若女将の修行日記

『写真館の若女将・成長記録』のはずが、いつのまにか『若女将のおとぼけな記録』になっていました。

最後の手紙~六本木男声合唱団倶楽部

2010-07-21 18:11:33 | 音楽(足利市民合唱団)
今年は、戦場で書かれた手紙を読むと心に決めている……のに、開かず積んであるだけだと何度かココにも書きました。宣言ばかりでなかなか踏み込めずにいたら、思いがけず、こんなコンサートがあったので、読み始める踏みきり台になるかな、と思い切って行ってきました。音楽会であれば、席についてしまったら、もう逃げも隠れも出来ないし。

戦場から届いた手紙だけが家族のもとに残った13の物語が、13の曲となって演奏されました。行く前は、聴いている間、泣きっぱなしかなぁと心配していたのですが、最後に紹介された各国の犠牲者数(総計7000万人超)を始め、到底この平和な時代に暮らす私には想像が出来ない悲劇過ぎて、感情を移入する隙間が見当たらず、殆ど涙が出ることはありませんでした。妻への思いを綴った手紙を聴いても、今の私に、その手紙を二代目が私に書いていたとしたら……と想像することなど、出来るはずがないと、出来るはずもないのに、そんな想像をすることなど許されないんだと、かえって冷静になりました。

でも一曲だけ、泣きました。それは、ソビエトの兵士が、戦場で夜明けを眺めながら、美しいと心が感じることができないと、小川は「境界線」としか思えず、森は「機関銃陣地に適した場所」としか思えないと、戦いにより自然を美しいと思う人間の心が奪われることを書いている曲でした。これを書いた兵士の職業が作家であったことが、妙に私を悲しくさせました。


思ったよりも冷静に対応できた自分に、勇気が出ました。やっと、「まだ読んでない棚」の一番下に眠っている数冊の本を出すときが来たようです。まだ8月はこれから。子供のころから嫌なことは後回しにする性格ですが、今年こそ、この夏休みの宿題に早めに取り掛かろうと思います。