(01)
① 如揮快刀断乱麻=
① 如〔揮(快刀)断(乱麻)〕
に於いて、
如〔 〕⇒〔 〕如
揮( )⇒( )揮
断( )⇒( )断
といふ「移動」を行ふと、
① 〔(快刀)揮(乱麻)断〕如=
① 〔(快刀を)揮って(乱麻を)断つが〕如し。
(02)
② 如揮快刀断乱麻者=
② 如〔揮(快刀)断(乱麻)者〕。
に於いて、
如〔 〕⇒〔 〕如
揮( )⇒( )揮
断( )⇒( )断
といふ「移動」を行ふと、
② 〔(快刀)揮(乱麻)断者〕如=
② 〔(快刀を)揮って(乱麻を)断つ者が〕如し。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 如揮快刀断乱麻。
② 如揮快刀断乱麻者。
に対する「括弧」は、両方とも、
①〔( )( )〕
②〔( )( )〕
であって、「同じ」になる。
然るに、
(04)
① 如下 揮二 快刀一 断中 乱麻上⇒
① 快刀一 揮二 乱麻上 断中 如下=
① 快刀一を 揮二って 乱麻上を 断中つが 如下し。
然るに、
(05)
② 如下 揮二 快刀一 断二 乱麻一 者上⇒
② 快刀一 揮二 乱麻一 断二 者上 如下=
② 快刀一を 揮二って 乱麻一を 断二つ 者上が 如下し。
従って、
(04)(05)により、
(06)
① 如揮快刀断乱麻。
② 如揮快刀断乱麻者。
に対する「返り点」は、それぞれ、
① 下 二 一 中 上
② 下 二 一 二 一 上
であって、「同じ」ではない。
然るに、
(07)
① 如下揮二快刀一断中乱麻上。
② 如下揮二快刀一断二乱麻一者上。
ではなく、
① 如下揮二快刀一断二乱麻一#上。
② 如下揮二快刀一断二乱麻一者上。
であるならば、
① 如揮快刀断乱麻#。
② 如揮快刀断乱麻者。
に対する「返り点」は、それぞれ、
① 下 二 一 二 一 上
② 下 二 一 二 一 上
であって、「同じ」になる。
然るに、
(08)
① 如揮快刀断乱麻#。
に於いて、
① #
は「ダミー」であって、「意味も、音も無い」ものと、する。
加へて、
(09)
① 如揮快刀断乱麻#。
に於いて、
① #
は、「省く」ことが出来る、とする。
従って、
(07)(08)(09)
(10)
① 如下揮二快刀一断二乱麻一上。
② 如下揮二快刀一断二乱麻一者上。
であるため、この場合は、
① 如揮快刀断乱麻。
② 如揮快刀断乱麻者。
に対する「返り点」は、両方とも、
① 下 二 一 二 一 上
② 下 二 一 二 一 上
といふ風に、「同じ」になる。
然るに、
(11)
① 如下揮二快刀一断二乱麻一上。
② 如下揮二快刀一断二乱麻一者上。
といふ「返り点」は、
① 如〔揮(快刀)断(乱麻)〕。
② 如〔揮(快刀)断(乱麻)者〕。
と書いても、「同じ」ことであり、
① 如〔揮(快刀)断(乱麻)〕。
② 如〔揮(快刀)断(乱麻)者〕。
といふ「それ」は、
① 如〔揮(快刀)断(乱麻)〕
② 如〔揮(快刀)断(乱麻)者〕。
といふ「括弧」と、「同じ」である。
従って、
(10)(11)により、
(12)
①〔( )( )〕
といふ「括弧」は、
① 下 二 一 二 一 上
といふ「返り点」に「相当」する。
然るに、
(13)
「返り点」は、「その発想」として、
(ⅰ)「漢文訓読」の「語順」を表し、尚且つ、
(ⅱ)飽くまでも、「漢字」に付く。
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
「返り点」の「発想」からすれば、
① 如下揮二快刀一断二乱麻一上。
② 如下揮二快刀一断二乱麻一者上。
に於いて、
② に関しては、「有り得る」が、
① に関しては、「有り得ない」。
然るに、
(15)
① 如揮快刀断乱麻。
② 如揮快刀断乱麻者。
といふ「漢文」に於ける、「補足構造」は「共通」であって、「括弧」を用ひて、それ「表す」とすると、
① 如〔揮(快刀)断(乱麻)〕。
② 如〔揮(快刀)断(乱麻)者〕。
といふ「形」になる。
然るに、
(16)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(15)(16)により、
(17)
② 如揮快刀断乱麻者。
といふ「漢文」の、
② 如〔揮(快刀)断(乱麻)者〕。
といふ「補足構造」が、「分かった時点」で、
② 〔(快刀)揮(乱麻)断者〕如=
② 〔(快刀を)揮って(乱麻を)断つ者が〕如し。
といふ「訓読の語順」が、「一意的に、定まる」ことになる。
従って、
(17)により、
(18)
例へば、
③ 欲雖人之所不能無然多而不節未有不失其本心者(孟子集注)。
といふ「漢文」の、
③ 欲雖{人之所[不〔能(無)〕]}然多而不(節)未{有[不〔失(其本心)〕者]}。
といふ「補足構造」が、「分かった時点」で、
③ 欲{人之[〔(無)能〕不]所}雖然多而(節)不未{[〔(其本心)失〕不者]有}不=
③ 欲は{人の[〔(無き)能は〕不る]所なりと}雖へども、然れども、多くして(節せ)ざれば未だ{[〔(其の本心を)失は〕不る者]有ら}不。
といふ「訓読の語順」が、「一意的に、定まる」ことになる。
然るに、
(19)
③ 欲雖人之所不能無然多而不節未有不失其本心者。
といふ「漢文」を、
③ 欲は人の無き能は不る所なりと雖へども、然れども、多くして、節せざれば、未だ其の本心を失は不る者有ら不。
と「訓読」出来さえすれば、
③ 欲は人の無き能は不る所なりと雖へども、然れども、多くして、節せざれば、未だ其の本心を失は不る者有ら不。
といふ「語順」を下に、
③ 欲 雖二 人 之 所一レ 不レ 能レ 無 然 多 而 不レ 節 未レ 有上 不レ 失二 其 本 心一 者上 。
といふ「返り点」を、付けることが、出来る。
然るに、
(20)
徂徠は、書を千遍読めば意味はおのずとわかる(「読書千遍、其義自見」)とはどういうことか、幼時にはわからなかったと云う。意味がわからないのに読めるはずがなく、読めればわかっているはずだと思ったからである。しかし後になって、中華では文字列をそのままの順で読むために、意味がわからなくとも読めること、それに対して。日本では中華の文字をこちらの言語の語順に直して読むために意味がとれなければ読めないことに気づく(勉誠出版、続「訓読」論、2010年、17頁)。
(21)
徂徠は「題言十則」のなかで以下のように述べている。
中華の人多く言へり、「読書、読書」と。予は便ち謂へり、書を読むは書を看るに如かず、と。此れ中華と此の方との語言同じからざるに縁りて、故に此の方は耳口の二者、皆な力を得ず、唯だ一双の眼のみ、三千世界の人を合はせて、総て殊なること有ること莫し。
ここでの「読書」は、文脈からして音読であろう(勉誠出版、「訓読」論、2008年、27・244頁)
従って、
(19)(20)(21)により、
(22)
③ 欲雖人之所不能無然多而不節未有不失其本心者。
といふ「漢文」に対して、
③ 欲 雖二 人 之 所一レ 不レ 能レ 無 然 多 而 不レ 節 未レ 有上 不レ 失二 其 本 心一 者上 。
といふ「返り点」を付けるためには、
③ 欲雖人之所不能無然多而不節未有不失其本心者。
といふ「漢文」が、
③ 欲雖{人之所[不〔能(無)〕]}然多而不(節)未{有[不〔失(其本心)〕者]}。
といふ風に、見えるまで、「ひたすら、見る」しかない。
然るに、
(23)
③ 欲雖人之所不能無然多而不節未有不失其本心者。
といふ「漢文」が、
③ 欲雖{人之所[不〔能(無)〕]}然多而不(節)未{有[不〔失(其本心)〕者]}。
といふ風に、見える人であれば、
④ 我非欲揮快刀断乱麻者。
といふ「漢文」くらひは、それを「見た瞬間に」、
④ 我は快刀を揮って乱麻を断たんと欲する者に非ず。
といふ風に、「訓読」出来ることになる。
然るに、
(24)
④ 我非欲揮快刀断乱麻者。
といふ「漢文」を「見ると同時」に、
④ 我は快刀を揮って乱麻を断たんと欲する者に非ず。
といふ風に、「訓読」出来るのであれば、その人は、
④ 我非欲揮快刀断乱麻者。
といふ「漢文」を「目によって、直読」してゐることなる。
然るに、
(25)
p.9に「また、訓読ということには、大きな限界があるものなのであって、先人は、目による直読によって、その限界を乗り越えて来ていたのであることを忘れてはならない。」
p.385に「わが国における漢学の発達は、右のように、目による直読式の読法が、大きな基礎になっていたのであって、訓点による読誦は、この直読による暗記を助けるためのものであったともいうことができる」と書かれている。(p.7から9に同じ趣旨の事が書いてある)
私は、著者のいう『目による直読式の読法』の基本的な読み方・考え方を知りたくて、様々な本を物色していますが残念な事に出会えません。
(「鈴木直治、中国語と漢文、1975年」のカスタマーレビュウー)
従って、
(23)(24)(25)により、
(26)
『目による直読式の読法』の基本的な読み方を、マスターするには、
取り敢へず、例へば、
④ 我非欲揮快刀断乱麻者。
等の「漢文(白文)」に対して、
④ 我非[欲〔揮(快刀)断(乱麻)〕者]。
といふ「括弧」を、付ける「練習」をすれば良い。
(27)
「ある程度」、それが出来るようになったならば、
④ 我非欲揮快刀断乱麻者。
といふ「漢文(白文)」を見たら、そのまま、
④ 我は快刀を揮って乱麻を断たんと欲する者に非ず。
といふ風に、読むように、すれば良い。
(01)
―「含意の定義」の「証明」―
(ⅰ)
1 (1) P→ Q A
2 (2) P&~Q A
2 (3) P 2&E
12 (4) Q 13MPP
2 (5) ~Q 2&E
12 (6) Q&~Q 45&I
1 (7) ~(P&~Q) 26RAA
8 (8) ~(~P∨ Q) A
9 (9) ~P A
9 (ア) ~P∨ Q 9∨I
89 (イ) ~(~P∨ Q)&
(~P∨ Q) 8ア&I
8 (ウ) ~~P 9イRAA
8 (エ) P ウDN
オ(オ) Q A
オ(カ) ~P∨ Q オ&I
8 オ(キ) ~(~P∨ Q)&
(~P∨ Q) 8カ&I
8 (ク) ~Q オキRAA
8 (ケ) P&~Q エク&I
1 8 (コ) ~(P&~Q)&
(P&~Q) 7ケ&I
1 (サ)~~(~P∨ Q) 8コRAA
1 (シ) ~P∨ Q サDN
(ⅱ)
1 (1) ~P∨ Q A
2 (2) P&~Q A
3 (3) ~P A
2 (4) P 2&E
23 (5) ~P&P 34&I
3 (6) ~(P&~Q) 25RAA
7 (7) Q A
2 (8) ~Q 2&E
2 7 (9) Q&~Q 78&I
7 (ア) ~(P&~Q) 29RAA
1 (イ) ~(P&~Q) 1367ア∨E
ウ (ウ) P A
エ(エ) ~Q A
