The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

ドラマ化された英国ミステリ小説 : その(9)

2023-01-29 | ドラマ化された英国ミステリ小説
『刑事マシュー・ヴェン 哀惜のうなり』

”The Long Call”

以前AXNミステリで放送された『刑事マシュー・ヴェン 哀惜のうなり」の原作で ”あの” アン・ク
リーヴスによる”The Long Call” (原題)がようやく翻訳出版されるそうです。

ドラマは既に昨年日本でも放送になりました。

2021年製作されたITVのドラマ化作品は、以前コチラでも少しご紹介しましたが、

監督:リー・ヘイヴン・ジョーンズ
脚本:ケリー・ジョーンズ
出演:
マシュー・ヴェン:ベン・オルドリッジ
ドロシー:ジュリエット・スティーヴンソン
デニス:マーティン・ショウ






ドラマの内容紹介は、
≪絵画のように美しいイギリスのデヴォンを舞台に、20年ぶりに故郷に帰ってきた刑事マシュー・
ヴェンが、閉鎖的なコミュニティの秘密に関わる事件を解決していく。
主人公の刑事マシュー・ヴェンはノース・デヴォンの厳格なコミュニティの中で育ったが、そのコ
ミュニティと家族から拒絶され、故郷を離れていた。マシューは父親の葬儀に立ち会うため、20年
ぶりに故郷に戻ってきたが母から冷たくあしらわれてしまう。そんな時、付近のビーチで首にアホ
ウドリのタトゥーを入れた男性の遺体が見つかり、マシューも捜査に加わることになる。
やがて捜査が進むにつれ、マシューが20年前に去ったコミュニティに潜む秘密に直面することにな
る・・・。
事件の結末は?そして、マシューは母、故郷と和解できるのか?

本国では、バーナビー警部、ヴェラ、ルイス警部といった数々の傑作ミステリーを放送してきたITV
らしい正統派ミステリードラマでありながら、LGBTQ+を扱ったドラマである点にも注目を集め、
評価を得ている。主人公のマシューを演じるベン・オルドリッジは、話題作 「Fleabag フリー
バッグ」等数々のドラマに出演する人気俳優であり、彼自身もLGBTQ+であることを公言している。
さらに、「孤高の警部 ジョージ・ジェントリー」の名優マーティン・ショウがドラマのキーパー
ソンを演じる。≫

ドラマは勿論観ましたが、正統派ミステリである事は勿論なのですが、番組紹介にもある様に色々
考えさせられる内容でもありました。
マーティン・ショウを久し振りに見られて懐かしかったし・・・・。 流石の存在感です。



原作は、
"The Long Call"


シリーズ一作目がハヤカワ・ミステリ文庫で刊行が発表になりました。

『哀惜』 ハヤカワ・ミステリ文庫
3月23日発売予定

日本での原作翻訳版の出版は少し先の発売になりますので、現時点ではカバー書影は発表され
ていません。

原作内容概略は、
≪イングランド南西部の町ノース・デヴォンの海岸で男の死体が見つかる。捜査に当たること
になったバーンステイプル署の刑事マシュー・ヴェンは、彼が殺害された裏には何か隠された
秘密があるという直感する。捜査を進めていくごとに事件の関係者は増えていき、マシューの
パートナーまでもがこの事件に関係していることが判明し……。事件は絡み合う糸のように
複雑の一途をたどり、そして新たな事件が起こる。≫
”読む者の胸を揺さぶる巨匠の新たなる代表作が登場です” ← とあります。

これまで何度もひつこく書いてきましたが、”ヴェラ”、”シェトランド”等の原作者でありCWA賞
他数々の文学賞を受賞する英国推理小説界の至宝アン・クリーブスが2019年に発表した作品です
が、ITVでドラマ化され 上に書きました様に日本でも既に放送されたのですが この度遅れ
て原作が出版されるとの事は遅ればせながらではありますが大変嬉しいし、楽しみです。

当然ですが 原作も出版され次第読むつもりです。

尚、ドラマは現在放送予定は出ていない様ですが 原作が出版されたら再放送があるのでは?
と思っています。 その時はご紹介しましょう。




(source : ITV, AXNミステリ―、Hayakawa & etc.)



