集結(P分署特捜班)創元推理文庫:2020/5/29
マウリツィオ・デ・ジョバンニ(著) 佐良和美(翻訳)
内容(「BOOK」データベースより)
重大な不祥事を起こして市警の面目をつぶしたピッツォファルコーネ署へ欠員を埋めるため送り
込まれたのは、独自の捜査方針を貫くロヤコーノ警部を筆頭に、有能だが各分署が持て余した
刑事ばかり。彼ら、は新天地P分署で急造捜査班を結成し、女性資産家殺しや少女監禁など、
続発する難事件に挑んでいく。21世紀の「87分署」とも言うべき、イタリア発の大人気警察小説
シリーズ始動!
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
イタリアミステリは殆ど読んだ事がないので、余り期待もせず何気なく手に取った作品です。
”P分署”とは、イタリア ミラノ市内にあるピッツォファルコーネ分署。
このP署はナポリの最も治安の悪い地区を管轄する分署とされています。
同署内の捜査班に属していた4人の刑事が 押収したコカインを横流しした咎で逮捕された。
前代未聞の醜聞を起したピッツオファルコーネ分署の存続が危ぶまれる危機に、補充要因として
集められたのは いずれも前の職場でいわく付きの厄介者達。
ジュゼッペ・ロヤコーノ警部は切れ者と言われながら、以前の事件でマフィアと内通していると噂
を立てられてP分署に飛ばされた。アーモンド形の目と 表情を表に出さない東洋人を間違われる
風貌で”チノ”(中国人)とあだ名を付けられている。
そのロヤコーノ警部を中心に、アメドラの刑事気どりでスピード狂のアラゴーナ巡査、前職場で銃
の発砲事件を起こしたアレッサンドラ・ディ・ナルド巡査補長。
頭に血が上ると暴力を抑えられない性分で”ハルク”のあだ名を付けられているフランチェスコ・ロ
マーノ巡査長。
キャリア出身のパルマ署長、ピザネッリ副署長、ITに強いオッタヴィア・カラプレーゼ副巡査部長
等がP分署の主なメンバー。
メインの事件は資産家で公証人の妻が 異常な情熱を持って集めていたスノードームで撲殺され
るという事件。
その事件に加え、正体不明の若い美女がマンションの一室に監禁されているという通報がからみ、
サイドストーリーの様な形で、引退間近かのピザネッリ副署長が ホームレスや身寄りのない老
人達が奇妙な遺書を残して死亡した事件に疑いを抱き、単なる自殺ではないとの思いを持って1人
執念の様に追及している状況が加わります。
それぞれのメンバーが持つ私生活の悩みや葛藤を絡めながら、寄せ集めのメンバー達が次第に結
束して捜査に意欲を持つ過程、そして、何らかの結果を出して期限までにP分署の解体を阻止しな
くてはならないというタイムリミットのなか、それぞれのメンバーの意識が変わっていく過程が
なかなかのページ―ターナーとなっています。
それぞれのキャラも興味深く(名前が覚えにくいのがチョット・・・なんですが)、又誰の者か
は分からない視点での断章が途中何か所かに挿入されているのですが、これも最後にきちんと回
収されています。
メインのスノードーム殺人事件の真相は、一種物哀しさも感じさせる結末になっています。
又、ピザネッリ副署長が追っていた自殺者の事件は予想外の思いもよらぬ結末です。
初めはやる気の無さそうなメンバー達が次第に意欲と能力を発揮し始め、最後はお見事の結末。
友達にはなれていないけど、まがりなりにも良いチームになっていく過程が読ませてくれます。
重すぎず、軽すぎず一気に読ませるイタリアミステリで、久々に一気読みでした。
トラットリアの女主人、検事補の2人のセクシー美女から思いを寄せられるロヤコーノ警部はモテ
すぎだけど、これからどうなるのか・・・。
又パルマ署長とカラプレーゼ副巡査部長の関係も進展があるのか・・・・。
本国イタリアでは2017年よりテレビドラマ化され 2020年現在シーズン3が製作中との事。
これもいずれ機会があれば観てみたいですね。
又、このシリーズは既に9作まで刊行されている様で、2作目の翻訳も決まっているとか。
続編も期待。楽しみなシリーズが出来ました。
マウリツィオ・デ・ジョバンニ(著) 佐良和美(翻訳)
内容(「BOOK」データベースより)
重大な不祥事を起こして市警の面目をつぶしたピッツォファルコーネ署へ欠員を埋めるため送り
込まれたのは、独自の捜査方針を貫くロヤコーノ警部を筆頭に、有能だが各分署が持て余した
刑事ばかり。彼ら、は新天地P分署で急造捜査班を結成し、女性資産家殺しや少女監禁など、
続発する難事件に挑んでいく。21世紀の「87分署」とも言うべき、イタリア発の大人気警察小説
シリーズ始動!
