ワトソン”といたします。)

ワトソン家の残念なメイドの描写は ”A Scandal of Bohemia ”『「ボヘミアの醜聞』でホームズは
ワトソンの靴の磨き方から推理していました。
→ ワトソン位の開業医でメイドが雇えるんですね。 この件は正典翻訳本訳注にもあり、大体の年収も
予想されていました。が、詳しく覚えていません(汗)

ジョンの所に届いたシャーロックからの電報、 ”Come at once if convenient. If inconvenient,
come all the same. Holmes”
(もし都合が良ければ直ぐ来てくれ。 もし都合が悪くてもすぐ来てくれ。
ホームズ)は ”The Adventure of the Creeping Man ”『這う男』に記述されているフレーズで、
”A Study in Pink” にも引用されていました。


↑電報を見て慌てて出掛けるジョン(画像ブレました)   

エミリア・リコレッティが口ずさんでいる歌 ”♪ Do not forget me・・・・” は1885年に発表された 
”The Maid of the Mill” と言う歌で このレコードがあるそうです。
(Triviaからの引用です)→ これを見つけ出したって凄い!と思いましたね。
Youtubeにこのレコード演奏がありまして、音源があまりクリアーで無い為今ひとつ聞き取れないのですが、
確かにあの歌詞があったと思います。


↑ それにしても、エメリア・リコレッティのメークは恐ろしいです!

ディオゲネスクラブのコンシェルジェの名前 ”ワイルダー” は 1970制作の ”The Private Life of
Sherlock Holmes”
『シャーロック・ホームズの冒険』監督のビリー・ワイルダー監督の名前を借りていると
言われています。
ゲイティス御大がこの作品が非常に気に入っていると言うことで、ワイルダー監督へのレスペクトの様ですね。
ディオゲネスクラブのシーンも良く似ています。


↑ ワイルダー版ディオゲネスクラブエントランス場面。

因みに、このワイルダー版映画は ネッシーが出てきたりしてかなり突拍子もないんですけど ワタクシ
結構好きですね。
クリストファー・リーがマイクロフトを演じていた。
最初のtrailerを観た時から ワイルダーカラーを感じたのですが、あながち的外れでは無かったなぁ、と
自画自賛(ひつこい!)

ディオゲネスクラブではマイクロフトの私室以外では一切の私語禁止とされていたのは以前のシリーズでも
描かれていましたが、今回は手話での会話になっていました。
このシーンが好きですねぇ。
全体的にダークな雰囲気の中で唯一ユーモラスなシーンで、思わずクスッとさせられます。ジョンのいい加減
な手話で意味不明な会話になっているシーン。
「ダンスの練習ばかりしていないで もっと勉強しろ」とあきれた様な顔をして とっとと行ってしまうシャー
ロックを慌てて追いかけるジョン。 あぁ、何時もの2人だなあーと嬉しくなるし、こんな時のマーティンの表情
が良くて 相変わらず上手いな~と感心しました。





そして、ここでのマイクロフトにはビックリでしたね。


昨年来、山ほど多くの画像が公開されていた時にも 何処を探してもマイクロフトの画像だけが出ていなくて
不思議に思い以前の記事にも「何故なんだろう?」と書いた事がありましたが、放映前に流出したメイク中の
画像を見て、あ~こういうことだったんですねと納得! 良く隠しおおせたと感心しました。
マイクロフト体格についての描写は ”The Adventure of the Greek Interpreter” 『ギリシャ語通訳』に描かれ
ているとおりです。


↑ 正典パジェット版挿絵のマイクロフト像です。


それにしてもゲイティス御大の特殊メイクは凄い!の一語に尽きます。手、指先までプックリしっかり行き届い
ています。





マイクロフトの面会者 ”メラス氏”の名前も同じく正典『ギリシャ語通訳』にある名前です。
ここでのシャーロックとマイクロフトの会話は相変わらず難しいんですね。
優秀過ぎる知能の持ち主である2人の会話は何時もの事ですが余人が入り込む余地がない様な感があり、理解
出来ない部分もあります。この点は今後も再検証しなければ・・・・と思います。






