大川原有重 春夏秋冬

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時論公論 「福島第一原発  廃炉に向けた厳しさ」 

2012-12-24 11:00:00 | 原子力関係
時論公論 「福島第一原発  廃炉に向けた厳しさ」より転載 
2012年11月09日 (金) NHK解説委員室

水野 倫之 解説委員
事故から1年8か月になるのを前に、福島第一原発構内を取材。現場は事故直後よりはおちついているが、放射線量が高く手つかずのところが多い。汚染水が増える一方で、「事故はいまだ収束していない」ことを強く実感。
今夜の時論公論は福島第一原発の廃炉に向けた課題について水野倫之解説委員。

福島第一原発の構内は、放射能濃度が高く、特別に管理された場所以外はすべて防護服に全面マスク。
そのため簡単な装備で済むバスからという条件で東京電力の了解を得て、他社の解説・論説委員とともに取材。

路上に散乱していたがれきは、片づけられバスの通行に支障のあるところはほとんどない。
しかし海側に行くと、クレーンやトラックが横倒しになったまま放置。

海側から山側に進むと4号機の原子炉建屋。
最上階部分のガレキの撤去作業が進み、すっきりした感じにも。
しかし4階や3階の壁はところどころ大きく崩れたまま、また曲がった鉄筋がむき出しで一部は錆びて。作業員がはみ出した鉄筋を切断する作業。
奥にはプール、使用済み燃料1300体余り。東電はプールの底の補強工事、その後もコンクリートの壁に爆風によると見られる膨らみが見つかるなどしたため、いまだに建屋が倒れるのではと心配する声も。

このため東電では壁をハンマーでたたく特殊な検査で強度を測定し、壁のコンクリートの強度は建築基準法の設計基準を上回り、震度6強に耐えられるとしている。
今後さらに検査ポイントを増やして建屋の劣化が進んでいないかどうか強度の確認を継続して行っていく必要。


来年12月の使用済み燃料の取り出しにむけて、クレーン付きの建屋カバーをかぶせる計画、建屋のすぐ隣ではカバーの足場となる地盤を強化する作業が行われ、すでにコンクリートが打ち込まれていた。
4号機で安全に取り出す技術をしっかり確立して、ほかの3基からの安全な取り出し方法の検討に生かしていく必要。

ただ1~3号機は放射線量が極めて高く、建屋内の作業は困難で、溶けた燃料の冷却を進めるので手いっぱいといった状況だが、その冷却システムも課題が山積。
水を送るポンプは津波に備え、標高35mの高台に設置されていたが、いまだに屋外のトラックの荷台。
送り出される500tの水は、野ざらしにされた仮設のホースや配管を通って3つの原子炉に。

全長4キロにも、汚染水が漏れるトラブル。
先月も3号機内のホースから汚染水が90リットル漏れ出した。

ホースが絡み合うように置かれ、作業員が踏んで移動したことで割れたことが原因。水もれは2000か所に及ぶホースの継ぎ目からも。
水漏れのリスクを減らし、点検しやすくするためにもシステム全体を短くし、すべてのホースを丈夫な配管に早急に変えていくよう。

さらに冷却システムには大きな問題。
構内のあちこちで目に付いた巨大なタンク群。1,000tの汚染水がためられるが、日々増加。
 







衛星写真などで見ると、事故以降、構内の森林がタンク群に置き換わっていく様子。タンクは23万t分。しかし汚染水はすでに21万tあまりでほぼ満杯状態。

原因は、地下水。毎日あわせて400t入り込み、汚染水となっている。

東電では建屋の山側に井戸を掘って地下水を上流側でくみ上げて減らす計画で、現場では井戸掘削のための木の伐採も。
しかしこれでも地下水の流入は半分程度にしか減らせない。

東電はタンクの総量を70万tまでは増やせると、そこが限界で、その先どう対応するのか明確でない。
事故直後には汚染水を地元や周辺国にきちんと連絡をしないまま海に放出したことで批判を浴びており、現状はとても海に流せるような状況にない。

そこで東電は当面の対応として汚染水の濃度を大幅に下げることができる特殊な装置を設置し、法令で定める限度以下にして、敷地に撒くことなどを検討。しかしそれだけで減らすことは難しく、たとえば福島第二原発に運んで貯蔵するなど、代替策も今のうちに検討しておくべき。

政府は昨年末に事故収束宣言、しかし今回の取材で「いまだ収束していない」ということを強く実感。取材ルートで最も放射線量が高かったのは3号機付近でバスの中でも1時間当たり750μSv。私の総被ばく量も3時間の滞在で63μSv。
作業員の場合はこれより格段に多く、特に高線量の現場では3か月ほどで国が定めた被ばく限度に近づき、原発を離れなければならない作業員も相次いでおり、1日3000人が必要とされる中、長期的には作業員が足らなくなる恐れも。
この先、溶けた燃料の取り出しも控え、作業員が十分に確保できなければ、廃炉の工程に影響も出かねない。
現場は過酷な環境。放射線の遮蔽を徹底させるなど作業員の安全対策を最優先にした廃炉作業を求めたい。

(水野倫之 解説委員)

