The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

ビリー・ワイルダー版「シャーロック・ホームズの冒険」 : 最後に

2016-06-13 | ビリー・ワイルダー版S・ホームズ
― ”The Private Life of Sherlock Holmes”  ― 
ビリー・ワイルダー版 「シャーロック・ホームズの冒険」:感想追加とSpecial Featuresに関して少々




冒頭で書きました様に、この作品を初めて見たのは随分昔の事だったのですが妙に気に
入っておりました。 
その後BBC版Sherlockに嵌りこみ、正典の読み直し、グラナダ版の観直し等繰り返して
いた後 改めてこの作品を見た時に又違った目で見る様になってきました。
そして今回の「忌まわしき花嫁」を観た時に 又新たに色々思い返す点、気付いた点が出
て来たので DVDで詳細に見直す事にした訳ですが、いや~予想以上でした。 今回初
めて気付いた点も多く 新鮮な目で見る事が出来ました。

何より、ワイルダー監督の正典に対する敬愛を感じ、単なるコメディータッチのパスティー
シュとは言えない細かい拘りを感じたと共に、BBC版でのモファティスがこの作品を如何
に愛しているかオマージュ感が只事では無いですね。
コミカルな部分を含み、ワイルダーらしいシャレたセリフも盛り込み、そしてタイトルにもあ
る様にホームズの私生活を描いている盛り沢山の内容でした。
ただ・・・・ これも最初に書いたのですが、ホームズ役がねぇ~。 どうもイメージが違うん
ですよ。 キリッとしたシャープさに欠けるというかね。 これは好みの問題かもしれないし、
メイクのせいもあるかしらって感じもあるんですけど(厚塗り、アイシャドー濃い)これも当時
の傾向なのかも知れないと感じつつ、コミカルな役処をこなしたワトソンの方が印象が強くってね。
何かと邪険に扱われながらもホームズの事を気に掛けるワトソンが凄く良かったです。
そして、何と言ってもマイクロフトは素敵でした。決まってます。
何やかんや言っても40年以上前の作品ですから、グダグダ言っても仕方ないですね(笑)

粗筋の途中で気付いた点を少しずつ書き込んでは来ましたが、一番感じた事はBBC版 ”A Scandal
of Belgravia” 「ベルグレーヴィアの醜聞」のアイリーン・アドラーはキャラクター及び設定
を含めほとんどがこの作品のオマージュだと感じました。
この作品でのイルゼは多分正典のアイリーンをイメージしているのではないかと思いますが、
ワイルダー監督は正典アイリーンのキャラクターを膨らませ、よりドラマチックな展開にして
います。
2人の類まれな知性の競い合いと 、強い自信に満ちた女性に対す淡い恋心を伴った敬愛を持ち
ながら そんな女性に欺かれる、そして異国で処刑された事がマイクロフトによってホームズに
伝えられる、衝撃を受けたホームズが窓辺に佇む後姿・・・・これら全てBBC版に踏襲されて
います。 例の ”The Woman” と呟くシーンですね。

アイリーン・アドラーと云えば、以前から何度も載せた事があるのですが、あのホームズの
懐中時計に入れられている写真に関して、ず~っとアイリーンだと思い込んでいたんですよ。
でも、今回改めて観ていると、どうやらアイリーンではなさそうですね。
イルゼかとも思われるけど、チョット若い様な気もするので 若くして先立った婚約者なのかしら?
とも思われます。


それと、これも改めて良く観ていると、ワトソンの私物ボックスにあったホームズの遺品の中に
ある楽譜には、”For Ilse von H.” (Sherlock Holmes)「イルゼ・フォン・H.に捧ぐ」となって
います。 やはりホームズはイルゼに対しては心に秘めた想いがあったんだな、と改めて切ないし、
そう言えば BBC版でもシャーロックはアイリーンの曲を作曲してましたねぇ。



ヴィクトリア女王登場は 「新ロシア版名探偵シャーロック・ホームズ」にも踏襲されていました。
女王と云えば、チョット気になったのが マイクロフトが女王に対して ”Ma'am "と言っている
のですが、女王なら ”Her Magesty “ と云うべきなのではないかしら?
と些細な事ですが・・・ただ、この敬称は ジョージ5世が定めた勅許状が基本的な指針となるとの
事(らしい)ので、時代設定的には問題ないのかとも思いましたが、本当はどうなのか良く分かり
ません(スミマセン)

他にもまだまだ書き洩らしている点もあるかも知れませんが、 取りあえずこの辺にして・・・・
DVDにはSpecial Featuresが収録されていて、これは今回初めて観る機会を得ました。
サー・クリストファーのインタビュ-等幾つか収録されている中で 一番興味深かったのは
カットされた部分が一部紹介されていた点でしたね。
実際に撮影されたのは4時間近かったのに殆ど半分になってしまった訳で、その削除さ
れた部分がこれまた面白そうなのです。 

カットされたエピソードは、
※ ”The Curious Case of the Upside Down Room” 「逆さまの部屋の珍事件」
※ ”Holmes Recounts an Affairs of the Past”「私生活の秘密 :学生時代を語るホームズ」
※ ”The Dreadful Business of the Naked honeymoners”「裸のハネムーンカップルにご用心」

どれもコメディー色が強く出ているエピソードだそうですが、いずれにしても勿体無いと思います。
観てみたかったです!
モファット氏は 「まるでシャーロッキアンへのヴァレンタインギフトだよ!!」と語っていた様
ですが、自身が筋金入りのシャーロッキアンであったワイルダー監督だからこそこんなに素敵な
パスティーシュを作ったんですね。  凄いです!!


