大川原有重 春夏秋冬

人は泣きながら生まれ幸せになる為に人間関係の修行をする。様々な思い出、経験、感動をスーツケースに入れ旅立つんだね

東電実質国有化 体制の一新が絶対条件だ

2014-05-26 18:36:31 | 原子力関係


東電実質国有化 体制の一新が絶対条件だ
2011年12月11日 琉球新報


 政府が設立した原子力損害賠償支援機構が東京電力の株式の大部分を保有することで、東電を実質的に国有化する財務基盤強化策が浮上している。公的資金による資本注入と取引金融機関の追加融資により、2013年3月期から4年間で3兆円を調達するという。福島第1原発の廃炉に向けて政府出資で1兆5千億円、社債償還や設備投資に充てるため新規融資で1兆5千億円を確保するものだ。
 国策に従った結果だとしても、「原発は絶対安全」などと事実と違う宣伝を繰り返し、重大事故の発生を許した東電の責任は限りなく重い。政府は先月、東電と原子力損害賠償支援機構が共同提出した特別事業計画を認定し、賠償に要する総額1兆109億円の支援を決めたばかりだ。この上、国費を投入するのは違和感を覚える。
 東電に反省の色が見られないからだ。2日に公表した社内事故調査委員会の中間報告では「想定を大きく超え、津波被害を防げなかった」などと自己弁護した。
 原発事故で拡散した大量の放射性物質によって多くの人々の生活が破壊され、健康が脅かされる中で、保身にきゅうきゅうとする態度は理解に苦しむ。
 政府の第三者委員会「経営・財務調査委員会」の試算によると、1~4号機の廃炉費用は少なく見ても約1兆1500億円かかるという。膨大な出費を強いられるのは全て身から出たさびだ。
 合点がいかないのは国内未曽有の放射能汚染を引き起こしたにもかかわらず東電経営陣や所管省庁幹部らが誰一人刑事責任を問われていないことだ。たとえ過失だとしてもこれほど広範囲に放射性物質をまき散らして罪にならないというのは法の不備としか思えない。
 国有化するなら、事業内容をガラス張りにすることが不可欠だ。水増しして算出された疑いのある電気料金は、料金設定の前提となる原価の内訳を全て公表してもらう。料金の妥当性を国民・消費者が判断できる仕組みに変えなければならない。
 必要最低限の施設を除く資産の売却、人員削減など、徹底したリストラが求められる。
 歴代役員の責任の明確化と体制の一新は絶対条件だ。新たな経営陣は「原子力村」にしがらみのない人材を充てたい。発電、送電を一手に担う地域独占の経営形態は抜本的に見直すしかない。

国会事故調報告書 国、東電は真実と向き合え

2014-05-26 18:35:10 | 原子力関係
国会事故調報告書 国、東電は真実と向き合え
2012年7月7日 琉球新報



 東京電力福島第1原発事故で、国会が設置した事故調査委員会(黒川清委員長)が「事故は自然災害ではなく、明らかに人災だった」との報告書をまとめた。
 国会事故調は、地震の揺れによる機器の損傷の可能性に言及。原発の耐震性の強さを強調し、事故原因を「想定外の津波」に求める政府や東電と一線を画した。
 事故調各委員の労を多とするとともに、国、東電には調査報告が示した真実と真摯に向き合うよう注文したい。
 国会事故調は昨年末に設置された。菅直人前首相や東電の勝俣恒久前会長ら計38人を参考人聴取し、アンケートで被災者や東電社員ら約1万3千人から回答を得た。
 報告で注目されるのは、複数の運転員が配管からの冷却剤の漏れを気にしていたことを根拠に、「(地震の影響で)1号機の安全上重要な機器の損傷の可能性を否定できない」とした点だ。
 東電幹部は「発電所のデータや運転員の操作記録を見ても、地震で壊れたという兆候はない」と反論した。これは単なる強弁だろう。なぜなら重要な機器・配管類のほとんどが、この先何年も調査できない原子炉建屋や格納容器にあり、事故原因の断定が困難だからだ。
 約640ページに上る報告書では、歴代の規制当局と東電経営陣が意図的な先送り、不作為、自己の組織に都合の良い判断を繰り返した怠慢が、事故を招いたと指弾した。
 政府や東電は報告書を謙虚に受け止め、原発事故の収束、廃炉に知見を生かしてほしい。
 事故調は、国会への独立調査委員会や規制当局を監視する常設委員会の設置、政府の危機管理体制の抜本的見直しなど7項目の提言を行った。ぜひ実現してほしい。
 原発政策を推進してきた政権、政党の責任追及が不十分な点など報告書には物足りなさも残る。しかし、原発依存を崩さない政府や東電に迎合せず、原発事故の教訓に学ぶ良識を示した報告書の意義は揺るがない。
 国会事故調はインターネット動画中継やソーシャルメディアを通じて会合を積極的に公開した。主権者重視の姿勢も特筆される。
 今度は国会の出番だ。自らが設置した事故調の報告をベースに、各党が真相究明により精力的に取り組んでほしい。また、持続可能な社会へ向けて、脱原発政策の推進こそが政治の責任だと、肝に銘じてもらいたい。

