★ 神奈川県個人情報保護条例の廃止に抗議する声明
2023年1月23日
個人情報保護条例を活かす会
2022年12月の神奈川県議会において、神奈川県個人情報保護条例が今年度をもって廃止されることが決定されました。情報化社会を見据えて個人情報保護を目的に全国に先駆けて1990年につくられたこの条例を、神奈川県は放棄してしまいました。
私たちの前にあるのは個人情報の「利活用」を主目的とした国の個人情報保護法となってしまいました。
私たちは個人情報が利潤追求及び管理・監視の手段として利用されることに断固反対します。
神奈川県は個人の人権を護るため様々な制限をこの条例によって自らに課してきました。
条例第6条では要配慮個人情報(信条、人種、健康、犯罪などの情報)について取扱いを原則禁じました。
第8条では、収集の制限事項が並べられていました。取り扱い目的を明確にすること、本人から収集することなどです。
第9条で目的外利用・提供の原則禁止、
また第10条ではオンライン結合に対する一定の制限を設けていました。
また、「信条」を原則取扱い禁止にしたのは「個人の内面まで統制しようとした過去の苦い経験を踏まえたものであり」との逐条解説もありました。
条例廃止により歴史的反省も踏まえた逐条解説もすべてが消えてしまいました。
それでは個人情報保護法はどうかというと、
「本人から収集」するという大原則の規定はありません。
要配慮個人情報の取扱い制限についての規定もありません。
大量の個人情報を随時、不可視の状態で入手し得るのがオンライン結合ですが、その取扱いの如何によっては、個人の権利利益を侵害する可能性も大きいため一定の制限が条例にはありましたが個人情報保護法にはありません。
データ流通に影響を与えるような制限は法に明記しない、あるいは緩和の方向になっているのです。
個人情報保護とは名ばかりです。
昨年(2022年)1月にデジタル庁は「教育データの利活用ロードマップ」を発表しました。児童・生徒の様々な個人情報を収集、保存、蓄積し民間を含めた様々な機関が利活用することを想定しています。
情報の利活用により自衛隊や警察などの情報収集、監視活動も強まることが心配されます。ますます管理社会、監視社会が進むことを危惧します。
個人情報保護については各自治体が国に先行して条例をつくり個人情報の保護につとめてきました。
それに対し国は、利活用を主目的とする個人情報保護法をつくり、そこからはみ出さない条例につくり変えるよう「ガイドライン」や「Q&A」を使って統制を図ってきました。神奈川県はそれに屈服し個人情報保護条例そのものを放棄(廃止)してしまいました。
自治体の条例制定権を侵害する政府、それに抗うことなく屈した神奈川県に強く抗議します。
今後、個人情報保護審議会が十分活用され、個人の権利利益の保護がいままでと変わらず確保できるか注視していかなくてはなりません。
私たちは自己情報コントロール権の獲得と個人情報の保護を掲げてこれからも取り組んでいきます。
以上
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