↑ ワトソンのトルコ帽はグラナダ版「空き家の冒険」でも引用されていたのですが、正典の何処かに
書かれていたのか全く記憶にないのです・・・・


↑ 何といっても感動したのはこのシーン。 ワイルダー監督ちゃんとこのシーン撮影していたんです。

これは以前何度も載せた事があるのですが、正典「白銀号事件」のパジェット版挿絵にある場面で
グラナダ版も同じ場面を使っていました。
 
そして、BBC版「忌まわしき花嫁でも」(何度も同じ画像ばかり載せてスミマセン!)



参考までに、この作品のノベライズも出ています。
「シャーロック・ホームズの優雅な生活」 創元推理(東京創元社)刊
かなり良く書かれているとの事ですが、未読です。

改めてSharlock のこれまでのシーズンを又観直してみようかな? 多分又違った視点で見られる
のではないかと思います。

最後にワイルダー監督を含む撮影中の画像です。


今度こそ、これで終わります。
思い入れが多く随分長くなってしまいましたが、お付き合い頂き有難うございました。




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ビリー・ワイルダー版「シャーロック・ホームズの冒険」 : 4/4

2016-06-10 | ビリー・ワイルダー版S・ホームズ
― ”The Private Life of Sherlock Holmes”  ― 
ビリー・ワイルダー版 「シャーロック・ホームズの冒険」 : 粗筋と検証 最後です。




・・・・・粗筋は今回で終わりますが、引き続きネタばれしております。



びしょ濡れになってホテルの部屋に戻りましたが、ホームズは「あれは機械仕掛けの怪獣だ。
連中の考えそうな事だ。 ディオゲネスクラブだよ」と言います。

そんな時 ”アッシュダウン様へ”とシャンペンが届けられ、これを持って待って居る馬車に乗って
くるようにと事づけが届きます。



例の古城に着くとそこにはレッドカーペットが敷かれ、テントからマイクロフトが出て来てホームズを
迎えます。 「アッシュダウン君」と・・・
 やっぱりマイクロフトには読まれていたんですね)。

テントには各種の装置があり、ホームズはあの怪獣が潜水艦か何かの実験だろう。
ミジェットは乗務員、怪獣は偽装工作、カナリヤはガス漏れ探知用だろうと推理していました。




聖書のヨナ記には「ヨナは3日3晩魚の腹の中にいた」と書かれている。
バラドンの開発した空気ポンプを使って これを目標にして潜水実験をしていた。 とマイクロフト
が明かしました。
所が事故が起こりバラドンと小さい2人が事故死してしまった。
この事を君の依頼人に知られたくなかったのだと続けます。
「どういう事だ?」と尋ねるホームズに、「彼女はバラドン夫人ではなく ドイツ政府の為に働いて
いるスパイで イルゼ・ホフマンシュタールである。 本物のバラドン夫人は既に殺されているのだ。
英国随一の頭脳も騙されたな」というマイクロフト。
 これを聞いたホームズはショックを受けただろうにあまり表情を変えない。
強がっている? それともショックが大き過ぎたのか・・・それとも既に推測していたのか・・・)
結局女は信用出来ないという持論に戻ってしまい 又傷ついてしまったホームズ)
 このあたりのやり取りは ”A Scandal of Belgravia” に踏襲されている様です)。 

そこへ、ヴィクトリア女王が視察に訪れます(レッドカーペットはこの為だったんですね)。



陛下はホームズに「そなたの噂は聞いている。 今は捜査中か? 次の事件簿は何時出るのだ?」
とお尋ねになるのですが、「期待なさらない方が・・・・ 」とホームズ。

マイクロフトが自信たっぷりに女王に秘密の軍艦について説明します。
「姿を見せずに敵艦を攻撃する事が可能です」というマイクロフトに、女王は「相手に警告もせず
国旗も隠してか?」とお尋ねになり、得意気に返答するマイクロフトに「ミスター・ホームズ 非常に
不愉快だ。卑劣だ、わが国には相応しくない。絶対許さん!」とお怒りで、「直ぐに破棄するのだ」という
言葉を残してご帰還になりました。



「やれやれ、我々二人とも女性にしてやられたな」と云う弟に お兄ちゃんは、「最新科学の結晶も巧みな
諜報活動も水の泡だ。 潜水艦がそんなに欲しいなら連中にくれてやる。」とのたまいます。 ドイツの
諜報員を誘き寄せ潜水艦と共に爆破してしまおうというのです。



