The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

Sherlock S4のエピソードタイトル発表

2016-09-27 | SHERLOCK : S4


今年も、Sherlock Official Convention (SHERLOCKCON)が先週末(9月23日~25日)にかけて
開催され大変な盛り上がりだった様です。
特に土壇場でベネディクトの出席が決まった25日はウェブ上の盛り上がりも大変で大量の情報が
出ていましたし 既に多くの方が記事にアップなさっていますが、昨日はS4のエピソードタイトル
が発表され 予想以上に早い発表で久しぶりに興奮状態になりました(汗)
遅ればせながら 拙記事にも記録しておきます。

S4E1 : ”The Six Thatchers”(6人のサッチャー)← 正典 ”The Six Napoleons”
S4E2 : ”The Lying Detective” (横たわる探偵)← 正典 ”The Dying Detective”
※ 共に直訳

ところがあちこち探してもE3のタイトルが何処を見ても出ていないのです。
御大達が出し渋っているのか、勿体ぶっているのか(有り得る・・・)

タイトルに関するヒントは 今年のSDCCで示されたキーワード、
”Thatcher”, ”Smith”, ”Sherrinford” から、又撮影中の状況などから色々憶測されてされて
いました。


先ず、”Smith” はS4参加発表されたトビー・ジョーンズがカルバートン・スミス役だとのことから、正典
「瀕死の探偵」”The Dying Detective”がモチーフになるだろう事は推測されていました。

又、”Thatcher”は マーガレット・サッチャー首相関連で女性首相(?)、又これも以前書きました様に
アンドリュー・ボーンがジェイク・サンフォード役で出演が発表された事から、ジェイク・サンフォードが
登場する正典「6つのナポレオン」”The Six Napoleons” が予想されました。

ただ、知らなかったのですが ”Thatchers” と言う名前のシードル(りんご酒)があるという事で、「6本の
りんご酒」なんて事も有り得るかしら・・・まぁ、色々妄想が出てきます。

キーワードの3つ目の”Sherrinford” は、以前も書きました様にコナン・ドイルが考えていたホームズ兄弟
の三人目の名前でもあり、S3でマイクロフトが口にしていて大いなる論争を引き起こした ”the other one”
(もう1人←これは字幕では「3人目」とされていました。)ではないか? トムヒが出演?と話題騒然となって
いたもう一人の兄弟ではないか? 等々色々取沙汰されていました。

で、結局E3のタイトルが今現在発表されていない中、アレコレ検索していて 昨晩見つけたのが ”The Three
Siblings” 「3人の兄弟」と言うタイトルが出ていて 思わず飛びついたのですが、どうやらこれはファン妄想、
推測のタイトルだった様で 慌てて真に受けて飛びついた私がアホだった様ですね(恥)
しかし、上手いタイトル考えましたねぇと感心してしまいます。
ともあれ、御大達の事ですから 気を持たせながら多分最後まで引っ張って ぎりぎりで満を持して発表する事に
なりそうです。
期待感膨らまして引っ張らなくちゃね。

新たな情報が出たら又ご案内するつもりです。




取り急ぎ・・・









グラナダ版 『踊る人形』 : 4/4

2016-09-25 |  ∟グラナダ版SH
グラナダ版 シャーロック・ホームズの冒険 : 『踊る人形』 ”The Dancing Men” (最後&感想)



ホームズは使用人たちを集め 誰か近所にエルリッヂと言う名の宿を知らないか
尋ねると下男のウォーカーがその名前の農場経営者が居ると答えました。
孤立した農場で今回の事件を知らない可能性は高いと。
ホームズは、ここに自分が居る事、事件の事は話さないように指示し書いた手紙を
エイブ・スレイニーに届ける様に依頼します。
「手紙を読んだ人物は駆けつけてくるはずだ」、と言い 召使のサンダースには、そ
の人物が来たらこの部屋に案内する様に。何事もなかった様に普通に振舞う様に
指示します。

そして仕事に戻るキング夫人には「夫人は無実ですよ」と安心させるホームズ。

マーティン警部は暗号を見て、「良く解読したな」と感心しますと、ここでワトソンの
出番です。


それには法則がある。「解読のカギとなったのは一つの文字 ”E” だ。英語で一番
多く使われる文字だよ。 夫人の名前がエルシーだったのは幸運だった。2つ目の絵では
”E” だけではなく ”L", ”S", ”I” もあった。 二つのメッセージは何かを訴えて
るはずだ。 そこに ”T” と ”G” が加わり ”エルリッジに来い”  だ」と まるで
自分が解明したかのように説明するワトソン(さっぱり分からないって云ってたくせに)
それをうっすら微笑みながら黙って聞いているホームズの表情はワトソンに対する信頼感と
スポークスマンにお任せという目に見えぬ絆の様なものが現れていて凄く良いシーンです。


スレイニーが犯人なら直ぐに逮捕を とはやる警部ですが、ホームズは自分が呼び寄せた
ので今ここに向かっている筈だと言います。


そこへサンダースが、男が近づいている事を知らせに来ると ホームズはサンダースに指示
しながら銃を手に扉の影に潜みます。
指示通りに書斎にスレイニーを書斎に案内するサンダース。(この子は大したモンです)。


スレイニーが書斎に入った途端頭に拳銃を突き付けられます。

(珍しくホームズ自身で拳銃を持ったケースですね)
すぐさま警部が手錠を掛けました。
(それにしても かなり ”髭髭”してますなぁ、このスレイニーは)

ホームズが 「エイブ・スレイニーだな?」と確認すると、「君は誰だ?」
「私の名前は知らないだろうが シカゴ警察と言えば覚えがあるだろう」とホームズ。
そして「悪い知らせがある。 キュービット夫人が瀕死の状態だ」と知らせると、スレイニーは
一時間前に彼女から暗号の手紙を貰ったのだから、と信じようとしません。
するとホームズは「解読されない暗号は無い」と言い、これまでスレイニーがエルシーに宛てて
書いた暗号を解読してみせます。
そして、エルシーがキュービット氏の死に絶望して自殺を図り危篤状態だと聞かされたスレイニーは
動揺して彼女に会わせてくれと懇願しますが ホームズは彼女は夫殺しの容疑が掛けられているので
その疑いを晴らせるのはお前だけだと諭します。