ウエ(オ) P&~Q ウエ&I
1 ウエ(カ) ~(P&~Q)&
(P&~Q) イオ&I
1 ウ (キ) ~~Q エカRAA
1 ウ (ク) Q キDN
1 (ケ) P→ Q ウクCP
(02)
―「ド・モルガンの法則」の「証明」―
(ⅰ)
1 (1) ~(~P&~Q) A
2 (2) ~( P∨ Q) A
3 (3) P A
3 (4) P∨ Q 3∨I
23 (5) ~( P∨ Q)&
( P∨ Q) 24&I
2 (6) ~P 35RAA
7(7) Q A
7(8) P∨ Q 7∨I
2 7(9) ~( P∨ Q)&
( P∨ Q) 28&I
2 (ア) ~Q 7RAA
2 (イ) ~P&~Q 6イ&I
12 (ウ) ~(~P&~Q)&
(~P&~Q) 1ウ&I
1 (エ)~~( P∨ Q) 2エRAA
1 (オ) P∨ Q オDN
(ⅱ)
1 (1) P∨ Q A
2 (2) ~P&~Q A
3 (3) P A
2 (4) ~P 2&E
23 (5) P&~P 34&I
3 (6)~(~P&~Q) 25RAA
7(7) Q A
2 (8) ~Q 2&E
2 7(9) Q&~Q 78&I
7(ア)~(~P&~Q) 29RAA
1 (イ)~(~P&~Q) 1367ア∨E
(03)
―「排中律」の「証明(Ⅰ)」―
1(1) ~(~P∨P) A
1(2) ~~P&~P 1ド・モルガンの法則
(3)~~(~P∨P) 12RAA
(4) ~P∨P 3DN
(04)
―「排中律」の「証明(Ⅱ)」―
1 (1) ~(~P∨P) A
2(2) ~P A
2(3) ~P∨P A
12(4) ~(~P∨P)&
(~P∨P) 13&I
1 (5) ~~P 24RAA
1 (6) P 5DN
1 (7) ~P∨P 6∨I
1 (8) ~(~P∨P)&
(~P∨P) 17&I
(9)~~(~P∨P) 18RAA
(ア) ~P∨P 9DN
然るに、
(05)
(ⅰ)
1(1)~P∨P A
1(2) P→P 1含意の定義
(ⅱ)
1(1) P→P A
1(2)~P∨P 1含意の定義
従って、
(05)により、
(06)
① ~P∨P(排中律)
② P→P(同一律)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(07)
1(1) P A
(2) P→P 11CP
(3)~P∨P 2含意の定義
に於いて、
(1)の場合は、「Pなので、 Pである。」といふ「意味」であり、
(2)の場合は、「Pならば、 Pである。」といふ「意味」であり、
(3)の場合は、「Pでないか、Pである。」といふ「意味」である。
然るに、
(08)
(1)「Pなので、 Pである。」
(2)「Pならば、 Pである。」
(3)「Pでないか、Pである。」
に於いて、
(1)は、さうではないが、
(2)は、「恒に、真である。」
(3)も、「恒に、真である。」
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
① ~P∨P(排中律)
② P→P(同一律)
に於いて、
① は、「恒真式(トートロジー)」であって、
② も、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(07)により、
(10)
1(1) P A
(2) P→P 11CP
(3)~P∨P 2含意の定義
であるため、
#(1) P
#(2) P→P
#(3)~P∨P
に於いて、上から順に、
#=1
#=
#=
である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
「恒真式(トートロジー)」とは、『それ証明する際に、「仮定(#)の数」が「0個」となる所の、「論理式」である。』
然るに、
(12)
(ⅰ)
1(1) P A
1(2) P∨P 1∨I
(3) P→(P∨P) 12CP
(4) ~P∨(P∨P) 3含意の定義
(5)(~P∨P)∨P 4結合法則
(〃) (排中律)∨P 4結合法則
(ⅱ)
1 (1) P&P A
1 (2) P 1&E
(3) (P&P)→P 12CP
(4)~(P∨P)∨P 3含意の定義
5 (5)~(P∨P) A
5 (6)~P∨~P 5ド・モルガンの法則
5 (7) ~P 6冪等律
5 (8) ~P∨P 7∨I
9(9) P A
9(ア) ~P∨P 9∨I
(イ) ~P∨P _589ア∨E
(〃) 排中律 _589ア∨E
(ⅲ)
1(1)~(~P&P) A
1(2) P∨~P 2ド・モルガンの法則
(3)~(~P&P)→(P∨~P) 12CP
(4) (~P&P)∨(P∨~P) 3含意の定義
(〃) (矛盾)∨(排中律) 3含意の定義
従って、
(11)(12)により、
(13)
例へば、
① P→(P∨P)
②(P&P)→P
③(~P&P)∨(P∨~P)
といふ「3つの論理式」は、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(14)
(ⅳ)
1 (1) P→Q A
2(2) P A
12(3) Q 12MPP
1 (4) P→Q 23CP
(5)(P→Q)→(P→Q) 15CP
従って、
(09)(11)(14)により、
(15)
④(P→Q)→(P→Q)
④(A→B)→(A→B)
といふ「論理式」は、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(16)
[規則]
1 代入の規則
一つの恒真式の命題変項を他の命題変項、または論理式でおきかえることによって得られた式は同じく恒真式である。
(沢田允茂、現代論理学入門、1962年、173頁)
従って、
(15)(16)により、
(17)
④ P→P(同一律)
に於いて、
P=P→Q
といふ「代入」行った「結果」である所の、
④(P→Q)→(P→Q)
といふ「論理式」は、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(18)
① Aが、「恒真式(トートロジー)」であって、
② A=B であるならば、当然、Bも、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(18)により、
(19)
「ある恒真式(トートロジー)」と、「等しい論理式」は、「その論理式」も「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(20)
(ⅰ)
1 (1)P→(Q→R) A
2(2)P&Q A
2(3)P 2&E
12(4) Q→R 13MPP
2(5) Q 2&E
12(6) R 45MPP
1 (7) P&Q→R 26CP
(ⅱ)
1 (1) P&Q→R A
2 (2) P A
3(3) Q A
23(4) P&Q 23&I
123(5) R 14MPP
12 (6) Q→R 35CP
1 (7)P→(Q→R) 26CP
従って、
(20)により、
(21)
④ P→(Q→R)
⑤(P&Q)→R
に於いて、
④=⑤ である。
然るに、
(22)
④ P→(Q→R)
⑤(P&Q)→R
に於いて、
P=(A→B)
Q= A
R= B
といふ「代入(Substitution)」を行ふと、
④ (A→B)→(A→B)
⑤((A→B)&A)→B
従って、
(21)(22)により、
(23)
④ (A→B)→(A→B)
⑤((A→B)&A)→B
に於いて、
④=⑤ である。
従って、
(15)(17)(19)(23)により、
(24)
④ (A→B)→(A→B)
⑤((A→B)&A)→B
といふ「論理式」は、両方とも、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(25)
2 推論の規則
論理式「A」と「A→B」が共に真ならば、論理式Bも真である。
(沢田允茂、現代論理学入門、1962年、173頁)
従って、
(24)(25)により、
(26)
⑤((A→B)&A)→B といふ「論理式」は「恒真式」であって、
⑤ 論理式「A→B」と「A」が共に真ならば、論理式Bも真である。
従って、
(25)(26)により、
(27)
2 推論の規則
論理式「A」と「A→B」が共に真ならば、論理式Bも真である。
論理式「A→B」と「A」が共に真ならば、論理式Bも真である。
といふ「規則」は、
⑤(A&(A→B))→B といふ「論理式」は「恒真式」である。
⑤((A→B)&A)→B といふ「論理式」は「恒真式」である。
といふことと、「同じこと」である。
(01)
標準的な命題論理に対して健全で完全な公理系はいろいろなものが作れます。一つの具体例を示してみましょう。
公理系PL
公理1 (P∨P)→P
公理2 P→(P∨Q)
公理3 (P∨Q)→(Q∨P)
公理4 (P→Q)→((P∨R)→(Q∨R))
推論規則 P→Q と P から Q を導いてもよい。
定義1 P&Q は ~(~P∨~Q)の略記である。
定義2 P→Q は ~P∨Q の略記である。
(矢野茂樹、まったくゼロからの論理学、2020年、167頁改)
然るに、
(02)
1 (1) P∨P A
2 (2) P A
3(3) P A
1 (4) P 12233∨E
(5)(P∨P)→P 14CP
従って、
(01)(02)により、
(03)
「公理系PL(公理1)」が「恒真式(トートロジー)」であることを、
「仮定の規則(A)」と「∨‐除去(∨E)」と「条件的証明(CP)」で、「証明」出来る。
(04)
1(1)P A
1(2)P∨Q 1∨I
(3)P→(P∨Q) 12CP
従って、
(01)(04)により、
(05)
「公理系PL(公理2)」が「恒真式(トートロジー)」であることを、
「仮定の規則(A)」と「∨‐導入(∨I)」と「条件的証明(CP)」で、「証明」出来る。
(06)
1 (1) P∨Q A
2 (2) P A
2 (3) Q∨P 2∨I
4(4) Q A
4(5) Q∨P 4∨I
1 (6) Q∨P 12345∨E
(7)(P∨Q)→(Q∨P) 16CP
従って、
(01)(06)により、
(07)
「公理系PL(公理3)」が「恒真式(トートロジー)」であることを、
「仮定の規則(A)」と「∨‐導入(∨I)」と「∨‐除去(∨E)」と「条件的証明(CP)」で、「証明」出来る。
(08)
1 (1) P→Q A
2 (2) P∨R A
3 (3) P A
1 3 (4) Q 13MPP
1 3 (5) Q∨R 4∨I
6(6) R A
6(7) Q∨R 6∨I
12 (8) Q∨R 23567∨E
1 (9)(P∨R)→(Q∨R) 28CP