ドラマ化された英国ミステリ小説 : その(8)

2022-03-19 | ドラマ化された英国ミステリ小説
『刑事ダルグリッシュ』

”Dalgliesh”
2021年 6エピソード

2月初放送としてご紹介した作品ですが、全エピソード観終わりました。
今回放送されたのは、P.D.ジェイムズ=フィリス・ドロシー・ジェイムズ女男爵(1920年~2014年)
による原作の”ダルグリッシュ警部シリーズ”から、『ナイチンゲールの屍衣』、『黒い塔』、『死の味』
の3作品をそれぞれ2部構成で製作されたドラマです。

過去記事は下記に
※ 2月初放送の英国ミステリドラマ情報:追加補足

以前の繰り返しになりますが、再度キャストを

監督:ジル・ロバートソン
脚本:ヘレン・エドマンソン
出演:
アダム・ダルグリッシュ:バーティ・カーヴェル
チャールズ・マスターソン巡査部長:ジェレミー・アーヴァイン
ケイト・ミスキン巡査部長:カーリズ・ビア
その他





タイトルロールであるダルグリッシュは、原作では ”6フィートを超す長身、浅黒いほっそりした好男子、
詩人(詩集も出版されている、かなり名の知れた詩人)
”と表現されています。
今回演じているバーティ・カーヴェルは、原作のイメージにかなり近い雰囲気で違和感が無かった様に
感じます(欲を言えば、もう少しハンサムなイメージもあります。が、まぁ良しとしよう←偉そう)
何と言ってもRADAを卒業しているという、演技にはこれ以上は望めない素晴らしい経歴を持つ役者さ
んですから、安定した演技力でじっくり見られる作品になっていると感じました。

このドラマではスコットランドヤードの”警部”と言われていましたが、原作では初期は”警部”→”警視正”→
”警視長”という役職になっていきます。
又、妻が初産の時死亡、妻と赤ちゃんを同時に失い、強い喪失感を拭えず独身を続けています。
亡父は元司祭。

ケイトや仲間内での会話では、ダルグリッシュを”AD”(=Adam Dalgriesh)と呼んでいます。
今回のドラマでもダルグリッシュの部下として働く様になったケイト・ミスキンは、原作でもずっと登場
します。
そして、ケイトとダルグリッシュの微妙な心のあやも興味深い点かと。



そして、ワタクシが再読中に気づいたのが(殆んど全部記憶喪失なので、順次再読中)、乗っている車
が”ジャガー”。 おッ!モースと同じ?と1人で感激していた所、ジャガーはジャガーでもモースの様な
クラシックタイプではなく、XJSというタイプらしいです。

ドラマで使用されていた車はコチラ ↓


今回ドラマ化された作品は1970年代を舞台にしていますが、何しろ40年に渡り続いた作品ですので、
原作では時代の移り変わりと共にPCや携帯電話等も登場する様になります。

P.D.ジェイムズによるアダム・ダルグリッシュ警部シリーズは全部で14作品ありますが、ドラマが今後
続くのかどうかは今のところ不明です。 (一部ではS2の噂も出ていますが・・・)

その原作は下記に
1.1962年 ”Cover Her Face” 『女の顔を覆え』 
2.1963年 ”A Mind to Murder” 『ある殺意』
3.1967年 ”Unnatural Causes” 『不自然な死体』
4.1971年 ”Shroud for a Nightingale” 『ナイチンゲールの屍衣』
5.1975年 ”The Black Tower” 『黒い塔』
6.1977年 ”Death of an Expert Witness” 『我が職業は死』
7.1986年 ”A Taste for Death” 『死の味』
8.1989年 ”Devices and Desires” 『策謀と欲望』
9.1994年 ”Original Sin” 『原罪』
10.1997年 ”A Certain Justice” 『正義』
11.2001年 ”Death in Holy Orders” 『神学校の死』
12.2003年 ”The Murder Room” 『殺人展示室』
13.2005年 ”The Lighthouse” 『灯台』
14.2008年 ”The Private Patient” 『秘密』

以前コチラでご紹介した『死の味』の新版は只今再読中です。

P.Ð.ジェイムズの作品にはダルグリッシュ警部シリーズ以外にも何作かありますが、その中でチョット
毛色の違うのが、ジェーン・オースティンによる名作『高慢と偏見』の2次創作というか、スピンオフと
いうのかの作品で『高慢と偏見そして殺人』”Death Comes to Penberley”があります。

ドラマ化もされており、大変贅沢な出演者と共に、なかなか見応えのある見事なミステリになっていました。


ついでにご紹介しておきます。

概略はコチラに ↓
※ BBCドラマ「高慢と偏見そして殺人」(1)


ドラマ化された英国ミステリ小説 : その(7)

2021-02-09 | ドラマ化された英国ミステリ小説
『ダブリン 悪意の森』 ”Dublin Murders

2019年初放送
全8エピソード

先日初放送予定ドラマとしてご紹介したのですが、一挙放送を観ましたので それを踏まえて
原作と共にご紹介します。

エドガー賞をはじめ数々の文学賞を受賞し一躍注目を浴びた作家タナ・フレンチの小説を、アガサ・
クリスティーシリーズで知られる脚本家サラ・フェルプスが脚色し映像化!

