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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

合意なき国策

2011年04月30日 | フクシマ原発震災
 ▼ 合意なき国策
内橋克人(経済評論家)

 「この国においては、人びとの未来を決める致命的な国家命題に関してさえ、国民的合意の形成につとめようとする政治意思は見受けられなかった。エネルギー政策が原発一辺倒に激しく傾斜していった過程をどれだけの国民が認知し、同意していたであろうか」
 二十九年前にまとめた「原発への警鐘」を緊急復刻し、「日本の原発、どこで間違えたのか」として再び世に問うことにした。冒頭の言葉を私は書き加えた。
 民主党は二〇〇九年のマニフェストで、自然な再生エネルギーを生かした分散型電力供給システムを構築するとしている。
 それが、政権を掌握した途端に紙切れとなった。去年六月、民主政権の打ち出した「エネルギー基本計画」は電力エネルギーの半分を原発に依存する、このため原発の新増設十四基。既存の五十四基に加えて合計六十八基。
 私たちの生きる島国を海沿いに原発で囲い込む。いったい、いつ、国民は同意したであろうか。
 「市民の不安」を素人の戯言(たわごと)として鼻先でせせら笑ってきた。いまは口を喋(つぐ)んだままの自民党である。
 前世紀末、ウルリッヒ・ベックさん(当時ミュンヘン大学教授)は「リスクソサエティー」の概念を構築した。二十一世紀政治を正しく機能させるものは市民の「漠とした不安だけ」と洞察している。
 「原子力、正しい理解で豊かな暮らし」
 福島県双葉町に立つアーチが究極の皮肉を知っている。
『東京新聞』(2011/4/28【紙つぶて】)

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