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西日本新聞社説 君が代起立 条例で縛るようなことか

2011年06月03日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ≪西日本新聞社説(2011/05/31)≫
 ☆ 君が代起立 条例で縛るようなことか


 何と息苦しい-。そんな思いを多くの人が抱くのではないか。大阪府の橋下徹知事が代表を務める地域政党「大阪維新の会」の府議団が先週、入学式などの君が代斉唱時に教職員に起立・斉唱を義務付ける条例案を府議会に提案した。
 維新の会は先の統一地方選で躍進し、府議会で単独過半数を占めており、条例案は近く可決される公算が大きい。
 なぜ、いま条例なのか。橋下知事は「これは府民の総意。起立しないなら府民への挑戦だ」と発言したが、維新の会が君が代起立条例を公約にして府議選を戦ったわけではない。あまりに唐突だ。
 今春の入学式で起立しなかった府立高校教員が38人おり、そのことが橋下知事を刺激したようだ。だが、約9千人いる同じ教員のほとんどは起立している。
 そもそも、1999年に国旗国歌法が成立して以降、都道府県教委は君が代斉唱時の起立・斉唱指導を強化し、不起立の教職員は確実に減っている。大阪府も同様で、論戦が始まった府議会本会議では、府の教育長が「条例による義務付けは必要ない」と表明し、現場指導を徹底すれば十分だとの認識を示した
 これに対して、橋下知事は指導に従わない教職員を力でねじ伏せ、排除しようとする姿勢があからさまだ。今回の条例案に罰則はないが、9月議会で不起立教職員の処分基準を定める条例制定を目指し、氏名の公表も検討するという。
 また、橋下知事は「服務規律の厳格化」を条例化の理由に挙げる。公務員の場合、起立・斉唱は職務であり、思想・良心の問題ではないという考えだ
 ただ、国民は多様だ。「日の丸・君が代」が戦前、軍国主義の象徴としての機能を果たした歴史的経緯に思いを致す人も当然、いるだろう。国旗国歌法は起立・斉唱を強制しておらず、法成立時に当時の小渕恵三首相が「義務付けは考えていない」と政府見解を示している
 教職員をめぐる国旗国歌訴訟では、最高裁が30日、起立・斉唱を命じた校長の職務命令を合憲とする初判断を出した。だが、職務命令や通達に従わない教職員への処分を「裁量権の逸脱」とする高裁判決もあり、司法判断は分かれている。
 それだけ人の内面に触れる問題は慎重に扱うべきだ。教育現場に強制はそぐわない。ごく一部の教職員の不起立をことさら強調し、条例を盾にすべての教職員を縛ることに強い違和感を覚える。
 さらに、今回の君が代起立条例案が府立学校だけでなく、府教委が任命・処分権を持たない大阪、堺両政令市を含めて全市町村立小中学校の教職員を対象としたことに、別の思惑を嗅ぎ取る向きがある。橋下知事が掲げる「大阪都構想」への布石ではないか、というのだ。そうした政治的意図もまぶした条例案だとしたら、なおさら疑問符が付く。
 自民、公明、民主など他会派は、府教育長と同様、条例化の必要性を認めていないという。慎重審議を求めたい。
=2011/05/31付 西日本新聞朝刊=
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/244912

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