― ”The Private Life of Sherlock Holmes” ―
ビリー・ワイルダー版 「シャーロック・ホームズの冒険」 : 粗筋と検証 (2)

・・・・・2回目ですが 今回も盛大にネタバレ続きます。
ある晩馬車の御者が謎の美女を221B に運び込んで来ます。
彼女はテムズ川で溺れていた所を御者が見つけ、何故か221Bの住所を持っていたので
此処まで連れて来た。 馬車代を払って引き取って欲しいと言います。
彼女は頭を殴られた様子で記憶を失っているし、言葉も理解しない様子。 (英語では無
い訛りがある)

着けている衣類や指輪から ホームズは彼女がベルギー人で既婚者であるガブリエルで
ある事を導き出します。
(この美女が誠に妖艶で訳アリ風です)。
その晩は休ませるために自分のベッドを提供する優しいワトソン君(自分はカウチで寝ます)。

翌朝目覚めたガブリエルは混乱したまま ”一糸纏わず=全裸で” 現れ、ホームズを夫と
間違え抱きつきます。
ホームズ一瞬微妙な表情をするものの、少しも慌てず・・・
ガブリエルはベルギーで高価なmarabou feather付のピンクのネグリジェを買ったと言い、
ホームズは「そのネグリジェは何処にある ?」に「スーツケースの中よ」、
「そのスーツケースは何処だ?」と聞くと「分からない」とガブリエル。
(* ところで、marabou =マラブーとは、アフリカハゲコウの事らしいですね。その羽
が婦人用の高級衣類に使われるらしいです。 つまり高価なネグリジェだって事ですよね。)
そのまま自分のベッドで休ませました。

一方カウチで眠った為体のあちこちが痛いとハドソンさんに背中を押してもらっていたワトソン
は ガブリエルの様子を見に行くと部屋に居ない。
慌てたワトソンはホームズが居ないと気付き部屋を探すと 何と彼女は裸でベッドで寝ています。
ワトソンとハドソンさんはビックリ。 「困っている依頼人に早速手を出したな」と勘違いした
ワトソンの元に 颯爽とホームズが帰宅。
「ホームズ、卑劣だぞ! 君には分別も道徳観念も無いのか」と食って掛かるワトソンに、「全く
無い」と涼しい顔のホームズ。
「もう少しで君がこの機会を利用して・・・」と食って掛かるワトソンに 「利用させてももらったよ。
彼女の身体は感動的だったよ」← おい!
”You cad !”「悪党!」と怒るワトソンに、「特に右手のひらが」と云うホームズ。
ホームズが興味を持ったのは彼女の手のひらに書かれていた(転写していた)「301」という数字で、
この数字が駅に預けた荷物のラゲッジタグだと推理し、彼女のスーツケースを取って来たのでした。

中にはガブリエルが言っていた ”Pink" のネグリジェその他の日用品。手紙の束、夫のの物と
思われる写真等が入って居ます。
(* この ”スーツケース”、”ピンク” と云うのも ”A Study in Pink"を連想します。やや強引
かな?)
この荷物を見せたガブリエルは自分の事を思い出した様で、経緯を話し出します。
(ちゃんと英語が話せるようになっている??)
入って居た手紙の束から、彼女の名前がガブリエル・バラドンだと判明します。

記憶を取り戻した彼女は二人に向かって、”Which one of you is Mr. Sherlock Holmes ?!”
「どちらがホームズさん?」と尋ねます。
(* これも”The Sign of Three" に引用されています。
そう言えば、現代版でジョンがおでこに名札を付けたシャーロックを指さすシーンは好きだったわ~!)
(* 何より、”一糸まとわず”+”ホームズのベッドで眠る”+”ホームズのガウンを着ての登場”←
これらは全て”A Scandal of Belgrevia" のアイリーンに踏襲されています)。
鉱山技師である夫が新型の空気ポンプを発明し、英国のヨナ社に雇われ英国に滞在中であったが
手紙をやり取りしているうちに音沙汰が無くなった。
心配になりロンドンにやって来てヨナ社を尋ねたが、そこは空き家でヨナ社も存在しなかった。
ベルギー大使館に相談したらホームズを紹介されたが、夫を探している所を何者かに襲われて
テムズ河で溺れかけたのだと言います。
ホームズはガブリエルに夫宛ての白紙の手紙を書かせます。
そして、「この手紙を誰が、何の目的でどうやって回収するのかが問題だ」と言い3人で手紙の
宛先とされていた場所に出掛けました。
屋根裏から侵入すると そこには沢山のカナリヤが飼われていた。