 めげないし 転んでも唯では起きない立ち直りの早いマイクロフトだわ)
「どうやって?」と聞く弟に、「君とフロイライン・フォン・ホフマンシュタールの親密な関係を利用
させてもらう」と何でも利用する鬼畜なマイクロフトです。 
* 因みに、フロイラインはドイツ語の ”Miss” ですね)

ホテルに戻ったホームズは眠っていたガブリエルを起すと、「ドイツ語で”城(シュロス)の下”という
場合 前に付ける冠詞は ”ダス”か”ディ”か?」と尋ねます。
始めはシラを切っていたガブリエルも観念したのか 「”ワンテン・ディム・シュロス”よ。」と言い
それまでのフランス語訛りを止め ドイツ語訛りの英語に変わりました。

窓の外には例の怪しい修道僧達が佇んでいるのを見たホームズは、「観念したまえ、”フロイライン・
ホフマンシュタール”。  友人がお待ちかねだから合図をする様に」と云うも彼女が動かないので、
「潜水艦の場所を知らせる」とホームズ自身が日傘で信号を送ります



間もなくマイクロフトが迎えに来るので荷物を纏める様に云うホームズに、イルゼは最初にベーカー街に
着いた時から気が付いていたのか尋ねると、「それより少し後だった」と云うホームズ。(ホントか?)
イルゼは、最高の頭脳と勝負する為に日本行きを断ってこの仕事を志願したのだと言い、「身の程知らず
だったわ。 私の完敗よ」と言いますが、ホームズは「誰でも失敗する。ワトソンの事件簿が出ないことを
祈ろう」。
と言っている所に、又もやワトソンが ホームズと叫びながら駆け込んできます。



 お約束の、 荷物にケッつまずいてコケる)
「又あれが出た」というワトソンに望遠鏡をのぞいていたホームズが見たものは水中爆発したらしき潜水艦
だった。
シャンペンボトルと聖書が浮かび上がってきました。
(哀れドイツの諜報員・・・)
「ホームズ、勿体ぶらず説明してくれ」と蚊帳の外のワトソン。

マイクロフトがイルゼを迎えにやって来ます。
逮捕されイギリスの監獄に投獄されると思っていたイルゼに対して、マイクロフトは「君はスイスととドイツ
の国境で我が国の諜報員と交換される」と聞かされ驚き意外な表情をするのですが、「お礼は弟に言ってくれ。
彼の案だ」と言います。





 ここで眼差しだけで語り合う様なイルゼとホームズの微妙な表情が切ないのです。)

イルゼは日傘を受け取ってマイクロフトと出て行きます。
すると、蚊帳の外だったワトソンは、「嫌なら何も言わなくっていいよ。 僕はただの作家だ」と言い、
ホームズは「今回の事件は発表するな。彼女の為だ」と言いますが、「彼女はドイツのスパイなのに何故
肩を持つのか。 書かないと約束するから教えてくれ。友人として…」と騒ぐワトソンに、窓の外を見て
いたホームズは 「静かに。 私的なメッセージを伝えようとしている」。



馬車に乗ったイルゼが日傘を使ってメッセージを送っています。
 この時のイルゼの表情が凄く良いんです。 冷徹な女スパイの表情になりながら心に秘めた想いが
滲み出ているような・・・クールで美しい表情なんです)





「何だって?」のワトソンに 「アウフ・ヴィーダーゼン(又会いましょう)と・・」

そして221Bの日常に戻り 朝食を食べている2人の元にマイクロフトから手紙が届きます。



その手紙を読んだホームズは衝撃を受けた表情のまま窓辺に歩み寄りぼんやり外を眺めます。



こっそり盗み読んだワトソンですが、手紙には「イルゼ・V.H.は横浜の海軍基地を偵察中日本の諜報員に
逮捕され 裁判の後銃殺刑に処された模様。 彼女は日本滞在中 ”アッシュダウン夫人”と名乗って
いた様だ」