これも、先日書きましたが 過去にアガサ・クリスティー原作のドラマ化を手掛けたサラ・フェルプ
スは独特の解釈の脚本で予想外、以外な結末、変更を試みていました。
この点は、見解が大きく分かれるところなのですが、その点も予想しながら 今回どの様にドラマ化
されているのか興味を持って居りました。

ドラマ版は、
原作:タナ・フレンチ
脚本:サラ・フェルプス
製作;カーメル・マロニー
出演:
セーラ・グリーン:キャシー・マドックス
キリアン・スコット:ロブ・ライリー
コンリース・ヒル:オケリー警視
その他の出演



ドラマ概要は、
アイルランドの田舎町ノックナリーの森で少女ケイティの他殺体が発見される。この森では21年
前に同じくらいの年齢の少年・少女が失踪した未解決事件が発生しており、警察関係者だけでな
く、メディア、町の人も21年前の事件との関連性を疑った。ダブリン警察の刑事ロブとキャシーが
この事件を担当することになるが、ロブには事件に関わるべきではない秘密の理由があった。
周囲に事情を悟られないよう、2人は折を見て捜査から身を引くことを考えたが、ロブの心はもう
事件から離れられなくなっていた。ロブはケイティ殺害事件について調査を行いながら、過去の
事件の真相を探っていく。ロブはなぜこの事件に固執するのか?
一方、ロブ同様に秘密を抱えるキャシーは、謎の男に尾行される。
ある日、キャシーと瓜二つの女性の死体が発見される・・・。
複数の謎が交錯し、驚愕のラストが待ち受ける!
(AXNミステリー公式ページから)

一挙放送を観たと言っても、実は途中迄しか観ていません。

前半は割と原作に添った形で進められているのですが、途中で ”あれ?どうしてこう言う展開に
なるの?”と不思議に思ったのです。
が、分りました! このドラマは、原作の「悪意の森」ともう一作「道化の館」が合体し、交差
しながら一作に纏めた作り方がしてありますね。
この点は、どうなんだろう? 意見が大きく分かれるところだと思います。
兎に角、サラ・フェルプスがどの様に納めて来るのか・・・・。
最後迄観た後、これは追って書こうと思います。

原作は、

『悪意の森』タナ・フレンチ著(集英社文庫)-2009/9/18

”In The Woods”
タナ・フレンチ(著)、安藤由紀子(翻訳)

内容(「BOOK」データベースより)
うだるような夏のある日。ダブリン郊外の森の中で、少年と少女が忽然と姿を消した。あの日から
20年。同じ森の近くの遺跡発掘現場で少女の他殺体が発見される。捜査にあたった刑事のロブ
とキャシーは、少女の家族が隠し事をしていると感じる。一方、発掘隊の中にも疑わしい言動を
取る者がいた。やがて少女の姉がロブに接近し、虐待を匂わす証言をするのだが…。数々の賞
に輝く傑作登場。

森の中の少女他殺死体発見事件と、過去の少年少女失踪事件との関連を調べる刑事のロブとキャシー。
しかしそれは、ロブが自ら封印していた記憶の扉をこじ開ける作業でもあった。次第に追い詰めら
れていくロブの状態に、被害者の姉の言動が拍車をかける。壊れていくロブとキャシーの鉄壁の
チームプレイ。そして事態は取り返しのつかない方向へと進むのだった…。英米話題ミステリー、
驚愕の結末。

『道化の森』タナ・フレンチ著(集英社文庫)- 2010/12/16

”The Likeness”
タナ・フレンチ(著)、安藤由紀子(翻訳)

内容(「BOOK」データベースより)
荒れ果てた小屋で見つかった若い女性の刺殺死体。レクシー・マディソンと名乗っていたその女
性は、驚いたことにアイルランド警察の刑事、キャシーと瓜二つだった。犯人を探すため、レク
シーになりすまして被害者が暮らしていた「ホワイトソーン館」へと潜入するキャシー。
そこには四人の男女が現実離れした調和をもって共同生活を送っていた…。新人賞を総なめにし
た著者の待望の第二弾。2008年アマゾンUSエディターズ・チョイスミステリー部門第1位。