(ア)(P→Q)→((P∨R)→(Q∨R)) 19CP
従って、
(01)(08)により、
(09)
「公理系PL(公理4)」が「恒真式(トートロジー)」であることを、
「仮定の規則(A)」と「肯定肯定式(MPP)」と「∨‐導入(∨I)」と「∨‐除去(∨E)」と「条件的証明(CP)」で、「証明」出来る。
然るに、
(10)
(ⅰ)
1 (1)P→(Q→R) A
2(2)P&Q A
2(3)P 2&E
12(4) Q→R 13MPP
2(5) Q 2&E
12(6) R 45MPP
1 (7) P&Q→R 26CP
(ⅱ)
1 (1) P&Q→R A
2 (2) P A
3(3) Q A
23(4) P&Q 23&I
123(5) R 14MPP
12 (6) Q→R 35CP
1 (7)P→(Q→R) 26CP
従って、
(10)により、
(11)
① P→(Q→R)
②(P&Q)→R
に於いて、
①=② である。
然るに、
(12)
① P→(Q→R)
②(P&Q)→R
に於いて、
P=(A→B)
Q= A
R= B
といふ「代入(Substitution)」を行ふと、
① (A→B)→(A→B)
②((A→B)&A)→B
然るに、
(13)
① A→A≡「AならばAである。」
といふ「論理式」は、「同一律(トートロジー)」である。
従って、
(13)により、
(14)
① (A→B)→(A→B)≡「(AならばBである)ならば(AならばBである)。」
であっても、「同一律(トートロジー)」である。
然るに、
(15)
②((A→B)&A)→B ≡「((AならばBである)であってA)であるならばBである。」
は、「肯定肯定式(MPP)」である。
従って、
(10)~(15)により、
(16)
① (A→B)→(A→B)≡ 「(AならばBである)ならば(AならばBである)。」
②((A→B)&A)→B ≡「((AならばBである)であってA)であるならばBである。」
に於いて、
①=② であって、尚且つ、
① は「恒真式(トートロジー)」であって、
② は「肯定肯定式(MPP)」である。
従って、
(16)により、
(17)
「肯定肯定式(MPP)」は、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(01)(16)(17)により、
(18)
「公理系PL(推論規則)」は、「肯定肯定式(MPP)」である。
従って、
(01)(18)により、
(19)
「公理系PL(推論規則)」が「恒真式(トートロジー)」であることを、
「仮定の規則(A)」と「&‐除去(&E)」と「肯定肯定式(MPP)」と「条件的証明(CP)」と「&‐導入(&I)」で、「証明」出来る。
(20)
(ⅰ)
1 (1) P& Q A
2 (2) ~P∨~Q A
1 (3) P 1&E
4 (4) ~P A
1 4 (5) P&~P 34&I
4 (6) ~(P& Q) 15RAA
1 (7) Q 1&E
8(8) ~Q A
1 8(9) Q&~Q 78&I
8(ア) ~(P& Q) 19RAA
2 (イ) ~(P& Q) 2468ア∨E
12 (ウ) (P& Q)&
1 (エ)~(~P∨~Q) 2ウRAA
(ⅱ)
1 (1)~(~P∨~Q) A
2 (2) ~P A
2 (3) ~P∨~Q 2∨I
12 (4)~(~P∨~Q)&
(~P∨~Q) 13&I
1 (5) ~~P 24RAA
1 (6) P 5DN
7 (7) ~Q A
7 (8) ~P∨~Q 7∨I
1 7 (9)~(~P∨~Q)&
(~P∨~Q) 18&I
1 (ア) ~~Q 79RAA
1 (イ) Q アDN
1 (ウ) P& Q 6イ&I
従って、
(20)により、
(21)
① P& Q
② ~(~P∨~Q)
に於いて、
①=② である。
従って、
(01)(20)(21)により、
(22)
「公理系PL(定義1)」は、
仮定の規則(A)」と「&‐除去(&E)」と「&‐導入(&I)」と「背理法(RAA)」と「∨‐除去(∨E)」と「∨‐導入(∨I)」と「二重否定(DN)」で、「証明」出来る。
然るに、
(23)
(ⅰ)
1 (1) P→ Q A
2(2) P&~Q A
2(3) P 2&E
2(4) ~Q 2&E
12(5) Q 13MPP
12(6) ~Q&Q 45&I
1 (7) ~~Q 46RAA
1 (8) Q 7DN
1 (9) ~P∨ Q 8∨I
(ⅱ)
1 (1) ~P∨ Q A
2 (2) P&~Q A
3 (3) ~P A
2 (4) P 2&E
23 (5) ~P&P 34&I
3 (6)~(P&~Q) 25RAA
7 (7) Q A
2 (8) ~Q 2&E
2 7 (9) Q&~Q 78&I
7 (ア)~(P&~Q) 29RAA
1 (イ)~(P&~Q) 2367ア∨E
ウ (ウ) P A
エ(エ) ~Q A
ウエ(オ) P&~Q ウエ&I
1 ウエ(カ)~(P&~Q)&
(P&~Q) イオ&I
1 ウ (キ) ~~Q エキRAA
1 ウ (ク) Q キDN
1 (ケ) P→ Q ウクCP
従って、
(23)により、
(24)
① P→Q
② ~P∨Q
に於いて、
①=② である。
従って、
(01)(23)(24)により、
(25)
「公理系PL(定義2)」は、
「仮定の規則(A)」と「&‐除去(&E)」と「肯定肯定式(MPP)」と「&‐導入(&I)」と「背理法(RAA)」と「二重否定(DN)」と「∨‐導入(∨I)」と「∨‐除去(∨E)」と「条件的証明(CP)」で、「証明」出来る。
従って、
(01)~(25)により、
(26)
公理系PL
公理1 (P∨P)→P
公理2 P→(P∨Q)
公理3 (P∨Q)→(Q∨P)
公理4 (P→Q)→((P∨R)→(Q∨R))
推論規則 P→Q と P から Q を導いてもよい。
定義1 P&Q は ~(~P∨~Q)の略記である。
定義2 P→Q は ~P∨Q の略記である。
の全ては、『(E.J.レモンの)自然演繹の規則』で、「証明」出来る。
然るに、
(16)(17)(18)により、
(27)
もう一度、確認すると、
① (A→B)→(A→B)≡ 「(AならばBである)ならば(AならばBである)。」
②((A→B)&A)→B ≡「((AならばBである)であってA)であるならばBである。」
に於いて、
①=② であって、尚且つ、
① は「恒真式(トートロジー)」であって、
② は「肯定肯定式(MPP)」 であって、
② は「公理系PL(推論規則)」である。
然るに、
(01)~(09)により、
(28)
公理1 (P∨P)→P
公理2 P→(P∨Q)
公理3 (P∨Q)→(Q∨P)
公理4 (P→Q)→((P∨R)→(Q∨R))
は、全て、「恒真式(トートロジー)」であるし、
公理2 P→(P∨Q)
の場合は、『(E.J.レモンの)自然演繹の規則』でいふ所の、「∨‐導入の規則(∨I)」である。
従って、
(27)(28)により、
(29)
「公理(Axioms)」も、「規則(Rules)」も、結局は、「恒真式(tautology)」である。
然るに、
(30)
もし証明をやってみたいのであれば、もっと証明がやりやすい公理系として「自然演繹」と呼ばれる公理系がありますから、それをお薦めします。
(矢野茂樹、まったくゼロからの論理学、2020年、170頁)
然るに、
(31)
自然演繹論理のあるバージョンには、公理が存在しない。ジョン・レモンが開発した体系L は、証明の構文規則に関する「10個の基本的規則(Primitive rules)」だけを持つ。
(ウィキペディア改)
従って、
(29)(30)(31)
(32)
「自然演繹論理のあるバージョンには、公理が存在しない。」とは、言ふものの、「規則(Rules)」も、「公理(Axioms)」の「一種」である。
―「昨日(令和02年09月07日)の記事」を書き直します。―
(01)
(ⅰ)
1 (1) P→ Q A
2(2) P&~Q A
2(3) P 1&E
12(4) Q 13MPP
2(5) ~Q 2&E
12(6) Q&~Q 45&I
1 (7)~(P&~Q) 26RAA
(ⅱ)
1 (1)~(P&~Q) A
2 (2) P A
3(3) ~Q A
23(4) P&~Q 23&I
123(5)~(P&~Q)&
(P&~Q) 14&I
12 (6) ~~Q 3RAA
12 (7) Q 6DN
1 (8) P→ Q 27CP
従って、
(01)により、
(02)
① P→ Q
② ~(P&~Q)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
(ⅱ)
1 (1) ~( P&~Q) A
2 (2) ~(~P∨ Q) A
3 (3) ~P A
3 (4) ~P∨ Q 3∨I
23 (5) ~(~P∨ Q)&
(~P∨ Q) 24&I
2 (6) ~~P 35RAA
2 (7) P 6DN
8(8) Q A
8(9) ~P∨ Q 8∨I
2 8(ア) ~(~P∨ Q)&
(~P∨ Q) 29&I
2 (イ) ~Q 8アRAA
2 (ウ) P&~Q 7イ&I
12 (エ) ~( P&~Q)&
( P&~Q) 1ウ&I
1 (オ)~~(~P∨ Q) 2エRAA
1 (カ) (~P∨ Q) オDN
(ⅲ)
1 (1) ~P∨ Q A
2 (2) P&~Q A
3 (4) ~P A
2 (5) P 2&E
23 (6) ~P&P 45&I
3 (7) ~(P&~Q) 26RAA
8(8) Q A
2 (9) ~Q 2&E
2 8(ア) Q&~Q 89&I
8(イ) ~(P&~Q) 2アRAA
1 (ウ) ~(P&~Q 1378イRAA
12 (エ) (P&~Q)&
~(P&~Q) 2ウ&I
1 (オ) ~(P&~Q) 2エRAA
従って、
(03)により、
(04)
② ~(P&~Q)
③ ~P∨ Q
に於いて、
②=③ である。
従って、
(02)(04)により、
(05)
① P→ Q
② ~(P&~Q)
③ ~P∨ Q
に於いて、
①=②=③ であるものの、
①=② を、「含意の定義(Ⅰ)」とし、
① = ③ を、「含意の定義(Ⅱ)」とし、
②=③ を、「ド・モルガンの法則」とする。
然るに、
(06)
―「パースの法則」の「証明」―
(ⅳ)
1 (1) (P→Q)→P A
2 (2) ~P∨Q A
2 (3) P→Q 2含意の定義
12 (4) P 13MPP
1 (5) (~P∨Q)→P 24CP
1 (6)~(~P∨Q)∨P 5含意の定義
7 (7)~(~P∨Q) A
7 (8) P&~Q 7ド・モルガンの法則
7 (9) P 8&E
ア(ア) P A
1 (イ) P 679アア∨E
