事務負担が重荷 県南・会津への給付金 県、7月にも支給 より転載
東京電力福島第一原発事故に伴う県南・会津26市町村の住民への精神的損害賠償問題で、県は救済策として打ち出した給付金の支給を7月にも開始する方向で調整に入った。ただ、支給業務を担う市町村には事務負担がのし掛かる。国、県の財政支援は不透明だ。事故当時、住民票を置かずに居住していたケースの取り扱いなど課題が山積している。
■前倒し
佐藤雄平知事は今月下旬にも給付金の関連予算約300億円を専決処分する。県北・県中など23市町村への東電の賠償金支払いが9割余済んでいることから、地域格差を広げないためには早急な対応が必要と判断した。
県は今後、給付対象市町村の意見を聞き、申請の受け付け方法、支給開始時期など細部を詰める。
県は当初、6月定例県議会か臨時県議会に給付金関連の補正予算案を提出する方針だった。しかし、県議会の議決を待てば、市町村への給付金配分が夏以降にずれ込み、支給開始がお盆すぎになる可能性があるという。
県原子力損害対策課は「支給時期が県北・県中から大幅に遅れれば、住民から不満が出ることも考えられる。一刻も早い対応が必要だ」と説明する。
■経費
給付金の支給対象者が約12万人となる会津若松市。3年前の麻生内閣時代に実施された定額給付金の業務を参考にすれば、5800万円ほどの経費が必要になると担当職員は試算する。臨時職員の人件費や、問い合わせに応じるコールセンターの運営費が発生するという。市は県に財政支援を求める方針。
県原子力損害対策課は市町村の事務費支出を検討している。しかし、26市町村の総額は数億円から10億円余になる可能性もあり、全額を捻出できるかどうかは不透明だ。
支給のスピードと利便性を重視して申請書の送付と受け付けを郵送にするか、費用を節約するため市役所や町村役場の窓口で直接受け付けるかについてもまだ結論は出ていない。
■見極め
支給対象となる昨年3月11日から昨年末まで住民票を置かずに26市町村に居住していたケースをどのように確認するのかも難題だ。県は当時の公共料金の領収書を提出すれば認めるなどとするガイドラインを作り各市町村に周知する方針。
市町村からは「居住を証明する書面が一切ない場合、本人の申し立てを信じて良いのか」と危惧する声が上がる。
■背景
県の給付対象は、白河、西郷、泉崎、中島、矢吹、棚倉、矢祭、塙、鮫川の県南9市町村と、会津若松、喜多方、下郷、檜枝岐、只見、南会津、北塩原、西会津、磐梯、猪苗代、会津坂下、湯川、柳津、三島、金山、昭和、会津美里の会津17市町村。自主避難の有無にかかわらず一律で給付する。給付の対象期間は原発事故発生から昨年12月まで。妊婦と18歳以下の子どもは会津地方が20万円、県南地方が10万円、大人は両地方とも4万円を独自に支給する。
(2012/05/08 09:29)福島民報
東京電力福島第一原発事故に伴う県南・会津26市町村の住民への精神的損害賠償問題で、県は救済策として打ち出した給付金の支給を7月にも開始する方向で調整に入った。ただ、支給業務を担う市町村には事務負担がのし掛かる。国、県の財政支援は不透明だ。事故当時、住民票を置かずに居住していたケースの取り扱いなど課題が山積している。
■前倒し
佐藤雄平知事は今月下旬にも給付金の関連予算約300億円を専決処分する。県北・県中など23市町村への東電の賠償金支払いが9割余済んでいることから、地域格差を広げないためには早急な対応が必要と判断した。
県は今後、給付対象市町村の意見を聞き、申請の受け付け方法、支給開始時期など細部を詰める。
県は当初、6月定例県議会か臨時県議会に給付金関連の補正予算案を提出する方針だった。しかし、県議会の議決を待てば、市町村への給付金配分が夏以降にずれ込み、支給開始がお盆すぎになる可能性があるという。
県原子力損害対策課は「支給時期が県北・県中から大幅に遅れれば、住民から不満が出ることも考えられる。一刻も早い対応が必要だ」と説明する。
■経費
給付金の支給対象者が約12万人となる会津若松市。3年前の麻生内閣時代に実施された定額給付金の業務を参考にすれば、5800万円ほどの経費が必要になると担当職員は試算する。臨時職員の人件費や、問い合わせに応じるコールセンターの運営費が発生するという。市は県に財政支援を求める方針。
県原子力損害対策課は市町村の事務費支出を検討している。しかし、26市町村の総額は数億円から10億円余になる可能性もあり、全額を捻出できるかどうかは不透明だ。
支給のスピードと利便性を重視して申請書の送付と受け付けを郵送にするか、費用を節約するため市役所や町村役場の窓口で直接受け付けるかについてもまだ結論は出ていない。
■見極め
支給対象となる昨年3月11日から昨年末まで住民票を置かずに26市町村に居住していたケースをどのように確認するのかも難題だ。県は当時の公共料金の領収書を提出すれば認めるなどとするガイドラインを作り各市町村に周知する方針。
市町村からは「居住を証明する書面が一切ない場合、本人の申し立てを信じて良いのか」と危惧する声が上がる。
■背景
県の給付対象は、白河、西郷、泉崎、中島、矢吹、棚倉、矢祭、塙、鮫川の県南9市町村と、会津若松、喜多方、下郷、檜枝岐、只見、南会津、北塩原、西会津、磐梯、猪苗代、会津坂下、湯川、柳津、三島、金山、昭和、会津美里の会津17市町村。自主避難の有無にかかわらず一律で給付する。給付の対象期間は原発事故発生から昨年12月まで。妊婦と18歳以下の子どもは会津地方が20万円、県南地方が10万円、大人は両地方とも4万円を独自に支給する。
(2012/05/08 09:29)福島民報