殺人事件の被害者が暮らしていた「ホワイトソーン館」に潜入した刑事キャシーは、ここに住む
学生らとの共同生活に不思議なほど馴染む。しかし、屋敷が背負う暗い歴史、周囲の村の住人と
の摩擦…そこから浮上する数人の容疑者。やがて完璧な調和を保っていた共同生活のほころび
が見えはじめ…。被害者が抱えていた暗い秘密とは?真犯人は?事件の真相が心を刺す、感動の
ミステリー。



ドラマ化された英国ミステリ小説 : その(6)

2020-03-31 | ドラマ化された英国ミステリ小説
『シェトランド』 ”Shetland”

2013年~2019年
ITV/BBC
5シーズン:26エピソード

この作品は、以前ご紹介した”ヴェラ”の原作者である アン・クリーヴス原作の4作品(日本では
「シェトランド四重奏」として翻訳されています)をITVが映像化したシリーズです。
一作目である「大鴉の啼く冬」”Raven Black”でCWA賞再優勝長編賞を受賞しています。

2013年BBC 1での放送時には800万人の視聴者を獲得した人気テレビシリーズで、シーズン5迄
放送済みです(in UK) 

この作品も原作の方を大分前に読んでいたので、ドラマ放送は楽しみにしていましたが、なかな
かタイミングが合わず、見逃している回も多いので、日本では何処まで放送されていたのか良く
把握出来ていません(残念!)

舞台となるのはスコットランドの地方行政区画の1つで、亜寒帯に属するシェトランド島。

(シェトランドセーターのAnderson & Co.のページから拝借しました)

”シェトランド”と聞くと、個人的には”シェトランドウール”、”シェトランド・シープドッグ”、
”シェトランドセーター”等ヒツジ関係しか思いつかなかったので、原作を読みながらも英国本土
から随分離れたシェトランド島の雰囲気が良く分からなかったのですが、独特の風習、習慣、気
候風土、本土とは言葉も異なるという状況がなかなかイメージできなかったのです。
ドラマは現地でのロケも多い様で、視覚から現地の雰囲気を読み解く事が出来ますね。


ドラマのキャストは、
監督:ピーター・ホワー(”ヴェラ”も手掛けています)
出演:
ジミー・ペレス警部:ダグラス・ヘンシェオール
サンディ・ウィルソン巡査:スティーブン・ロバートソン
アリソン・”トッシュ”・マッキントッシュ:アリソン・オドネル


ほとんどの島民が顔馴染という世界で、ちょっとした行き違いから無意識のうちに封印してきた怨
嗟や嫉妬が滲み出し、殺意へと変わっていく濃密な人間描写、緻密な伏線、大胆なトリックで綴ら
れるストーリーが展開する。

ジミー・ぺレスは亡き妻の連れ子であるキャシーを引き取り育てる物静かな刑事。
キャシーの実父であるダンカンとは旧友であり、共にキャシーの子育てに奮闘する・・というチョッ
ト複雑な関係。



この原作もドラマよりずっと前に読んでいたので、ジミー・ペレスのイメージが原作とはちょっと違
うな~とは思いつつ、このぺレスさん許容範囲かな?と・・・。

閉ざされた社会で生きて来た人々の複雑な人間関係と心理が浮き彫りになって、同時に島独特の風景、
風土にも魅力を感じるドラマになっています。

原作は、
「シェトランド四重奏」ー原題に色が含まれています。
創元社文庫
アン・クリーヴス(著)、玉木亨(翻訳)

『大鴉の啼く夜』”Raven Black” 2007年
『白夜に惑う夏』”White Nights” 2009年


『野兎を悼む春』”Red Bones” 2011年
『青雷の光る秋』”Blue Lightning” 2013年


続編として、
『水の葬送』”Dead Water”も翻訳出版されています。


翻訳本を読んで 現地の方言、独特の言い回しが原作でどの様に表記されているのかとても気になる
ところで、確認したい気もするのですが、やっぱり原作を読む気力は無く(恒例の得意のフレーズ)・・・・。

DVD はUK版のみですが、S1~S5(5枚組)で発売されています


もう一度最初から観なおししたいと思いますので、ドラマの再放送(含む新シーズン)をなるべく早
くお願いしたいところです。

最後に、
シーズン6の製作も発表されており、2020撮影開始と言われていましたが、現在の状況を考える
と遅れるでしょうね。



ドラマ化された英国ミステリ小説 : その(5)

2019-12-20 | ドラマ化された英国ミステリ小説
『ダルジール警視』 ”Dalziel & Pascoe”