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イタリアミステリは殆ど読んだ事がないので、余り期待もせず何気なく手に取った作品です。
”P分署”とは、イタリア ミラノ市内にあるピッツォファルコーネ分署。
このP署はナポリの最も治安の悪い地区を管轄する分署とされています。
同署内の捜査班に属していた4人の刑事が 押収したコカインを横流しした咎で逮捕された。
前代未聞の醜聞を起したピッツオファルコーネ分署の存続が危ぶまれる危機に、補充要因として
集められたのは いずれも前の職場でいわく付きの厄介者達。
ジュゼッペ・ロヤコーノ警部は切れ者と言われながら、以前の事件でマフィアと内通していると噂
を立てられてP分署に飛ばされた。アーモンド形の目と 表情を表に出さない東洋人を間違われる
風貌で”チノ”(中国人)とあだ名を付けられている。
そのロヤコーノ警部を中心に、アメドラの刑事気どりでスピード狂のアラゴーナ巡査、前職場で銃
の発砲事件を起こしたアレッサンドラ・ディ・ナルド巡査補長。
頭に血が上ると暴力を抑えられない性分で”ハルク”のあだ名を付けられているフランチェスコ・ロ
マーノ巡査長。
キャリア出身のパルマ署長、ピザネッリ副署長、ITに強いオッタヴィア・カラプレーゼ副巡査部長
等がP分署の主なメンバー。
メインの事件は資産家で公証人の妻が 異常な情熱を持って集めていたスノードームで撲殺され
るという事件。
その事件に加え、正体不明の若い美女がマンションの一室に監禁されているという通報がからみ、
サイドストーリーの様な形で、引退間近かのピザネッリ副署長が ホームレスや身寄りのない老
人達が奇妙な遺書を残して死亡した事件に疑いを抱き、単なる自殺ではないとの思いを持って1人
執念の様に追及している状況が加わります。
それぞれのメンバーが持つ私生活の悩みや葛藤を絡めながら、寄せ集めのメンバー達が次第に結
束して捜査に意欲を持つ過程、そして、何らかの結果を出して期限までにP分署の解体を阻止しな
くてはならないというタイムリミットのなか、それぞれのメンバーの意識が変わっていく過程が
なかなかのページ―ターナーとなっています。
それぞれのキャラも興味深く(名前が覚えにくいのがチョット・・・なんですが)、又誰の者か
は分からない視点での断章が途中何か所かに挿入されているのですが、これも最後にきちんと回
収されています。
メインのスノードーム殺人事件の真相は、一種物哀しさも感じさせる結末になっています。
又、ピザネッリ副署長が追っていた自殺者の事件は予想外の思いもよらぬ結末です。
初めはやる気の無さそうなメンバー達が次第に意欲と能力を発揮し始め、最後はお見事の結末。
友達にはなれていないけど、まがりなりにも良いチームになっていく過程が読ませてくれます。
重すぎず、軽すぎず一気に読ませるイタリアミステリで、久々に一気読みでした。
トラットリアの女主人、検事補の2人のセクシー美女から思いを寄せられるロヤコーノ警部はモテ
すぎだけど、これからどうなるのか・・・。
又パルマ署長とカラプレーゼ副巡査部長の関係も進展があるのか・・・・。
本国イタリアでは2017年よりテレビドラマ化され 2020年現在シーズン3が製作中との事。
これもいずれ機会があれば観てみたいですね。
又、このシリーズは既に9作まで刊行されている様で、2作目の翻訳も決まっているとか。
続編も期待。楽しみなシリーズが出来ました。