自主避難、東電に賠償仮払い命令 京都地裁、福島原発事故で全国初

2014-05-26 18:19:35 | 原子力関係
自主避難、東電に賠償仮払い命令 京都地裁、福島原発事故で全国初
2014年5月26日


 東京電力福島第1原発事故の影響で、福島県外に自主避難した40代の男性が賠償金の仮払いを申し立てた仮処分の決定で、京都地裁が東電に月40万円の支払いを命じていたことが26日、分かった。東電によると、原発事故賠償で、裁判所が避難者への仮払いを命じる仮処分決定を出したのは初めて。決定は20日付。
 決定理由で佐藤明裁判長は、会社を経営していた男性が原発事故後、精神疾患で働けなくなったことを「事故と相当因果関係のある損害と一応認められる」と認定。経営者を辞めて役員報酬を受け取れなくなったのは男性自らの経営判断で事故との因果関係はないとした東電の反論を退けた。
(共同通信)

地球最深部の海底へ 「しんかい12000」開発本格化、資源探査は激戦

2014-05-26 18:19:03 | 学習
地球最深部の海底へ 「しんかい12000」開発本格化、資源探査は激戦
産経新聞 5月26日(月)12時51分配信

(写真:産経新聞)
 世界最深の1万2000メートルまで潜航できる次世代の有人潜水船「しんかい12000」の開発構想が本格的に動き出す。海洋資源の宝庫である深海底では近年、各国による資源探査の競争が激化しており、海洋研究開発機構は2023年ごろの運用開始を目指している。(伊藤壽一郎)

 ◆小型でも快適

 「世界最深部まで潜れる性能と高い居住性を実現し、より多くの研究者が長時間滞在できるようにしたい」。文部科学省とともに次世代有人潜水船の構想を検討している海洋機構の磯崎芳男海洋工学センター長は、こう話す。

 世界で最も深い海底は、小笠原諸島(東京都)の南東に延びるマリアナ海溝のチャレンジャー海淵(かいえん)(水深1万911メートル)。海洋機構の有人潜水船「しんかい6500」(潜航深度6500メートル)の2倍近い能力を実現すれば、前人未到の超深海が見えてくる。

 有人潜水船の心臓部は人が乗り込む部分を取り囲む球状の「圧力殻」だ。次世代船はこの内径を現行の2メートルより小さくして、高い水圧に耐えるようにする。海中では水深が10メートル増すごとに水圧が1気圧ずつ増える。水深1万2千メートルなら1201気圧で、1平方センチ当たり約1・2トンもの力がかかるため、圧力殻は少しでも小さい方がいい。

 一方、機器類を小型化することで船内の居住性は向上させる。しんかい6500は操縦者2人と研究者1人が搭乗するのに対し、次世代船は同じ3人乗りだが操縦者を1人に削減し、研究者が2人乗れるようにする。

 ◆操縦室は透明に?

 現在の圧力殻はチタン合金製だが、次世代船では世界初となる強化ガラス製などを検討している。現行船は小さな窓から外をのぞく。操縦室が透明なガラス張りになれば視界が飛躍的に広がり、操作や調査の効率アップは確実だ。

 これまで1つだった圧力殻を増やす可能性もある。1つを操縦と観察用、もう1つを休憩用にして連結すれば、居住性が大きく改善する。

 現在の船内は非常に狭く、搭乗員がぎゅうぎゅう詰めの状態で、1回の潜航時間が8時間にとどまる一因にもなっている。圧力殻を2つにすれば、24時間以上の潜航も可能になる。短時間の潜航なら、休憩用のスペースに、さらに研究者2人を搭乗させて5人乗りにすることもできる。圧力殻を増やしても、全長は現行より短くするという。

 生物や岩石などの試料を採取するロボットアームは、触れたときの感触や温度が分かる新機能を検討。さらに超高精度のカメラや高性能の燃料電池、浮力材など多くの新技術が盛り込まれる見込みだ。

 ◆世界一奪還へ

 深海底の調査は無人探査機でも可能だ。日本海溝で東日本大震災の地震活動による亀裂が見つかり、南西諸島海溝では大量の有用金属を秘めた熱水鉱床の存在が判明。小笠原諸島の南鳥島付近ではレアアース(希土類)を大量に含む泥が見つかるなど、既に多くの成果を挙げている。

 にもかかわらず、なぜ有人調査が必要なのか。磯崎氏は「肉眼で直接観察することで、さらに研究が深まるからだ」と強調する。

 次世代船を開発する背景には国際競争の激化もある。水深6千メートル以上の超深海の有人調査は長く日本の独壇場だったが、資源探査のため各国が続々と参入。潜航深度6千メートルの有人船は既にフランス、ロシアが開発済みで、米国も現行船を6500メートルに改造して試験中だ。2012年には7千メートルの中国の「蛟竜(こうりゅう)」が登場し、日本は世界一の座を明け渡した。