(ウ)((P→Q)→P)→P 1イCP
従って、
(06)により、
(07)
④((P→Q)→P)→P
といふ「論理式(パースの法則)」は、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(08)
(ⅳ)
1(1) ((P→ Q)→ P)→P A
1(2) ((~P∨ Q)→ P)→P 1含意の定義(Ⅱ)
1(3)~((~P∨ Q)&~P)→P 1含意の定義(Ⅰ)
1(4)(~(~P∨ Q)∨ P)→P 3ド・モルガンの法則
1(5) ((P&~Q)∨ P)→P 4ド・モルガンの法則
(ⅴ)
1(1) ((P&~Q)∨ P)→P A1
1(2)(~(~P∨ Q)∨ P)→P 1ド・モルガンの法則
1(3)~((~P∨ Q)&~P)→P 2ド・モルガンの法則
1(4) ((~P∨ Q)→ P)→P 3含意の定義(Ⅰ)
1(5) ((P→ Q)→ P)→P 4含意の定義(Ⅱ)
従って、
(08)により、
(09)
④((P→ Q)→P)→P
⑤((P&~Q)∨P)→P
に於いて、
④=⑤ である。
然るに、
(10)
(ⅳ)
1 (1) ( P→Q)→P A
1 (2)~( P→Q)∨P 1含意の定義(Ⅱ)
3 (3)~( P→Q) A
3 (4)~(~P∨Q) 3含意の定義(Ⅱ)
3 (5) (P&~Q) 4ド・モルガンの法則
3 (6) (P&~Q)∨P 5∨I
7(7) P A
7(8) (P&~Q)∨P 7∨I
(ⅴ)
1 (1) (P&~Q)∨P A
2 (2) (P&~Q) A
2 (3) P 2&E
2 (4)~( P→Q)∨P 3∨I
5(5) P A
5(6)~( P→Q)∨P 5∨I
1 (7)~( P→Q)∨P 12456∨E
1 (8) ( P→Q)→P 7含意の定義(Ⅱ)
従って、
(10)により、
(11)
④((P→ Q)→P)→P
⑤((P&~Q)∨P)→P
に於ける、
④ (P→ Q)→P)
⑤ (P&~Q)∨P)
に於いて、
④=⑤ である。
然るに、
従って、
(07)(11)により、
(12)
④((P→ Q)→P)→P
⑤((P&~Q)∨P)→P
に於いて、
⑤ は「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(13)
(ⅴ)
1 (1) (P&~Q)∨P A
2 (2) (P&~Q) A
2 (3) P 2&E
4(4) P A
1 (5) P 12344∨E
(6)((P&~Q)∨P)→P 15CP
従って、
(13)により、
(14)
⑤((P&~Q)∨P)→P
といふ「論理式」は、実際に、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(07)(11)(13)(14)により、
(15)
④((P→ Q)→P)→P
⑤((P&~Q)∨P)→P
といふ「論理式」は、「両方」とも、「恒真式(トートロジー)」であって、尚且つ、
④=⑤ である。
従って、
(01)~(15)により、
(16)
① P→ Q
② ~(P&~Q)
③ ~P∨ Q
に於いて、
①=②=③ であるが故に、
④((P→ Q)→P)→P
⑤((P&~Q)∨P)→P
といふ「論理式」は、「両方」とも、「恒真式(トートロジー)」であって、尚且つ、
④=⑤ である。
従って、
(16)により、
(17)
「日本語」で言ふならば、
① Pであるならば、Qである。
②(Pであって、Qでない)といふことはない。
③ Pでないか、または、Qであるか、または、その両方である。
に於いて、
①=②=③ であるが故に、
④((Pであるならば、Qである)ならば、Pである)ならば、Pである。
⑤((Pであって、Qでないか)、または、Pであるか、または、その両方である)ならば、いづれにせよ、Pである。
といふ「日本語」は、「両方」とも、「恒に真である」。
然るに、
(18)
④((日本人であるならば、女性である)ならば、日本人である)ならば、日本人である。
⑤((日本人であって、女性でないか)、または、日本人であるか、または、その両方である)ならば、いづれにせよ、日本人である。
に於いて、
④ は、「明らかに、ヲカシク」、
⑤ は、「明らかに、正しい」。
然るに、
(19)
④((日本人であるならば、女性である)ならば、日本人である)ならば、日本人である。
⑤((日本人であって、女性でないか)、または、日本人であるか、または、その両方である)ならば、いづれにせよ、日本人である。
ではなく、
④((日本人であるならば、男性である)ならば、日本人である)ならば、日本人である。
⑤((日本人であって、男性でないか)、または、日本人であるか、または、その両方である)ならば、いづれにせよ、日本人である。
であったとしても、
④ は、「明らかに、ヲカシク」、
⑤ は、「明らかに、正しい」。
然るに、
(18)(19)により、
(20)
⑤((日本人であって、女性でないか)、または、日本人であるか、または、その両方である)ならば、いづれにせよ、日本人である。
⑤((日本人であって、男性でないか)、または、日本人であるか、または、その両方である)ならば、いづれにせよ、日本人である。
に於いて、「両方とも」、「明らかに、正しい」といふことは、
⑤((P&~Q)∨P)→P
に於ける、
⑤ ~Q
は、「真」であっても、「偽」であっても、「どちらでも良い」。
といふことを、「意味」してゐる。
従って、
(17)~(20)により、
(21)
④((日本人であるならば、女性である)ならば、日本人である)ならば、日本人である。
⑤((日本人であって、女性でないか)、または、日本人であるか、または、その両方である)ならば、いづれにせよ、日本人である。
に於いて、
④ は、「明らかに、ヲカシク」、
⑤ は、「明らかに、正しい」。
といふことは、
④((P→ Q)→P)→P
⑤((P&~Q)∨P)→P
に於ける、
④ ~Q
⑤ ~Q
は、「真」であっても、「偽」であっても、「どちらでも良い」。
といふことが、
④ からは、「分かり難く」、
⑤ からは、「分かり易い」。
といふことを、「意味」してゐる。
(01)
「日本人か、男性。」のやうな「AかB」を、「弱選言(Weak disjunction)」といふ。
然るに、
(02)
① 日本人の男性。
② 日本人の女性。
③ 外国人の男性。
であれば、「その人は、日本人か、男性である。」
従って、
(02)により、
(03)
N=日本人
D=男性
とするならば、
① N& D
② N&~D
③ ~N& D
④ ~N&~D
に於いて、
④ 以外は、「日本人か、男性。」である。
従って、
(02)(03)により、
(04)
「日本人か、男性。」≡『「外国人の女性」以外。』
といふ「等式」が成立する。
然るに、
(05)
―「ド・モルガンの法則」の「証明」―
(ⅰ)
1 (1) N∨ D A
2 (2) ~N&~D A
3 (3) N A
2 (4) ~N 2&E
23 (5) N&~N 34&I
3 (6)~(~N&~D) 25RAA
7(7) D A
2 (8) ~D 2&E
2 7(9) D&~D 78&I
7(ア)~(~N&~D) 29RAA
1 (イ)~(~N&~D) 1367ア∨E
(ⅱ)
1 (1) ~(~N&~D) A
2 (2) ~( N∨ D) A
3 (3) N A
3 (4) N∨ D 3∨I
23 (5) ~( N∨ D)&
( N∨ D) 24&I
2 (6) ~N 35RAA
7(7) D A
7(8) N∨ D 7∨I
2 7(9) ~( N∨ D)&
( N∨ D) 28&I
2 (ア) ~D 7RAA
2 (イ) ~N&~D 6イ&I
12 (ウ) ~(~N&~D)&
(~N&~D) 1ウ&I
1 (エ)~~( N∨ D) 2エRAA
1 (オ) N∨ D オDN
従って、
(05)により、
(06)
① N∨ D ≡ 「日本人か、男性。」
② ~(~N&~D)≡「(外国人の、女性)以外。」
に於いて、
①=② である(ド・モルガンの法則)。
従って、
(01)~(06)により、
(07)
「弱選言」に対する、「ド・モルガンの法則」は、「日本語」としても、「命題計算」としても、「正しい」。
然るに、
(08)
「日本人か、外人。」のやうな「AかB」を、「強選言(Strong disjunction)」といふ。
然るに、
(09)
―「対偶」の「証明」―
(ⅲ)
1 (1) N→~G A
2 (2) G A
3(3) N A
1 3(4) ~G 13MPP
123(5) G&~Q 24&I
12 (6)~N 35RAA
1 (7) G→~N 26CP
(ⅳ)
1 (1) G→~N A
2 (2) N A
3(3) G A
1 3(4) ~N 13MPP
123(5) N&~N 24&I
12 (6)~G 35RAA
1 (7) N→~G 26CP
従って、
(09)により、
(10)
③ N→~G≡日本人であるならば、外国人ではない。
④ G→~N≡外国人であるならば、日本人ではない。
に於いて、
③=④ である(対偶)。
従って、
(10)により、
(11)
③ N→~G≡日本人であるならば、外国人ではなく(、外国人であるならば、日本人ではない)。
であるため、(08)により、
③ N→~G≡「強選言(Strong disjunction)」
であるやうに、思へないでも、ない。
然るに、
(12)
―「含意の定義」の「証明」―
(ⅲ)
1 (1) N→~G A
2 (2) N& G A
2 (3) N 2&E
12 (4) ~G 13MPP
2 (5) G 2&E
12 (6) ~G& G 45&I
1 (7) ~(N& G) 26RAA
8 (8) ~(~N∨~G) A
9 (9) ~N A
9 (ア) ~N∨~G 9∨I
89 (イ) ~(~N∨~G)&
(~N∨~G) 8ア&I
8 (ウ) N 9イRAA
8 (エ) N ウDN
オ(オ) ~G A
オ(カ) ~N∨~G オ&I
8 オ(キ) ~(~N∨~G)&
(~N∨~G) 8カ&I
8 (ク) G オキRAA
8 (ケ) N& G エク&I
1 8 (コ) ~(N& G)&
(N& G) 7ケ&I
1 (サ) (~N∨~G) 8コRAA
1 (シ) ~N∨~G サDN
(ⅳ)
1 (1) ~N∨~G A
2 (2) N& G A
3 (3) ~N A
2 (4) N 2&E
23 (5) ~N&N 34&I
3 (6) ~(N& G) 25RAA
7 (7) ~G A
2 (8) G 2&E
2 7 (9) ~G& G 78&I
7 (ア) ~(N& G) 29RAA