BBC One
1996年~2007年までBBC One にて11 シーズン(全46エピソード) 放送されました

出演は、
アンドリュー・ダルジール警視 : ウォーレン・クラーク
ピーター・パスコ―部長刑事 : コリン・ブキャナン



ダルジールを演じたウォーレン・クラークはかなり原作のイメージに近いのかも知れません。
原作に近いとは言え、どうにもビジュアル的にアレなので(顔が怖すぎ←暴言)、何となく気合が
入らずあまり熱心に観ていなかったのが正直なところでして(申し訳ないことで・・・)。
ストーリー展開もかなり原作に忠実に描かれている様です。

ウォーレン・クラークはあのスタンリー・キューブリック監督の「時計仕掛けのオレンジ」に出演して
いたそうです。

”そうです”と書きましたが、大昔に観たきりなので全く記憶にございませんでした。
又、「ミス・マープル」にも出演していましたっけ。
そんな中、先日「ルイス警部」の再放送を観ていたら(ひつこい!)偶然ウォーレン・クラークがゲスト
出演していたのに気付きました。 すっかり忘れていましたわ。

2014年に惜しくも亡くなったんですね。

原作は現代を代表する本格推理小説家の1人とされるレジナルド・ヒル。
ダルジール警視を描いた作品は、

「社交好きな女」”The Clubable Woman” (1970年)
を始めとして、
「午前零時のフーガ」”Midnight Fugue” (2011年)
迄全24作がカドカワ・ポケット・ミステリ版で出版されています。

ダルジール警視はヨークシャー州警察犯罪捜査部の警視(DS=Detective Superintendent)
”警視”なんですよ。 偉いんです。
(余談ですが、良く知る他の警察関係ミステリで一番エライのはフォイルでしょうね。”警視正=
Detective Chief Intendent” ですから) 

原作では太った牛の様な大男、薄くなった白髪交じりの大きな頭、大きな目に度の強い眼鏡をか
けている。
口も悪く下品な行動をする困った人物ではありますが、叩き上げで警視の地位まで這い上がって
来た実力もある。
そんなダルジールとコンビを組むのが 大卒で社会学の学士号を持つ インテリでハンサムな部長
刑事ピーター・パスコー。
対照的な2人が難事件を解決する様をコミカルに描いています。

因みに、
Dalzielはスコットランド系の為 正確な発音は”ディーエル”だそうです。

何時ものフレーズですが、原作本を読んだのはかなり昔のことでして、ふと思い出して数か月前に
最後の作品となった「午前零時のフーガ」を読みました。


レジナルド・ヒルは2012年惜しくも逝去なさったので、この作品が本当の最後になってしまいました。
残念です。

この作品の内容、感想に関しては、後日余裕があれば改めて書いて見たいと思っては居りますが。

DVDに関しては、

残念ながら日本語版は発売されてい様です。


ドラマ化された英国ミステリ小説 : その(4)

2019-11-29 | ドラマ化された英国ミステリ小説
『バーナビー警部』”Midsomer Murders”
ITV 1997年~


1997年3月にパイロット版が初放送されて以来、1998年放送のシーズン1から2016年放送
(2018年修了)のシーズン19迄放送されたドラマです。
(2011年放送のシーズン14からは主人公が交代し、日本タイトル『もう一人のバーナビー警部』
としてトム・バーナビーの従弟ジョン・バーナビーが主人公となっています)

出演は、
トム・バーナビー警部 : ジョン・ネトルズ
ジョイス・バーナビー : ジェーン・ワイマーク(バーナビーの妻)
カリー・バーナビー : ローラ・ハワード(バーナビーの一人娘)
ギャビン・トロイ巡査部長 : ダニエル・ケーシー(バーナビーの相棒:S1~S7)
ダニエル・スコット巡査部長 : ジョン・ホプキンズ(バーナビーの相棒:S7~S8)
ベン・ジョーンズ巡査部長 : ジェイソン・ヒューズ(バーナビーの相棒:S9~S15)
トム・バーナビー警部 : ニール・ダッジオン(S14~S19)



↑ 初代相棒トロイ


↑ 2代目相棒スコット


↑ 3代目相棒ジョーンズ


↑ もう1人のバーナビー警部

イギリスの緑豊かな架空の田舎町ミッドサマー(Midsomer)が舞台になっています。
コーストンという町の警察署に勤務するバーナビー警部は妻と一人娘と暮らしており、その長閑な
で平和な田舎町で起こる事件を解決していく様子を描いた作品です。

バーナビー警部の穏やかな人柄もあり、あまり陰惨なシーンも無く、英国らしい平和な田舎町でで
こんなに次々と事件が起こるものか?と思いつつ(それを言えば、ミス・マープルが住むセント・
メアリー・ミードも同じ事ですよね)英国の長閑な雰囲気も満喫できる長寿を誇る人気シリーズと
なりました。
良き夫であり、良き父親でもあるバーナビーの私生活にも癒されたりします。