 危機感を抱いた文科省は昨年、次世代船を優先度の高い国家基幹技術と位置付けた。今年3月には日本学術会議が建造費を300億円と試算し、2023年の運用開始を政府に提言したが、予算措置はまだ固まっていない。

 しんかい6500が1989年に完成してから、すでに25年。このまま開発の空白期間が続けば、せっかく日本が蓄積してきたノウハウが風化してしまう。磯崎氏は「蓄積を引き継ぐ次世代有人潜水船の開発を急がなくてはならない」と訴えている。

大飯原発判決、司法の姿勢転換点か 福島原発事故後、審理に改革論

2014-05-26 15:48:12 | 原子力関係
大飯原発判決、司法の姿勢転換点か 福島原発事故後、審理に改革論
(2014年5月23日午前7時10分)福井新聞

大飯原発3、4号機運転差し止め訴訟の判決を前に、横断幕を掲げる原告ら=21日午後、福井地裁前
大飯原発3、4号機運転差し止め訴訟の判決を前に、横断幕を掲げる原告ら=21日午後、福井地裁前



 大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に向け原子力規制委員会の審査が続く中、司法から「運転は認められない」との判断が突き付けられた。2基の危険性、構造的欠陥を指摘した福井地裁判決の影響を探る。

   ×   ×   ×

 東京電力福島第1原発事故を受け、原発の危険性を訴えてきた住民の思いを司法がくみ上げた。関西電力大飯原発3、4号機運転差し止め訴訟の原告側は、主張がほとんど認められた判決に勢いづき、上級審での勝訴確定へ全力を挙げる決意だ。

 福井地裁の樋口英明裁判長の訴訟指揮は、過去の原発訴訟と明らかに異なっていた。「学術的議論を繰り返すと何年たっても(裁判は)終わらない」と指摘。争点を絞り込み、審理を着実に進め、提訴から1年半という短期間での判決を導いた。

 福島事故後の2012年1月、最高裁は全国各地の裁判官を集め、原発訴訟をめぐる研究会を開いた。この中で、国の手続きの適否判断が中心だった従来の審理を脱し、安全性を本格的に審査しようとする改革論が相次いで出されたという。

 樋口裁判長は判決で「福島原発の事故後、大飯で同じような事態を招く危険性があるのかという判断を避けることは、裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しい」と言及した。今回の判決には、司法の姿勢の転換点となる可能性もうかがえる。

   ■   ■   ■

 判決で、原告が高く評価する点の一つに、原発から250キロ圏内に住む原告の訴えを認めたことがある。原子力規制委員会は福島事故を受け、防災重点地域を30キロ圏に広げ、避難計画の策定などを求めている。しかし判決は、そうした防災対策の在り方を真っ向から否定した形だ。

 脱原発弁護団全国連絡会(事務局・東京)の河合弘之共同代表は「これほど広域な安全対策が取れるはずもない。判決は『日本で原発稼働は無理だ』と言っている」と強調する。関電の控訴について、「一審判決を覆すのは理論的に不可能。“控訴のためだけにする控訴”であり、子どもじみている」と批判した。

   ■   ■   ■ 

 福島事故後で初の勝訴判決に沸く原告団と弁護団。しかし、過去の原発訴訟は、反対派住民らの敗訴の歴史だった。

 史上初の原告勝利となった高速増殖炉「もんじゅ」訴訟の名古屋高裁金沢支部判決(2003年)、2例目の志賀原発2号機差し止め訴訟の金沢地裁判決(06年)も、ともに上級審で敗訴が確定した。

 大飯原発訴訟で原告団長を務める中嶌哲演さん(72)=福井県小浜市=は、「もんじゅ」訴訟にも1985年の提訴時から関わった。勝ち抜く難しさを実感している一人だ。「行政も司法も、上(中央)に近づくほど原発の安全・必要神話に漬かっている」と話す。

 一方で中嶌さんは「福島事故と、今回の地裁判決を受けて司法は変わったと信じる」との期待も口にする。「原発推進の厚い壁に開いた穴を広げ、安心安全な社会を築く」と気を引き締めた。