自分に出来る事は真実を話す事しかないと スレイニーがこれまでの経緯を話し出します。
エルシーの父親はシカゴの大物(暗黒街の有力者)で、”踊る人形”は彼が作り自分たちが暗号として
使っていた。 エルシーと自分は婚約していたが 彼女はシカゴを嫌いヨーロッパへ逃げた。
彼女の結婚後ようやく居場所が分かり手紙を送ったが返事をくれなかった。
ホームズは冷たく「燃やしたんだ」と言います。
「彼女は幸せに暮らしていたんだ」とワトソン。
エルシーを連れ戻しに来たがメッセージを残しても音沙汰が無い為苛立って脅すことになった。
ところが昨日エルシーから手紙があり、夫が寝た後会って話をしようと言う内容だった。
エルシーは結婚してとても幸せだ。彼を愛している。 ヒルトンを巻き込みたくないから私の全財産を
渡すからこれで諦めてくれと懇願します。
婚約していたと言うスレイニーに、父親が勝手に決めた事だから帰ってくれと頼みます。
一緒に帰ろうともみ合いになった時キュービット氏が部屋に入って来て窓から逃げようとしたスレイニー
に向けて発砲。 スレイニーが撃った弾はキュービット氏の心臓を一撃し、死亡させてしまった。
それを見たエルシーは絶望して自ら頭を撃ち自殺したのでした。

(すべてホームズが推理した通り)

スレイニーは無事逮捕されました。


又難解な事件が起きたら是非ご協力を願いたいとお礼を述べる警部にそっけない顔を向けるホームズ
ですが、ワトソンから「手紙に何て書いたんだ?」と聞かれると「解読して見ろ」と穏やかな表情に
変わるシーンが印象的です。

ワトソンが暗号で書かれた手紙を解読すると ”Come here at once” 「今すぐにここに来て」。
「簡単だろ?」と微笑むホームズが良いです。


最後にワトソンのモノローグで、語られます。
スレイニーは死刑を宣告されたが キュービット氏が先に発砲した事が考慮され情状酌量によって
減刑された。 キュービット夫人は完治し今も屋敷で静かに暮らしている。

と言う訳で、依頼人であるキュービット氏は残念ながら救えなかったものの 犯人逮捕、夫人が
救われたという事で一件落着と言う結びになっています。
最後にイングリッシュ・ホルンのテーマ曲と共に馬車が屋敷を離れていくシーンは郷愁を感じさせる
印象的なエンディングとなっています。





このエピソードは謎の暗号解読、殺人事件、現場検証、犯人逮捕劇とミステリーに欠かすことが出来ない
要素が盛り沢山に含まれており、シリーズ中でも1,2を争う内容になっていると思います。

そして、ホームズとワトソンの関係が特に素晴らしく魅力的に描かれています。
キュービット邸に到着後ワトソンがホームズを紹介するシーン、ホームズの代わりに警部に暗号の解読に
ついて説明する時の満足そうに微笑むホームズ。
これらのシーンを見ていると2人の深い信頼関係を感じさせられ 素晴らして嬉しくなります。

何よりも 何度も繰り返しますが、この頃のジェレミーの美しさ、動作の機敏さ等は見ていてもぅクラクラ
するほどで 時にコミカルにと表情も豊かで生き生きと人間味にも溢れるホームズを演じていて好きですわ~!
又 何度か見返していると 初代バーク・ワトソンの素晴らしさも改めて感じさせられ 大勢の評価にもある
様に素晴らしいワトソンでした。
ホームズの頭脳を尊敬しつつ、同僚として自分の役割も十分承知しており 同じ立ち位置にいるワトソンだと
感じます。
何より、時にコミカルな表情、動き、お茶目な表情には和まされることもありました。
残念ながらS2「最後の事件」で降板しましたが、S3の「空き家の冒険」で2代目エドワード・ワードウィック
に交代と丁度いい節目でのスムースな交代だった様に思われます。
ワードウィック・ワトソンは別の意味でいい味を出した穏やかなワトソンです。
やはりホームズを敬愛しつつ、後姿を追っている印象があります。

そう言えば、昔TVでこのシリーズを見ていた時、ある日、あれ?ワトソン変わった?と思ったことを覚えています。
吹き替えも、長門裕之氏から福田豊士氏に変わったんですが、まぁ私とした事が良く覚えていた事! 


エドワード・ワードウィックに触れていたので 余談ですが・・・・
ワードウィックがワトソンを降板した理由が、このシリーズに拘束されると他の作品に出る機会が無くなるから
とか、撮影に縛られて家族と過ごす時間が犠牲になるからとか言われています。(真偽は分かりませんが)
そんな折、dicoさんから” Third Star”に出演しているトム・バークがデヴィッド・バークの御子息だと
教えて頂きました。 全然気付いていませんでした。

丁度良い折なので、二人の画像を並べてみました。

トム・バークはRADA卒業の優秀な役者さんなんですね。

ついでなので、ジェレミーのご子息も・・・

デヴィッド・ハギンズ氏です。 役者の道には進まず著述業をなさっているようですね。
因みにジェレミーの本名は Peter Jeremy William Huggins
余談ですが、例のソファひらりのシーンはこのご子息のアイデアだったと書かれていたのを思い出しました(有難う!)。


~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~


最後に、踊る人形の暗号解読表がありましたので参考までに、


”E”は正にホームズのポーズの通りです。



以上で終わります。

お付き合い頂き有難うございました。




← グラナダ版 『踊る人形』 : 3/4

『グラナダ版シャーロック・ホームズ』 : Index







グラナダ版 『踊る人形』 : 3/4

2016-09-20 |  ∟グラナダ版SH
グラナダ版 シャーロック・ホームズの冒険 : 『踊る人形』 ”The Dancing Men” (3)