まだまだ続きます。




・・・・・to be continued です。



← Sherlock : The Abominable Bride 感想と検証 : (1)
→ Sherlock : The Abominable Bride 感想と検証 : (3)









Sherlock : The Abominable Bride 感想と検証 : (1)

2016-01-21 | The Abominable Bride
― The Abominable Bride 『忌まわしき花嫁』 感想と検証 : (1) ―


↑ ヴィクトリア朝ヴァージョンタイトル画面。

DVDを観まして、色々感じる事が多く、気付いた点等に触れてみようと思います。

セリフ詳細はdicoさんがセリフ全訳挑戦して下さったので、今回は内容詳細には触れず感想、気になった点、
等に触れて検証してみようと思います。

実際にご覧になるまで遮断なさりたい方は申し訳ありませんが回避お願い致します。


兎に角一度観て直ぐに気付くことは、これまでのエピソードもそうであったのですが それ以上に正典、グラ
ナダ版のセリフ、シーンへのオマージュに満ち溢れている事に感動します。
モファティス両氏のシャーロックおたく度満載、遊び心満載といった感じを受けました。
特にこのエピソードは正典、これまでのシリーズ、グラナダ版を観ていないと関連が良く分からないのでは
ないかと思われます。

Sherlock Specialの制作発表時から何度も示されていた ”Goasts"、”More deep, more dark” 特に”goast"
が複数になっている点が明らかにされています。
作品を通して ヴィクトリア朝部分はかなり画面のトーンがダークになっているしよりグラナダ版に近い
雰囲気になっていました。

さて 作品を観て気付いた、 正典或は今までのBBC版、又グラナダ版からの引用、類似点等順次挙げて
みました。 

”何故ヴィクトリア朝なのか?” に関しては、以前「妄想、推測」した事に殆ど正解、当たらずとも
遠からずって感じでしたね。
(自画自賛)。


今回のタイトル ”The Abominable Bride” については以前何度も書きましたが正典 ”The Adventure of
the MusgraveRitual”
(マスグレーブ家の儀式書)の中で述べられている”Ricoletti of the club foot and his
abominable wife"
(内反足のコレッティとその忌まわしい妻”と言う記述があり、これはホームズが過去に
扱った事件の名前とだけ記されています)。

導入部分はワトソンの回想、モノローグ → これも予想通り "A Study in Scarlet” or “A Study in Pink” 
でのワトソンのモノローグ形式は正典及びグラナダ版で使われている手法ですね。
これも予想通り(しつこい)。 スタンフォードの姿もあったし、誰でも想像できましたよね。



221B の外からのシーン。 これに至っては全くグラナダ版!
trailerで観た時からチョット驚く程で、グラナダ版をそのまま使ったのではないかと思われる程! 
イントロテーマ音楽もそのままという拘り(?)

Speedy's Cafeは ”Speedwell's Restaurant and Tea Rooms" となっています。



香水の香りで訪ねて来た女性がメアリーである事を指摘する :
ホームズは香水の論文を書いているし、BBC版の”The Hounds of the Baskervilles””His Last Vow”
でも香水に触れるセリフがありました。
映画版 ”Mr. Holmes”でも香水に関連する考察が使われていました。
香水には詳しいんです。ホームズは。

シャーロックが階段を昇って来た足音だけでレストレードだと分かる場面 :
”lighter than Jones, heavier than Gregson" (ジョーンズより軽く、グレッグソンより重い)のジョーンズと
グレッグソンは正典に何度か登場するアセルニー・ジョーンズ警部、とトバイアス・グレグソン警部の事ですね。
因みにジョーンズ警部は拙ブログで先日触れました 『モリアーティー』では大活躍でした。