流石に「残念だ」というワトソンに 「あれは何処にある?」と訊ねるホームズ。(コカインの事なんですね)
医者カバンを利用した隠し場所(ファイル)を教えるワトソンです。(身体に悪いからと散々反対していたのに、
流石にホームズの状態を見かね許したんですね)。
「隠すのが上手くなったね」と言いながらコカインの瓶を手に自室に戻るホームズ。
(背中がヤルセナイ)。
そして、ワトソンは机に向かい執筆を始めました。





~~~~~~~



以上で終わりです。



長くなってしまいましたが お立ち寄り頂きお付き合い下さり有難うございました。

あと一回(ひつこくてスミマセン)感想の続きと DVDにありましたSpecial Featuresについて追記するつもりです
ので 宜しければ又お付き合い下さいませ。




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ビリー・ワイルダー版「シャーロック・ホームズの冒険」 : 3/4

2016-06-06 | ビリー・ワイルダー版S・ホームズ
― ”The Private Life of Sherlock Holmes”  ― 
ビリー・ワイルダー版 「シャーロック・ホームズの冒険」 : 粗筋と検証 (3)






・・・・・3回目ですが 引き続き盛大にネタバレ続きます。



インヴァネス行きの夜行列車に乗った一行。
”アッシュダウン夫妻” は寝台車、”従者” ワトソンは三等車。
怪しげな修道僧に囲まれた狭い席に押し込められたワトソン(可哀想!)



寝台車では下の段にガブリエル、ワトソンに貰ったストランドマガジンに書かれたホームズの
女性観を読んでいます。 上の段にはホームズが。
ホームズは「彼は何でも誇張する癖がある。」、 「僕は女性の崇拝者とは言い難い」、と語り
だし自分が惹かれた女性は人殺しだったし、かかわった女性は盗癖、放火癖、色情癖の女性だった。
又過去にバイオリンの先生の娘と婚約していた事があり、彼女が挙式の直前にインフルエンザで
亡くなってしまった。」
「女性を信用すると碌な事が無い。たとえどんなに有能な女性であっても・・・・。」
 このセリフは正典”The Sign of Four"でのホームズの台詞です)
(死なれてしまったから信用出来ないって言う発想がホームズなんだなぁ・・・。そして、女性を
愛した事があるとワトソンに言っていたのはこの事だったんでしょうか?)



インヴァネスに到着すると、一行はマイクロフトが口にしていた「イチイの木の谷」を目指す
のですが、そこは墓地で折しも大人の棺1つと子供の物らしき棺が2つ運ばれて来て埋葬される
ところでした。




 ここでマイクロフトが言っていた ”グレンナフリッヒに3箱”の意味が解明されます)
墓掘り人に依れば ネス湖でボートに乗っていた父親と子供2人が転覆して亡くなったとの事で、
ネス湖にはモンスターが居るので近づかない方が良いと警告されました。
そこへ子供らしき4人がやって来て墓に祈りを捧げてるのを見たホームズは 子供では無く成人
だと言います。”midgets” (ミジェット)だと・・・
* この事が以前依頼されて興味深いとホームズが言っていた ”サーカス団から行方不明に
なった軽業師” の事件に繋がってくるんですね。小さい棺2つに入っているのはは子供では無く
”midgets”であるるという事で 何気なく前半で示されていた小さい事件に この事がリンクして
くるのです)。

大きい棺には誰が・・・・と ホームズは墓を掘り返します。





このシーンは設定、アングル殆どそのまま”The Abominable Bride" に 引用されています。
余談ですが 墓暴きのシーンはガイリッチー版にも踏襲されていました。)
すると、棺の中には行方不明と思われていたガブリエルの夫が・・・そして3羽の白いカナリアの
死骸が一緒に入っていました。

その後湖畔のホテルに到着しますが、”アッシュダウン夫妻”は湖の見える素敵な部屋、一方 ”従者”
ワトソンは屋根裏部屋へ通されます。(酷い!)

悲しみに打ちひしがれるガブリエルを尻目に ホームズは夫の指輪とガブリエルの指輪を比較し、
金属の変色から夫の死因が溺死では無く有毒ガスが発生した事が死因であると推理しています。
又カナリヤは有毒なガスを探知するために使われていたのではないかと・・・・

そんな時、ワトソンが大騒ぎでホームズの部屋へ駈け込んできます。
「ホームズ、大変だ~!」(親分てーへんだ!の八五郎か? ←古!)



湖にネッシーらしき怪獣を見たと言い大興奮です。
ホームズが望遠鏡で見ると何も見えない。
「ホームズ、この目で見たんだ!」と興奮状態のワトソンに、「想像力の産物だ」と切り捨てるホームズ。
「君自身の言葉に依れば 僕の想像力はゼロの筈だ」とワトソン。
 何時も想像力を使えと言っているのは誰だよ~~。と反撃するワトソンにそうそう、ホームズは
そう言っているよね~と・・・思わず共感)
 怪獣をワトソンだけが見てしまうのは ”The Hounds of the Baskervilles"のラボでのシーンに似て
いる。 現代版では正に「想像力の産物」だった訳だけど、この部分も踏襲されていたのかも知れませんね)。


有毒ガスの所在地を探すには城を探すしかないというホームズの推理により3人は自転車に乗り古城めぐり。



なかなか目当ての城が見つからない為、途中でピクニックランチ。
(何か長閑だわ~)。