ダービシャ―駅に到着しキュービット邸に急ぎ馬車に乗ろうとするホームズとワトソンを
ロンドンから来た医者と間違えた御者が言うのには「彼女はまだ生きている。 夫殺しで
絞首刑人なるだろうが・・・」それを聞いた2人は茫然とします。
(さすがのホームズも衝撃を受けた表情。 遅かったか・・・)

屋敷にダービシャ―警察のマーティン警部と医者のカーシュ氏が居り ワトソンがホームズ
を紹介、自分は同僚のワトソン医師だと名乗ります。
(ここでもスポークスマン担当のワトソン)
ホームズの名を聞いたマーティン警部は一瞬驚いた顔つきをしますが この事件にどんな
関係があるのか不審な面持ちで尋ねると、ホームズは「密接な関係だ。彼は私の依頼人だった」
と話します。
しかし事件発生は今朝の3時だったのに何故こんなに早く到着したのか尋ねる警部に「予想
していた。」とホームズ。 「防ぐつもりだった」とワトソン。
「残念なことに悲劇は防げなかったがせめて正義を全うしよう。 協力してもらえるかな。
それとも別々に捜査を?」と言うホームズに対し「協力しましょう」と警部。



警部によれば、キュービット氏は心臓を撃たれ 夫人も頭部を撃って意識不明の重体だとの事。
夫人が夫を殺し その後自殺を図ったのは明らかだと説明します。
現場を見る前に使用人の話を聞きたいと言うホームズの指示で 使用人全員の事情聴取が
行われます。


使用人頭(?)のキング夫人によれば 騒ぎがあったのは3時頃で 爆発のような音で目が
覚めた。その一分後にもう一度小さな音がしたので強盗が入ったのか 火事が起こったのかと
慌てて二階に行ってみたが寝室の扉は開いておりベッドが空だったので様子を見に一階に下りた。
一階では硝煙の匂いが強烈で それは二階でも同じ匂いがしたのだと言いますが 動揺して居り
説明も儘ならない様子。

それを見たワトソンがホームズの耳元で「キングさんに座って貰ったら?」とささやきます
(ここでも気遣いのワトソン)


書斎の扉は開いており 部屋に入ると血だらけの奥様が倒れていた。
ここでメイドのサンダースが横から口をはさみ情報を補足します。
「奥様を寝室に運び医師と警察に連絡をしました。」
(このサンダースがなかなか利発でしっかり冷静に事態を観察していた様子で 流石のホームズも
黙って彼女の話を聞いています)

彼女によれば 誰かが侵入した形跡もなく ドアも窓も全て閉まっていたとの事。

この後現場の書斎に移り検証を始めます。
キュービット氏は心臓に一発 恐らくは即死。弾は未だ体内に残っている筈だと医者が云います。
夫人を打った弾は?と訊ねるホームズに対し 未だ体内に残っており恐らく摘出は難しいだろうとの事。
テーブルの上には夫人のバッグと中に50ポンド札が20枚入って居ました。
「お金では解決しなかったか・・・」とホームズが呟きます。

落ちていた銃を調べていたワトソンは「弾は2発発射され2人が撃たれた」と言いますが その間窓際を
調べていたホームズは「窓枠に撃たれた弾はどう説明する?」と言うので慌てて見に行くと確かに弾が
残っています。



「よく見つけましたなぁ」と驚く医者に 当たり前の様に「探したからだ」とホームズ。
「つまり3人目が居たのか」という警部に、「その通り」とホームズ。

使用人が部屋に駆けつけた時には窓が閉まっていた。 つまりキュービット夫人が閉めたのだ。
始めに使用人達が2階で硝煙の匂いを嗅いだのは窓が開いていて風が吹き抜けたからだとホームズは
推理しました。
窓はわずかな間開いていたのだと言うホームズに、何故”短い間”だと分かるのかと疑問を口に出す
警部に、ロウソクのロウが垂れていない。と答えるホームズに
「素晴らしい推理だ」と感心する警部です。
同じ物を見ていてもやはり発想、推理のポイントが違うんですね、ホームズは。

もし窓枠に向けて発砲したのがキュービット氏なら そこから逃げようとしていた男を狙って打った
に違いない。
「キュービット氏を撃ったのはその男?」と言う警部に「その通り。私と全く同じ意見だ」と少し
警部を持ち上げるホームズなのです。(ちょっと謙虚にも見えますが・・・)

そう言うとホームズは窓から外に出て空の薬きょうを探します。



証拠を消さない様に慎重に動くホームズのアクロバティックな動きが・・・
そして薬きょうを見つけました。



聞こえた銃声が2回なのはどう説明するんだと言うワトソンに、キング夫人の証言を基に、爆発の様に
聞こえた最初の音は2発がほぼ同時に発射されたからだ。
一発はキュービット氏に当たり、もう一発は彼が窓枠を撃った音だと説明するホームズに対し、3発目は?
とワトソンが尋ねます。
ホームズは「悲劇と言うしかない。 絶望した夫人が自殺を…」と答えました。



ここで既にホームズは事件の全容が見えている様です。
3人目の男とは・・・




・・・・to be continued です。(次で終わりにします。)




← グラナダ版 『踊る人形』 : 2/4
→ グラナダ版 『踊る人形』 : 4/4

『グラナダ版シャーロック・ホームズ』 : Index






グラナダ版 『踊る人形』 : 2/4

2016-09-15 |  ∟グラナダ版SH
グラナダ版 シャーロック・ホームズの冒険 : 『踊る人形』 ”The Dancing Men” (2)




帰宅したキュービット氏は再びドアに人形の絵が描かれているのを発見します。 
そして早速写しをホームズに郵送。


その夜エルシーはキュービット氏にその人形の絵はただのいたずらで気にしすぎだと言う
のですが明らかに怯えている。
そんな時窓の外に怪しい人影が・・・ 慌てて銃を手に外の出たキュービット氏は新たな
人形の絵を見つけます。