1 (イ) ~(N& G) 1367ア∨E
ウ (ウ) N A
エ(エ) G A
ウエ(オ) N& G ウエ&I
1 ウエ(カ) ~(N& G)&
(N& G) イオ&I
1 ウ (キ) ~G エカRAA
1 ウ (ク) ~G キDN
1 (ケ) N→~G ウクCN
従って、
(12)により、
(13)
③ N→~G≡「日本人であるならば、外国人でない。」
④ ~N∨~G≡「日本人でないか、 外国人でない。」
に於いて、
③=④ である(含意の定義)。
然るに、
(14)
④ ~N∨~G
に於いて、
N=~N
G=~D
といふ「代入(Substitution)」を行ふと、
④ ~~N∨~~D
であるため、「二重否定(DN)」により、
④ N∨D
である。
然るに、
(06)(07)(08)により、
(15)
④ N∨D
は、「弱選言」であって、「強選言」ではない。
従って、
(11)(15)により、
(16)
③ N→~G≡日本人であるならば、外国人ではなく(、外国人であるならば、日本人ではない)。
であるため、(08)により、
③ N→~G≡「強選言(Strong disjunction)」
であるやうに、思へないでも、ないものの、その一方で、
③ N→~G
④ ~N∨~G
に於いて、
③=④ であるため、
③ N→~G≡「強選言(Strong disjunction)」
ではない。
然るに、
(17)
―「(本物の)強選言」の「証明」―
(ⅲ)
1 (1) ~(N⇔G) A
1 (2)~{(N→G)& (G→N)} 1Df.⇔
1 (3) ~(N→G)∨~(G→N) 2ド・モルガンの法則
4 (4) ~(N→G) A
4 (5)~(~N∨G) 4含意の定義
4 (6) N&~G 5ド・モルガンの法則
4 (7) (N&~G)∨(G&~N) 6∨I
8(8) ~(G→N) A
8(9) ~(~G∨N) 8含意の定義
8(ア) G∨~N 8ド・モルガンの法則
8(イ) (N&~G)∨(G&~N) ア∨I
1 (ウ) (N&~G)∨(G&~N) 1478イ∨E
(ⅳ)
1 (1) (N&~G)∨(G&~N) A
2 (2) (N&~G) A
2 (3)~(~N∨G) 2ド・モルガンの法則
2 (4) ~(N→G) 3含意の定義
2 (5) ~(N→G)∨~(G→N) 4∨I
6(6) (G&~N) A
6(7) ~(~G∨N) 7ド・モルガンの法則
6(8) ~(G→N) 7含意の定義
6(9) ~(N→G)∨~(G→N) 8∨I
1 (ア) ~(N→G)∨~(G→N) 12569∨E
1 (イ)~{(N→G)& (G→N)} ア、ド・モルガンの法則
1 (ウ) ~(N⇔G) イDf.⇔
従って、
(17)により、
(18)
③ ~(N⇔G)
④ (N&~G)∨(G&~N)
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(19)
④(N&~G)≡「日本人であって、外国人ではない。」
⑤(G&~N)≡「外国人であって、日本人ではない。」
であるならば、
④&⑤ は、「矛盾(Contradiction)」であるため、
④と⑤ は、「同時には、真になれない。」
従って、 (19)により、
(20)
④(N&~G)≡「日本人であって、外国人ではない。」
⑤(G&~N)≡「外国人であって、日本人ではない。」
に於いて、
④ ならば、⑤ ではなく、
⑤ ならば、④ ではない。
従って、
(08)(18)(19)(20)により、
(21)
③ ~(N⇔G)
④ (N&~G)∨(G&~N)
に於いて、
③=④ であって、尚且つ、
③ ~(N⇔G)≡日本人であるならば、外国人ではなく(、外国人であるならば、日本人ではない)。
である。
従って、
(16)(21)により、
(22)
③ (N→~G)≡日本人であるならば、外国人ではなく(、外国人であるならば、日本人ではない)。
③ ~(N⇔G)≡日本人であるならば、外国人ではなく(、外国人であるならば、日本人ではない)。
に於いて、
「前者」は、「(偽物の)強選言」であって、
「後者」が、「(本物の)強選言」である。
(01)
(ⅰ)
1 (1) ~P→~Q A
2 (2) Q A
3(3) ~P A
1 3(4) ~Q 13MPP
123(5) Q&~Q 24&I
12 (6)~~P 3RAA
12 (7) P 6DN
1 (8) Q→ P 27CP
(ⅱ)
1 (1) Q→ P A
2 (2) ~P A
3(3) Q A
1 3(4) P 13MPP
123(5) ~P&P 24&I
12 (6) ~~P 25RAA
12 (7) P 6DN
1 (8) Q→ P 27CP
従って、
(01)により、
(02)
① ~P→~Q≡Pでないならば、Qでない。
② Q→ P≡Qであるならば、Pである。
に於いて、
①=② である(対偶)。
然るに、
(03)
② Q→ P≡Qであるならば、Pである。
③ P→ Q≡Pであるならば、Qである。
に於いて、
②=③ ではない。
cf.
「順が真であるとして、その逆も真であるとは、限らない。」
従って、
(02)(03)により、
(04)
① ~P→~Q≡Pでないならば、Qでない。
② Q→ P≡Qであるならば、Pである。
③ P→ Q≡Pであるならば、Qである。
に於いて、
①=② であるが、
①=③ ではない。
従って、
(04)により、
(05)
(ⅰ)Pでないならば、Qでない。然るに、Pでない。故に、Qでない。
(ⅱ)Pであるならば、Qである。然るに、Pでない。故に、Qでない。
に於いて、
(ⅰ)は、「推論」として「正しい」ものの、
(ⅱ)は、「推論」として「間違ひ」であって、このとき、
(〃)を、「前件否定の誤謬」といふ。
従って、
(05)により、
(06)
「記号」で書くと、
(ⅰ)~P→~Q,~P├ ~Q
(ⅱ) P→ Q,~P├ ~Q
に於いて、
(ⅱ)は、「前件否定の誤謬」である。
然るに、
(07)
(ⅰ)~P→~Q,~P├ ~Q
(ⅱ) P→ Q,~P├ ~Q
に於いて、
P=~P
Q= R
といふ「代入」を行ふと、
(ⅰ)~~P→~R,~~P├ ~R
(ⅱ) ~P→ R,~~P├ ~R
然るに、
(08)
「二重否定律」により、
~~P=P
従って、
(07)(08)により、
(09)
(ⅰ)~~P→~R,~~P├ ~R
(ⅱ) ~P→ R,~~P├ ~R
といふ「連式」は、
(ⅰ) P→~R,P├ ~R
(ⅱ)~P→ R,P├ ~R
といふ「連式」に、「等しい」。
従って、
(06)~(09)により、
(10)
(ⅰ) P→~R,P├ ~R
(ⅱ)~P→ R,P├ ~R
に於いて、
(ⅱ)は、「前件否定の誤謬」である。
然るに、
(11)
P=弁舌がある (祝鮀のやうな弁舌が有る)。
Q=ハンサムである(宋朝のやうな美貌が有る)。
R=やっていけない(今の時世を無事に送ることは、難しい)。
~R=やっていける (今の時世を無事に送ることは、易しい)。
とするならば、
① ~P&Q→R
といふ「論理式(命題)」は、
① 不有祝鮀之佞、而有宋朝之美、難乎、免於今之世矣=
① 不〔有(祝鮀之佞)〕、而有(宋朝之美)、難乎、免(於今之世)矣⇒
① 〔(祝鮀之佞)有〕不、而(宋朝之美)有、難乎、(於今之世)免矣=
① 〔(祝鮀の佞)有ら〕ずして、而も(宋朝の美)有らば、難いかな、(今に世に)免るること=
① 〔(祝鮀のやうな弁舌が)有る〕のではなく、而も(宋朝のやうな美貌が)有るだけならば、難しいことだよ、(今の時世を)無事に送ることは。
といふ「漢文訓読」に、相当する。
然るに、
(11)により、
(12)
(ⅰ)(Q&~P→R),(Q&P)├ ~R
といふ「連式」は、
(ⅰ)(ハンサムではあっても、弁舌がなければ、やってゆけない。)然るに、(ハンサムであって、弁舌がある。)従って、やっていける。
といふ「意味」である。
従って、
(10)(11)(12)により、
(13)
(ⅰ)(ハンサムではあっても、弁舌がなければ、やってゆけない。)然るに、(ハンサムであって、弁舌がある。)従って、やっていける。
といふ「推論」は、「前件否定の誤謬」である。
然るに、
(14)
(ⅰ)弁舌がなければ、やってゆけない。
といふことは、
(ⅰ)弁舌があることは、「やってゆく」ための「必要条件」である。
といふことである。
然るに、
(ⅱ)弁舌を兼ね備えてこそ、はじめてやってゆける。
といふのであれば、この場合も、
(ⅱ)弁舌があることは、「やってゆく」ための「必要条件」である。
といふことである。
従って、
(13)(14)により、
(15)
(ⅰ)(ハンサムではあっても、弁舌がなければ、やってゆけない。) 然るに、(ハンサムであって、弁舌がある。)従って、やっていける。
(ⅱ)(ハンサムの上に弁舌を兼ねそなえてこそ、はじめてやってゆける。)然るに、(ハンサムであって、弁舌がある。)従って、やっていける。
といふ「言ひ方」は、両方とも、「前件否定の誤謬」である。
然るに、
(16)
そこで話をもとにもどしてみる。 ① の場合、-a+bであると訳すと「弁舌はなくて、ハンサムというのは、あぶない(ハンサムの上に弁舌を兼ねそなえてこそ、はじめてやってゆける)」ということになる。 (二畳庵主人、漢文法基礎、1984年10月、325頁)。
従って、
(01)~(16)により、
(17)
(16)で引用した、 「漢文法基礎(二畳庵主人)、P325」は、
(ⅰ)(ハンサムであるとしても)弁舌がなければ、やってゆけない。然るに、弁舌がない。故に。やってゆけない。
(ⅱ)(ハンサムであるとしても)弁舌がなければ、やってゆけない。然るに、弁舌がある。故に。やってゆける。
に於ける、
(ⅰ)ではなく、
(ⅱ)であるが故に、「前件否定の誤謬」である。
(01)
(α)
1 (1) P∨ Q A
2 (2) ~P&~Q A
3 (3) P A
2 (4) ~P 2&E
23 (5) P&~P 34&I
3 (6)~(~P&~Q) 25RAA
(β)
7(7) Q A
2 (8) ~Q 2&I
2 7(9) Q&~Q 78&I
7(ア)~(~P&~Q) 25RAA
(γ)
1 (イ)~(~P&~Q) 1367ア∨E
従って、
(01)により、
(02)
(α)「Pである」ならば「~(~P&~Q)」であり、尚且つ、
(β)「Qである」ならば「~(~P&~Q)」である。が故に、
(γ)いづれにせよ、 「~(~P&~Q)」である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
「命題論理」に於ける、
(α)P∨Q≡「Pであるか、または、Qである。」
といふ「論理式(弱選言)」は、