 この時、”従者”ワトソンに、「クランベリーソース取ってくれ」というセリフがあるのですが、
これも ”The Hounds of the Baskerilles” での最後のシーンでシャーロックがジョンのご機嫌を
取る様に「ケチャップは?」と聞くシーンに引用されている様に思います。← 立場と状況が逆になって
いるけど)
そんな時、ワトソンが汽車の車中で同席した怪しい修道僧の一行が通りがかります。
すると 又もやガブリエルが日傘をパタパタ、暗号を送っているらしき様子。



最後に修復中の崩壊寸前の古城にたどり着きます。
が、セキュリティーが厳しい様子で立て札には 「警告。 この先立ち入り禁止」と書かれていて
正面からの侵入は無理と見たホームズは裏口から入ろうと言います。

そんな中、籠に入ったカナリヤと硫酸の入った瓶が運ばれてきますが 一行は警備の男たちに追い
払われてしまいます。
ホームズが観察していると、テントが張られ、レッドカーペットが敷かれていました。
 レッドカーペット =赤巻き(?) これでマイクロフトが口にしていた言葉にリンクします。)
 この辺りのシーン全般の雰囲気が BBC版”The Hounds of the Baskervilles” に踏襲されて
いるようです。 そう言えば、警備員が獰猛そうな犬を2匹引き連れてあらわれていたし・・・、あ、これは
正典「バスカヴィル家の犬」のオマージュかも知れない)



夜になり3人はネス湖に出てボートで城に接近しようとするのですが、霧の中から怪獣が姿を現します。
ネッシーだッ!
怪獣の立てた波にもまれてボートから転落する3人。





・・・・・to be continued です。



← ビリー・ワイルダー版「シャーロック・ホームズの冒険」: 2/4
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ビリー・ワイルダー版「シャーロック・ホームズの冒険」: 2/4

2016-05-31 | ビリー・ワイルダー版S・ホームズ
― ”The Private Life of Sherlock Holmes”  ― 
ビリー・ワイルダー版 「シャーロック・ホームズの冒険」 : 粗筋と検証 (2)




・・・・・2回目ですが 今回も盛大にネタバレ続きます。



ある晩馬車の御者が謎の美女を221B に運び込んで来ます。
彼女はテムズ川で溺れていた所を御者が見つけ、何故か221Bの住所を持っていたので
此処まで連れて来た。 馬車代を払って引き取って欲しいと言います。
彼女は頭を殴られた様子で記憶を失っているし、言葉も理解しない様子。 (英語では無
い訛りがある)



着けている衣類や指輪から ホームズは彼女がベルギー人で既婚者であるガブリエルで
ある事を導き出します。
(この美女が誠に妖艶で訳アリ風です)。
その晩は休ませるために自分のベッドを提供する優しいワトソン君(自分はカウチで寝ます)。



翌朝目覚めたガブリエルは混乱したまま ”一糸纏わず=全裸で” 現れ、ホームズを夫と
間違え抱きつきます。
ホームズ一瞬微妙な表情をするものの、少しも慌てず・・・

ガブリエルはベルギーで高価なmarabou feather付のピンクのネグリジェを買ったと言い、
ホームズは「そのネグリジェは何処にある ?」に「スーツケースの中よ」、
「そのスーツケースは何処だ?」と聞くと「分からない」とガブリエル。
 ところで、marabou =マラブーとは、アフリカハゲコウの事らしいですね。その羽
が婦人用の高級衣類に使われるらしいです。 つまり高価なネグリジェだって事ですよね。)

そのまま自分のベッドで休ませました。



一方カウチで眠った為体のあちこちが痛いとハドソンさんに背中を押してもらっていたワトソン
は ガブリエルの様子を見に行くと部屋に居ない。
慌てたワトソンはホームズが居ないと気付き部屋を探すと 何と彼女は裸でベッドで寝ています。
ワトソンとハドソンさんはビックリ。 「困っている依頼人に早速手を出したな」と勘違いした
ワトソンの元に 颯爽とホームズが帰宅。
「ホームズ、卑劣だぞ! 君には分別も道徳観念も無いのか」と食って掛かるワトソンに、「全く
無い」と涼しい顔のホームズ。
「もう少しで君がこの機会を利用して・・・」と食って掛かるワトソンに 「利用させてももらったよ。
 彼女の身体は感動的だったよ」← おい!
”You cad !”「悪党!」と怒るワトソンに、「特に右手のひらが」と云うホームズ。
ホームズが興味を持ったのは彼女の手のひらに書かれていた(転写していた)「301」という数字で、
この数字が駅に預けた荷物のラゲッジタグだと推理し、彼女のスーツケースを取って来たのでした。



中にはガブリエルが言っていた ”Pink" のネグリジェその他の日用品。手紙の束、夫のの物と
思われる写真等が入って居ます。
 この ”スーツケース”、”ピンク” と云うのも ”A Study in Pink"を連想します。やや強引
かな?)

この荷物を見せたガブリエルは自分の事を思い出した様で、経緯を話し出します。
(ちゃんと英語が話せるようになっている??)
入って居た手紙の束から、彼女の名前がガブリエル・バラドンだと判明します。



記憶を取り戻した彼女は二人に向かって、”Which one of you is Mr. Sherlock Holmes ?!”
「どちらがホームズさん?」と尋ねます。
