つぼみな日々

いろんな花の蕾をもっていたい。たくさんの花を咲かせたい。
言葉を紡ぎたい私のブログです。

千の起伏

2015-09-03 02:32:10 | 日記
いもうとの家で食べた切り干し大根の煮物が美味しくて、初めて切り干し大根を買った。
今まで避けてきたのは、私に使いこなせる代物ではないと、なぜか乾燥大豆を水から煮るくらい面倒であるとレッテルを貼っていたからだ。
というのと、ひじきを水でもどすときにザルに目詰まりして面倒を被った学生時代の記憶から、乾物を扱うのを避けてきた節もある。
なんだか今思い出すとよく分からないけれど、そのとき私は何かに怒っていて、ひじきで目詰まりしたざるを確かそのまま捨てたのではないかと思う。

よく、料理番組などのレシピでは、「だし汁1カップ」という表現がある。
出汁をとることというのは、結構繊細な作業というか、工程が大切なように思うのだけれど、それが「だし汁1カップ」という言葉で省略されて良いものだろうか。
まあ、毎度そんなことをやっていては、肝心のレシピが紹介できないということだとは思うけれども。

斯く言う私も、よく使うかつおの厚削りでさえも正しい出汁の取り方はよく分かっていない。
味噌と同じで、沸騰して煮立ててはいけない、と言われると思うが、いつかの「きょうの料理」で小林カツ代さんが、「かつお節は水から入れて、美味しさをぐつぐつ煮出して搾り取ってください。灰汁だけはちょっと丁寧に取ってくださいね。これが美味しさの秘訣です。」と言っていたのがしっくりきて、今も私はそうしている。

かつおの厚削りを水に浸しておく。
厚削りが水分を含んで茶色が少し白くぼけたくらいで中火にかける。
そうした方が、じっくりと旨味を搾り出せるような気がする。
火にかけて10分強、灰汁を少し取って、黄金色になっただし汁を器にあけておく。

切り干し大根を軽く水洗いして、こんにゃくを下茹でする。
こんにゃくは味が染みやすいように表面に格子状に包丁を入れて、サイコロ状に切る。
包丁できれいに切るよりもスプーンで抉った方が味が染みやすい、とこれもどこかの料理番組で見たけれど、スプーンが汚れるのでしない。

私は、生姜が好きで、冷蔵庫にあればかなり高頻度でいろんな料理に入れる。
だいたいすりおろしで使うけれども、今回は千切りにする。

この時点でまだ「切り干し大根の煮物」という構想しかないので、冷蔵庫を除いて入れられそうなものは全部入れる。
シーチキンと、三つ葉と、豆腐と、しめじと。
豆腐は水分がとても多いので安い豆腐は特に一度水切りをして、美味しい水を吸わせると美味しい豆腐になる、と友人が言っていてなるほどと感心したのだけれど、ごった煮を作るのに美味しい水を吸わせなくても良いだろう。

シーチキンをフライパンにあけて、火にかける。
何気なく空き缶を見ると「一缶159kcal」とあって、とても低カロリーな気がして、なるほどノンオイルである。
シーチキンを使うとき、私はたいてい葉物と一緒に煮ることが多いので、どろっとしたコクが欲しい。
ノンオイルは買ってはダメだ。

ごま油を少し足して、三つ葉と豆腐以外をフライパンに放りこんで軽く炒める。
だし汁を戻し入れて、ぐつぐつと煮る。
切り干し大根は甘いのでみりんはやめて、しょうゆと塩で味付けする。

味は冷めるときに入る、これも何かの料理番組でしつこく言っていた。
おでんなども長時間煮込むよりも、一旦火から下ろして冷蔵庫に入れた方が味は染み込む、と。

だから私は煮物を作るとき、たいてい今食べないときに、夜な夜な深夜も深夜に作る。
冷蔵庫に入れはしないけれど、ひと晩というか、ひと朝置く。

豆腐と三つ葉を入れてひと煮立ちさせて、火を止める。

翌日、混然とした感じが出たごった煮を温め直す。

切り干し大根は、滋味深い。


うそみたいなほんとみたいなうそみたいなほんとみたいな、うそみたいな、多肉植物。


ししとうの当たりを引いて夏終わる