浪江町がADR和解案受入れ

2014-05-26 15:42:10 | 原子力関係
浪江町がADR和解案受入れNHK
浪江町がADR和解案受入れ
原発事故でいまもすべての住民が避難している浪江町は、精神的慰謝料の増額を求めた集団申し立てで、『慰謝料を一律、月5万円上乗せする』とした、国の「紛争解決センター」の和解案を受け入れることを明らかにしました。
これは、26日正午前に、二本松市にある浪江町の仮役場で、町と弁護団が明らかにしました。
原発事故に伴う精神的慰謝料をめぐっては、浪江町が1万5千人あまりの住民の代理人となって、避難が長期化しているとして、慰謝料の増額を求める集団申し立てを国の「紛争解決センター」に行い、センターが、ことし2月までの2年間について一律で5万円上乗せし、月15万円に増額するなどとした和解案を示していました。
浪江町によりますと、この和解案について、これまでに98%の住民が受け入れに同意したなどとして、町として受け入れを決めたということです。
和解案への回答期限は今月30日ですが、東京電力は、「中間指針の考え方と和解案の内容をきちんと整理する必要があり、その上で慎重に対応を検討したい」などとして、和解案を受け入れるかどうか明らかにしていません。
05月26日 12時48分

災害住宅整備で127億円 コミュニティー復活交付金

2014-05-26 15:00:00 | 原子力関係
災害住宅整備で127億円 コミュニティー復活交付金

 復興庁は7日、東京電力福島第一原発事故による長期避難者向けの災害公営住宅217戸の整備費用などとして、県にコミュニティー復活交付金(生活拠点形成交付金)127億5千万円を交付すると発表した。今回の交付で、県内の整備計画戸数4890戸の半数を超える2591戸が着工する見通しとなった。
 同交付金の配分は4回目で、交付額などは【表1】の通り。郡山、いわき、南相馬、三春の4市町の生活拠点で実施する県の災害公営住宅整備事業の予算となる。
 復興庁は同日、災害公営住宅の整備計画戸数のうち平成26年度に入居開始予定の576戸の市町村別内訳を【表2】の通り明らかにした。用地取得の手続きや建設に時間がかかるため、26年度内の入居予定は全体計画の1割強にとどまる。

( 2014/03/08 08:24 カテゴリー:主要 )福島民報

住宅除染完了率42.6% 重点調査地域

2014-05-26 14:00:00 | 原子力関係
住宅除染完了率42.6% 重点調査地域
 東京電力福島第一原発事故に伴い、国の財源により実施する市町村除染で、1月末現在の計画に対する住宅の完了率は42・6%となり前月よりも4・0ポイント上昇した。県が28日、発表した。
 各市町村の除染状況は【表】の通り。住宅は9万2470戸で実施した。
 国が財政支援する「汚染状況重点調査地域」には40市町村が指定され、このうち36市町村が除染計画を策定している。

( 2014/03/01 08:52 カテゴリー:主要 )福島民報


福井地裁の樋口英明氏に激励の手紙を出そう

2014-05-26 13:31:41 | 原子力関係
2014/05/26
福井地裁の樋口英明氏に激励の手紙を出そう @広瀬隆

全国のみなさま  広瀬隆です

 5月21日、福井地裁が、まことに哲学的かつ科学的な、反論しようのない原子力発電所の危険性を指摘した判決文を書いて、大飯 原発3・4号機の運転差し止めを関西電力に命じました。

 これは一電力会社である関西電力に対して命じられた判決ではありません。
 日本全土のすべての原発の運転差し止めを命じた内容です。

ランキング参加中、応援クリックよろしくお願いします!  
 ⇓


 この見事な判決文を書いた裁判長の樋口英明氏には、今後、電力会社と国家および週刊誌などのメディアを通じて、強大な圧力が、 さまざまな形で、特に人事面などで加えられるはずです。しかしこの判決の内容がすべて事実に基づいているのですから、高裁でも最 高裁でも、この事実を隠蔽することはできません。勝てます。

 日本のテレビと新聞は、この判決文に書かれた厳粛な事実を、これから自分たちの調査によって実証し、自らの言葉で国民に対して 何度も説明し、理解させる義務があります。日本政府を追及する義務があります。だが、彼らは今後もそれをしないでしょう。彼ら は、ジャーナリスト精神を持っていないからです。運転差し止め判決が出たという、中身のないニュースしか報道しないのです。

 だから、私たち国民が、この事実を伝えあってゆかなければなりません。

 これを見過ごしては、樋口英明氏が守ろ うとしてくれた私たちの生命の存在価値がありません。
 急いで、下記に激励の手紙を出そうではありませんか。みなさまの周囲の多くの人にも呼びかけてください。

 樋口英明氏 〒910-0019 福井県福井市春山1-1-1福井地方裁判所民事部

 手紙の封書の表書きには、「激励」、「判決に感動」、「全面的支持」な ど、みなさまの手紙の文意を示す一言を宛て名の横に書いたほうがよいと思います。はがきでもよいです。その手紙が裁判所に全国か ら山のように配達されれば、世の中の空気は変ります。私たち国民の良識が先手をとりましょう。

 判決文のなかで、特にすぐれていると私が感じた点を挙げておきますので、みなさまが手紙を書かれる時の参考になさってください。

 ○個人の生命、身体、精神および生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということが できる。人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制化において はこれを超える価値をほかに見出すことはできない。