バーナビーの相棒が替わる度にドラマの雰囲気、バーナビーの対応の変化等も楽しめると思います。

原作は、
キャロライン・グレアムのバーナビー警部シリーズで、
1987年刊行された”The Killings at Badger's Drift”「蘭の告発」を初めとして1996年の”A Place
unto Death”迄5作品が刊行されています。



ただし、翻訳出版されたのは3作品のみ(「蘭の告発」、「虚ろな男の死」、「空白の一章」)の様です。
この原作は何故か読んだ事が無かったです。
これから探してみようと思いつつ・・・・。

そして、
ドラマ版初期のシリーズはアンソニー・ホロヴィッツが脚本を担当していました。

冒頭書きました様に、
S14からトム・バーナビーの従弟ジョン・バーナビー警部が主人公となっています。
ジョン・バーナビーを演じるニール・ダッジオンはS4にゲスト出演していました。 偶然気付いた
のですが、全く別の役柄でしたね。 あれ?っと思った事を思い出しました。

しかし、
新シリーズの「もう1人のバーナビー警部」は正直あまり熱心に観ていなかったですわ。
やはりオリジナルのバーナビーが好きでしたので・・・・。

そんな折、偶然AXNミステリーチャンネルで『バーナビー警部』のリマスター版の放送が開始さ
れるとの情報が出て居ります。
とても綺麗な画面になっている様ですね。

12月3日(火)20:00~
放送されるのは21話から40話迄の様です。

↓ 詳細は公式ページでご確認下さい
https://www.mystery.co.jp/programs/midsomer_murders




ドラマ化された英国ミステリ小説 : その(3)

2019-11-21 | ドラマ化された英国ミステリ小説
『ヴェラ~信念の女警部~』 ”Vera” 

ITV 2011年5月~2019年1月
S1~S9 各4エピソード

本国では今年(2019年)最新のシーズン9が放送されています。

スコットランドに近い北東イングランドが舞台。 
ヒロインのヴェラ・スタンホープは粘り強く事件に全力を注ぐベテラン警部。
捜査にのめり込むあまり部下に辛辣な言葉を投げたり、周囲の反感を買ったりします。
又、部下のプライベートに影響を与える事もあるが、それは事件解決に全力を注ぐ余りの事です
が、時に部署内はギクシャクした雰囲気になる事も。 そんなヴェラが情熱を傾ける捜査ですが
同時に事件の裏に隠された人間の機微、哀しみや憎しみを読み取る彼女の人物造詣が魅力の1つ
になっていますね。
孤独なプライベート、家族の愛情を知らずに育ったせいか 優しさや愛情を表現するのに不器用
になっている様に思えます。 どうも子供と病院が苦手の様です。

出演は、
ヴェラ・スタンホープ警部 : ブレンダ・ブレシン
ジョー・アッシュワーズ : デヴィッド・レオン(S1~S4)
エイデン・ヒーリー : ケニー・ダウティー(S5~)
ケニー・ロックハート : ジョン・モリソン






ヴェラを演じているブレンダ・ブレシンはOBE(大英帝国勲位)の称号を持ち 数々の受賞歴を誇
る英国の名優です。
今年73歳になられるそうです。 (ヴェラの年齢設定は50代でしょうか?)
過去の出演作では、2007年の”Atonement”「つぐない」の母親役がとても印象に残っていますね。

ヒゲずらのイケメンさんである相棒ジョーが交代になり残念でした。
ジョーとの関係はとても興味深く、時に口争いをしながらも親子の様でもあり、ヴェラもジョーをと
ても買っていました。 ただ、ジョーの私生活が色々複雑でもあった為妻には姑の感じられたせい
かかなり疎まれていたようです。 ”ムッソリーニさん”なんて子供達からも云われてましたっけね。
ジョーと2人でアイスクリームを分けあったり、ヴェラが病院に検診に行った時には子供の様に怯え
ていたヴェラに付き添ったり、珍しくヴェラがジョーを夕食にお招きして得意気に披露したのがサラ
ダだけだったとか・・・・。色々と興味ある2人の関係でした。
二代目のエイデンもイケメンさんなんですが、何となく未だ慣れませんでして。

女性の部下との軋轢や、何となくうまくいかないケニーとの関係も次第に分かり合えて来ているのかな?
という感じ。

兎に角、ブレンダさんの迫真の演技と共に 日本タイトルにある”信念の女警部”そのままに随所に
描かれる人間ドラマとして、ミステリとしても最後まで目が離せないドラマになっていると思います。
又イングランド北部の美しい海岸線、起伏の激しい田園地帯といった背景が見事に調和した本格ミス
テリドラマですね。