レストレードがリコレッティ夫人の事件を説明するシーンで、221Bの居間が現場にあるかの様な設定、画面
構成は斬新で驚かされます。



シャーロックのセリフ ”My Boswell is learning” (僕のボズウェルも成長したもんだ)
の”ボズウェル”は英国の伝記作家 James Boswellで、これは”A Scandal of Bohemia" ( ボヘミアの醜聞)
の中でのホームズの言葉 ”I am lost without my Boswell" (僕のボズウェルが居ないと困るんだ)に由来し、
 ”The Great Game” で ”I'd lost without my blogger”(僕のブロガーが居ないと困る)にも引用
されていました。

”Elementary, My dear Watson”
 (基本的な事だよ、ワトソン君) は有名なホームズ語録の1つですが、
今回BBC版で初めて聞けました。
S1の時だったか、ゲイティス御大が 「Elementaryは現代の若者が使うには古臭い言い回しなので シャー
ロックには言わせなかった」と語っていたと思います。
マイクロフトはS1~S3で2,3回言っていましたっけ。

メアリーに届けられたカードに書かれた ”M” は一瞬モリアーティー(?)かと思ってしまったのですが
 ハドソンさんから「誰から?」
と聞かれ「イングランド」と答えたと言う事は マイクロフトの事なんですね。、”Immediately” で呼び
出され嬉しそうなメアリー って事はメアリーとマイクロフトが何故繋がっているのか・・・。



モルグでのモリーちゃんの姿は 昨年画像が出回った時点で 何かの冗談かと思ってしまいましたが、よく
考えてみるとこの時代の女性の地位(女性蔑視の状況下)を示す時代背景を表しているんでしょう。
そう言えば、今度書く予定をしている(頓挫してます!)『コナン・ドイルの事件簿』に於いても、何とか
医学大学に入学を許可された女子学生が周囲の偏見や迫害にあい男装をして通学する記述がありました。



まだまだ沢山ありますので、



・・・・・to be continued





→ Sherlock : The Abominable Bride 感想と検証 : (2)








Benedict misc. (33) : The Abominable Bride その他情報

2016-01-18 | The Abominable Bride
― The Abominable Bride その他情報 ―


(source : nixxie-fic)



Sherlock Special “The Abominable Bride” のDVDが昨日やっと届きまして取りあえず一回観ました。
今回は実際に作品を観るまで情報遮断!なんて偉そうに言っていたくせにtumblrさんがご親切にも(皮肉!)making, behind the
scenes等詳細画像大量にアップして下さっていた為 殆ど内容は分かってしまっていたのですが、これから個々のセリフを含め
細かに観込んで行きますので 追って情報等載せるかも知れません。
今回のエピソードは色々思う所も多いのですが、ネタばれになるといけないので 少し時間をずらして書いてみるつもりです。


~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~


話が変わりますが、イマジカBSチャンネルで『英国男優2016』と銘打って人気英国俳優出演作品(TVドラマ、映画)を放映するとの事です。

↓ こちらでご確認下さい。
http://www.imagica-bs.com/British/MonthlyFeature/

その一つに ベネディクトが出演した2005年の作品『To The End of The Earth』 が(新世界~航海の果てに)と言うタイトルで
日本初放送されます。(字幕版です)
3月25日(金)12:30スタート 



この作品はワタクシ個人的には数年前某YouXXXXで全編通して観られたのですが(今は観られないと思います)今回は字幕版と言う事ですから
楽しみではあります。
話題の悶絶卒倒シーン!!(←あ、ワタシだけ?)を含め 若いベネディクトが観られますよ。
是非ご覧ください。

同サイトに「現代英国男優ブームを牽引するスターから、往年の英国俳優まで 人気実力共にトップクラス英国男優60名のプロフィール
をご紹介」のページは嬉しいですね。
懐かしい顔ぶれ(先日惜しくも亡くなったアラン・リックマンも勿論含まれています。)や最近大人気の俳優さんが全て網羅されています。

↓ こちらです。
http://www.imagica-bs.com/British/Profile/
注 :トップページは上記と同じですので、ページ上段 ”profile”クリックして下さい。



