大川原有重 春夏秋冬

人は泣きながら生まれ幸せになる為に人間関係の修行をする。様々な思い出、経験、感動をスーツケースに入れ旅立つんだね

グルメぶりっこ ①

2009-04-15 17:00:00 | 日記
 幼い頃の話です。毎年秋になると農閑期になり,父親の趣味と実益を兼ねた狩猟の季節でした。野山深く分け入って猟銃を肩にかけ猟犬を引き連れて出かけるのが日課でした。猟犬はドイツポインターとか、アイリッシュセッターとかいう犬種でした。鉄砲打ちの名人だったと思います。キジ、ヤマバトを中心にいろんな鳥を仕留めてきました。空振りはあまりなくて、1、2羽から多いときは5羽くらい仕留めて帰ってきました。キジ(雄どり)はよくキジ肉入りの炊き込みご飯とキジ肉の吸い物を作ってもらいました。(父はよく口癖に「キジはすいもんがうめぇんだ(うまい)」確かに納得ですね.)ヤマバトはいろりで焼いて食べました。(当時の私の生家は文久年間に建替えた古ぼけただだっ広い茅葺きの農家)雀なんかもよく焼いて食べました。野うさぎは骨と肉を一緒に、思いっきり、確か金槌だと思うのですが、叩いて、肉団子を作って食べさせてもらいました。思い返せば秋から冬は本当にごちそうだらけだったと思います。家の敷地内に大人二人両手を広げるとやっと囲い込むことができるくらいの大きなイチョウの木が2本ほどあって、秋の終わりになると橙色の銀杏の実(銀杏)をひろって近所の小川で洗い流し、それをいろりで焼いて、食べたりしましたね。また家のわきに、これもまたすごく大きなクルミの木があって、よくリスが木の枝をあっちに行ったり、こっちに行ったり、していました。野生のリスってすごい可愛い仕草なんですね。クルミの実を叩いて中のクルミをお餅と一緒に煮込むとくるみ餅になるのです。これも冬の楽しみのひとつでしたね。
 
 春はふきのとうやたらの芽なんかを天ぷらで食べたりふきみそやまめみそを作ってご飯を食べました。いろりから少し離れた所に竈(かまど)があって、薪をくべながらご飯が炊きあがるのを待つのです。竈の中に木の枝を投げ込むのは自分たち(子供)の仕事でした。白米の中に麦がたくさん入っていて子供心に麦飯を食うのは貧乏人だと思いこんでいましたね。(笑)
 初夏になると山フキを取りにいき、フキの皮を剥いて煮付けてよく食べさせてもらいました。夏はトマト、きゅうり、なすが毎日食材に朝昼晩勢揃いしていました。(きりぎりすとか、コオロギ定食だと母親に文句を言ったことを覚えています。でもすべて自家栽培で農薬はほとんど使っていなかったと思います。)
 秋になると田んぼでイナゴ取りをして、それをよく食べましたね、また父親と一緒に茸採りに出かけたことを思い出します。紫しめじ、なめこ、えのき茸、ししだけ、あみだけ、その他。それらをいろんな野菜と一緒に鍋で煮込んで食べたっけ、またキノコを瓶に塩を入れてつけ込み真冬に食べることもありましたね。父は魚釣りも得意でよく大滝根川に夜明け前(早朝)に出かけてコイや鮒を釣ってきましたね。私はちっちゃな頃近所の同じ年齢くらいの子供達と池や川でタニシを採ったり川エビを捕りました。その頃は田んぼにはどじょうが生息していたのでどろんこになりながら、どじょう取りをしましたけど、今はほとんどいないと思います。農薬をだんだん使用する農家が増えてきて、どじょうの生育できる環境ではなくなったんだと思います。経済的には貧しい農家でしたのでお魚を買うことが満足にできなかったのでよく魚屋さんに行くと、魚の切り身じゃない方、切り落とし(いわゆるアラ)を20円とか50円を母親から手渡されて,よく用足ししました。父は「骨にくっついている魚の肉がうめぇんだ、魚の頭の目の辺りもうめぇぞ」というのが口癖でした。私は内心、魚の切り身が食べたかったですね。今思い返すと食べ物だけは季節季節にとれた旬の食材でしたので、天然自然の超A級グルメぶりっこですね(笑)
 
 昨今は星が幾つとか、いわゆる格付けにおどったり、おどらされたりしている『グルメさん』もいらっしゃるみたいですけども見識を持って自分の住んでいる国の台所事情(農業漁業)に目を向けることも大切だと思うのですが、、、、また最近は幼少期からマクドナルドに連れて行くダメ親がいると聞きますけど小学校3年までにマクドナルド(ファーストフード)を食べさせると子供の舌(味覚)はマクドナルドの味が基本的に大人になってもずっと一生涯旨いものの基準になる(舌がバカになる)と大分以前に聞いたことがあります。(その話が本当なら、USAの食文化が、世界制覇しちゃった感じですね。)???

 蛇足ですけどわずかな土地でしたが田んぼに米を作っており、田植えの手伝いなんかもしていたので、茶碗にご飯の米粒を残しておくともの凄く両親に叱られました。「米一粒、一年かかるんだぞ。米粒を粗末にすると罰あたるぞ。」そういうふうに育てられましたので、よく友人知人と食事をすると、自然に相手のご飯茶碗の中身を覗いて、大変失礼な言い方で申し訳ありませんが人物判定(その人の生育状況というか、どんな両親なんだろうって興味を持っちゃいますね。)をし、たいてい「残さない方がいいいよ」とおせっかいの小言を言いますね。
 これから辻留の料理教室に見学に行って来まーす。それじゃまた。