原作は、
アン・クリーヴスの”Vera Stanhope” 
シリーズは8冊(多分?)出版されている様なのですが、何故か1作も翻訳出版されていないんですね。
手あたり次第読む癖に何故この作品の原作を読んでいなかったのか???と思ったらやはりそう言う
事だった訳で・・・(なら原書読む?いやいや気力ないですから)

1作目 : ”The Crow Traps” ~ 8作目 ”The Seagull”


又、アン・クリーヴスはシェトランドシリーズの『大鴉の啼く冬』ではゴールド・ダガー賞を受賞して
います。
(尚、シェトランドシリーズもドラマ化されていますので、これは追って又)

そして、ITVは既にシーズン10の製作も発表しています(2020年放送予定)
人気の程が分かりますね。 ブレンダさん頑張ります。

AXNミステリーチャンネルでは、シーズン3の再放送開始になります。
11月22日(金)20:00~

↓ 公式ページはこちら
https://www.mystery.co.jp/programs/vera

因みに、残念ながら日本版DVDは発売されていない様です。






ドラマ化された英国ミステリ小説 : その(2)

2019-11-13 | ドラマ化された英国ミステリ小説
『フロスト警部』 ”A Touch of Frost”

英国ITV製作 15シーズン(全42話)
1992年12月初放送から、2010年4月迄放送されたシリーズ

出演は、
ジャック・フロスト警部 : デイヴィッド・ジェイソン
マレット警視 : ブルース・アレキサンダー




英国ITVで17年間高視聴率を獲得し続けた大人気シリーズ。
フロスト警部を演じるデヴィッド・ジェイスン(Sir David Jason)はナイトの称号を持ち、フロストを演
じ続けたが高齢を理由に引退を表明し(2010年時点で満70歳)惜しまれつつ幕を閉じました。

ドラマのフロスト警部は原作とは少し異なり、何となくお茶目だったり、時に可愛らしかったり、人の好
さを感じさせるキャラクターになっています。
(外見”スーパーマリオ”だし)
しかし、型破りな捜査で数々の難事件を解決し、時に人間臭いキャラクターで惹きつけられます。

原作は、
R.D.ウィングフィールドの小説『フロスト警部』 シリーズ
翻訳本は創元社推理文庫から出版されています。

↑ 原作で受けるフロストのイメージはこんな感じなんでしょうね

『クリスマスのフロスト』”Frost at Christmas”
『フロスト日和』””A Touch of Frost”
『夜のフロスト』”Night Frost”
『フロスト気質』上、下”Hard Frost”
『冬のフロスト』上、下”Winter Frost”
『フロスト始末』”A Killing Frost”

原作のフロストはロンドン郊外の架空の田舎町デントン警察の警部。
40代後半、服装はだらしなく、薄汚れたレインコート、プレスしていないズボンが定番スタイル。
下品な行動、ジョーク、事務処理は苦手、上司へもたてつくと等々の欠点はあるものの、型破りな行動力、捜
査で数々の難事件を解決している。
何処か憎めない人間的なキャラクターの持ち主です。
英国版「刑事コロンボ」とも言われています。

原作のキャラクターとは大分異なるTVドラマ版では、フロストの年齢も上がっているし、言葉遣いの粗さや下
品さは差し引かれアクの強さはマイルドになっているし、ストーリー展開も異なる部分も多々ありながら、こ
の作品に関してはドラマ版はドラマ版としての良さがあり、多分それはデヴィッド・ジェイスンによるものな
のでしょう。
英国らしい雰囲気を漂わせ惹きつけられる作品になっていると感じます。
長い間高視聴率を獲得し続けたと言われる人気シリーズです。

原作を読んだのはもうかなり昔の事とて、かなり霧の彼方です。
最近になってボチボチと一冊ずつ読み直し再開しているところです。

又、
ドラマに関しては、AXNミステリーチャンネルでは時々再放送をしていたのですが、何と言うタイミング!
丁度12月に久し振りの再放送が始まる様です。

12月20日(金)16:00~

↓ 番組公式ページはこちら
https://www.mystery.co.jp/programs/frost

日本版DVDも発売されています







ドラマ化された英国ミステリ小説 : その(1)

2019-11-04 | ドラマ化された英国ミステリ小説
"The Inspector Linley Mysteries"