戸袋に隠れて様子を覗っていると車いすに乗った怪しい女性が入って来たと同時に 数人の男
たちがヨナに届けると24羽のカナリヤを引き取って行きます。
カナリヤの籠の下に敷かれていた新聞が「インヴァネス・クロニクル」スコットランドの物で
あることから事件はそこにありそうだと推理するホームズ。
車いすの女性はさり気なく一通の手紙を置いて行きます。
それは兄のマイクロフトからの手紙で 「ディオゲネスクラブで待って居る。私の計算が正
しければ今は11時40分の筈だ」、ワトソンの時計をみると11時43分でした。 「マイクロフト
の計算は間違いない筈だから、君の時計を直した方が良いね」と云うホームズ。
(* この 「マイクロフトは計算を間違わない」という表現も ””His Last Vow"に引用され
ていたと思います)。


(* ”The Abominable Bride" の感想にも書きましたが、BBC版でディオゲネスクラブの
コンシェルジェの名前を ”ワイルダー”にしていましたもん。)
ディオゲネスクラブに着くと マイクロフトは二人に貴重なワインを勧めながら 同じ街に
住んで居ながらめったに会わない。「ギリシャ語通訳」以来だなと言いつつ ベルギー人技師
を探している様だが この件から手を引く様に言い渡します。
「国家機密に係る事だから お前の手には負えない」と。
(* このシチュエーションは ”His Last Vow" にも引用されていました)。

マイクロフトは「グレンナフリッヒに3箱、赤巻きは城へ」と謎の指示を部下に伝えています。
ホームズは帰る道すがら マイクロフトが口にしていた不可解な言葉を捉えていて、その中の
”グレンナリッヒ” はスコットランド語で”イチイの木の谷”と言う意味であるとワトソンに
知らせます。
マイクロフトの指示に従う筈も無いホームズは 221Bに戻ると、2人にこれからスコットランドの
インヴァネスに向かう汽車に乗ると伝え、夫を探しに行ってくれるのだと喜ぶガブリエル。
そして、ホームズとガブリエルが ”アッシュダウン夫妻”、ワトソンは ”Valet" 従者と云う
設定です。
ここで、ホームズは 「ゲームの始まりだ」 ”The game is afoot” を言うのです。
(* 流石! ちゃんとこのフレーズは押さえています、ワイルダー監督)。
この後、ガブリエルが不審な行動を起こします。

窓から外に向かって日傘を開いたり、閉じたりを繰り返す。 そして外にはそれを見ている怪しい男が・・・・
(ここで、ガブリエルがただの依頼人ではなさそうだと示されるのです)。
・・・・to be continued です。
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ビリー・ワイルダー版 「シャーロック・ホームズの冒険」 : 粗筋と検証 (2)

・・・・・2回目ですが 今回も盛大にネタバレ続きます。
ある晩馬車の御者が謎の美女を221B に運び込んで来ます。
彼女はテムズ川で溺れていた所を御者が見つけ、何故か221Bの住所を持っていたので
此処まで連れて来た。 馬車代を払って引き取って欲しいと言います。
彼女は頭を殴られた様子で記憶を失っているし、言葉も理解しない様子。 (英語では無
い訛りがある)

着けている衣類や指輪から ホームズは彼女がベルギー人で既婚者であるガブリエルで
ある事を導き出します。
(この美女が誠に妖艶で訳アリ風です)。
その晩は休ませるために自分のベッドを提供する優しいワトソン君(自分はカウチで寝ます)。

翌朝目覚めたガブリエルは混乱したまま ”一糸纏わず=全裸で” 現れ、ホームズを夫と
間違え抱きつきます。
ホームズ一瞬微妙な表情をするものの、少しも慌てず・・・
ガブリエルはベルギーで高価なmarabou feather付のピンクのネグリジェを買ったと言い、
ホームズは「そのネグリジェは何処にある ?」に「スーツケースの中よ」、
「そのスーツケースは何処だ?」と聞くと「分からない」とガブリエル。
(* ところで、marabou =マラブーとは、アフリカハゲコウの事らしいですね。その羽
が婦人用の高級衣類に使われるらしいです。 つまり高価なネグリジェだって事ですよね。)
そのまま自分のベッドで休ませました。


一方カウチで眠った為体のあちこちが痛いとハドソンさんに背中を押してもらっていたワトソン
は ガブリエルの様子を見に行くと部屋に居ない。
慌てたワトソンはホームズが居ないと気付き部屋を探すと 何と彼女は裸でベッドで寝ています。
ワトソンとハドソンさんはビックリ。 「困っている依頼人に早速手を出したな」と勘違いした
ワトソンの元に 颯爽とホームズが帰宅。
「ホームズ、卑劣だぞ! 君には分別も道徳観念も無いのか」と食って掛かるワトソンに、「全く
無い」と涼しい顔のホームズ。
「もう少しで君がこの機会を利用して・・・」と食って掛かるワトソンに 「利用させてももらったよ。
彼女の身体は感動的だったよ」← おい!
”You cad !”「悪党!」と怒るワトソンに、「特に右手のひらが」と云うホームズ。
ホームズが興味を持ったのは彼女の手のひらに書かれていた(転写していた)「301」という数字で、
この数字が駅に預けた荷物のラゲッジタグだと推理し、彼女のスーツケースを取って来たのでした。