 これも”The Sign of Three" に引用されています。
そう言えば、現代版でジョンがおでこに名札を付けたシャーロックを指さすシーンは好きだったわ~!)

 何より、”一糸まとわず”+”ホームズのベッドで眠る”+”ホームズのガウンを着ての登場”← 
これらは全て”A Scandal of Belgrevia" のアイリーンに踏襲されています)。

鉱山技師である夫が新型の空気ポンプを発明し、英国のヨナ社に雇われ英国に滞在中であったが
手紙をやり取りしているうちに音沙汰が無くなった。
心配になりロンドンにやって来てヨナ社を尋ねたが、そこは空き家でヨナ社も存在しなかった。
ベルギー大使館に相談したらホームズを紹介されたが、夫を探している所を何者かに襲われて
テムズ河で溺れかけたのだと言います。

ホームズはガブリエルに夫宛ての白紙の手紙を書かせます。
そして、「この手紙を誰が、何の目的でどうやって回収するのかが問題だ」と言い3人で手紙の
宛先とされていた場所に出掛けました。
屋根裏から侵入すると そこには沢山のカナリヤが飼われていた。



戸袋に隠れて様子を覗っていると車いすに乗った怪しい女性が入って来たと同時に 数人の男
たちがヨナに届けると24羽のカナリヤを引き取って行きます。
カナリヤの籠の下に敷かれていた新聞が「インヴァネス・クロニクル」スコットランドの物で
あることから事件はそこにありそうだと推理するホームズ。

車いすの女性はさり気なく一通の手紙を置いて行きます。
それは兄のマイクロフトからの手紙で 「ディオゲネスクラブで待って居る。私の計算が正
しければ今は11時40分の筈だ」、ワトソンの時計をみると11時43分でした。 「マイクロフト
の計算は間違いない筈だから、君の時計を直した方が良いね」と云うホームズ。
 この 「マイクロフトは計算を間違わない」という表現も ””His Last Vow"に引用され
ていたと思います)。




 ”The Abominable Bride" の感想にも書きましたが、BBC版でディオゲネスクラブの
コンシェルジェの名前を ”ワイルダー”にしていましたもん。)

ディオゲネスクラブに着くと マイクロフトは二人に貴重なワインを勧めながら 同じ街に
住んで居ながらめったに会わない。「ギリシャ語通訳」以来だなと言いつつ ベルギー人技師
を探している様だが この件から手を引く様に言い渡します。
「国家機密に係る事だから お前の手には負えない」と。
 このシチュエーションは ”His Last Vow" にも引用されていました)。



マイクロフトは「グレンナフリッヒに3箱、赤巻きは城へ」と謎の指示を部下に伝えています。

ホームズは帰る道すがら マイクロフトが口にしていた不可解な言葉を捉えていて、その中の
”グレンナリッヒ” はスコットランド語で”イチイの木の谷”と言う意味であるとワトソンに
知らせます。  

マイクロフトの指示に従う筈も無いホームズは 221Bに戻ると、2人にこれからスコットランドの
インヴァネスに向かう汽車に乗ると伝え、夫を探しに行ってくれるのだと喜ぶガブリエル。

そして、ホームズとガブリエルが ”アッシュダウン夫妻”、ワトソンは ”Valet" 従者と云う
設定です。
ここで、ホームズは 「ゲームの始まりだ」 ”The game is afoot” を言うのです。
 流石! ちゃんとこのフレーズは押さえています、ワイルダー監督)。

この後、ガブリエルが不審な行動を起こします。



窓から外に向かって日傘を開いたり、閉じたりを繰り返す。 そして外にはそれを見ている怪しい男が・・・・
(ここで、ガブリエルがただの依頼人ではなさそうだと示されるのです)。





・・・・to be continued です。



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ビリー・ワイルダー版「シャーロック・ホームズの冒険」: 1/4

2016-05-27 | ビリー・ワイルダー版S・ホームズ
― ”The Private Life of Sherlock Holmes”  ― 
ビリー・ワイルダー版 「シャーロック・ホームズの冒険」 : 粗筋と検証 (1)



今回から内容概略を書いてみようと思いますが、盛大にネタバレして居りますのでお含みおき下さい。

又、本編長いので余り細かく書かないつもりですが、長くなるかもしれません。
又BBC版に引用されている部分、オマージュと思われる部分等も併せて書いてみたいと思います。

プロローグはナレーションで始まります。
ワトソンの死期50年封印され銀行に保管さえていた彼の私物ボックスが開けられます。


ホームズに係る物語を多く書いたが 彼の私生活に係る微妙な内容で有った為公表を差し控えた冒険談が
あったというモノローグと共に明けられたブリキ箱の中にはホームズ所縁の品々、鹿討帽、パイプ、拡大鏡、
注射器、アイリーン・アドラー(と思われる?)の写真入り時計、221B のプレート、ホームズが作曲したと
思われる曲の楽譜・・等々 
そしてワトソンの書いた原稿・・・・



そこに書かれていた冒険談の始まりは・・・・





アヴァネッティ事件を解決して221Bに戻ったホームズとワトソンを迎えるハドソンさん。
 しょっぱなから 殆どそのまま ”The Abominable Bride” に踏襲されています)

自分が書いた冒険談が載ったストランドマガジンを嬉しそうに見せるワトソンに対してホームズは勝手に