昔からミステリが好きで あれこれ読んでいたのですが、特に英国ミステリが好みでして これまで
もあれこれ書いて居りました。
基本的には原作小説を読んだ後にドラマを観る、というのが好みでした。
ただ、その場合は登場人物に関して自分なりのイメージを固めてしまうので ドラマ化された場合の
ギャップを感じる事も多々ある訳ですが、ドラマの良さも別にありますね。
気に入った作品は、原作を読む→ ドラマを観る → 原作を再読する といったひつこい流れにな
ります。

英国ミステリと言えば、先ず思い浮かべるのは コナン・ドイル(シャーロック・ホームズ)、アガサ・
クリスティー(エルキュール・ポアロ&ジェーン・マープル)ですが、それらの作品はこれまでも何
度か取り上げていますし、別格としまして、今回はその他個人的に好きだった作品を取り上げてみよ
うと思います。

英国ミステリ(ドラマ)を集中的に観始めたのは約15年程前にCSを契約して以来という事になるでしょ
うか。
 
そんな訳でかなり前の話に遡りますが、
先ずは、

『リンリ―警部捜査ファイル』”The Inspector Lynley Mysteries”

このTVシリーズはBBCにて 2001年~2008年までS6迄全24エピソード放送されました。

日本ではAXNミステリーで10数年前の放送を観ておりました。

出演は、
トーマス・リンリ―警部 : ナサニエル・パーカー
バーバラ・ヘイバース巡査部長 : シャロン・スモール
ヘレン・クライド(リンリ―) : レスリー・ヴィッカージ


アシャートン伯爵の称号を持つ貴族で スコットランド・ヤードの警部トマス・リンリ―と労働者階級
の出身で勝気なバーバラ・ヘイワース。育った環境も性格も全く異なる2人が難事件を解決しながらお
互いを理解していく姿を描いています。

原作は、
アメリカの女流作家エリザベス・ジョージによる「リンリ―警部」”Inspector Thomas Lynley”
1988年の「大いなる救い」(後に「そしてボビーは死んだ」で改訂版再販)”A Great Deliverance”
をはじめとして全17作品あります。

この原作は大好きで15年以上前に読み始め、出版されている全作を読みました。
随分前の事ですので朧げですが(得意のフレーズ)。
なので、ドラマ化されて放送されているのを知って嬉しかったですわ。

リンリ―警部はイートン校、オックスフォード大学を卒業し、伯爵の称号を持ちながらスコットランド
ヤードで優秀な警察官として勤務しています。
ブロンド、茶色の瞳、すらりとした背の高い、そしてギリシャ彫刻の様な二枚目で 女性との噂も絶え
ない。 ベルグレーヴィアに住まい、サビルロー仕立てのスーツを着こなし、ベントレーに乗るといっ
た絵にかいたようなゴージャスな警察官なのです。

一方バーバラは容姿にも恵まれず、貧しい家庭には息子を亡くして以来精神を病んだ母親と問題を抱え
る父親と生活している。
そんなバーバラは自分とはあまりにもかけ離れた生まれ育ちのリンリ―に対してやっかみや反感を持っ
ていてに捜査しながらもギクシャクした関係を感じながらも共に捜査にあたります。

リンリ―自身ものほほんとしたお坊ちゃまの外見からは窺われない家族との確執や後に妻となるヘレン
との関係等複雑な人間関係の悩を抱えている。
等々事件と共にそれぞれの人間関係を描いたサイドストーリーが語られています。
テーマは少々重かったりもした記憶がありますが、でも英国らしい作品でした。

ただ、前述した様に、このドラマ版でのナサニエル・パーカーが原作でのリンリ―警部とかなりイメー
ジが違っていて、外見が全く異なりましたので暫らく戸惑いました。
個人的には、今で言えば、トム・ヒドルストンとかダン・スティーブンスがイメージかしら?
(ちょっと贅沢ですね)
でも、ナサニエル・パーカー素敵なんですよ。 エレガントだし、伯爵さまの雰囲気を持つ俳優さん
なんでしょう。
確か「ルイス警部」でも伯爵だか公爵だか(いい加減)の役でゲスト出演していましたもんね。

バーバラ・ヘイバースは個性的なルックスですが原作より美人さんです。
レディー・ヘレンもかなりイメージが違っていて、なんだかなぁ・・・・”華”がない・・と思った
ものです。

楽しみにTV放送を観ていたのですが、残念ながら全シリーズは放送されなかったと思います。
で、仕方ないのでDVDを探したのですが、これ又残念な事に日本版は出ていません。

PAL版(region 2) のみですが、S1~S6のセットで発売されています。


何処かで再放送してくれるのを待つ事にしましょう。
(又はリメイク期待です)