再び221Bを訪れたキュービット氏は「妻はその男も人形の意味も知っている」。
ホームズは「これはかなり根の深い事件ですよ」、「我々も近々伺います」とキュービット氏
を送り出します。
冷淡な態度で接するホームズに「少し冷たすぎるぞ」とたしなめるワトソンです。
「同情しても仕方がない」と一言で切り捨てるホームズ。

(そう言えば BBC版”The Great Game”でもシャーロックが同じ様な事を言っていました。
「同情すれば被害者を救えるのか? 救えないなら同情なんて不要だ」。
確かにね。感情に流されないで頭を使って理性的に考える。 事件を解決することが自分の
役割なのだというホームズ&シャーロックらしい考え方なんでしょうね)

「静かにしてくれ」と暗号に取り組むホームズに、「分かった。邪魔にならない様にするよ」
と新聞を読み始めるワトソン。
(タイムズ紙の影でホームズの暗号解読論文を開いてみようかどうか迷うワトソン)

キュービット氏が自宅に戻ると又しても庭のベンチの上に置かれていたという人形の絵を下男が
届けてきたので、すぐにホームズに送ります。

その頃ホームズは次第に暗号を解読し始めています。
 
↑ 既に ”ELSIE”も解読済み

「進展したよ」と言うホームズに、「僕にはまだ分からん」とワトソン。
アメリカに電報を打つと言うホームズの手元には”ABESLANE” と書かれています。





「エイブスレイニーとは?」と尋ねるワトソンに、
「これが”E” なら、”旗”は単語の終わりを意味する」とポーズでで示すホームズ。


↑ 有名な 「これが ”E”なら・・」のシーン


↑ 「旗は単語の終わりを意味する」

エルシーは密かに屋敷の隅にあるベンチに隠すように手紙を措いています。

(髪は乱れ憔悴した様子のエルシー)

221Bではお食事中。


ワトソンは「実に美味い肉だ。ハドソン夫人は腕を上げた」とひたすら食事中なのにたいし、前に
座り食事に手を付けないホームズ。 「食べないのか?」とワトソン(どんな時にもしっかり食事を
するワトソンン。豪胆なの? 腹が減っては戦は出来ないって・・事ね) 
「アメリカからの返事が来ればこの事件は解決する」とイライラ 心ここにあらずのホームズです。
(そう言えば BBC版 ”The Blind Banker” でも中華レストランでジョンだけが食事していて
シャーロックは食べてなかったですね)

気持ちが焦り落ち着かないホームズはモルヒネの注射器に手を伸ばしたりするんです。
結局引き出しにしまいますが・・・危ない危ない。


一方報キュービット氏は踊る人形の悪夢にうなされフト夜中に目覚めえると隣にエルシーが居ない
ことに気付きます。
不審に思いロウソクと拳銃を手に階下に降りると人声と争う声が・・・
慌てて部屋に入ると銃声が響きました。

その頃ホームズはソファーでお休み中。

↑ このシーンはジェレミーファン皆様にはは良く知られた堪えられない場面です。
ただ横になっているだけなのに何て素晴らしい絵になってしまうんでしょう(眼福!)

ドアをノックする音に目覚め慌てて階下に走り降りると アメリカからの返事ではなくキュービット氏
から又もや人形の絵が届きました。

↑ これも良く知られた大切な場面。 ソファーをヒラリと飛び越えるホームズのカッコ良い事(眼福!再び)
(動きが早くてせっかく貴重な場面がブレました)


すぐさま暗号を解読するホームズが黒板に書き出した文字を見た途端 2人とも瞬時に無言で行動を起こしました。

(この暗黙の了解、阿吽の呼吸という様なシンクロした2人の行動が凄く良いんです)

そこには、
”ELSIE PRE-PARE TO MEET THY GOD” (エルシー 神に会う準備をしろ)
(※ ここで前回ハムレットの時に書いた ”Thy” = 汝の が使われています)



2人が馬車に乗り込もうとした時シカゴ警察からの電報が届きます。
「エイブ・スレイニーは危険人物です」
これを読んだ途端馬車を急がせ駅に向かいました。





※ 今回はファンにとってはお宝、眼福シーンが多く画像ベタ貼りで内容は余り進展しませんでした(汗)





・・・・to be continued です。



← グラナダ版 『踊る人形』 : 1/4
→ グラナダ版 『踊る人形』 : 3/4

『グラナダ版シャーロック・ホームズ』 : Index





グラナダ版 『踊る人形』 : 1/4 

2016-09-11 |  ∟グラナダ版SH
グラナダ版 シャーロック・ホームズの冒険 : 『踊る人形』 ”The Dancing Men” (1)



1984年放送(「ボヘミアの醜聞」に次ぐ2作目です)
ワトソンは初代 デヴィッド・バーク


この作品は正典中でも人気の高い作品ですし 個人的にも好きな作品ではありますが、
BBC版との関連が無いと思って今迄触れず後回しになっていました。
が、良く考えてみれば「暗号モノ」という点でBBC版”The Blind Banker”とも少しばかり
ながら関連するのではないかと思い 遅まきながら今回取り上げてみました。

前回書きました「まだらの紐」と同様に初期の作品(2作目)なので 兎に角ジェレミー
が若く美しいし、表情も豊かで この作品ではこれに加えアクティブなホームズが描かれ
てるし めったに見られないキュートで生き生きとした表情もみられる 何とも有難い(嬉)
ジェレミー萌えの方にとっては”よだれ”、グラナダ版ファンにとっても貴重な”眼福”シーン
が多い宝箱作品です!
ストーリー自体も不可思議で不気味に見える暗号を解き進めるホームズが魅力的に描かれて
います。
ただ、ホームズが珍しく依頼人を救えなかったという点で残念な作品でもあります。

冒頭は今回の依頼人 ヒルトン・キュービットの邸宅。
長閑で美しい庭で妻のエルシーが最初の暗号を見つけ怯えるシーンから始まります。

その後221Bでは、(正典はこの場面から始まります)、顕微鏡を覗いていたホームズはいきなり
ワトソンに尋ねるシーン(この場面は良く知られているので少し細かく書いてみましょう)。