虚像を作り出したとご機嫌斜め。

鹿討帽、インバネス等の服装、女嫌いだという嘘(嘘だと言ってます。女性が嫌いなんじゃなく、信用でき
ないんだと・・・)
そして、
留守中に届いた捜査依頼の中の1つ ”サーカスの軽業師6人が行方不明”にホームズは興味を示します。
が、退屈を持て余してコカインに手を出そうとするホームズにワトソンは、「医者として、友人として君の 
悪癖は絶対認められない」と反対します。
 この時、例のコカイン7%のセリフも出てきます)

ホームズは、「ワトソン、君が羨ましいよ、その図太い神経だ。 僕は平凡な毎日に耐えられない。まるで
スピードを抑制されたレーシングエンジンみたいだ」と言います。
 このシチュエーションとセリフは正典「ウィステリア荘」と同じ。 殆どそのまま ”The Hounds of
the Baskervilles" に引用されていました)。

ホームズは部屋中を煙でもうもうとさせながら煙草の灰の実験をしているのですが、「彼は140種のタバコの
灰を識別したんだよ」と話すワトソンに対して ハドソンさんは ”I'm sure there's a crying need for that”
「泣く程需要があるでしょうね」と皮肉ります。
 このセリフも ”The Empty Hearse” でハドソンさんが全く同じ台詞を使っていました。
タバコの灰の研究に関してBBC版では ”A Scancal of Belgravia ”でしたっけ?)




退屈しているホームズにロシアバレー団の公演切符が送られてきたので是非にと誘うワトソンですが、興味ない
とホームズ。



 入浴中のホームズと話すワトソンですが、この入浴シーンはグラナダ版「犯人は二人」に踏襲され
ています。
が、ジェレミーの入浴シーンとは ”no comparison” と言わせて頂きます。←勝手にしろ!
それにしても、このバスタブ小さすぎ!)

結局ワトソンに同行し、「白鳥の湖」を見に行くことになったのですが、感動してプリマのペトローバを褒めたた
えるワトソンに対して、「見事な土踏まずだ」とつぶやくホームズ。
 このセリフも ”The Abominable Bride"に引用されて “見事な甲高だ” になっていました)。

マダム・ペトローバの控室に案内されたホームズ。


ホームズを見たマダムは 「思ったより背が低い」。
 このセリフも ”A Scancal of Belgravia” にありましたね)

呼ばれた理由は マダムがバレーを引退して子育てをしようと思い、英国随一の知性を持つホームズに子供の父親に
なって欲しい・・・との事でした。
慌てたホームズはとっさにワトソンとの関係をほのめかし、同棲を告白しマダムの野望を諦めさせる。

 この時同席していたバレー団の団長が ”The Houd of the Baskervilles” のタイトルを ”Big Dog from Baskerville”
と言い間違えるネタは ”The Abominable Bride" でも踏襲されていたけど、この時はさらにひどくなって ”The Dog one”
なんて言われていました。)

一方若いバレリーナに囲まれて鼻の下を伸ばしながら踊り狂っているワトソン。


 最初に観た時からこのシーンが妙に記憶に残っていたのです。)
しかし、次第に会場に広がるホームズとワトソンのゲイ疑惑。

この顛末を知り怒り狂って221Bに戻ったワトソンはホームズにメチャメチャ当たってます。
「周囲に知られたらどうしよう」とか「年金が貰えなくなる」とかもう泣きが入っている。
「もう一緒に住んで居られない。同居を解消する」なんてね。
で、この噂を払拭する為に ホームズに結婚しろと迫るんです。
そして、彼の恋愛経験を追及する。
 この辺りも ”The Abominable Bride” でも踏襲されています)



ワトソンの「君は、何だ、その・・・恋愛の経験はあるのか?」の追及に「あるよ」と答えるホームズ。

ワトソンのモノローグで、
「彼と女性の関係は実際謎だった。 何か隠されていたのか? それとも彼には感情というものが無い
のだろうか?
その答えはある事件により明らかになった。 それは今までで最も奇妙な事件だった」と。

バレリーナに係る展開はここまでで、次のチャプターからいよいよ冒険談に入って行きます。






・・・・・to be continued です。



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ビリー・ワイルダー版「シャーロック・ホームズの冒険」: 初めに

2016-05-24 | ビリー・ワイルダー版S・ホームズ
”The Private Life of Sherlock Holmes” by Billy Wilder



この作品は大分前にTV放映で観て以来、その後2度程観たのですが 最後に観てからも大分
年数が経ってしまいました。
最初は本当に何気なく見始め、ビリー・ワイルダー作品という事で ある程度先入観と固定
観念をもっていたし、軽いコメディータッチのパスティーシュと考えていました。

ところが・・・
これが面白いんですね。 嵌りました。
そしてBBC版「シャーロック」を見始めると あちらこちらで既視感を感じたり 似たカラーを
感じたりしたものですが、後日モファット氏もこの作品を敬愛していたと知りやはりオマージュ
