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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

派遣切り「ナマクビ飛ばし」

2008年12月07日 | 格差社会
 ◆ 派遣切り「ナマクビ飛ばし」
   時代遅れの経営者たち


 非正規雇用契約の中途解約が相次いでいる。これを意味する「ナマ首飛ばし」という物騒な言葉も。ホームレス寸前の人々の悲鳴の背景には小泉流「構造改革」のつけが透けてみえる。時代の変化に経営者の思考は追いついているのか。

 ◆ 請負従業員削減でも期間工募集
 「派遣切りをしつつ期間工を募集するのは言語道断だ」。四日夕、東京・日比谷野外音楽堂で開かれた「派遣法の抜本改正をめざす集会」で、一日に結成された労働組合大分キヤノン・ユニオンの労働者は訴えた。
 キヤノンは日本経団連会長の御手洗冨士夫氏が会長。その子会社「大分キヤノン」では、年内に請負会社の従業員約千百人(大分労働局調べ)を削減する予定だ。だが、同時に百人以上の期間従業員を募集している。
 キヤノン本社の広報担当者は「生産調整で請負契約を絞っている。何人の削減かは請負会社の話で私たちが口を挟むべきではない。それでも、直接雇用の門戸を開けておくべきだという判断で限定的に期間従業員の募集をしている」と話す。
 キヤノンは一昨年、偽装請負問題で集中砲火を浴びた。御手洗氏は経済財政諮問会議の席上「法が悪い」と主張したが当然、通じなかった。

 同ユニオンが加盟する全日本建設運輸連帯労働組合の小谷野毅事務局長は「削減規模は地元では二千人ともいわれている。キヤノンは今回の不況を逆手に都合の悪くなった請負を切り、限定的な期間工の募集で直接雇用をしているとPRしたいのだろう」といぶかる。
 来年三月までに約三万人厚生労働省が把握する非正規雇用の削減規模だ。が、実際には「一けた違う」(労組関係者)との指摘も。人々が厳冬期の路頭をさまよう事態が迫っている。

 ◆ 「ボトム10」
 リストラは非正規労働者に限らない。日本IBMでは千人規模の正社員削減が計画され、成果主義による人事評価で下位10%の「ボトム10」と呼ばれる従業員たちが対象とされているという。
 すでにホームレスになった人もいる。トヨタの子会社で働いていた二十九歳の派遣労働者は九月末に突然、中途解約。社員寮も追い出され、半月ほどの野宿生活の後、名古屋の地域ユニオンに助けを求めてきた。

 ◆ 3千人削減計画でも株主に配当
 トヨタ本体でも、来年三月までに三千人の期間従業員の削減が計画されている。同社は今年十一月、営業利益の大幅下方修正を発表した。それでも、株主への二〇〇九年三月期の中間配当は二千三十七億円。今年三月期までの七年間、配当総額は四倍に伸びている。
 経済評論家の森永卓郎氏は「小泉・竹中路線を貫く新自由主義の発想では非正規の従業員は"道具"。余れば捨てるのが当然と考える」と語る。
 トヨタの場合、三千人の期間従業員の雇用を守るには概算で5%ほどの中間配当を削れば済むが、「配当を削るという発想はない」と森永氏。

 ◆ 購買力も低下し"自殺行為"
 「十数年前までトヨタも含め、企業で最も大切なのは従業員だったが、いまは株主だから」。森永氏は、このままでは企業自身も被害に遭うと警告する。
 「日本の製造業の品質を守ったのは働く人々のひたむきさ。クビ切りは国内購買力も低下させるから、回り回って企業が損をする。この秋で世界は変わった。だが、日本の経営者はその現実がまだ、分かっていない」

『東京新聞』(2008/12/6【ニュースの追跡】)

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