焼却後の放射線量は異常なし

2012-12-24 10:30:00 | 原子力関係
焼却後の放射線量は異常なしより転載

東日本大震災で出たがれきの試験焼却が終わった高岡市で、19日、焼却後の環境に変化がないか調べるため、焼却施設と周辺の空間の放射線量の測定などが行われましたが、数値に異常はありませんでした。高岡市では12月15日から16日にかけて岩手県山田町のがれき7トンを市の焼却施設の高岡市環境クリーン工場で試験的に焼却しました。今回の測定は施設周辺の環境への影響を調べるため、焼却前と焼却中に続いて行われたもので、19日は施設から2kmほど離れた市内の4か所で測定が行われました。高岡市二上にある市の施設、二上まなび交流館では、施設の職員ら4人が、専用の機器で放射線量を測定したり、土壌を採取したりしていました。
高岡市によると、測定結果は1時間当たり、0.06から0.09マイクロシーベルトと、試験焼却前や焼却中の値とほぼ同じ程度で、異常はなかったということです。高岡市は測定結果を市のホームページで公表するとともに、環境への影響を検討して、がれきを本格的に受け入れるかどうか、1月に判断することにしています。
今回の試験焼却で出た灰は、20日、高岡市内の処分場で埋め立てられることになっています。
12月20日 12時24分 NHKニュース

福島の努力を称賛=原発「安定的状態」を歓迎-IAEA国際会議で声明・玄葉外相ら

2012-12-24 10:00:00 | 原子力関係
福島の努力を称賛=原発「安定的状態」を歓迎-IAEA国際会議で声明・玄葉外相らより転載

原子力に関する国際会議で共同議長声明の公表後、記者会見する玄葉光一郎外相(左から2人目)=15日午後、福島県郡山市

 福島県郡山市で政府が国際原子力機関(IAEA)と共催で開いた原子力の安全強化について議論する国際会議で、議長を務める玄葉光一郎外相らは15日夜、福島県民らが東日本大震災や東京電力福島第1原発事故からの復興のため、多大な努力をしていることが参加国・機関から大いに称賛されたなどとする共同議長声明を公表した。
 声明文では、福島第1原発で安定的状態が達成され、事故発生当時と比べて放射線量が大幅に低減したなどとする政府の報告も歓迎されたと明記した。同原発は1年前に冷温停止状態が宣言されたが、依然として汚染水漏れなどのトラブルが後を絶たず、一部では放射線量も高い状況が続いている。(2012/12/15-20:18)jij.com

原発風評被害 和解至らず

2012-12-24 09:30:00 | 原子力関係
原発風評被害 和解至らずより転載

去年の原発事故による風評被害で肉牛の価格が下落したとして県内のJAグループが、東京電力に5億8000万円余りの損害賠償を請求している問題で、19日、国の第三者機関で審理が行われましたが、双方の主張の溝は埋まらず、和解案は示されませんでした。
この問題で県内のJAグループはほかの県で牛肉から放射性物質が検出された影響で、県内でも肉牛の卸売価格が下落し畜産農家などに損害が出たとして、東京電力に5億8600万円の損害賠償を求めています。
JAグループの申し立てを受けて国の第三者機関の「原子力損害賠償紛争解決センター」で、和解に向けた審理が行われていて、19日、4回目の口頭審理が東京で行われました。
JA長野中央会によりますと、風評被害のあった期間や、肉牛の価格下落の原因、それに賠償金額などを巡って、双方の主張の溝は埋まらず、紛争解決センターの仲介委員をつとめる弁護士からは和解案は示されませんでした。
次の口頭審理は、来年3月に行われる予定で、JA長野中央会は「東京電力には歩み寄りの姿勢を示して欲しい」としています。
一方、東京電力は「和解仲介の手続きが継続中であり、個別事案の詳細については回答を控えます」とコメントしています。
12月20日 07時30分 NHKニュース

福島事故「健康への影響軽視」=WHO報告書-ノーベル平和賞団体が批判

2012-12-24 09:00:00 | 原子力関係
福島事故「健康への影響軽視」=WHO報告書-ノーベル平和賞団体が批判より転載
 【ベルリン時事】東京電力福島第1原発の事故に関連して、世界保健機関(WHO)が今年5月に発表した住民の推定被ばく線量に関する報告書について、核戦争防止を訴える国際団体で、ノーベル平和賞を受賞した「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)」の医師が事故の健康への影響を軽く見積もっていると批判する論文をまとめた。論文は、原子力の平和利用を推進する国際原子力機関(IAEA)の関係者らが報告書を作成したためと指摘し、独立した科学的評価の必要性を訴えている。
 WHOの報告書は、原発に近い福島県浪江町と飯舘村でも全身の被ばくは最大50ミリシーベルトで、発がんリスクが高まるとされる100ミリシーベルトを超えた地域はなかったと分析した。
 これに対し、ドイツのアレックス・ローゼン医師(小児科、医学博士)は論文で、報告書が推定している放射性物質の放出量は、各国の研究機関の算定値より大幅に少ないと指摘。また、報告書は事故から数日以内に避難した20キロ圏内の住民の被ばくは考慮していないが、避難前や避難中に被ばくした恐れがあると疑問を唱えた。
 論文は「報告書はがんなど放射性物質で引き起こされる疾病に罹患(りかん)する危険性は、被ばく線量に比例して高まるという重要情報を除外し、安全性を示そうとしているようだ」と批判した。(2012/12/15-14:32)jiji.com