を感じるのは当然だと改めて感じます。
ゲイティス御大も この作品を称して ”The film that changed my life" (私の人生を変えた作品)
と語っていました。
グラナダ版は当然なのですが、この作品もまさしく「シャーロック」の原点なのだと感じさせら
れます。
モファティス両氏の拘りを汲み取る為には 原点回帰してこの作品を検証する必要があると気が
付きました。

大分前の事ですので 忘れている点、見逃している点も多々あると思い、今回気合を入れてDVD
で観直しました。
と云うのも BBC版 ”The Abominable Bride”のtrailerを最初に見た時からビリー・ワイルダー版
のカラーを強く感じるとひつこく書いていたのですが、本編をみるとよりこの感を深めたもので
すから再度検証してみなくては・・・と思い立ちました。

改めてこの作品の詳細等を顧みますと、

先ず、
1970年のアメリカ映画です。(40年以上も前の作品です)
脚本・監督・製作がビリー・ワイルダー  
正典の短編集と同じ邦題になっていますが、内容はワイルダーによるオリジナル作品です。
当時としては桁外れの製作費1000万ドルを掛けた超大作でもあるそうです。
今回改めて確認しますと、当初この作品は4時間にも亘る大作だったようですが、諸事情により
約2時間にカットされ上映されたとのことです。 ノーカットで全作を見てみたかったですねぇ、
残念です。
又、初期の構想では、ホームズにピーター・オトゥール、ワトソンにピーター・セラーズの配役
が予定されていたとの事。 おーっ! 何と豪華版! これが実現していたら凄かったのに~と
この点も今更ながら残念です。

配役は、
シャーロック・ホームズ : ロバート・スティーブンス
ジョン・ワトソン ; コリン・ブレイクリー
マイクロフト・ホームズ : クリストファー・リー
ガブリエル・バラドン : ジュヌヴィエーヴ・パージェ
ハドソン夫人 : アイリーン・ハンドル
ヴィクトリア女王 :モリー・モーリン   等

 

 
↑ サー・クリストファー・リーですが、左がマイクロフト、右がホームズを演じた時

残念ながら サー・ ロバート・スティーブンスの他の作品は観た事がありません。
個人的な感想を言えば、ホームズがチョット残念なキャスティングの様な気がするのですが・・・
イメージがね。いや、良い役者さんだとは思うんですよ、でもね、チョット違うかなぁ・・・好み
の問題ですね。 
メークが濃過ぎとも感じるのですが、当時の風潮なのかしら? 等思いつつ。
ところが、今回ふと気がついたんですが、ベネディクト/シャーロックの特徴のあるクルクルヘアー
はこのホームズのヘアースタイルを踏襲した進化形ではないかと思うんです。何となく似ている気が
するのですよ。
個人的な感想かも知れませんが チョット感動!

そして余談ですが、前妻はあのデイム・マギー・スミスだそうです。ちょっと ビックリです←意味
不明。
そしてお2人の間に出来た息子さん達がトビー・スティーブンスとクリス・ラーキン。DNAですなぁ。
そして父親より息子達の方がキリッとしていてカッコ良い(暴言)

又、ワトソンを演じたコリン・ブレイクリーはアガサ・クリスティーの「地中海殺人事件」や「オリ
エント急行殺人事件」で記憶に残っています。

マイクロフトを演じたサー・クリストファー・リーは言わずもがなですが、元々ドラキュラで良く知
られていましたが、「ロード・オブ・ザ・リングス」、「スターウォーズ」でも記憶に残っていました。
惜しくも一年前に亡くなりましたね。
で、サー・クリストファー自身もシャーロック・ホームズを演じたこともあり、兄弟二人を演じた俳優
でもあります。
正典で描かれているマイクロフト像とは体形的には異なりますが、さすが存在感、威厳、貫禄のある
カッコいいマイクロフトですねぇ。

感情を余り表に出さない チョット気だるげなホームズと絶妙なボケをが見事なワトソンの組み合わせ
が面白く、ホームズのゲイ疑惑、麻薬を使うホームズを気遣うワトソン等人間ドラマとしても楽しめる
と思いました。
このワトソンが良い味出してますね。
時にドタバタコメディアン風の演技をしてはいますが、きちんと押さえるところは押さえていて存在感
を出しています。
ホームズ作品を色々観るにつけ、ワトソン役が如何に重要なポイントになっているか分かります。
時にホームズを食ってしまう場合もありますが、ワトソンの配役によりホームズがより輝くのだと感じ
ます。 

内容は一見ハチャメチャで奇想天外にも思える ネッシーが登場したり色々なエピソードが含まれていま
すが、原作タイトル「シャーロック・ホームズの私生活」にある様にホームズの人間性などもしっかり描
かれていてるのですが、”私生活”からは懸け離れた国家機密に触れる部分もあり、コメディータッチもあ
り哀愁漂う場面もあり、盛り沢山でありながら きめ細かく制作されている事が良く分かります。
又、正典ネタ、台詞などもしっかり取り入れられていて、さすが巨匠ワイルダーって感じます。

又、ベン・ハーを始めとして数々の名作で格調高い映画音楽を手掛けたミクロス・ローザがこの作品でも
雰囲気のある楽しい楽曲を提供しています。

これらの色々を見てみても 本当に贅沢に作られた作品なのだと改めて感じます。

この後感想を挟みながら内容概略をご紹介してみようと思います。




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