「所でワトソン、君は南アフリカ株の購入を止めたんだね」
ビックリするワトソンに、
「驚いたようだが、タネを明かせばガッカリするぞ」
「一見無関係な事を繋ぎ合わせる事で簡単に結論に達する事が出来る。 だが、つなぎ合わせる過程を
全く説明せずに結論だけ提示すると人を驚かせることが出来る」。



「君の左手の親指と人差し指を見て投資を断念した事が分かったんだ」
「どんな関係があるんだ?」と訊ねるワトソンに、推理の過程を示すホームズ :
昨晩君は指にチョークを付けて帰って来た → ビリヤードをしていたからだ → 相手は
サーストンだ → 一か月前にサーストンから南アフリカ株を共同購入しようと誘われていた
→ 君の小切手帳はずっと私の机の中にあり鍵を開けてくれと頼まれていない
∴ 君は投資をしていない QED(とは言ってませんけど、そんな感じ)



ワトソンは、「そうか簡単な事だな」、その反応にチョットがっかりするホームズが何とも人間味溢れて
可愛いんです。

そんなホームズを見て、「ホームズ、事件も無いのにやけに陽気だな」というワトソンに 「君も私の
推理方法を少しは使ってみたまえ」とホームズに言われたワトソンの推理、
”Sherlock Holmes is cheerful, so, Sherlock Holmes must have a case”
「シャーロック・ホームズは陽気である。 故にシャーロック・ホームズは事件を抱えている」 QED
← お見事! まぁそれ程でもないけど。


↑  「あたりー!」(実際はパッという声だけでしたが)
子供の様に依頼人から来た手紙でおどけるホームズは何時もクールな表情とは違う無邪気な様子を見せて
くれて、もうこれを見ただけでも「有難うございます!」と感謝したくなります。


依頼人のヒルトン・キュービット氏から来た手紙には子供が書いたような不思議な人の形が書かれています。
ワトソンは子供が書いた絵だろうと言うのですが 明らかに怪しげな意図を持つ暗号の様に見えます。
 
そんなところに依頼人のキュービット氏が深刻な様子で訪れました。
先に送られて来ていた踊る人形の絵を見て以来妻が怯えて動揺しているとの事。



「奥様の事を教えてください」とのホームズの問いかけに キュービット氏が語り始めた事は、
3年前女王の祝典の為ロンドンを訪れた際にアメリカから訪れていたエルシーと知り合い 次第に愛する様に
なり結婚したのだと言います。
ただ、結婚届を出す直前に絶対に過去を聞かないでくれと約束させられた。
その後幸せに暮らしていたが ある日シカゴのスタンプが押されたアメリカからの手紙を受け取ったエルシー
が突然怯え 封も切らず暖炉で燃やしてしまった。
それ以来妻が苦しんでいるのだが 過去を聞かない約束をした以上理由が分からない。 
少し元気を取り戻してきた時に又この絵が現れ事態が悪化してしまった。 警察に届けても笑われるだけだろう
から こうして貴方の所に来たのだと言います。
(だらだら話をするキュービット氏に段々イラついてくる様子のホームズ)



「秘密を打ち明ける様に奥さんを説得しては? 」と言うホームズに 自分からは聞かない約束なので妻から
言ってこない限り聞くことは出来ない。 でも自分が行動を起こすのは別なので こうして此処に来たのだと
いうキュービット氏に「協力しましょう」と約束するホームズ。



そしてさっさとお引き取り願うホームズ(結構ジャケンなんですよね、時々)は別れ際に 「ダービシャ―に
戻ったら周囲を警戒して下さい」と忠告します。


↑ さぁお帰りを。 の手が・・・

ワトソンがお見送りをして心配をなさらない様にとフォローします。


こうして見ていると ワトソンの役割が如何に重要なのか分かります(特にグラナダ版を見る限り)。
事件の記録係としては勿論ですが、医者としてホームズの健康面の管理係、時に危険物(リボルバー)担当係、
そしてそっけないホームズを補う接客(営業)担当係。 ホームズにとっては本当に有難い存在なんですが、
肝心のホームズがそれを十分に理解しているのか・・・・

早速暗号の解読に取り掛かるホームズ。


 
「手旗信号みたいだ」と言うワトソンに「私の暗号の論文を読んだことは?」と聞くホームズですが「少し読んだが
かなり難しかった」(多分殆ど読んでいないワトソン。笑)
「人形の動きには法則がある筈だからもっと人形の絵を集めないと」と既に解読にのめり込んでいるホームズですが 
その間彼の暗号の論文を手に取ろうか取るまいか逡巡するワトソンの表情が良いんですねぇ。





・・・・・to be continued です




→ グラナダ版 『踊る人形』 : 2/4

『グラナダ版シャーロック・ホームズ』 : Index






『SHERLOCK : S4』 オフィシャル画像 ” The boys will be back soon" 

2016-09-07 | SHERLOCK : S4

“The boys will be back soon ” (BBC One)

随分長い事シャーロック関連に触れていなかったのですが、一週間ほど前に 「SHERLOCK :
S4」のシャーロック&ジョン初のオフィシャル画像が発表されました。
多くの方がすぐに記事に載せていらしたので 今回は控えていようと後ろに下がっており
ましたんですが・・・・

SETLOCKの画像は山程アーカイブに保存してはあるものの、本編放送までは封印
しようと思っておりますので、この際考え得直し記念の為一応載せて置こうと思い直し
ました。

少し時間が経ってしまいましたし、他の方の記事にも被りますがこの際目を瞑って頂きご
容赦下さいませ。

今回発表された画像を見ても やっぱり暗い!っていうのが第一印象ですねぇ。
trailerを見た時から 全体がダークで一体どうなるのか不安ばかりでしたが、この画像か
らも同じトーンが感じさせられるんですね。
何といってもジョンがそっぽを向いているのが・・・どういう事?