中にはガブリエルが言っていた ”Pink" のネグリジェその他の日用品。手紙の束、夫のの物と
思われる写真等が入って居ます。
(* この ”スーツケース”、”ピンク” と云うのも ”A Study in Pink"を連想します。やや強引
かな?)
この荷物を見せたガブリエルは自分の事を思い出した様で、経緯を話し出します。
(ちゃんと英語が話せるようになっている??)
入って居た手紙の束から、彼女の名前がガブリエル・バラドンだと判明します。

記憶を取り戻した彼女は二人に向かって、”Which one of you is Mr. Sherlock Holmes ?!”
「どちらがホームズさん?」と尋ねます。
(* これも”The Sign of Three" に引用されています。
そう言えば、現代版でジョンがおでこに名札を付けたシャーロックを指さすシーンは好きだったわ~!)
(* 何より、”一糸まとわず”+”ホームズのベッドで眠る”+”ホームズのガウンを着ての登場”←
これらは全て”A Scandal of Belgrevia" のアイリーンに踏襲されています)。
鉱山技師である夫が新型の空気ポンプを発明し、英国のヨナ社に雇われ英国に滞在中であったが
手紙をやり取りしているうちに音沙汰が無くなった。
心配になりロンドンにやって来てヨナ社を尋ねたが、そこは空き家でヨナ社も存在しなかった。
ベルギー大使館に相談したらホームズを紹介されたが、夫を探している所を何者かに襲われて
テムズ河で溺れかけたのだと言います。
ホームズはガブリエルに夫宛ての白紙の手紙を書かせます。
そして、「この手紙を誰が、何の目的でどうやって回収するのかが問題だ」と言い3人で手紙の
宛先とされていた場所に出掛けました。
屋根裏から侵入すると そこには沢山のカナリヤが飼われていた。


戸袋に隠れて様子を覗っていると車いすに乗った怪しい女性が入って来たと同時に 数人の男
たちがヨナに届けると24羽のカナリヤを引き取って行きます。
カナリヤの籠の下に敷かれていた新聞が「インヴァネス・クロニクル」スコットランドの物で
あることから事件はそこにありそうだと推理するホームズ。
車いすの女性はさり気なく一通の手紙を置いて行きます。
それは兄のマイクロフトからの手紙で 「ディオゲネスクラブで待って居る。私の計算が正
しければ今は11時40分の筈だ」、ワトソンの時計をみると11時43分でした。 「マイクロフト
の計算は間違いない筈だから、君の時計を直した方が良いね」と云うホームズ。
(* この 「マイクロフトは計算を間違わない」という表現も ””His Last Vow"に引用され
ていたと思います)。



(* ”The Abominable Bride" の感想にも書きましたが、BBC版でディオゲネスクラブの
コンシェルジェの名前を ”ワイルダー”にしていましたもん。)
ディオゲネスクラブに着くと マイクロフトは二人に貴重なワインを勧めながら 同じ街に
住んで居ながらめったに会わない。「ギリシャ語通訳」以来だなと言いつつ ベルギー人技師
を探している様だが この件から手を引く様に言い渡します。
「国家機密に係る事だから お前の手には負えない」と。
(* このシチュエーションは ”His Last Vow" にも引用されていました)。

マイクロフトは「グレンナフリッヒに3箱、赤巻きは城へ」と謎の指示を部下に伝えています。
ホームズは帰る道すがら マイクロフトが口にしていた不可解な言葉を捉えていて、その中の
”グレンナリッヒ” はスコットランド語で”イチイの木の谷”と言う意味であるとワトソンに
知らせます。
マイクロフトの指示に従う筈も無いホームズは 221Bに戻ると、2人にこれからスコットランドの
インヴァネスに向かう汽車に乗ると伝え、夫を探しに行ってくれるのだと喜ぶガブリエル。
そして、ホームズとガブリエルが ”アッシュダウン夫妻”、ワトソンは ”Valet" 従者と云う
設定です。
ここで、ホームズは 「ゲームの始まりだ」 ”The game is afoot” を言うのです。
(* 流石! ちゃんとこのフレーズは押さえています、ワイルダー監督)。
この後、ガブリエルが不審な行動を起こします。

窓から外に向かって日傘を開いたり、閉じたりを繰り返す。 そして外にはそれを見ている怪しい男が・・・・
(ここで、ガブリエルがただの依頼人ではなさそうだと示されるのです)。
・・・・to be continued です。
← ビリー・ワイルダー版「シャーロック・ホームズの冒険」: 1/4
→ ビリー・ワイルダー版「シャーロック・ホームズの冒険」: 3/4