 ○福島原発事故においては……原子力委員会が福島第一原発から250キロメートル圏内に居住する住民に避難を勧告する可能性を 検討した(これは2011年3月11日から2週間後の3月25日に、原子力委員会 委員長・近藤駿介が250キロメートル圏内の住民避難の可能性について緊 急事態の警告書を出したことを指摘している)。 この250キロメートルという数字は緊急時に想定された数字にしかすぎないが、だからといってこの数字が直ちに過大であると判断 することはできないというべきである。

 ○ 原子力発電所は地震による緊急停止後の冷却機能について外部からの交流電源によって水を循環させるという基 本的なシステムをとっている。1260ガルを超える地震によってこのシステムは崩壊し、非常用設備ないし予備的手段による補完も ほぼ不可能となり、メルトダウンに結びつく。この規模の地震が起きた場合には打つべき有効な手段がほとんどないことは被告(電力会社)において自認しているところである。しかるに、我が国の地震学 会においてこのような規模の地震の発生を一度も予知できていないことは公知の事実である。

 ○我が国において記録された既往最大の震度は岩手宮城内陸地震における4022ガルであり、 1260ガルという数値はこれをはるかに下回るものである。岩手宮城内陸地震は大飯(お よびすべての原発立地地点)でも発生する可能性があるとされる内陸地殻内地震である。この既往最大という概念 自体が、有史以来世界最大というものではなく近時の我が国において最大というものにすぎない。(よって)1260ガルを超える地 震は大飯原発(およびすべての原発立地地点)に到来する危険がある。

 ○福島原発事故の原因について国会事故調査委員会が地震の解析に力を注いできたが……その原因を将来確定できる という保証はない。(まして事故の渦中にあっては、複雑きわまりない防護システムを機能させようとしても、放射能放出を未然に防 ぐこと自体が不可能である、という説明)。

 ○関西電力(およびすべての電力会社)は、基準地震動を超える地 震が到来することはまず考えられないと主張する。しかし……現に、全国で20箇所にも満たない原発のうち4つの原発に5回にわた り想定した地震動を超える地震が平成17年(2005年)以後10年足らずの間に到来しているという事実を直視すべきは当然であ る。……これらの事例はいずれも地震という自然の前における人間の能力の限界を示すというしかない。

 ○この地震大国日本において、基準地震動を超える地震が大飯原発(およびすべて の原発)に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しにしかすぎない上、基準地震動に満たない地震によって も冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば、そこでの危険は、万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で 切迫した危険と評価できる。このような施設のあり方は原子力発電所が有する本質的な危険性についてあまりにも楽観的といわざるを 得ない。

 ○使用済み核燃料は本件原発(およびすべての原発)に おいては原子炉格納容器の外の建屋内の使用済み核燃料プールと呼ばれる水槽内に置かれており、その本数は1000本を超えるが、使用 済み核燃料プールから放射性物質が漏れたときこれが原子力発電所敷地外部に放出されることを防御する原子炉圧力容器のような堅固な設 備は存在しない。(この危険性を実証したのが、福島原発事故における4号機の使用済み核燃料プールからの放射能大汚染の危機であっ た……という説明。)

 ○本件(およびすべての原発の)使用済み核燃料プールにおいては全交 流電源喪失から3日を経ずして冠水状態が維持できなくなる。我が国の存続に関わるほどの被害を及ぼすにもかかわらず、そのようなもの が、堅固な設備によって閉じ込められていないままいわばむき出しに近い状態になっているのである。

 ○コストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原子力発電所の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとして も、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻 すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。

 福井地方裁判所民事部第2部
裁判長裁判官 樋口英明
裁判官    石田明彦      
裁判官    三宅由子

日々雑感

原発関連死1000人超す 避難長期化、続く被害

2014-05-26 13:30:00 | 原子力関係
原発関連死1000人超す 避難長期化、続く被害

2014年3月10日 東京新聞



 東京電力福島第一原発事故に伴う避難で体調が悪化し死亡した事例などを、本紙が独自に「原発関連死」と定義し、福島県内の市町村に該当者数を取材したところ、少なくとも千四十八人に上ることが分かった。昨年三月の調査では七百八十九人で、この一年間で二百五十九人増えた。事故から三年がたっても被害は拡大し続けている。 (飯田孝幸)
 市町村は、災害の直接の犠牲者だけでなく、その後の避難中の死亡などについても「震災関連死」と認定した場合、災害弔慰金(最高五百万円)を支給している。福島県内では二十四市町村が支給。本紙で震災関連死者のうち、原発事故で避難中だった人数などを聞き取り、集計した。
 南相馬市といわき市は震災関連死者のうち原発事故を理由とした避難者数を把握していない。ただ担当者は「大半が原発避難者」と話しておりこれを加えると原発関連死者は千五百人に迫る。福島県内の震災関連死者数は千六百七十一人(七日現在)で原発関連死者は少なくとも六割を占める。昨年四月一日から今年一月末までの震災関連死の認定数は岩手四十五人、宮城十七人に対して福島は二百七十七人と大幅に上回り、原発事故の特殊性を物語る。
 原発避難者の多い双葉郡八町村の担当者によると、震災直後に亡くなっていても、生活が落ち着いてから申請する人や、自治体の広報や報道で制度を知って申請に来る人がいるという。二百三十二人の原発関連死者を出した富岡町の担当者は「今でも月十件程度の申請がある」と話す。南相馬市では事故から二年半後に死亡しても震災関連死と認められたケースがあった。
 福島県の避難者数は約十三万五千人。このうち、二万八千人が仮設住宅で暮らしている。医療・福祉関係者の多くは、関連死防止に住環境の整備を指摘する。県は原発避難者向けに復興公営住宅四千八百九十戸の整備を進めているが、入居が始まるのは今秋から。一次計画分の三千七百戸への入居が完了するのは二〇一六年春になる見通しだ。

