郎女迷々日録 幕末東西

薩摩、長州、幕府、新撰組などなど。仏英を主に幕末の欧州にも話は及びます。たまには観劇、映画、読書、旅行の感想も。

映画『山猫』の円舞曲

2005年11月21日 | 映画感想
ルキノ・ヴィスコンティ監督『山猫』、完全版DVDを購入して見ました。

山猫 イタリア語完全復元版

いえね、けっこうなお値段で迷っていたのですが、幕末物語の参考になる映像として必要だろう、と言い訳しつつ、買った次第です。
「山猫」の舞台は、イタリア統一戦争時のシチリア。幕開けの1960年といえば、万延元年。横浜開港の翌年で、桜田門外の変が起こった年です。明治維新まで、あと8年。
この時代を舞台にした映画といえば、南北戦争を扱った『風と共に去りぬ』もあるのですが、ハリウッド映画は時代風俗を正確には再現しませんので、やはり『山猫』だよなあ、と。

かつて見たルキノ・ヴィスコンティ監督の映画の中で、『山猫』それほど印象に残るものではありませんでした。さっぱり感情移入できなかった、とでもいうんでしょうか。同じくヴィスコンティの「老い」をテーマとしている作品で、先に見た『家族の肖像』がお気に入りだっただけに、ついくらべてしまったんですが、なにしろ若かったものですから、「老い」に共感できるわけもなく、となれば、対比して出てくる若さなんですが、『家族の肖像』のヘルムト・バーガー演じる青年にくらべて、『山猫』のアラン・ドロン演じるヒーローは、功利的かつ健康的にすぎた、とでもいうんでしょうか、思春期に感情移入できる役柄では、なかったんですね。

あらためて見返してみた『山猫』は、よかったですね。
『山猫』あたりまでのヴィスコンティは、個を描くことよりも、時代を描くことの方に、より重点を置いているんですね。イタリアのリソルジメントがなんであったか、シチリア貴族社会の断片を切り取ることで、全体を見事に、そしてリアルに伝え得ている作品だと思えます。

有名な舞踏会のシーン。なによりもこれを見返してみたかったんですが、ぐぐっていたら、私が感じていたことを、より深く解説してくれているサイトにめぐりあいました。

古典と古典舞踏 第10回「ワルツ」その2


そうでしたか。あのワルツは、ヴェルディでしたか。

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