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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

★ 「子ども基本法」の成立と朝鮮籍の子どもたちの「民族教育権」

2023年06月22日 | 人権

  《「とんでもない閣議決定から10年 国連人権勧告を実現させよう」6.20集会から》
 ★ 特別報告 こども基本法と朝鮮学校

金載成(きむ・ちぇそん/朝鮮大学校政治経済学部法律学科3年)

 集会にお集まりの皆さん。私は朝鮮大学校の学生です。
 多くの有志の方々のご尽力により、この4月より施行されたこども基本法は、国際法である〈子どもの権利条約〉の精神にのっとり、条約を規範化した画期的な法律です
 今後、この法に基づき、あらゆる差別が是正され、子どもの笑顔が溢れる社会の実現に向けて政策がとられることを大いに期待しています。
 今回のこども基本法の制定は日本の皆さんはもちろん、私たち在日朝鮮人にとっても意義のあるものです。それは、国際法である〈子どもの権利条約〉と同条約に関する勧告的意見を勘案した政策を講じる義務が、国に課せられたからです。
 数十年にわたり行われてきた朝鮮学校への不当な差別が、条約を具体化した国のこども基本法により、糾弾される事を信じています。

 今日は私たち在日朝鮮人にとって、命と同じく大切で、当たり前に保障されなければならない権利である、民族教育権について、少しお話しさせて頂こうと思います。
 私は日本で生まれ日本で育った20歳の青年です。日本人の20歳の青年と同じ様に、日本の地で、日本のテレビを観て、日本の歌を聞ぎ、日本社会で育ちました。
 ですから一見、日本人の青年との差はなく、日本人として見られることも少なくありません。しかし、私は紛れもない朝鮮人です。自身のことを何一つ躊躇せず、朝鮮人だと胸を張って言います。
 私は自身の祖国、民族に対する強い誇りを持ち、朝鮮人としてのアイデンティティーを持っています。
 日本で生まれ育った私がなぜ朝鮮人として育ち、祖国と民族に対する誇りを持てたのでしょうか。日本の青年と変わらない環境で育った私が、どうして祖国と民族を知り、自身の民族的出自を知り、朝鮮人としての自分を愛する事ができるのでしょうか。
 それはまさしく民族教育があったからです。
 民族教育が私自身のアイデンティティーを確立させ、自身の人格を形成させたのです。民族教育があったからこそ私は、朝鮮人という理由一つで差別され、権利が侵害される日本という国で、朝鮮人として生さる事やめず、胸を張って生きてこれました
 そういった意味で、私にとって民族教育権とは、単なる教育権ではなく、自身のアイデンティティーを確立する権利であり、自身の人格を形成する権利なのです。在日朝鮮人が日本の植民地支配の時代から今日まで、約80年間続けてきた民族教育は、植民地支配によって’奪われた民族性の回復過程であり、朝鮮人児童たちの人格形成過程なのだと私は思います。

 民族教育権国際人権条約A規約B規約、子どもの権利条約、日本国憲法26条等の国際法、国内法で保障されている当たり前の権利であり、人類史的に価値のある普遍的な権利です。
 そして子どもの権利条約の精神にのっとり制定された、今回のこども基本法では子どもが差別的取り扱いを受けることがないようにしながら、子どもが育つ環境を整備していくことが記されています。
 また、すべての子どもが最善の利益を尊重されることには、子どもが民族教育を通じて、自己の人格を形成する権利、人格形成権も含まれると解釈できます。
 私はもうこれ以上、日本政府が法と、世界各国からの勧告的意見を無視し、マイノリティの人格権を侵害することがない様に、こども基本法・東京都こども基本条例がその役目を果たすことを信じています。
 私たち朝鮮大学生は、これから民族教育を受ける子供達が、自身の民族的自覚と民族的自尊心を醸成し、立派な朝鮮人として育つ事が出来る様に、ここにいる有志の方々と連帯し、子ども達のための闘いを続けていきます。共に、子どもの笑顔が溢れる社会の実現に向けて頑張っていぎましょう!

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