おせっちゃんの今日2

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渥美清の矜持

2022-10-29 13:19:49 | 新聞記事から

昨日の、パンダが書いた天声人語のすぐ近くに「折々のことば」はあります。84年、ごく狭い世界で生きてきたおせっちゃんには解説を読んでもその深い主張が分からないことがあるのですが、昨日の言葉は解ったような気がしました。
ご紹介します。

「役者はもの書きではありません。渥美清」

鷲田清一氏の解説がついています。渥美清は「寅さん」役に徹し、執筆や講演はいっさいことわった。簡素な暮らしながら、撮影が始まると、雪駄履きの足元が薄汚れて見えないよう、美容室でペディキュアをしてもらっていた、と。(後略)

おせっちゃん、自分の暮らしでマニキュアはいたずらにやったことがありますが、足の指など構ったことがありません。「へ~え、きれいにしたところで、素足の雪駄履きの指先だよ、たとえその箇所を大写しにしたところで、折角やったぺディキュアの上から美術さんは薄汚れた、埃っぽい指先に仕上げただろうに、と思ったことでした。もしもペディキュアのピカピカの爪が写ったらおかしいじゃないの、とまで。

でも、日本の代表的な映画のシリーズです。渥美清の代表作・・・というより、寅さん=渥美清と言っても過言ではない作品です。渥美清は覚悟を持って臨んでいるはず、と思い直しました。

この世界のことは全く分からないおせっちゃんですが、多分俳優渥美清は寅さん役を外した、俳優渥美清そのものになって、そこから役作りをしていったのだろうと思ったのです。薄汚れた足先を作ってくれる美術の人に、自分の地の足から、寅さんの足にしてもらおうと思ったのか、と考えたのです。

ここ迄深く考えて、一つの役の一つの場面が出来上がっていくとすると、俳優以外のことまでは出来ず断わったのだろうと思えました。