(α)P∨Q≡「Pであるか、または、Qであるか(、または、PであってQである)。」
といふ「意味」である。
従って、
(03)により、
(04)
(ⅰ)Pであるか、または、Qである。 然るに、
(ⅱ)Pである。 故に、
(ⅲ)Qでない。
といふ「推論(三段論法)」は、「命題論理」に於いては、「妥当」ではない。
然るに、
(05)
(ⅰ)
1 (1) P∨ Q A
2 (2) ~P&~Q A
3 (3) P A
2 (4) ~P 2&E
23 (5) P&~P 34&I
3 (6) ~(~P&~Q) 25RAA
7 (7) Q A
2 (8) ~Q 2&I
2 7 (9) Q&~Q 78&I
7 (ア) ~(~P&~Q) 25RAA
1 (イ) ~(~P&~Q) 1367ア∨E
ウ (ウ) ~P A
エ(エ) ~Q A
ウエ(オ) ~P&~Q ウエ&I
1 ウエ(カ) ~(~P&~Q)&
(~P&~Q) 6オ&I
1 ウ (キ) ~~Q エカRAA
1 ウ (ク) Q キDN
1 (ケ) ~P→ Q ウクCP
(ⅱ)
1 (1) ~P→ Q A
2 (2) ~P&~Q A
2 (3) ~P 2&E
12 (4) Q 13MPP
2 (5) ~Q 2&E
12 (6) Q&~Q 45&I
1 (7) ~(~P&~Q) 26RAA
8 (8) ~( P∨ Q) A
9 (9) P A
9 (ア) P∨ Q 9∨I
89 (イ) ~( P∨ Q)&
( P∨ Q) 8ア&I
8 (ウ) ~P 9イRAA
エ (エ) Q A
エ (オ) P∨ Q エ
8 エ (カ) ~( P∨ Q)&
( P∨ Q) 8オ&I
8 (キ) ~Q エカRAA
8 (ク) ~P&~Q ウキ&I
1 8 (ケ) ~(~P&~Q)&
(~P&~Q) 7ク&I
1 (コ)~~( P∨ Q) 8ケRAA
1 (サ) ( P∨ Q) コDN
従って、
(05)により、
(06)
① P∨Q≡「Pであるか、または、Qであるか(、または、PであってQである)。」
② ~P→Q≡「Pでないならば、Qである。」
に於いて、
①=② である。
従って、
(06)により、
(07)
(ⅰ)Pであるか、または、Qであるか(、または、PであってQである)。 然るに、
(ⅱ)Pでない。 故に、
(ⅲ)Qである。
といふ「推論(選言三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(04)(07)により、
(08)
「記号」で書くとして、
(a)P∨Q, P├ ~Q
(b)P∨Q,~P├ Q
に於いて、
(a)は、「推論」として、「妥当」ではなく、
(b)は、「推論」として、「妥当」である。
然るに、
(06)により、
(09)
① P∨Q
② ~P→Q
に於いて、
P=~P
といふ「代入」を行ふと、
① ~P∨Q
② ~~P→Q
に於いて、
①=② である。
然るに、
(09)により、
(10)
「二重否定律」により、
① ~P∨Q
② P→Q
に於いて、
①=② である(含意の定義)。
然るに、
(11)
―「ド・モルガンの法則」の「証明」―
(ⅰ)
1 (1) ~(~P&~Q) A
2 (2) ~( P∨ Q) A
3 (3) P A
3 (4) P∨ Q 3∨I
23 (5) ~( P∨ Q)&
( P∨ Q) 24&I
2 (6) ~P 35RAA
7(7) Q A
7(8) P∨ Q 7∨I
2 7(9) ~( P∨ Q)&
( P∨ Q) 28&I
2 (ア) ~Q 7RAA
2 (イ) ~P&~Q 6イ&I
12 (ウ) ~(~P&~Q)&
(~P&~Q) 1ウ&I
1 (エ)~~( P∨ Q) 2エRAA
1 (オ) P∨ Q オDN
(ⅱ)
1 (1) P∨ Q A
2 (2) ~P&~Q A
3 (3) P A
2 (4) ~P 2&E
23 (5) P&~P 34&I
3 (6)~(~P&~Q) 25RAA
7(7) Q A
2 (8) ~Q 2&E
2 7(9) Q&~Q 78&I
7(ア)~(~P&~Q) 29RAA
1 (イ)~(~P&~Q) 1367ア∨E
従って、
(10)(11)により、
(12)
「含意の定義」と「ド・モルガンの法則」と「二重否定律」により、
① ~P&Q →R
② ~(P&Q)→R
といふ「論理式」は、
① ~(~P&Q)∨R
② ~~(P&Q)∨R
といふ「論理式」に、更には、
① (P∨~Q)∨R
② (P& Q)∨R
といふ「論理式」に、「等しい」。
従って、
(12)により、
(13)
① {~P&Q →R}⇔{(P∨~Q)∨R}
②{~(P&Q)→R}⇔{(P& Q)∨R}
といふ「2つの等式」が、成立する。
従って、
(08)(13)により、
(14)
①{(P∨~Q)∨R},~(P∨~Q)├ R
②{(P& Q)∨R},~(P& Q)├ R
といふ「推論」、すなはち、
① {~P&Q →R},~(P∨~Q)├ R
②{~(P&Q)→R},~(P& Q)├ R
といふ「推論」は「妥当」であるが、
①{(P∨~Q)∨R}, (P∨~Q)├ ~R
②{(P& Q)∨R}, (P& Q)├ ~R
といふ「推論」、すなはち、
① {~P&Q →R}, (P∨~Q)├ ~R
②{~(P&Q)→R}, (P& Q)├ ~R
といふ「推論」は「妥当」ではない。
然るに、
(15)
(ⅰ)
① 不有祝鮀之佞、而有宋朝之美、難乎、免於今之世矣=
① 不〔有(祝鮀之佞)〕、而有(宋朝之美)、難乎、免(於今之世)矣⇒
① 〔(祝鮀之佞)有〕不、而(宋朝之美)有、難乎、(於今之世)免矣=
① 〔(祝鮀の佞)有ら〕ずして、而も(宋朝の美)有らば、難いかな、(今に世に)免るること=
① 〔(祝鮀のやうな弁舌が)有る〕のではなく、而も(宋朝のやうな美貌が)有るだけならば、難しいことだよ、(今の時世を)無事に送ることは。
(ⅱ)
② 不有祝鮀之佞、而有宋朝之美、難乎、免於今之世矣=
② 不〔有(祝鮀之佞)、而有(宋朝之美)〕、難乎、免(於今之世)矣⇒
② 〔(祝鮀之佞)有、而(宋朝之美)有〕不、難乎、(於今之世)免矣=
② 〔(祝鮀の佞)有りて、而も(宋朝の美)有ら〕ずんば、難いかな、(今の世矣)免るること=
② 〔(祝鮀のやうな弁舌が)有って、而も(宋朝のやうな美貌が)有る〕といふ、ことではないならば、難しいことだよ、(今の時世を)無事に送ることは。
然るに、
(16)
実はどちらも意味が通じるのである。
① のほうは、古注といって、伝統的な解釈であるが、
② のほうは、新注といって、朱熹(朱子)の解釈なのである。
(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年10月、325・326頁)
然るに、
(17)
P=祝鮀のやうな弁舌が有る。
Q=宋朝のやうな美貌が有る。
R=今の時世を無事に送ることは、難しい。
とするならば、
① ~P&Q →R
② ~(P&Q)→R
といふ「論理式」は、
① 不〔有(祝鮀之佞)〕、而有(宋朝之美)、難乎、免(於今之世)矣。
② 不〔有(祝鮀之佞)、而有(宋朝之美)〕、難乎、免(於今之世)矣。
といふ「漢文」に「等しい」。
従って、
(14)(17)により、
(18)
① ~P&Q→R
① 不〔有(祝鮀之佞)〕、而有(宋朝之美)、難乎、免(於今之世)矣。
に関して言へば、
① {~P&Q→R},~(P∨~Q)├ R
といふ「推論」は、「正しい」。
然るに、
(19)
「ド・モルガンの法則」により、
① ~(P∨~Q) は、
① ~P& Q に「等しい」。
従って、
(18)(19)により、
(20)
① {~P&Q→R},~(P∨~Q)├ R
といふ「推論」、すなはち、
① {~P&Q→R},~P&Q├ R
といふ「推論(MPP)」は、当然、「正しい」。
然るに、
(14)(17)により、
(21)
①{~P&Q→R}, (P∨~Q)├ ~R
といふ「推論」、すなはち、
①{(P∨~Q)∨R},(P∨~Q)├ ~R
といふ「推論」は、「正しくない」。
然るに、
(22)
「連言除去(&E)」と「選言導入(∨I)」により、
(ⅰ) P& Q
(ⅱ) P&~Q
(ⅲ)~P& Q
(ⅳ)~P&~Q
に於いて、
(ⅰ)ならば、(P∨~Q)である。
(ⅱ)ならば、(P∨~Q)である。
(ⅲ)ならば、(P∨~Q)でない。
(ⅳ)ならば、(P∨~Q)である。
従って、
(21)(22)により、
(23)
(1){~P&Q→R},(P∨~Q)├ ~R
といふ「推論」は、「正しくない」が故に、
(ⅰ){~P&Q→R},( P& Q)├ ~R
(ⅱ){~P&Q→R},( P&~Q)├ ~R(ⅲ){~P&Q→R},(~P& Q)├ ~R
(ⅳ){~P&Q→R},( P&~Q)├ ~R
といふ「3つの推論」は、「正しくない」。
従って、
(23)により、
(24)
(ⅰ){~P&Q→R},( P& Q)├ ~R
といふ「推論」は、「正しくない」。
然るに、
(25)
「交換法則」により、
① ~P&Q
① P&Q
といふ「連言」は、それぞれ、
① Q&~P
① Q& P
といふ「連言」に「等しい」。
従って、
(24)(25)により、
(26)
(ⅰ){~P&Q→R},(P&Q)├ ~R
(〃){Q&~P→R},(Q&P)├ ~R
といふ「推論」は、「正しくない」。
然るに、
(17)により、
(27)
P=弁舌がある (祝鮀のやうな弁舌が有る)。
Q=ハンサムである(宋朝のやうな美貌が有る)。
R=やっていけない(今の時世を無事に送ることは、難しい)。
~R=やっていける (今の時世を無事に送ることは、易しい)。
とするならば、
① ~P&Q→R
といふ「論理式(命題)」は、
① 不〔有(祝鮀之佞)〕、而有(宋朝之美)、難乎、免(於今之世)矣。
といふ「漢文」に「等しい」。
(25)(26)(27)により、
(28)
① ~P&Q→R
① Q&~P→R
といふ「論理式(命題)」は、
① 不〔有(祝鮀之佞)〕、而有(宋朝之美)、難乎、免(於今之世)矣。
といふ「漢文」に「等しい」。
従って、
(21)~(28)により、
(29)
①{(P∨~Q)∨R},(P∨~Q)├ ~R
といふ「推論」、すなはち、
① {Q&~P→R},(Q& P)├ ~R
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ){ハンサムではあっても、弁舌がなければ、やってゆけない}。 (ハンサムであって、弁舌がある)。従って、やっていける。
(〃){ハンサムの上に弁舌を兼ね備えてこそ、はじめてやってゆける}。(ハンサムであって、弁舌がある)。従って、やっていける。
といふ「推論(前件否定の誤謬)」は、「正しくない」。
cf.