こんなに連日更新するつもりはなかったのですが、年頭に書きました様に今年は色々忙しくなりそうです。
とは言え、相変わらず不定期更新になるかと思います。










Sherlock Spec. "The Amominable Bride" 情報

2015-12-01 | The Abominable Bride
― Sherlock Spec. “The Abominable Bride “  情報 ―

※ prom.画像等を含めて色々 ※


(source : Nixxie-fic)

いよいよ放映迄あと一ヶ月となりました。
そのせいか この所大量の情報が溢れ出てきています。
prom.画像、ベネディクトを始め マーティン、モファット&ゲイティス両御大の
インタビュー記事、コメント等 余りに多いので全部一度には読み切れず 少しずつ
読み進めては途中でお休み状態が続いています。



そんな中 プロットの一部が出てきました。
(Mistyさんが既に記事を書かれていて 綺麗に翻訳をなさっていたので ご了承頂き
引用させて頂きました。 スミマセン自分の労を惜しみまして(汗)。 Mistyさん
ありがとうございます。)

“Dr. John Watson, meet Mr. Sherlock Holmes”
「ワトソン先生、こちらはシャーロック・ホームズさんです。」

We've been here before – but what if this wasn't the modern day but the late Victorian
period ? What if the world's most famous consulting detective and his best friend lived
in a Baker Street of steam trains, hansom cabs, top hats and frock-coats?
「覚えのあるシーン。だが、もしそれが現代ではなくビクトリア時代後期だとしたら、どうだろう?
世界一有名な諮問探偵とその親友が住んでいるのが、蒸気機関車と辻馬車が走る、シルクハットと
フロックコートの時代のベーカー街だとしたら?」

Welcome to 'Sherlock' in 1895 !
「1895年の 'シャーロック’へ、ようこそ!」

Some things, though, remain reassuringly the same. Friendship, adventure and especially, MURDER・・・・
「だがありがたいことに、常に変わらないものもある。友情と冒険、そしてもちろん、殺人…」

Why is Thomas Ricoletti a little surprised to see his wife dressed in her old wedding gown ?
Because, just a few hours before, she took her own life・・・・
「トーマス・リコレッティが、古いウエディングドレスを着た妻を見て驚いているのはなぜか?なぜなら、
ほんの数時間前に彼女は自らの命を絶ったのだ。」


Mrs.Ricoletti's ghost now appears to be prowling the streets with an unslakeable thirst for
revenge. From fog-shrouded Limehouse to the bowelsof a ruined church. Holmes, Watson and their
friends must use all their cunning to combat an enemy seemingly from beyond the grave and the
final, shocking truth about・・・・the Abominable Bride !
「リコレッティ夫人の亡霊は、今や復讐の欲望に駆り立てられ、獲物を求めてさまよい歩いているようだ。
ある時は霧が死に装束のようにまといつくイーストエンドの湾岸地区で、またある時は廃墟となった教会の奥で。
ホームズとワトソン、そしてその友人たちは、一見死から甦ったかのような敵と“忌まわしい花嫁”の恐ろしい
正体に立ち向かうため、あらゆる巧妙な手段を講じなければならない! 」


以前も書きましたが、”The Abominable Bride" は正典 ”The Musgrave Ritual”「マスグレーブ家の儀式書」
からの引用と言われています。
このエピソードは ”A Study in Scarlet" 「緋色の研究」で ホームズがワトソンと出会う前の事件で、思い出を
ワトソンに聞かせている事件の中の1つとして、”・・・・a full account of Ricolettii of the club-foot, and
his abominable wife” 「内反足のリコレッティのひどい妻の完全な記録」 とだけ語られている部分をモチーフに
していると思われますが、正典でもこの事件の内容につては詳しく触れられていません。
これが 今回上記のプロットを含めどの様に展開されているのか非常に興味があります。





↓ 下の2枚はディオゲネスクラブ内と思われますが、今回未だ何処にもマイクロフト画像が出てきていません。
  あちこちで言われているのですが、何故でしょう?