県内自殺者年々増加 昨年23人、前年比10人増

2014-05-26 13:00:00 | 原子力関係
県内自殺者年々増加 昨年23人、前年比10人増

 東日本大震災や東京電力福島第一原発事故が原因とみられる県内の自殺者数は昨年末現在、46人に上っている。さらに、震災以降の年間自殺者が毎年増え続けている。13日、内閣府のまとめで分かった。被災三県のうち岩手、宮城と比べて突出している。専門家は自殺を食い止めるため、「さらに踏み込んだ対策が必要」と指摘している。
 震災以降、被災三県の震災関係の自殺者数の推移は、統計を取り始めた平成23年6月以降、本県は23年が10人、24年が13人、25年が23人と増加の一途をたどっている。
 内閣府自殺対策推進室によると、震災、原発事故発生以降に県内で自殺した人の年代別、職業別、原因・動機別の内訳は【表】の通り。年代別では、一家を支える50代が最多で13人、80歳以上が10人と続く。原因・動機別は健康問題が22人と最多で、経済・生活問題が13人となっている。
 推進室は本県の現状について「全国的には自殺者数が減少傾向にある50代で命を絶っているケースが多い上、雇用されていた人も目立つ。原発事故などに伴う避難生活の長期化で、精神的に追い詰められた人が多かったのではないか」との見方を示した。
 本県の震災関連死として確定した、自殺者を含む死者数は13日現在、1671人で、地震や津波で亡くなった直接死の1603人を上回っている。
 震災関連死に歯止めがかからない状況に、県内市町村の社会福祉協議会や住民でつくる自治会の役員らは仮設住宅を含めた避難先で、高齢者の孤独死などを防ぐため定期的な「見守り活動」を繰り広げている。避難住民の生活上の悩みに耳を傾け、精神的な負担を緩和するよう取り組む。
 本県から京都府に避難していた50代女性が自殺していたことが分かった。統計は遺体の発見場所ごとに取りまとめているため、本県から他都道府県に避難した人は本県の統計に含まれていない。
 県外への避難者は2月現在、約4万7千人に上っており、内閣府自殺対策推進室は「震災、原発事故に関連して自殺した県民の数はさらに多い可能性がある」としている。

■緊急対策が必要
 NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」(東京)清水康之代表の話 福島県は原発事故の影響でまだ被害が続いているが、この増え方には注視する必要がある。周囲から孤立して十分なコミュニケーションがとれなかったりして、心理的ストレスが高まっているのではないか。心のケアにとどまらず、さらに踏み込んだ自殺対策を緊急に講じるべきだ。

※東日本大震災に関する自殺
 内閣府が警察庁などの情報を基に平成23年6月から集計している。震災、東京電力福島第一原発事故が自殺に関連している定義として(1)遺体発見場所が避難所や仮設住宅など(2)避難区域から避難している(3)自宅や職場が地震・津波で甚大な被害を受けた(4)遺書に震災・原発事故を理由に挙げていた-などがある。

(2014/03/14 12:13カテゴリー:原発事故関連死)福島民報

規制委審査、長期化の様相 六ヶ所・再処理工場・10月完成厳しく

2014-05-26 12:58:05 | 原子力関係
規制委審査、長期化の様相 六ヶ所・再処理工場・10月完成厳しく河北新報

 原子力規制委員会の新規制基準に基づく使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の適合審査が長期化しそうだ。日本原燃は審査完了を6月ごろ、工場完成を10月と見込む。審査では、規制委が重大事故対策の拡充や、断層の追加調査など想定外の対応を次々と求めており、計画達成は厳しい状況だ。