①{Q&~P→R},(Q&P)├ ~R
であれば、
①{Q&~P→R},(Q&~~P)├ ~R
であって、
①{Q&~P→R},(Q&~~P)├ ~R
から、Q を「除く」と、
①{~P→R},(~~P)├ ~R
は、「前件否定の誤謬」である。
然るに、
(30)
「次(31)」に示す通り、「二畳庵主人(加地伸行 先生)」は、
(ⅰ){ハンサムではあっても、弁舌がなければ、やってゆけない}。 (ハンサムであって、弁舌がある)。従って、やっていける。
(〃){ハンサムの上に弁舌を兼ね備えてこそ、はじめてやってゆける}。(ハンサムであって、弁舌がある)。従って、やっていける。
といふ「推論(前件否定の誤謬)」は、「正しい」と、されてゐる。
(31)
そこで話をもとにもどしてみる。
① の場合、-a+bであると訳すと「弁舌はなくて、ハンサムというのは、あぶない(ハンサムの上に弁舌を兼ねそなえてこそ、はじめてやってゆける)」ということになる。
(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年10月、325・326頁)
然るに、
(32)
①{~P&Q→R}≡{Pでなくて、Qであるならば、Rである。}
ではなく、
①{~P&Q⇔R}≡{Pでなくて、Qであるならば、そのときに限って、Rである。}
であるならば、「前件否定の誤謬」には、ならない。
然るに、
(17)により、
(33)
① 自非無祝鮀之佞而有宋朝之美者、易乎、免於今之世矣=
① 自[非〔無(祝鮀之佞)而有(宋朝之美)者〕]、易乎、免(於今之世)矣⇒
① [〔(祝鮀之佞)無而(宋朝之美)有者〕非]自、易乎、(於今之世)免矣=
① [〔(祝鮀の佞)無くして(宋朝の美)有る者に〕非ざる]自りは、易きかな、(今の世に)免るること。
であるならば、
①{~P&Q⇔R}≡{Pでなくて、Qであるならば、そのときに限って、Rである。}
であり得る、はずであるが、(15)により、「原文(論語・雍也 一六)」は、そのやうには、なってゐない。
―「昨日(令和02年09月02日)の記事」は削除をした上で、「明日以降」に、書き直します。―
(01)
(ⅰ)~(否定)
(ⅱ)&(連言)
(ⅲ)∨(選言)
(ⅳ)→( 条件法)
(ⅴ)⇔(双条件法)
といふ「5つの記号」は、「命題論理」に於ける、「論理結合子」である。
然るに、
(02)
① P⇔Q
②(P→Q)&(Q→P)
に於いて、
① は、② に対する、「略号(abbreviation)」である。
従って、
(02)により、
(03)
① ~(P⇔Q)
② ~{(P→Q)&(Q→P)}
に於いて、
① は、② に対する、「略号(abbreviation)」である。
然るに、
(04)
―「ド・モルガンの法則」の「証明」―
(ⅰ)
1 (1) ~(~P&~Q) A
2 (2) ~( P∨ Q) A
3 (3) P A
3 (4) P∨ Q 3∨I
23 (5) ~( P∨ Q)&
( P∨ Q) 24&I
2 (6) ~P 35RAA
7(7) Q A
7(8) P∨ Q 7∨I
2 7(9) ~( P∨ Q)&
( P∨ Q) 28&I
2 (ア) ~Q 7RAA
2 (イ) ~P&~Q 6イ&I
12 (ウ) ~(~P&~Q)&
(~P&~Q) 1ウ&I
1 (エ)~~( P∨ Q) 2エRAA
1 (オ) P∨ Q オDN
(ⅱ)
1 (1) P∨ Q A
2 (2) ~P&~Q A
3 (3) P A
2 (4) ~P 2&E
23 (5) P&~P 34&I
3 (6)~(~P&~Q) 25RAA
7(7) Q A
2 (8) ~Q 2&E
2 7(9) Q&~Q 78&I
7(ア)~(~P&~Q) 29RAA
1 (イ)~(~P&~Q) 1367ア∨E
(05)
―「含意の定義」の「証明」―
(ⅰ)
1 (1) P→ Q A
2 (2) P&~Q A
2 (3) P 2&E
12 (4) Q 13MPP
2 (5) ~Q 2&E
12 (6) Q&~Q 45&I
1 (7) ~(P&~Q) 26RAA
8 (8) ~(~P∨ Q) A
9 (9) ~P A
9 (ア) ~P∨ Q 9∨I
89 (イ) ~(~P∨ Q)&
(~P∨ Q) 8ア&I
8 (ウ) ~~P 9イRAA
8 (エ) P ウDN
オ(オ) Q A
オ(カ) ~P∨ Q オ&I
8 オ(キ) ~(~P∨ Q)&
(~P∨ Q) 8カ&I
8 (ク) ~Q オキRAA
8 (ケ) P&~Q エク&I
1 8 (コ) ~(P&~Q)&
(P&~Q) 7ケ&I
1 (サ)~~(~P∨ Q) 8コRAA
1 (シ) ~P∨ Q サDN
(ⅱ)
1 (1) ~P∨ Q A
2 (2) P&~Q A
3 (3) ~P A
2 (4) P 2&E
23 (5) ~P&P 34&I
3 (6) ~(P&~Q) 25RAA
7 (7) Q A
2 (8) ~Q 2&E
2 7 (9) Q&~Q 78&I
7 (ア) ~(P&~Q) 29RAA
1 (イ) ~(P&~Q) 1367ア∨E
ウ (ウ) P A
エ(エ) ~Q A
ウエ(オ) P&~Q ウエ&I
1 ウエ(カ) ~(P&~Q)&
(P&~Q) イオ&I
1 ウ (キ) ~~Q エカRAA
1 ウ (ク) Q キDN
1 (ケ) P→ Q ウクCP
然るに、
(06)
(ⅰ)
1 (1) ~(P⇔Q) A
1 (2)~{(P→Q)& (Q→P)} 1Df.⇔
1 (3) ~(P→Q)∨~(Q→P) 2ド・モルガンの法則
4 (4) ~(P→Q) A
4 (5)~(~P∨Q) 4含意の定義
4 (6) P&~Q 5ド・モルガンの法則
4 (7) (P&~Q)∨(~P&Q) 6∨I
8(8) ~(Q→P) A
8(9) ~(~Q∨P) 8含意の定義
8(ア) Q∨~P 8ド・モルガンの法則
8(イ) ~P∨Q ア交換法則
8(ウ) (P&~Q)∨(~P&Q) イ∨I
1 (エ) (P&~Q)∨(~P&Q) 1478ウ∨E
(ⅱ)
1 (1) (P&~Q)∨(~P&Q) A
2 (2) (P&~Q) A
2 (3)~(~P∨Q) 2ド・モルガンの法則
2 (4) ~(P→Q) 3含意の定義
2 (5) ~(P→Q)∨~(Q→P) 4∨I
6(6) (~P&Q) A
6(7) (Q&~P) 6交換法則
6(8) ~(~Q∨P) 7ド・モルガンの法則
6(9) ~(Q→P) 8含意の定義
6(ア) ~(P→Q)∨~(Q→P) 9∨I
1 (イ) ~(P→Q)∨~(Q→P) 1256ア∨E
1 (ウ)~{(P→Q)& (Q→P)} イ、ド・モルガンの法則
1 (エ) ~(P⇔Q) ウDf.⇔
従って、
(06)により、
(07)
① ~(P⇔Q)
② (P&~Q)∨(~P&Q)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(08)
§4 選言命題は不十分である。選言に2種類あることが看過されているからである。
(a)弱選言(Week disjunction)
両立的(inclusive)選言ともいう。―中略―、
(b)強選言(Strong disjunction)
不両立(imcompatible)選言とか相反的(exclusive)選言といい、伝統的論理学のいう選言はこの種のものである。
(岩波全書、論理学入門、1979年、30・31頁改)
然るに、
(09)
(a)弱選言(Week disjunction) といふのは、
(〃)(Pであるか)、または、(Qであるか)、または、(Pであって、Qである)。
といふ「場合」を、言ふ。
(10)
(b)強選言(Strong disjunction) といふのは、
(〃)(Pであるか)、または、(Qである)。
といふ「場合」を、言ふ。
然るに、
(01)(02)(07)(08)により、
(11)
②(P&~Q)∨(~P&Q)
③(Pであって、Qでない)か、または、(Pでなくて、Qである)か、または、(Pであって、Qでなく、Pでなくて、Qである)。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(12)
③(Pであって、Qでなく、Pでなくて、Qである)。
といふことは「矛盾」であるため、
②(Pであって、Qでなく、Pでなくて、Qである)。
といふことは「有り得ない」。
従って、
(11)(12)により、
(13)
②(P&~Q)∨(~P&Q)
③(Pであって、Qでない)か、または、(Pでなくて、Qである)。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(14)
③(Pであって、Qでない)か、または、(Pでなくて、Qである)。
といふことは、
④(Pであるか)、または、(Qである)。
といふ、ことである。
従って、
(07)(10)(13)(14)により、
(15)
① ~(P⇔Q)
② (P&~Q)∨(~P&Q)
③ (Pであって、Qでない)か、または、(Pでなくて、Qである)。
に於いて、
①=②=③ であって、それ故、
① ~(P⇔Q)
といふ「論理式」は、
(b)強選言(Strong disjunction) である。
従って、
(01)(09)(10)(15)により、
(16)
(ⅰ) ~P
(ⅱ) P&Q
(ⅲ) P∨Q
(ⅳ) P→Q
(ⅴ) P⇔Q
(ⅵ)~(P⇔Q)
といふ「論理式」は、上から順に、
(ⅰ)否定
(ⅱ)連言
(ⅲ)弱選言
(ⅳ)条件法
(ⅴ)双条件法
(ⅵ)強選言
である。
従って、
(09)(10)(16)により、
(17)
(ⅲ) P∨Q ≡(Pであるか)、または、(Qであるか)、または、(Pであって、Qである)。
(ⅵ)~(P⇔Q)≡(Pであるか)、または、(Qであるか)、どちらか、一方である。
に於いて、
(ⅲ)は「弱選言」であって、