以前出た画像は二人とも(?)キュートで良かったんですけど・・・


過去のシリーズのプロモーション画像と比べても全くカラーが違っています。


上段はパイロット版 & S1
中段はS2 & S3
下段はSpecial”The Abominable Bride” & S4

↓ Promo イメージポスター(By AncoraDesign)


↓ ファンメークのS4 各エピソードのスケッチです



(source :girloftenmirror)


とは言え、予定通りで行けば放送迄4か月を切りました。
心を落ち着けてジッと我慢で待ちましょう。

これまで過去のシリーズ放送状況から推察される 今後のタイムスケジュールを予想し
てみますと :

1,2か月中に各エピソードタイトル発表 → 2017年お正月或はその近辺に本国放送 → 
1月末or 2月始め位にUK版DVDが届く → BS NHKで吹き替え版放送が5月位(?) → 
AXNミステリーで字幕版放送が7月or 8月(?) → 日本語字幕版DVD発売
って感じになるかしら? と全く勝手な個人的予想であります(希望的観測)











『ハムレット』 ケネス・ブラナー版

2016-09-05 | ハムレット関連
ケネス・ブラナー版ハムレット(1996年制作)


 
先日ご案内しました様に AXNミステリーの放送を観る事が出来ました。
この作品をテレビ放映で観る事が出来るなんて予想もしていなかったので感激でした。
4時間という事で 同じテンションで全部見通せるかチョット不安が有ったのですが 面白かった
のです。
「ハムレット」が ”面白い” という表現は相応しくないかも知れませんが、時間の長さを感じ
させず最後まで見入ってしまいました。
前回も書きましたが、この作品は舞台を19世紀に置き換えてはいるものの原作のセリフをほぼ
完全に(一行もカットせずにと書かれています)
盛り込んだ史上初と云われる『完全版』と云わ
れています。
「ハムレット」は大昔に読んだきりなので ストーリーは覚えているものの セリフはごく一部を
覚えているだけなので 今回改めて原作を思い出しながら全編を見る事が出来た事はAXNミステリー
さんに感謝!です。

原作は云わずと知れたウィリアム・シェークスピアの戯曲でストーリーも良く知られた作品です
ので、今更浅学な私如きがストーリー自体に触れる事はもってのほかですので、今回はこの映画
作品に関して感想を少し書いてみました。

この作品の凄い点は、『完全版』という点に加え 兎に角配役が超豪華なんですね、繰り返しに
なりますが その凄さを下記にご紹介しておきます。



ハムレット : ケネス・ブラナー (監督兼)
オフィーリア : ケイト・ウィンスレット
ボローニアス : リチャード・ブライアーズ
ガートルード : ジュリー・クリスティ
クローディアス : デレク・ジャコビ
亡霊(ハムレットの父) : ブライアン・ブレスド
レアティーズ : マイケル・マロニー
ホレイショー : ニコラス・ファレル
フォーティンブラス(ノルウェー王子) : ルーファス・シーウェル
ノルウェー王 : ジョン・ミルズ
ローゼンクランツ : ティモシー・スポール
レイノルズ : ジェラール・パルデュー
墓掘り人 : ビリー・クリステル
イングランド大使 : リチャード・アッテンボロー
鑑定人 : ロビン・ウィリアムズ
プリアモス : ジョン・ギールグッド
劇中劇の王妃 : ローズマリー・ハリス
劇中劇の王 : チャールトン・ヘストン
マーセラス : ジャック・レモン
ヨーリック : ケン・トッド
ヘクバ : ジュディ・デンチ


先にも書きました様に 兎に角夢のような超豪華配役でして、脇のちょい役にまで凄い俳優陣が揃え
られていて 何と贅沢な事か。 特にジュディ・デンチに至ってはセリフ無でほんの数秒の出演!
それと前回出演者をご紹介した時には抜けていたのですが、何とチャールトン・ヘストンまで出演し
ていたのには本当にびっくりでした。 これ程の豪華出演者を揃え セリフもほぼ原作通りと言う
超大作はこれまで無いし、今後も制作されないのではないかとさえ感じられます。

これまで「ハムレット」の最高傑作と云われていたローレンス・オリヴィエ版は原作通りの設定で
あり モノクロの画面であったので 暗い、陰鬱な印象が有った記憶があります(とは言いながら
全編を通して見る事は出来ていませんが・・・)。
今回の作品は 舞台が19世紀という事で 原作の暗いイメージとは異なり 城の内部や調度品、衣装
などが、極めてきらびやか豪華絢爛で美しい画面になっています。 とは言いながら原作の格調高さ
は保っていると感じました。
原作の古典としての格調高さときらびやかさを同時に出すには19世紀という設定が丁度良かったので
はないかと思いました。



母と伯父の美しく豪華な結婚式の中で一人だけ喪服に身を包むハムレットの姿が 華やかな色彩の
中の黒一点という形で彼の心情を視覚から感じるシーンです。

冒頭に現れる前王の亡霊は甲冑を纏いおどろおどろしい姿で大魔神風。

サー・ケネスのハムレットは金髪で予想外(暴言)に美形で、勿論当時35,6歳という若さではあり
ますが 「刑事ヴァランダー」でのくたびれたオジサン(又暴言)の姿からは想像出来ない様な溌
剌とした姿で驚きました。



原作を読んでこれまで自分なりにイメージしていたハムレットは悪く言えば優柔不断、 繊細で憂愁
の深さと厭世感に悩むアンニュイなイメージを持っていたのですが、ブラナー版ハムレットは感情の
起伏が大きく怒り、悲しみ、時にコミカルに素晴らしく演技の幅が広く これまで勝手に持っていた
ハムレット像とは違ったイメージで生身の人間を感じさせる”動”のハムレットを描き出していた様に
思います。