 原燃は1月7日、再処理工場の審査を申請。規制委は同17日に審査を開始した。原燃が提出した約2500ページに及ぶ申請書に基づき、重大事故、地震、火山関連など主要22項目を検討する。審査は工場の重大事故対策などを確認する「設備関係」と、地震や津波の影響を見定める「地震・津波関係」に分かれて進む。
 先行する設備関係の審査会合では、規制委が2月、原燃の重大事故対策の踏み込み不足を指摘。原燃は対策を見直した上で、4月に全体的な基本方針を示したが、再度見直すよう厳しい意見が出された。5月中に、再処理の工程ごとの詳細な対策を示す予定だが、規制委が納得するかどうかは不透明だ。
 地震・津波関係の審査は3月に始まった。焦点は敷地内や施設周辺の断層の活動性の評価。現在、核燃料サイクル施設の敷地から北東約4キロにあり、工場に最も近い活断層「出戸西方断層」を中心に審査されている。
 断層は長いほど、動いた際の活動性が大きくなる。初会合で原燃は断層の長さを南北約10キロと主張したが、規制委は裏付け不十分とし、より詳しい試掘溝(トレンチ)による追加調査を求めた。原燃は調査を受け入れ、6月までに結果を得られるとの見通しを示す。
 より規模の大きい下北東方沖の「大陸棚外縁断層」(長さ南北約85キロ)の審査は今後、本格化する。原燃は「将来、活動する可能性はない」と訴えるが、規制委は活断層との見方を排除しておらず、長期化は必至だ。
 原燃が想定する審査終了まであと約1カ月。川井吉彦社長は今月8日の青森県議会特別委員会で「(10月完工の)旗は降ろしていない」と強調したが、現時点では審査のゴールは見えていない。
 県幹部は「万が一基準に適合せず稼働中止となれば、青森は核のごみだらけになる。規制委もその辺を念頭に置いて審査を進めているはず」と最終的には審査をクリアできると期待する。


2014年05月18日日曜日

月刊少女漫画誌に初連載 避難生活の福島出身17歳女性

2014-05-26 12:53:37 | 学習
月刊少女漫画誌に初連載 避難生活の福島出身17歳女性河北新報


取材で訪れた日本科学未来館で、液体窒素を使った実験に参加した長谷垣さん=4月、東京都江東区
 東京電力福島第1原発事故で避難生活を送っている福島県出身の17歳の女性が、月刊少女漫画誌「なかよし」(講談社)で初連載をつかみ取った。6月3日発売の7月号で、「利根川りりかの実験室(ラボラトリー)」をスタートする新人漫画家の長谷垣なるみさん。10代で連載作家になるのは「異例の大抜てき」(なかよし編集部)だ。
 科学嫌いの女子高生と天才科学者が学園を舞台に繰り広げるミステリー。推理小説「浜村渚の計算ノート」シリーズで知られる作家の青柳碧人さんが原作を手掛ける。
 原発事故後、長谷垣さんの故郷は避難指示区域に指定された。「小さなまちなのであまり騒がれたくない」として、出身市町村は明らかにしていない。東京都内や福島市内の親戚宅に避難し、現在は福島市内のアパートに家族で暮らしている。
 「二十歳くらいで漫画家になれたらいいな」と考えていた長谷垣さんだったが、先の見えない避難生活で「経済的にも苦しくなるし、少しでも早くプロになって家計を助けたい」と一念発起。2011年7月になかよしに初投稿し、15歳で描いた3作目でデビューを飾ると、数本の読み切り漫画を雑誌で発表しながら力を蓄えてきた。
 念願の連載に「単行本を出版して食べていけるようになって、初めてプロと言えると思う。小さな子どもたちにも科学の面白さを伝えられる作品にしたい」と意気込む。


2014年05月26日月曜日

地下水を海洋放出=561トン、福島第1―東電

2014-05-26 12:50:05 | 原子力関係
地下水を海洋放出=561トン、福島第1―東電
時事通信2014年5月21日(水)13:35
地下水を海洋放出=福島第1原発
(時事通信)
 東京電力福島第1原発で汚染前の地下水をくみ上げて海に流す地下水バイパス計画で、東電は21日午前、地下水の放出を始めた。汚染水対策の一環で、同日は561トンを放出した。東電は今後も地下水をくみ上げて放射性物質の濃度を検査した上で、順次放出していく方針だ。

 東電によると、放出は同日午前10時25分から午後0時40分すぎまで実施。新たに敷設した専用の配管を使い、4号機の約250メートル南側の地点に設けた排水口から海に流した。資源エネルギー庁の担当者が立ち会い、手順などを確認した。

大飯原発差し止め訴訟の判決要旨 危険性が万が一でもあれば

2014-05-26 12:42:09 | 原子力関係
大飯原発差し止め訴訟の判決要旨 危険性が万が一でもあれば
(2014年5月21日午後8時42分)福井新聞


 関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた21日の福井地裁の判決要旨は次の通り。

 【主文】

 大飯原発3、4号機を運転してはならない。

 【福島原発事故】

 原子力委員会委員長は福島第1原発から250キロ圏内に居住する住民に避難を勧告する可能性を検討し、チェルノブイリ事故でも同様の規模に及んだ。250キロは緊急時に想定された数字だが過大と判断できない。