(ⅵ)は「強選言」である。
然るに、
(18)
(ⅲ)(Pであるか)、または、(Qであるか)、または、(Pであって、Qである)。
(ⅵ)(Pであるか)、または、(Qであるか)、どちらか、一方である。
に於いて、尚且つ、
(ⅲ) Pでない。
(ⅵ) Pでない。
とするならば、それぞれ、
(ⅲ) Qである。
(ⅵ) Qである。
従って、
(17)(18)により、
(19)
③ P∨Q ,~P├ Q
⑥ ~(P⇔Q),~P├ Q
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
然るに、
(20)
(ⅲ)(Pであるか)、または、(Qであるか)、または、(Pであって、Qである)。
(ⅵ)(Pであるか)、または、(Qであるか)、どちらか、一方である。
に於いて、尚且つ、
(ⅲ) Pである。
(ⅵ) Pである。
とするならば、
(ⅲ)には、(Pであって、Qである。)といふことが「真」である「可能性」と、
(〃)には、(Pであって、Qである。)といふことが「偽」である「可能性」が有る。
ものの。その一方で、
(ⅵ)には、(Pであって、Qである。)といふことが「偽」である「可能性」しかない。
従って、
(17)(20)により、
(21)
③ P∨Q ,P├ ~Q
⑥ ~(P⇔Q),P├ ~Q
といふ「推論(三段論法)」に於いて、
③ は、「妥当」ではないが、
⑥ は、「妥当」である。
従って、
(19)(21)により、
(22)
⑦(Pであるか、または、Qである。)然るに、Pでない。故に、Qである。
⑧(Pであるか、または、Qである。)然るに、Pである。故に、Qでない。
に於いて、
⑦ であれば、
⑦(Pであるか、または、Qである。)が、「弱選言」であっても、「強選言」であっても、いづれにせよ、「推論」は「妥当」であるが、
⑧ であれば、
⑧(Pであるか、または、Qである。)が、「弱選言」であっても、「強選言」であっても、いづれにせよ、「推論」は「妥当」である。
といふことには、ならない。
従って、
(18)~(22)により、
(23)
通常、「選言」という名称で呼ばれているものは、「弱選言」と呼ぶものである。
これは「PまたはQ」としたときに、「Pが真」であっても、「必ずしも、Qが偽にならない」ような「選言」のことである(数学Wiki改)。
といふ、ことになる。
(01)
(ⅰ)
① 不有祝鮀之佞、而有宋朝之美、難乎、免於今之世矣=
① 不〔有(祝鮀之佞)〕、而有(宋朝之美)、難乎、免(於今之世)矣⇒
① 〔(祝鮀之佞)有〕不、而(宋朝之美)有、難乎、(於今之世)免矣=
① 〔(祝鮀の佞)有ら〕ずして、而も(宋朝の美)有らば、難いかな、(今に世に)免るること=
① 〔(祝鮀のやうな弁舌が)有る〕のではなく、而も(宋朝のやうな美貌が)有るだけならば、難しいことだよ、(今の時世を)無事に送ることは。
(ⅱ)
② 不有祝鮀之佞、而有宋朝之美、難乎、免於今之世矣=
② 不〔有(祝鮀之佞)、而有(宋朝之美)〕、難乎、免(於今之世)矣⇒
② 〔(祝鮀之佞)有、而(宋朝之美)有〕不、難乎、(於今之世)免矣=
② 〔(祝鮀の佞)有りて、而も(宋朝の美)有ら〕ずんば、難いかな、(今の世矣)免るること=
② 〔(祝鮀のやうな弁舌が)有って、而も(宋朝のやうな美貌が)有る〕といふ、ことではないならば、難しいことだよ、(今の時世を)無事に送ることは。
然るに、
(02)
実はどちらも意味が通じるのである。
① のほうは、古注といって、伝統的な解釈であるが、
② のほうは、新注といって、朱熹(朱子)の解釈なのである。
(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年10月、325・326頁)
従って、
(01)(02)により、
(03)
P=祝鮀のやうな弁舌が有る。
Q=宋朝のやうな美貌が有る。
R=今の時世を無事に送ることは、難しい。
とするならば、
① ~P&Q →R
② ~(P&Q)→R
といふ「論理式」は、
① 不〔有(祝鮀之佞)〕、而有(宋朝之美)、難乎、免(於今之世)矣。
② 不〔有(祝鮀之佞)、而有(宋朝之美)〕、難乎、免(於今之世)矣。
といふ「漢文」に「等しい」。
然るに、
(04)
(ⅲ)
1 (1) P→ Q A
2 (2) P&~Q A
2 (3) P 2&E
12 (4) Q 13MPP
2 (5) ~Q 2&E
12 (6) Q&~Q 45&I
1 (7) ~(P&~Q) 26RAA
8 (8) ~(~P∨ Q) A
9 (9) ~P A
9 (ア) ~P∨ Q 9∨I
89 (イ) ~(~P∨ Q)&
(~P∨ Q) 8ア&I
8 (ウ) ~~P 9イRAA
8 (エ) P ウDN
オ(オ) Q A
オ(カ) ~P∨ Q オ&I
8 オ(キ) ~(~P∨ Q)&
(~P∨ Q) 8カ&I
8 (ク) ~Q オキRAA
8 (ケ) P&~Q エク&I
1 8 (コ) ~(P&~Q)&
(P&~Q) 7ケ&I
1 (サ)~~(~P∨ Q) 8コRAA
1 (シ) ~P∨ Q サDN
(ⅳ)
1 (1) ~P∨ Q A
2 (2) P&~Q A
3 (3) ~P A
2 (4) P 2&E
23 (5) ~P&P 34&I
3 (6) ~(P&~Q) 25RAA
7 (7) Q A
2 (8) ~Q 2&E
2 7 (9) Q&~Q 78&I
7 (ア) ~(P&~Q) 29RAA
1 (イ) ~(P&~Q) 1367ア∨E
ウ (ウ) P A
エ(エ) ~Q A
ウエ(オ) P&~Q ウエ&I
1 ウエ(カ) ~(P&~Q)&
(P&~Q) イオ&I
1 ウ (キ) ~~Q エカRAA
1 ウ (ク) Q キDN
1 (ケ) P→ Q ウクCP
従って、
(04)により、
(05)
③ P→Q
④ ~P∨Q
に於いて、
③=④ である(含意の定義)。
然るに、
(06)
(ⅴ)
1 (1) ~(~P&Q) A
2 (2) ~(P∨~Q) A
3 (3) P A
3 (4) P∨~Q 3∨I
23 (5) ~(P∨~Q)&
(P∨~Q) 24&I
2 (6) ~P 35RAA
7(7) ~Q A
7(8) P∨~Q 7∨I
2 7(9) ~(P∨~Q)&
(P∨~Q) 28&I
2 (ア) ~~Q 7RAA
2 (イ) Q アDN
2 (ウ) ~P&Q 6イ&I
12 (エ) ~(~P&Q)&
(~P&Q) 1ウ&I
1 (オ)~~(P∨~Q) 2エRAA
1 (カ) P∨~Q オDN
(ⅵ)
1 (1) P∨~Q A
2 (2) ~P& Q A
3 (3) P A
2 (4) ~P 2&E
23 (5) P&~P 34&I
3 (6)~(~P& Q) 25RAA
7(7) ~Q A
2 (8) Q 2&E
2 7(9) ~Q&Q 78&I
7(ア)~(~P& Q) 29RAA
1 (イ)~(~P& Q) 1367アRAA
従って、
(06)により、
(07)
⑤ ~(~P&Q)
⑥ P∨~Q
に於いて、
⑤=⑥ である(ド・モルガンの法則)。
従って、
(03)(05)(07)により、
(08)
「含意の定義」と「ド・モルガンの法則」と「二重否定律」により、
① ~P&Q →R
② ~(P&Q)→R
といふ「論理式」は、
① ~(~P&Q)∨R
② ~~(P&Q)∨R
といふ「論理式」に、更には、
① (P∨~Q)∨R
② (P& Q)∨R
といふ「論理式」に、「等しい」。
然るに、
(09)
①(P∨~Q)∨R
②(P& Q)∨R
に於いて、
① R が「必ず、真である」場合。
② R が「必ず、真である」場合。
とは、それぞれ、
①(P∨~Q)が「偽」である場合。
②(P& Q)が「偽」である場合。
である。
然るに、
(10)
①(P∨~Q)が「偽」である場合。
とは、
①(~P&Q)≡(祝鮀之佞が無くて、宋朝之美が有る)場合。
といふ「1通り」である。
である。
(11)
②(P& Q)が「偽」である場合。
とは、
②(~P& Q)≡(祝鮀之佞が無くて、宋朝之美が有る)場合。
②( P&~Q)≡(祝鮀之佞が有って、宋朝之美が無い)場合。
②(~P&~Q)≡(祝鮀之佞が無くて、宋朝之美も無い)場合。
といふ「3通り」である。
従って、
(03)(08)~(11)により、
(12)
① ~P&Q →R
② ~(P&Q)→R
に於いて、すなはち、
①(P∨~Q)∨R
②(P& Q)∨R
に於いて、
① の場合は、
①(祝鮀之佞が無くて、宋朝之美が有る)ならば、そのときに限って、今の時世を無事に送ることは、難しい。
といふことになり、
② の場合は、
②(祝鮀之佞が有って、宋朝之美が有る)ならば、そのときに限って、今の時世を無事に送ることは、難しくはない(のかも知れない)。
といふことになる。
(13)
② ~(P&Q)→R
といふ「論理式」からは、「分かり難い」が、これと「同値」である所の、
② (P&Q)∨R
といふ「論理式」からは、
②(祝鮀之佞が有って、宋朝之美が有る)ならば、その場合は、
② 今の時世を無事に送ることは、難しくとも、難しくなくとも、「どちらでも良い」。
といふことが、「明確」である。
従って、
(01)(13)により、
(14)
② 不有祝鮀之佞、而有宋朝之美、難乎、免於今之世矣=
② 不〔有(祝鮀之佞)、而有(宋朝之美)〕、難乎、免(於今之世)矣⇒
② 〔(祝鮀之佞)有、而(宋朝之美)有〕不、難乎、(於今之世)免矣=
② 〔(祝鮀の佞)有りて、而も(宋朝の美)有ら〕ずんば、難いかな、(今の世矣)免るること=
② 〔(祝鮀のやうな弁舌が)有って、而も(宋朝のやうな美貌が)有る〕といふ、ことではないならば、難しいことだよ、(今の時世を)無事に送ることは。
といふ「漢文訓読」からは、
② 〔(祝鮀の佞)が有って、しかも(宋朝の美)有る〕ならば、容易なことだよ、(今の時世を)無事に送ることは。
といふことには、ならない。