又オフィーリアは原作を読んで持っていたイメージが線の細い、余り主体性の無いはかなげな女性
と言う印象だったのですが(全く個人的な感想ですが)、ケイト・ウィンスレットのオフィーリア
は気が強そうな 少し逞しいイメージを感じます。 ただ、そのせいで狂気がより強烈に感じさせ
られるような気もしますね。
気が狂ったオフィーリアが拘束服を着せられ 監禁されホースで水を浴びせられるシーンは予想外
の表現で驚きです。



鏡の前でかの有名な ”To be or not to be, that is the question” で始まる長ーーーい独白シーン。
息をもつかずあの長いセリフを語るって改めて役者さんって凄いな~と感心しながら 殆ど息を止めて
見呆けてしまいました。
余計な事ですが、鏡にカメラや照明が写らない様にするアングルが難しかっただろうなぁと妙な所が
気になり・・・

ところで、この ”To be or not to be・・・・・”の翻訳に関しては、一般的に「生きるべきか、死ぬべ
きか、それが問題だ」という訳が一番良く知られていると思われますが、明治の頃から ”be”の解釈が
色々あって、
例えば、

「ながらふべきか、しかしまた、ながらふべきにあらざるか、これが思案のしどころぞ」:矢田部良吉
「世にあるべきか、世にあらぬか、それが疑問じゃ」:坪内逍遥
「生か死か・・・それが問題だ」 : 久米正雄
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」: 河合祥一朗
「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ」: 小田島雄志

で、字幕はどうだったか?? えーっと、多分「生きるべきか・・・」だった様な。 字幕を追うだけ
でも結構大変だったのに、今回耳も動員して聞き取ろうと頑張っていたので(言い訳)

そして、ハムレットとオフィーリアの関係に関しては、古今東西研究者を含め実の多くの方々が色々
論争していたようですが、この作品においては二人は出来ている(結ばれている)、あーもう下品で
露骨にならない様に表現するのは難しい(汗)、つまり そういう事でして(?)、この点に関して
は個人的には最初に原作を読んだ時点から”プラトニック”なのだと思い込んでいた訳なのですが、
この作品での設定をもって考えると、例の有名なセリフ
”Get thee to a nunnery !”「尼寺へ行け!」が別の解釈 つまり nunnery”のもう
一つの意味である”売春宿、娼窟”という侮蔑の意味での解釈もできるのかと・・・

(注 : ”Thee ”は古英語でのyou(目的格)、主格youは ”thy”、所有格yourは ”thou”ですね。← 感心
にこれだけは大昔講義で習った事を覚えているんです)


↑ ホレイショーのニコラス・ファレルも印象的でした。



レアティーズとの決闘シーンは迫力もあり、映像的にも美しい場面でしたが、最後に王を剣で刺した
上にシャンデリアを投げつけるのはチョットやり過ぎの様な感じもありますが 殺しても飽き足らない
ハムレットの心情を表すには必要な脚色と考えたのかも知れません。

近年のハムレット作品は舞台、映画共に設定を現代に移した作品が多い様いですが、古典に触れる敷居
の高さを感じさせない為、取っつきやすさを感じさせるためなのかもしれないとは思いつつ、個人的に
はやはり原作のままの時代設定 せめてこの作品の様に19世紀あたりの設定にしないと原作の雰囲気、
キャラクターの心情を理解出来ない様な気もします(全く私見)

何れにしても 「ハムレット」の『完全版』をこれだけの高いレベルで映像化した事は大変な偉業だと
感じ、今回図らずもこの作品を見られた事は感謝ですし、幸運でありました。
久し振りに良い作品をみせて頂き堪能しました。


偶然trailerを見つけました。
短い物ですが 雰囲気だけでもご覧頂ければ・・・

https://youtu.be/UjHXIWLTsOk



『ブロードチャーチ ~ 殺意の町~』 : 2/2

2016-09-01 | 海外ドラマ
「ブロードチャーチ ~殺意の~町~」 S1(8エピソード)内容概略





なるべくネタバレしない様に勤めながら以下概略です。


海沿いの長閑な田舎町で11歳の少年ダニーの遺体が見つかります。
新しく赴任して来た警部補ハーディーと彼と共に捜査にあたる事になったエリーは息子が
ダニーと友達であった事、家族共親しかった事で私感を交えずに捜査を続ける事に困惑
しながら、又気難しいハーディーに戸惑い 時に対立しながらも事件解決のために捜査を
進めます。



ハーディーは以前携わっていた事件で致命的なミスを犯し(後にこの件は明らかになる
が)左遷に近い形でブロードチャーチにやってくるが 妻とは離婚、娘は妻の側に引き取
られ、自分も心臓に問題を抱えているという状態で 殆ど捨て鉢な態度、周囲には壁を作り
ぶっきら棒な態度でエリーの反感を買っているが 冷徹とも言える態度ながら事件を解決
しようとする彼と共にぶつかり合いながら捜査を進めて行くのです。



その中で 住民が次々に捜査の対象となり取り調べを受けるうちに それぞれが様々な過去、
隠された秘密を持って生きている事が判明していくのです。

海岸で遺体で見つかったダニーの行動は家族のだれも把握していなかった。 母のエリーは
自分を責め、前夜仕事の為に帰宅しなかったと云う父のマークのアリバイが無かった為疑わ
れる事になるが ホテルの経営者のベッカと浮気をしていた事が分かる。

野心的なカレン(大手新聞社ヘラルドの記者)はハーディーがダニーの事件の捜査をして
いる事を知り、彼の過去の失態を知っている為 上司には内緒でブロードチャーチに乗り
込み オリーを手なずけスクープを物にしようと画策し始める。

捜査が捗らないなか、死者の声が聞こえると言うスティーブが警察に名乗り出て来るが
ハーディーもエリーもペテン師だと取り合わない。 母親のベスに接触したスティーブは
「犯人を見つけようとしないで。見つけてもみんなが悲しむだけだから」とうダニーの
メッセージを伝える。
スティーブが呟く「ペンダント・・」という言葉に はっとして固まった様な表情を見せる
ハーディー。 実はこのペンダントが以前の事件の証拠品であったのですが 部下(元妻)
の失態でこのペンダントを無くしてしまった為に犯人を逮捕出来なかったと言う経緯が
あったのです。
この点で、もしかしたらスティーブは”本物”なのではないかと思わされます。