いずれにしても、この作品は S3 そして次のS4の事は一旦脇に於いて 特別なそして純粋に楽しめるエピソードに
なって居る事を期待してます。
(S4は想像するだに恐ろしいんですもの・・・・勝手な想像ですけど。)













Sherlock Special : "The Abominable Bride" 見えてきた事

2015-10-27 | The Abominable Bride
― Sherlock Special : "The Abominable Bride" 見えてきた事 ―



ポスターヴァージョンです。 美しい!
(source : nixxies fic )



↑ 懐かしい画像と比較しました。 シャーロックの手の形が・・・・


オーストラリアで放映された最新トレーラーを見て色々な点に気が付きました。
あまり根掘り葉掘り詮索するのも如何なものかとも思いつつ、つい気になって幾つ
か書き出してみました。

↓ こちらがBBCオーストラリアのtrailerです。
http://www.bbcaustralia.com/video/?v=690654


先ず、タイトルの『Adomirable Bride』の出典元について dicoさんからお知らせ
頂き、『マスグレーブ家の儀式』に出て来る”Ricoletti of the club-foot, and
his abominable wife” だとの事でしたが、正典詳細覚えていないし、このタイトル
がどの程度内容に及んでいるのかは未だ分かりません。
これから正典読み直します。

最新ロングバージョンのトレーラーを観て 個人的に一番感動したのは・・・
シャーロックが ”Come, Watson, Come!、The game is afoot !” と言っていましたよ~!
やっぱりね。 このセリフを外しちゃダメですもん。

正典では、
”Come, Watson, Come !
The Game is afoot.
Not a word ! Into your clothes and come !” となって居ます。

現代版では ”The game is on !” なのですが、 ヴィクトリア朝です!
このフレーズは拘りがあって(拙ブログのタイトルにもしている様に)、以前の記事
にも何度か載せています。

以下はグラナダ版『空き家の冒険』の際に書き残したものです。

『私のブログタイトルにもした ”The Game is afoot”について触れてみますが、元々の
出典は 正典(アビー荘園??)でホームズがワトソンに向かって叫んだ台詞 ”The game
is afoot. Not a word ! into your clothes and come” ( 獲物が飛び出したぞ。
問答無用だ! 着替えをして着いて来たまえ)と訳されている通り、この場合は ”game”
が狩猟の対象となる動物や事象等の意味に使われていたようです。
そして、この ”The game is afoot" 元々はシェークスピアの「ヘンリー5世」の中
にあるセリフで ”The game's afoot・・・・・The onwards for England, Harry
and St. George !” でフランス軍の突撃する際に部下を鼓舞した台詞。だそうです。
ahootはon footの古語ですのでBBC版でシャーロックは ”The game is on !” と
なって居る訳で、この場合gameは「ゲーム」と解釈されるんですね。

余談ですが(又!)、ガイリッチー版ではホームズが先のヘンリー5世の台詞を
引用して ”The game is afoot” バージョンを言っていました。』



↓ グラナダ版の画像です。




それから、これも色々触れられていましたが、汽車の中のシーンが正典パジェット版挿絵と
よく似ていると言う点。

 
 
ただ、この点に関しては、グラナダ版がそっくり同じなんですよ。

 
                    ↑ それに関連して、手の形繋がりで(古い物引っ張り出してきてスミマセン!)


実際に放映される迄 今後も色々妄想、想像が続くんでしょうね。
まぁ、これは以前も(特に S3の時)同じだったんですけど、こういう風に想像する事も
又楽しみではあるんですけど。
  


ところで、S4ですが 1月から撮影開始と言われていたのですが 案の定春からと
なってますね。 
Moffatiss両御大只今執筆中との事。
dicoさんからも教えて頂きましたが、London Comic Conでスーさんもそのように述べて
いたとの事です。
やっぱり遅れた! もうこれ以上遅れないで下さ~い!