とあるスナックで
小林
この本の P-155を読んでいきましょう。
「お金をいくら刷っても銀行に溜るだけ」の間違い
量的緩和政策の効果を否定する論のなかに、「日銀がお金をいくら刷っても、企業や個人ののニーズが冷え込んでいるのでお金の借り手がいない。市中銀行にお金が溜まるばかりで、融資は増えず、したがってマネーストックは増えない」というものがある。
ここまでの説明を読めば、この理論が正しくないことはわかっていただけると思う。この理論を説く人は、お金のフローを追いかけている。つまり
日銀がお金をするーー>銀行のマネーが増えるーー>銀行は貸し出そうとするーー>企業や個人がお金を借りるーー>マネーストックが増える
というフローで、「今は不況なので企業や個人がお金を借りないのではないか」というふうに考えてしまうのだ。これは考える方向を間違えている。正しいフローは以下である。要は、経済はニーズで動いているということだ。
日銀がお金を刷るーー>予想インフレ率が上がるーー>実質金利が下がるーー>投資意欲が高まるーー>企業や個人が銀行からお金を借りるーー>マネーストックが増える
ベン・バーナンキが「ケチャップでも何でも大量に買えばいい」と言ったのは、「日銀がお金を刷ること=マネタリーベースが増えること」こそが大切だからだ。
このように量的緩和を行うと、半年後ぐらいから予想インフレ率が高くなる効果が出始める。それが設備投資に結び付くのはもっと後になる。それは最初の企業が投資を欲してから実際にお金を借りるまでのタイムラグがあるのと、投資をした企業を見て後追いで投資をする企業がどんどん出てくるからである。/div>
コー
なるほどね、こういう考えで黒田日銀は国債を買ってきたわけか。2008年の金融危機以後のアメリカやヨーロッパはこの考えのもと金融緩和をして、少なくともデフレは脱したんだろう。うまくいったんだと思う。でも黒田日銀の大規模な金融緩和でうまくその通りにいったんだろうか。 p-163
60兆円のお金を刷るだけで日本は大きく変わる
実際、どれくらい円を刷れば円安に持っていけるだろうか。私の試算では、日銀が新規に60兆円ほどお金を刷り、日銀のバランスシートを200兆円規模にもっていければ、半年から1年程度の間に、70%の確率で1ドル100円程度になる。
またモノとお金の需給バランスでは、モノの量に対して足りていないお金の量(デフレ・ギャップ)は40兆円ほどだと試算されているので、日銀が60兆円のマネーを刷れば、半年から1年でデフレは脱却でき、インフレになる。
そんな簡単なことで、日本はデフレと円高という双子の悪夢から解放され、景気は回復に向かう。企業の売り上げが上がり、雇用が増え、給料が上がる。輸出が伸び、内需が伸び、GDPが伸びていく。増税などしなくとも、税収が増えて財政が健全化する。国民の誰もがが楽に生活できるようになり、豊かさを実感し、国全体が明るくなる。
そのきっかかけとなる金融政策を取った日本銀行に国民は感謝し、日銀総裁は尊敬されるだろう。なぜ、日銀はわかっていながらそれをしないのか。次章ではついにそこに迫る。
小林
コー
問題は、金融緩和をしてアメリカのようにデフレを抜け出し景気が良くなって、それですべて良しとするのかという事だと思う。
アイスランドの人たちは、違う道、違う金融システムを選んだのではないだろうか。
自分たちが、お金を貸す側の奴隷にならないために。
こんな<債務貨幣・借金貨幣>システムはもうゴメンだと。