新聞配達のアルバイトをしていたダニーの雇い主であるジャックも実は前科があった。
15歳の少女を愛し 過ちを犯した為一年間服役していたという事が判明する。
服役後ジャックは彼女と結婚し息子も生まれたが 車の事故で妻も息子も亡くし傷心を
いやす為ブロードチャーチに移って来たのだった。彼がダニーを含む少年達にも関心を
持っていた事も疑惑の元になってしまったのですが、この件を知った住民の怒りが一気
にジャックに向かい その翌日ジャックは自殺し遺体が海岸で見つかる。 無実の罪で
ジャックを死に追いやってしまった事で自責の念に打ちひしがれる刑事達。

ぶつかり合いながら折り合いをつけながらハーディーと仕事を続けるエリーは ある日
彼を自宅の夕食に招く。
散々嫌がっていたが渋々エリーの家に訪れたハーディはワインと花とチョコレートを
手土産に持ってくるのですが、何にしたらいいか分からないから全部買って来た。って
こんな姿はチョット可愛いんです。
和気あいあいとは言えないながら夕食を終えホテルに戻ったハーディーは心臓発作で倒れ
病院に運び込まれました。 幸いホテルのオーナーのベッカが見つけたせいで命が助かった
状態だか 彼はこの事は人には云わないでくれ。 捜査から外されると直ぐに病院を出よう
とします。



病を隠してまで捜査にのめり込むハーディーにとっては、この事件を解決する事が以前の
失態を補う為の唯一の行動なのですね。
浮気された上、その結果証拠の品を失った妻の罪を被った冤罪に関しても 一言も言い訳も
せず心を閉ざしている彼にとって ダニーの事件を解決する事が唯一の贖罪なのかも知れません。
会う事の出来ない娘の写真を大切に財布の中に仕舞っているし 出て貰えない留守電に
メッセージを残すハーディーの孤独を感じます。

所で、このハーディーは時々メガネを掛けるんです(老眼?)、で、それを見て”ドクター”
を思い出しました。 ドクターも時々メガネを掛けてたんですよ(全く余談) 

一番怪しげな行動をしていたのは海辺のトレーラーに犬と共に暮らすスーザンという女性で 
彼女もある秘密を抱えていたのですが新聞社にそれを暴かれてしますのです。
彼女は自分の犬を本当に大切にしており その犬が唯一の家族だった訳なのですが 秘密
めいた生活をしているなかダニーの友達であったトムには大変優しく接していたのです。

親身に住民の相談に乗っていた代理牧師のポールも秘密を抱えていました。
外出するポールの後を付けたハーディーがその秘密を探り出しますが、事件には直接かかわって
いない様です。



事件現場でナイジェらしき姿を見かけたと言う情報もあり、ナイジェも取り調べを受ける事に
なるし、はてはエリーの息子トムまでも取り調べを受ける事になる・・・
トムはダニーとのメール履歴をPCから消去するやら、 ダニーの姉の部屋から麻薬が見つかる、
等々。 又直前までダニーが乘っていたスケートボードと携帯が見つからない等不信な事が
次々明らかにされ、 住民一人一人が次々に捜査、取り調べを受けそれぞれの秘密が明らか
になって行くうちに 全員が疑心暗鬼に陥ってくるのですね。

 

 

回を追うごとに犯人は誰なのかとのめり込んで見てしまいます。
クライムサスペンスではありますが、人間ドラマとしてそれぞれに心理状態を丁寧に描いています。

ビーチで自分がこの町の出身である事、「よくやってくれた」とエリーを労うハーディーは
この時点で犯人に気付いていたのだろうと思われるし この場のやり取りは切ないです。 




最後に意外な犯人が判明するのですが、犯人が分かったと言って事件解決、めでたしめでたし では
なく その後の人々の感情をを丁寧に描いているのが素晴らしい作りだと思います。
事件解決しても元の長閑な平和な町には決して戻らない。 人々の生活、感情も変わってしまう。

デヴィッド・テナントはカッコいいドクターとは正反対にうらぶれ感を漂わせた孤独な刑事役ですが、
流石に上手いな~! 目力が強いし、ハーディーの心理状態が素晴らしく表現されていて実に魅力的な
キャラクターを演じているので 次第にハーディーに感情移入してしまいます。 

反発をしながらも次第にハーディーに協力して共に捜査に携わるエリーが良いですね。
普通のオバサン風(暴言)でありながら 実に良い味を出しています。
非常に微妙で難しい立場にたっての警官として捜査に向かう複雑な役柄、心理状態を見事に演じて
います。
反発し合いながら次第にお互いに少しずつ受け入れ始める。 ハーディーのあしらい方を理解し
始め 彼とのやり取りは絶妙です。流石に主演女優賞受賞役者だと実感します。

英国ドラマは派手さは無いけれど どのドラマも丁寧に作られているし、兎に角出演者の演技力が
素晴らしいと何時もながら感じさせられます。
色々考えさせられ余韻を感じさせられる素晴らしいドラマだと思います。

見終って犯人が分かってから思い直すとあちこちに布石が散りばめられていた事に気付きます。
なので、この点を頭に入れながらもう一度ジックリ見直してみたいと思っています。


ところで、この作品は既にS2も制作されており、2017年にはS3も放送予定とされています。
(一応S3で終了と云われていますが・・・)
S2も何時観られるのか気が揉めます。



尚余談ですが、制作総指揮のクリス・チナブルはスティーブン・モファットに代わり S11からの
ドクター・フーの制作総指揮を務める事になっています。
モファット御大はドクター・フーのヤング向けスピンオフ ”Class” を制作担当になったとの事です。
スピンオフも興味ありますね。 ”ヤング向け”って言われちゃってるけど・・・(又話が逸れ
ました)




← 『ブロードチャーチ ~ 殺意の町~』 : 1/2