 【求められる安全性】

 原発の稼働は法的には電気を生み出す一手段である経済活動の自由に属し、憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきだ。自然災害や戦争以外で、この根源的な権利が極めて広範に奪われる事態を招く可能性があるのは原発事故以外に想定しにくい。具体的危険性が万が一でもあれば、差し止めが認められるのは当然だ。

 【原発の特性】

 原子力発電技術で発生するエネルギーは極めて膨大で、運転停止後も電気と水で原子炉の冷却を継続しなければならない。その間、何時間か電源が失われるだけで事故につながり、事故は時の経過に従って拡大する。これは原子力発電に内在する本質的な危険である。

 施設の損傷に結びつく地震が起きた場合、止める、冷やす、閉じ込めるという三つの要請がそろって初めて原発の安全性が保たれる。福島原発事故では冷やすことができず放射性物質が外部に放出された。

 【大飯原発の欠陥】

 地震の際の冷やす機能と閉じ込める構造に欠陥がある。1260ガルを超える地震では冷却システムが崩壊し、メルトダウンに結びつくことは被告も認めている。わが国の地震学会は大規模な地震の発生を一度も予知できていない。頼るべき過去のデータは限られ、大飯原発に1260ガルを超える地震が来ないとの科学的な根拠に基づく想定は本来的に不可能だ。

 被告は、700ガルを超えるが1260ガルに至らない地震への対応策があり、大事故に至らないと主張する。しかし事態が深刻であるほど、混乱と焦燥の中で従業員に適切、迅速な措置を取ることは求めることができない。地震は従業員が少なくなる夜も昼と同じ確率で起き、人員の数や指揮命令系統の中心の所長がいるかいないかが大きな意味を持つことは明白だ。

 また対応策を取るには、どんな事態が起きているか把握することが前提だが、その把握は困難だ。福島原発事故でも地震がどんな損傷をもたらしたかの確定には至っていない。現場に立ち入ることができず、原因は確定できない可能性が高い。

 仮にいかなる事態が起きているか把握できたとしても、全交流電源喪失から炉心損傷開始までは5時間余りで、そこからメルトダウン開始まで2時間もないなど残された時間は限られている。

 地震で複数の設備が同時にあるいは相前後して使えなくなったり、故障したりすることも当然考えられ、防御設備が複数あることは安全性を大きく高めるものではない。

 原発に通ずる道路は限られ、施設外部からの支援も期待できない。

 【冷却機能の維持】

 被告は周辺の活断層の状況から、700ガルを超える地震が到来することは考えられないと主張するが、2005年以降、全国の四つの原発で5回にわたり想定の地震動を超える地震が到来している事実を重視すべきだ。

 過去に原発が基準地震動を超える地震に耐えられたとの事実があっても、今後大飯原発の施設が損傷しないことを根拠づけるものではない。基準地震動の700ガルを下回る地震でも外部電源が断たれたり、ポンプ破損で主給水が断たれたりする恐れがある。その場合、実際には取るのが難しい手段が功を奏さない限り大事故になる。

 地震大国日本で、基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しだ。それに満たない地震でも冷却機能喪失による重大な事故が生じうるなら、危険性は現実的で切迫した危険と評価できる。このような施設の在り方は、原発が有する本質的な危険性についてあまりに楽観的だ。

 【使用済み核燃料】

 使用済み核燃料は原子炉格納容器の外の建屋内にある使用済み核燃料プールと呼ばれる水槽内に置かれている。本数は千本を超えるが、プールから放射性物質が漏れた時、敷地外部に放出されることを防御する原子炉格納容器のような堅固な設備は存在しない。

 福島原発事故で、4号機のプールに納められた使用済み核燃料が危機的状態に陥り、この危険性ゆえ避難計画が検討された。原子力委員会委員長の被害想定で、最も重大な被害を及ぼすと想定されたのはプールからの放射能汚染だ。使用済み核燃料は外部からの不測の事態に対し、堅固に防御を固めて初めて万全の措置といえる。

 大飯原発では、全交流電源喪失から3日たたずしてプールの冠水状態を維持できなくなる危機的状況に陥る。国民の安全が優先されるべきであるとの見識に立たず、深刻な事故はめったに起きないだろうという見通しで対応が成り立っている。

 人格権を放射性物質の危険から守るとの観点からみると、安全技術と設備は、確たる根拠のない楽観的な見通しの下に初めて成り立つ脆弱(ぜいじゃく)なものと認めざるを得ない。

 【国富の損失】

 被告は原発稼働が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いという問題を並べて論じるような議論に加わり、議論の当否を判断すること自体、法的には許されない。原発停止で多額の貿易赤字が出るとしても、豊かな国土に国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の損失だ。

 被告は、原発稼働がCO2(二酸化炭素)排出削減に資すると主張するが、福島原発事故はわが国始まって以来最大の環境汚染であり、原発の運転継続の根拠とすることは甚だしく筋違いだ。